第4回フラクトグラフィ講習会 11.質疑応答 質問文は四角で囲んで示しております。 1.基礎と展開 脆性破面のシェブロンパターンと放 射状破面のちがい、見分け方 •シェブロンパターンはV字型がいく つも重なっており、放射状模様は、 一点から広がっているものです。 1.基礎と展開 へき開破面と擬へき開破面のちが い、見分け方 へき開破面は、へき開ファセットと呼ばれる、 特定の結晶面で構成されているものです。 擬へき開破面は、リバーが不明確、 結晶 構造と破壊経路の関係が不明確、ファセッ トがへき開面かどうか、不明確な場合です。 原則、へき開はリバーが閉じる向き、擬へき 開はリバーが開く向きに亀裂が進展します。 1.基礎と展開 ミラーとフィッシュアイのちがい、見 分け方 「ミラー」は脆性破壊の破面で主 に用いるものです。 「フィッシュアイ」は疲労破壊の破 面で主に用いるものです。 2.破面観察とその手法 放射状模様のところは、延性破壊な のか?脆性破壊なのか? •放射状模様は、延性破壊、脆性破 壊のどちらの場合にも、現れます。 放射状模様は、き裂の進展に伴う段 差が放射状に残されている模様で、 破壊の際の塑性変形の量(多い場 合が延性破壊、少ない場合が脆性 破壊)とは無関係です。 2.破面観察とその手法 マクロ的な繊維状破面の部分は、ミクロ 的に見るとディンプルが見られると考え て良いのでしょうか? その他に繊維状破面位置に観察される ミクロ破面形態はありますでしょうか? •繊維状破面はミクロにはディンプル と考えて良いと思います。 2.破面観察とその手法 さび取りについての質問です。 破面を長期間外で放置してしまったた めに、赤さびが付着したもののさび取り にも15~20%硝酸水溶液は有効で しょうか。 •どのようなさび取り液が有効かは、 材料やさびの状況によります。基本 は なるべくマイルドなものを短時間 は、なるべくマイルドなものを短時間 施す 施すことから、長時間へ、ハードなも 、長時間 、 なも のへ、色々と試すことです。 2.破面観察とその手法 洗浄法 市販のさび取り剤で良いものはありま すか?関西ペイントの「サビクリーン」が あ たのですが 製造中止となりました あったのですが、製造中止となりました ( サ クリ ン」はリン酸系です)。 (「サビクリーン」はリン酸系です)。 市販のさび取り剤で良いもの 大阪佐々木化学株式会社で販売 しているシュンマが便利です。 参考URL 参考 http://www4 ocn ne jp/~ssk http://www4.ocn.ne.jp/ ssk‐ c/250BC.html シュンマの除錆例 2.破面観察とその手法 さび取りについての質問です。 実機において、排気管が破断した際、 破面にススが付着していたのですが、 その除去法として有効なものはありませ んでしょうか。 •薄い酸洗いの後、ブランクレプリ カを何度も施しては観察する、を 繰り返してはいかがでし うか 繰り返してはいかがでしょうか。 2.破面観察とその手法 赤さびと黒さびで破壊時期の前後を 推定 きる 推定できるでしょうか。黒さびが赤さ ょう 。黒さび 赤さ びに変わると聞いたことがあります。 一般的に常温の場合は破断により できた新生面には赤さびが付着し ます。黒さびは赤さびが時間経過と 黒 赤 共に形成されるものですので、赤さ びと黒さびから破壊時期の前後は 推定できます。高温機器の場合は、 黒さびも発生する可能性があるの で、注意が必要です。 さびは鉄の腐食によってできる腐食生成物であり、赤さび(水 和酸化物F OOHあるいはF 2O3・nH 和酸化物FeOOHあるいはFe H2O)を指します。この赤さび O)を指します この赤さび の内部では、時間の経過と共に酸素が消費されて次第に酸素 不足になります その結果 赤さびが還元されて内層に黒さび 不足になります。その結果、赤さびが還元されて内層に黒さび (マグネタイトFe3O4)を生成します。 腐食反応により溶出したFe2+イオンと、溶存酸素の還元反応 により生成したOH−イオンは結合して水酸化第一鉄Fe(OH)2を 生成する。 F +1/2O2+H2O→Fe Fe+1/2O O F 2++2OH−→Fe(OH) F (OH)2 (1) この段階では不安定であり、直ちに酸化されて水酸化第二鉄 Fe(OH)3の沈殿を生成し、初めて赤色を呈する。 の沈殿を生成し 初めて赤色を呈する。 Fe(OH)2+1/4O2+1/2H2O→Fe(OH)3 (2) 引き続き、この化合物は水を失い、一部は結晶化して水和酸化 物FeOOHあるいはヘマタイトFe2O3・nH2O(赤さび)となる。