今夏のボーナスは 43 万 9 千円、前年同期比 2.1%増

「平成 27 年夏季ボーナス支給予定に関するアンケート調査」集計結果
今夏のボーナスは 43 万 9 千円、前年同期比 2.1%増
平成 27 年夏季ボーナスを支給予定の企業では、正社員一人当たりの平均支給予定額は 43 万
9 千円となる見込み。回答企業の昨年夏の実績との比較では 2.1%の増加、夏季としては 2 年
連続のプラスとなった。賃上げムードが高まる中、支給予定額を「増加」する企業割合が増加
傾向にある一方、昨年夏より支給予定額が「減少」した企業割合が増加しており、一部の業種
においては、2 極化もうかがえる。
1.支給予定の有無
― 夏季としては支給割合が 3 年ぶりに減少 ―
平成 27 年夏季ボーナスを支給す
る予定の企業の割合は 83.9%であっ
た(図表 1)。昨年夏よりも 0.5 ポイ
ント低下したものの、平成 20 年の調
査開始以降、夏季では 3 番目の水準
であった。
図表1 ボーナス支給予定の有無
100%
80%
22.4 20.7 20.6 17.9 21.5 19.1 18.5 20.5 15.6 15.5 16.1
なし
60%
40%
77.6 79.3 79.4 82.1 78.5 80.9 81.5 79.5 84.4 84.5 83.9
あり
20%
0%
夏
冬
22
平成
夏
冬
23
夏
冬
24
夏
冬
25
夏
冬
26
夏
27
2.支給予定日
― 7 月中旬がピーク ―
平成 27 年夏季ボーナス支給予定日のピークは 7
月中旬であり、同期間中には全体の 2 割強の企業
が支給を行う予定である (図表 2)。過半数の企業
が 7 月に支給を予定しており、次いで 6 月が 3 割
弱であった。昨年夏とほぼ同じ傾向である。
1
図表2 支給予定日
(年)
3.ボーナス資金の調達方法
― 約 4 分の 3 が自己資金で調達 ―
平成 27 年夏季ボーナス資金の調
図表3 ボーナス資金調達の方法
達方法は、全額自己資金が 78.9%と
全額
銀行借入
4.0%
最も多かった(図表 3)。昨年夏の調査
自己資金と
銀行借入
(5割以上)
3.6%
と比べて 4.0 ポイント上昇した。一
方、全額銀行借入は 4.0%と、昨年
夏の調査と比べて 2.1 ポイント低下
有効回答
303社
自己資金と
銀行借入
(5割未満)
13.5%
した。
全額
自己資金
78.9%
4.一人当たり平均支給予定額
― 平均 43 万 9 千円、前年同期比 2.1%増加 ―
平成 27 年夏季ボーナスの一人当
図表4-1
たり平均支給予定額は、正社員が 43
一人当たり平均支給予定額
(千円)
万 9 千円、非正社員が 11 万 8 千円で
600
あった(図表 4-1)。回答企業の昨年
夏の実績額と比べると、正社員は
500
2.1%増、非正社員は 1.7%減であっ
400
た。
300
一人当たり平均支給予定額につい
2.1%増加
昨年
(実績)
200
て前年同期比増減率の推移をみると、
今年
1.7%減少
439
430
昨年 今年
(実績)
118
120
100
正社員は 25 年冬から 4 期連続のプラ
0
スとなった (図表 4-2)
。企業業績の
正社員
(有効回答292社)
改善を背景に正社員は増額したが、
図表4-2
伸びは 26 年夏季から縮小した。
非正社員
(有効回答132社)
一人当たり平均支給予定額の
前年同期比増減率の推移
(%)
▲
▲
▲
▲
8
6
4
2
0
2
4
6
8
正社員
非正社員
5.5
4.3
3.1
3.3
3.4
0.9
0.0
0.7
2.5
0.8
▲ 0.4
2.1
▲ 2.5
▲ 0.5
▲ 3.4
▲ 2.3
▲ 1.7
▲ 4.1 ▲ 5.1
▲ 4.1
▲ 7.1
▲ 5.9
夏 冬 夏 冬 夏 冬 夏 冬 夏 冬 夏 冬
22
平成
2
23
24
25
26
27
(年)
5.支給予定額の増減状況
― 「減少」企業が増加傾向 ―
平成 27 年夏季ボーナスを支給する企業について、正社員一人当たり平均支給予定額を昨年夏の
実績額と比較すると、
「増加」は 40.4%、
「横ばい」は 29.1%、「減少」は 30.5%であった(図表
5-1)
。
「減少」した割合は昨年夏より増加しており、また、
「増加」した割合は、平成 20 年の調査
開始以降初めて過半数になった昨夏以降、減少している。昨年冬の調査と比較すると「増加」が
5.6 ポイント低下し、
