--------------------------------------------------------------------------[成果情報名]肥育成績向上が期待できる黒毛和種高能力肥育素牛生産技術 [ 要 約 ]強 化 哺 育 後 に 粗 飼 料 多 給 で 育 成 し た 黒 毛 和 種 肥 育 素 牛 は 、肥 育 期 に お け る 飼 料摂取量および増体が増加し、枝肉重量、4等級割合、ロース芯面積が良好となる。 [キーワード]強化哺育、粗飼料多給型育成、黒毛和種、肥育成績 [担当部署]畜産部・家畜繁殖チーム [ 連 絡 先 ] 092-925-5232 [対象項目]牛 [専門項目]肥育 [成果分類]技術改良 --------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] 黒毛和種繁殖牛飼養頭数および酪農経営における和牛ET増加により、県内における 黒毛和種子牛の生産頭数が増加している。県産和牛子牛資源を県内肥育農家で有効活用 するためには、肥育成績が優れる肥育素牛の生産技術を確立・普及する必要がある。 そこで、高蛋白低脂肪代用乳を多量給与する「強化哺育」実施後に粗飼料多給型育成 を行うことにより、肥育時の増体および出荷時の枝肉成績が良好な高能力肥育素牛生産 技術を確立する。 (要望機関名:福岡農林事務所(H21)) [成果の内容・特徴] 1.代用乳多給により強化哺育子牛のTDN(可消化養分総量)、CP(粗蛋白)摂取量 が増加し、哺育終了時において通常哺育に比べて大きな体重・体格の子牛が生産でき る(表1)。 2.強化哺育後に粗飼料多給(最大 60%)で育成すると、TDN、CP摂取量が少なく なるために通常育成に比べ増体量がやや低下するが、育成終了時点においては通常哺 育・育成と体重・体格が同等の肥育素牛が生産できる(表1)。 3.強化哺育・粗飼料多給育成した肥育素牛(高能力素牛)は、通常哺育・育成した肥 育素牛(通常素牛)に比べて肥育期における飼料摂取量および増体量が増加し、29 ヵ 月齢出荷時体重は通常素牛より重くなる(図2)。 4.高能力素牛の枝肉成績は、通常素牛に比べてロース芯面積が大きく、枝肉重量、肉 質等級、脂肪交雑(BMS)が良好である(表2)。 [成果の活用面・留意点] 1.県産和牛子牛哺育・育成農家における素牛生産技術の参考資料として活用する。 - 17 - [具体的データ] 哺育期(0~12 哺育期(0~ 12 週齢) 0週齢 代用乳 増 給 哺育 開始 0.5→ 1.2kg/日 ( 通 常 0.5kg/日 ) 育成期(13 育成期( 13~ 13 ~ 39 週齢) 4~8 週齢 代用乳 1.2kg 1.2 kg/ kg / 日給与 代用乳 減 給 ( 通 常 0.5kg 0.5 kg/ kg / 日 ) 人工乳 増 給 図1 12 週齢 離 乳 人工乳最大 2.5kg給与 2.5 kg給与 26~39 週齢 粗飼料割合 60%給与 60 %給与 粗飼料増給 (通 常 40%) 40 %) 25 → 45% ( 通 常 25% → 35% ) 高能力素牛の哺育・育成方法 注)代用乳(高能力)はTDN108%、CP28%、EE(粗脂肪)18%の高蛋白・低脂肪代用乳を給与 表1 ステージ 育成期 体 重 (kg) 飼料摂取量(kg/日) 区分 哺育期 哺育・育成期における飼料摂取量、体重および日増体量 DM(乾物) 高能力 1.50 通 1.16 常 ** TDN 1.46 0.38 1.11 高能力 4.86 3.38 通 4.97 3.63 常 CP ** 開始時 ** 0.26 * 0.73 ** (kg/日 ) 終了時 ** 0.94 ** 37 116 36 94 0.70 292 0.95 284 1.04 116 0.83 日増体量 ** 94 注)t検定により**は 1 % 水 準 で 、*は 5 % 水 準 で 有 意 差 あ り 。 出 荷 (肥育前期) 図2 (肥育中期) (肥育後期) 肥育期の体重および乾物摂取日量の推移 注 ) 肥 育期 の 給与 飼 料は 両 区と も 同 様。 表2 試験 出荷 枝肉 区分 月齢 重量 枝肉成績 肉質等級 BMS ロース芯面積 ばら厚 皮下脂肪厚 4 等 級 割合 3 等 級 割合 No. (c ㎡) (cm) (cm) 高能力 28.9 520kg 80.0% 20.0% 5.6 63.0 * 8.1 3.3 通 29.1 495kg 33.3% 66.7% 4.5 54.3 7.8 3.6 常 注)*:t検定により5%水準で有意差あり。 [その他] 研究課題名:強化哺育・粗飼料多給型育成による高能力肥育素牛生産技術 予 算 区 分: 経 常 研 究 期 間: 平 成 25年 度 ( 平 成 22~ 25年 ) 研究担当者:小野晴美、林 武司、家守紹光、磯崎良寛、森 美幸 - 18 -
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