酸素 が不足しているとFe2O3までの酸化が進まず、マグネタイト F 3O4(黒さび)となる。 Fe (黒さび)となる 2.破面観察とその手法 X線回折法を用いて破面の残留応 力を測定する手法について。 破断前に作用していたと考えられる 溶接や鍛造による残留応力は破断 によって その多くが解放されてしま によって、その多くが解放されてしま うと考えられますが この手法により うと考えられますが、この手法により 得られる残留応力の情報で、どのよ うな知見や評価を行えるのか、お教 えいただきたく存じます。 えいただきたく存じます 2.破面観察とその手法 坪内千明、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」3.2.5節より 2.破面観察とその手法 p.85 図3.100、3.101 き裂先端に生じる塑性域と周囲の弾 性域の拘束により生じる残留応力を 測定します 塑性域深さから 荷重の 測定します。塑性域深さから、荷重の 大きさが推定出来ます。 坪内千明、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」36節より 3.接合部の破壊 •溶金部でのき裂について、疲労破壊で ある場合、破面の特徴は何かあります でしょうか? ・圧力容器鋼では母材と同様に疲労によるストラ イエーションが溶接金属部においても観察されて います。SM490鋼,HT780鋼などでは母材および 熱影響部(HAZ)でストライエーションが見られても 溶接金属では擬へき開破面が観察されます。 いずれも溶接金属では非金属介在物や微細な ブローホールが破面上に多く見られます。 (続く) 3.接合部の破壊 (続き)溶接構造物では通常溶金部は母材よ り強度が高い組成の溶金を用いることが多く、 き裂の多くは、溶接余盛止端部や溶接残留 応力が高い熱影響(HAZ)部からき裂が発生 します。溶金部からき裂が発生する場合は、 ボイドなどの溶接欠陥からき裂が発生します。 破面の特徴は特に無いですが、マクロ的に 見て、デンドライト組織による横縞や縦縞が 見られることもあります。 3.接合部の破壊 •溶金部の破面を観察しても、ストライエー ションのような特徴的な模様はほとんど観察 されないので判断に困ることが良くあります。 何か決定的な特徴が観察される具体例はあ りますでしょうか? または、溶金部の割れは、遅れ破壊と見る べきでしょうか? 3.接合部の破壊 ・溶接金属で観察される疑へき開破面は遅れ 破壊による水素擬へき開破面(QCHE)とよく似て います。 本質的に違うところは水素擬へき開破壊の場 合、図4.185ようにマルテンサイトラス境界への 水素侵入による二次割れが多く見られます。 疲労破壊の場合には二次割れではなくティア リッジとなる擬へき開破面が多く、これにより遅 れ破壊との区別ができると思います。 •溶金部の割れは、遅れ破壊とはかぎりません。 応力腐食割れ:応力腐食割れは特定 の環境と材料の組み合わせで起こる 現象であり、いずれもピットなどの局 部腐食が割れの起点になるものの、 荷重の繰り返し効果がない点では腐 食疲労とは基本的に異なります。また、 フェライト系に比べてオーステナイト系 ステンレス鋼では Cl‐イオンを含む環 ステンレス鋼では、Cl 境で活性経路型の応力腐食割れが 起き易く、これにはNiの含有量が大き く関係しています。 く関係しています 4.環境破壊、7.腐食疲労 腐食疲労:鋼、マルテンサイト系SUS,オ 腐食疲労:鋼 マルテンサイト系SUS オース ス テナイト系SUS、いずれも疲労速度が上がる。 応力腐食割れ:特定の環境と材料の組み合 わせ(特にオ ステナイト系SUS)のみにて起 わせ(特にオーステナイト系SUS)のみにて起 こる。 上記 ような違 は発生機構に違 がある 上記のような違いは発生機構に違いがある ため じるのでしょう ため生じるのでしょうか? また、オーステナイト系SUS に比べてフェライ ト系SUSがSCCを生じにくい理由等 お教え下 ト系SUSがSCCを生じにくい理由等、お教え下 さい。 4.環境破壊、7.腐食疲労 応力腐食割れと腐食疲労の違いについ て教えていただきたく存じます。負荷応 力の高低や繰り返しの有無など応力に 違いがあるものの発生機構は水素脆化 型SCCと腐食疲労で類似しているように 感じました。 •ご指摘のとおり、共通の機構が関与しますが、 ご指摘 構が が 用語の意味としては、荷重の繰り返しを伴う 場合に「腐食疲労」、繰り返しの無い荷重で生 じるものを 応力腐食割れ」と言います。 