「減少」は 7.5 ポイント上昇した。
増減率の大きさ別に企業数をみると、「前年同期比 1%増~1%減」が最多であり、次いで「前
年同期比 1~10%増」が続いた(図表 5-2)。回答企業の約 3 割はほぼ横ばいであった。
図表5-1
支給予定額の増減状況の推移(正社員)
100%
80%
39.1
60%
30.7
32.0
33.6
25.1
28.8
26.0
44.3
37.6
42.0
冬
23年夏
冬
26.1
20.2
24.9
31.8
35.6
36.7
29.3
28.8
29.4
31.6
32.1
33.9
32.8
36.1
24年夏
冬
25年夏
23.0
31.1
30.5
減少
29.1 横ばい
40%
20%
34.9
0%
平成 22年夏
図表5-2
46.3
50.5
46.0
40.4
冬
26年夏
冬
27年夏
増加
支給総額の増減率について大きさ別に企業数を集計(正社員) (構成比)
(社)
120
40%
29.1%
企業数(左目盛)
100
26.0%
構成比(右目盛)
80
30%
21.2%
60
20%
85
40
20
1.0%
3
0.7%
2
1.7%
5
▲
5
0
以
下
▲
4
0
~
▲
5
0
▲
3
0
~
▲
4
0
2.1%
6
3.8%
11
▲
2
0
~
▲
3
0
▲
1
0
~
▲
2
0
62
76
7.9%
4.5%
23
13
0.0%
0
0.3%
1
1
0
~
2
0
2
0
~
3
0
3
0
~
4
0
4
0
~
5
0
1.7%
5
5
0
以
上
0
10%
0%
有効回答 292 社のうち、支給
予定額が前年同期比で増加、横
ばい、減少となる割合。
減 少
30.5%
▲
1
~
▲
1
0
1
~
▲
1
横ばい
29.1%
3
1
~
1
0
増 加
40.4%
(
増
減
率
%
)
6.業種別にみたボーナス支給の状況
― 建設業の平均支給予定額は前年同期比 16.3%増 ―
ボーナス支給を予定する企業の割合を
業種別にみると、製造業、建設業、卸売業、
小売業が全業種平均を上回った。一方、運
輸・倉庫業、サービス業では 8 割未満であ
った (図表 6-1)。
正社員一人当たりの平均支給予定額を
業種別にみると、建設業は金額としては平
均を下回っているものの、昨年夏と比べ、
16.3%増加した。低下したのは卸売業、小
図表6-1
業種別にみた支給予定の有無
有効回答366社
(正社員)
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
運輸・倉庫業
サービス業
支給割合
%
83.9
86.9
85.1
84.6
85.7
72.0
79.4
売業のみであった。
(図表 6-2)。
正社員一人当たりの平均支給予定額が
図表6-2
業種別にみた一人当たり平均支給
予定額(正社員)
増加した企業数割合で見てみると、建設
業に次いでサービス業は高かった一方、減
少した企業数割合では最も高い(図表 6-3)。
サービス業においては、他業種に比べ 2
極化の傾向が見てとれる。
有効回答292社
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
運輸・倉庫業
サービス業
図表6-3
平均支給額 前年比同期増減率
千円
%
439
2.1
506
1.3
382
16.3
427
▲ 0.5
325
▲ 1.0
185
4.3
398
3.0
業種別にみた支給予定額の増減状況
(正社員)
有効回答292社
0%
50%
全業種
40.4
製造業
37.3
建設業
卸売業
46.2
36.4
小売業
40.6
運輸・倉庫業
41.2
サービス業
100%
29.1
29.7
30.5
33.1
30.8
30.3
23.1
33.3
31.3
28.1
47.1
45.3
18.9
増加
横ばい
11.8
35.8
減少
「増加」は、前年同期比 1%以上増加した企業
「横ばい」は、前年同期比▲1%~+1%の企業
「減少」は、前年同期比 1%以上低下した企業
4
7.従業員規模別にみたボーナス支給の状況
― 「300 人以上」の平均支給予定額は前年同期比 5.4%増 ―
ボーナス支給を予定する企業の割
合を従業員規模別にみると、規模が
大きいほど、支給割合が高い傾向は
これまでと変わらない(図表 7-1)。
正社員一人当たりの平均支給予定
額を従業員規模別の前年同期比増減
率でみると、
「300 人以上」の大企業
での増加が目立ち、その他の「300
図表7-1
従業員規模別にみた支給予定の有無
有効回答366社
(正社員)
全規模
50人未満
50人以上~100人未満
100人以上~300人未満
300人以上
支給割合
%
83.9
75.1
92.2
93.9
100.0
人未満」では、昨年夏から減少して
いる(図表 7-2)
。
図表7-2
従業員規模別にみた一人当たり平均
支給予定額(正社員)
正社員一人当たりの平均支給予定
額の増減状況を従業員規模別にみる
と、
「増加」が全規模平均を上回った
のは、
「50 人未満」
、
「300 人以上」で
あった (図表 7-3)。
平均支給額 前年同期比増減率
千円
%
439
2.1
294
2.6
383
▲ 3.7
378
0.5
576
5.4
有効回答292社
全規模
50人未満
50人以上~100人未満
100人以上~300人未満
300人以上
300人未満
図表7-3
359
▲ 0.4
従業員規模別にみた支給予定額の
増減状況(正社員)
有効回答 292社
0%
20%
全規模
40.4
50人未満
43.2
50~100人
39.1
100~300人
300人以上
31.1
47.6
増加
40%
60%
29.1
29.5
23.2
36.1
80%
100%
30.5
27.3
37.7
32.8
28.6
横ばい
23.8
減少
「増加」は、前年同期比 1%以上増加した企業
「横ばい」は、前年同期比▲1%~+1%の企業
「減少」は、前年同期比 1%以上低下した企業
5
8.アンケートに寄せられたコメント
図表8 今夏ボーナスを支給する企業のコメント(抜粋)
製造業
製造業
製造業
建設業
建設業
小売業
サービス業
(減少するべき状況であるが)大企業や景気動向の上昇評価を受け、中小企業も同様に増えると
いう期待感が従業員の中で高まっているため、現状維持をせざるを得ない状況である。中小企業
に配慮した公表を心掛けて頂きたい。
国や大企業の賃金引上げムードで、多少なりと従業員へ上乗せしなくてはならない。また、求人
倍率の上昇から、福利厚生・賃金面を手厚くしておかないと、人材の確保も難しい。
円安に対し十分対応が出来ておらず、夏季は苦戦が見込まれる。
建設業界景気が悪化傾向にある。
建設業の景気は上向きだが、発注量は少なく、入札での受注率も低下しているため、人、設備に
投資しにくい。
業績的に減額支給でさえ難しい。社員の志気を上げるための支給を検討中。
政府の意向に沿って少しでもアップしたい。
図表9 今夏ボーナスを支給しない企業のコメント(抜粋)
製造業
製造業
製造業
建設業
卸売業
小売業
運輸・倉庫業
運輸・倉庫業
サービス業
自動車生産の落ち込みが大きく、さらに売上は減少しているものの、消費税は増加しており、経
営に響いている。
元請け会社の減産で資金に余裕なし。会社組織も変更し営業活動にも力を入れて取引先を増や
す様取り組んでいる。
業績は、良くなってきたが、借入も多く、ボーナスを出せる水準までにはならない。
従業員には、苦労を掛けているためボーナスを支給するよう努力はしているが、会社の利益は上
がらず、このままでは支給できない。少しでも上向きになれば考えても良いが。
売上を伸ばせば、経費が必要以上にかかる状況。
日帰りバスツアーなど、団体客の大幅減少により、売上減少が昨年より続いている。
中小企業は、まだまだ支給に至らない。公務員の様には、なかなか支給できない。
10年以上ボーナスを支給した事がない(支給してあげられない)。
利益が出ない。
9.まとめ
今回の調査結果では、正社員への支給額の前年同期比増加率や、
「増加」した企業の割合が、平
成 20 年の調査開始以降 3 番目の水準となるなど、大手製造業を中心にボーナス支給の環境は回復
していると思われる。しかし、賃上げムードに反して、支給額が前年同期比で「減少」する企業
割合が増加していたり、サービス業において 2 極化が見られるなど、県内企業全体に浸透してい
るとは言い難い。
また、アンケートに寄せられたコメントからは、昨年冬に引き続き、円安による原材料高や消
費税の増税による影響で、経営環境が厳しく、支給額を減らしたり、支給を行えなかったりする
企業の実態が浮かび上がっている。
調査期間
調査対象
調査方法
平成27年5月12日~6月5日 岡山県下の民営事業所(従業員数20名以上) 郵送によるアンケート方式 調査対象事業所数
2,000
回答事業所数
366
回答状況 有効回答事業所数
366
有効回答率
18.3%
6