じるものを「応力腐食割れ」と言います。 4.環境破壊 低面指数、高面指数の「低」と「高」 低面指数 高面指数の「低」と「高」 の意味を教えて下さい。1や0で表 わされる場合を「低」というのでしょう か? •ミラー指数を用いて立方晶の面方 ミラ 指数を用いて立方晶の面方 位を表わす場合、例えば低面指数 から高面指数へ順番に並べると {100}、{110}、{111}、{112}のようにな のようにな り 便宜上 括弧内の数字の和の大 り、便宜上、括弧内の数字の和の大 小で比較します。 ヘアライン(縞状模様破面)striation‐ アライン(縞状模様破面) like hydrogen embrittlement (HSHE) 水素を予添加 た試料を引張破断さ 水素を予添加した試料を引張破断さ せた場合は低温脆性と同じ破面(粒 界割れ)が観察されますが、水素を添 加しながら静荷重をかけて破断させる、 いわゆる遅れ破壊では多数の湾曲し たステップが現れます。 現 す。 4.環境破壊 鉄鋼材料の水素脆化破面で、ロック 鉄鋼材料の水素脆化破面で ロック キャンディ状になったり、ヘアライン が生じるメカニズムについて知りた いです。 いです •ロックキャンディ(粒界割れ) ロックキャンディ(粒界割れ) 水素脆化による粒界割れは高強度鋼でしばし は観察されます。高強度鋼は炭化物などを粒 界にたくさん析出することにより、粒界強度が 高められますが、それらの粒界炭化物などが 水素トラ プサイトとして働くため 水素脆化に 水素トラップサイトとして働くため、水素脆化に よる粒界割れが生じ易くなると考えられます。 4.環境破壊 酸洗以外で水素は材料中に容易に 入るのでしょうか。 •水素ガス、水など、色々な環境 水素 、水な 、色 な環境 から水素原子が材料中に入りま す。濃度や滞留時間などに注意 濃度 滞 時 ど 意 する必要があります。 する必要があります 4.環境破壊 破面観察で水素が関与している場 合の判断のやり方。 •破面のみでは判断は困難です。 •環境などの状況証拠を合わせ て判断することになります。 5.腐食疲労 •き裂発生のメカニズムについて酸素の すべりこみをあげられていたが、それだ と真空における疲労が説明できないの では。 •疲労き裂はいかなる環境下でも発生します。 真空中においても材料内部のすべり運動に伴 う転位運動の結果、空孔が生じることにより発 生するというメカニズムで十分説明できます。真 空中に比較し、大気環境中においては疲労き 裂の発生が早まるだけなのです。 5.腐食疲労 •腐食ピットの発生・成長が疲労寿命を 支配すると説明されていたが、「発生し えない深さのき裂(腐食ピット)が発生す ることでΔKの値が大きくなり、ΔKthを超 えたため進展した。」という理解で良い のか。 •力学的にはご指摘の理解で結構ですが、 腐食ピット底での腐食性環境の濃縮も考慮 に入れることが重要です。 7.腐食疲労 延性ストライ 延性ストライエーションと脆性ストライ ションと脆性ストライ エーションを、どのように見分ければ良 いか? か •どちらも、荷重繰り返し一回あたり、一 どちらも 荷重繰 返 あた 本の縞模様が出来ます。 •脆性ストライエーションは破面がへき開 面です。 面です ッチング観察する 、延性 ライ •マッチング観察すると、延性ストライ エーションは凸と凸が対応するが、脆性 ストライエ ションでは対応しない場合 ストライエーションでは対応しない場合 があります。 7.腐食疲労(参考資料) テキストp.190, 図4.155 江原隆一郎、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」4.5節より 7.腐食疲労 脆性ストラ イエーショ ン 図4.156 江原隆一郎、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」4.5節より 延性ストライエ ションの機構 延性ストライエーションの機構 森要「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 5.接合部の破壊 図4 191 粒界破面率の定義は? 図4.191 •破面の或る面 積中の粒界破壊 破面の割合です。 破面の割合です 6.新素材の破壊Ⅰ •スンプ法を用いた破面観察の時、蒸着 装置で金を蒸着しています。その際、加 速電圧を20kVと高い電圧にしています が、講習にありました非導電性材料と同 じく、加速電圧は低い方が良いでしょう か。 •レプリカに用いる材料によります。レプリカ の取扱説明書などにSEM観察に適した電圧 が書いてあることがあります。書いてない場 合はきれいに見える条件を探す必要があり ます。 7.環境破壊 •Tiに塩化物イオンが付着する環境でも 応力腐食割れは生じるのでしょうか? (メタノールの介在なし) •Tiはステンレス鋼等と比較すると、この環 境での応力腐食割れは生じにくいです。 7.環境破壊 •P.109のSCC破壊過程模式図で、「巨視 的き裂分岐」とありますが、SCCの粒界 破面では2次き裂が発生しやすいという 認識で間違いないでしょうか。 •この認識で結構です。 8.疲労 •図4.81 ディンプルとストライエーショ ンの混合破面は、Al以外でも見られる のでしょうか? •静的破壊でディンプル破壊する延性金属 材料であればAl以外でも観察できますが、 文献での観察例は多く有りません。 8.疲労 •“ストライエーション状模様”という言葉 に特定の定義がありますでしょうか?言 葉の感じからすると、ストライエーション に似た模様という意味で、単に破面の 様子を表すために“ストライエーション状 模様”と表現している様に思うのですが、 フラクトグラフィの世界で、何か定義付 けされているのであれば、安易にその 表現を使えないのではないかと考えて います。(次ページに続く) 8.疲労 •(続)テキスト本p.8を見ると、表には環 境割れの用語になっています。また、す べり線が現れた縞模様1/10の6乗mm/ ピッチ以下のレベルで見られるもの)の ことをストライエーション状模様と聞いた こともあります。その様な限定的な意味 を定義されている用語なのでしょうか? 8.疲労 •図4.79の機構で形成された縞模様をストライ エーション、それ以外の機構で出来た縞模様を ストライエーション状模様と呼んでいます。 •「ストライエーション状模様」の表現は学会など で明確に定義しておりませんが、ご指摘の通り、 安易にその表現を使えないと考えます。 •ストライエーションに関する解説は以下を参考 にしてください。 •小林英男、「ストライエーション(その1)、圧力 技術、第12巻第5号(1974)、 p.247-254 •小林英男、「ストライエーション(その2)、圧力 技術、第12巻第6号(1974)、 p.308-316 •小林英男、「ストライエーション(その3)、圧力 技術、第13巻第1号(1975)、 p.27-31 6.疲労 モードⅡとⅢの疲労き裂の破面も、 モ ドⅡとⅢの疲労き裂の破面も モ ドⅠと同様にき裂の進展方向に モードⅠと同様にき裂の進展方向に 対して垂直方向の縞模様であるスト ライエーションが観察されるのでしょ うか? •モードⅡ疲労負荷でき裂がモードⅡ進展 する場合 同様にモ ドⅢ疲労負荷でき裂 する場合、同様にモードⅢ疲労負荷でき裂 がモードⅢ進展する場合に、厳密な意味で 進展する場合 、厳密な意味 の疲労ストライエーションは観察されてい ません。モ ドⅡやモ ドⅢ疲労負荷で、 ません。モードⅡやモードⅢ疲労負荷で、 き裂が主応力(σ1)方向に進展する場合は モ ドⅠと同様の疲労ストライエ ションが モードⅠと同様の疲労ストライエーションが 観察されますが、破面の干渉が避けられ ませんので 一般的に観察は困難です。 ませんので、 般的に観察は困難です。 なお、参考に挙げられている図4.91 (b)は疲労ストライエ ションではありま (b)は疲労ストライエーションではありま せん。鉄のペンシルグライドの形態です。 6.疲労(参考) き裂のモード 森要「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 6.疲労 図4 91 図4.91 森要、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 6.疲労 ストライエーションのみを観察して、 ストライエ ションのみを観察して Ⅰ Ⅲのどのモ ドの繰り返し荷重 Ⅰ~Ⅲのどのモードの繰り返し荷重 がかかっていたのか、推定すること は可能でしょうか? 疲労き裂がモードⅡ、モードⅢ進展する場合に、疲 労ストライエ ションが形成されることは確認され 労ストライエーションが形成されることは確認され ていませんので、質問そのものが意味がありませ ん しかしながら 明瞭なストライエ ションが観察 ん。しかしながら、明瞭なストライエーションが観察 されていればモードⅠの疲労き裂進展(開口型)機 構が働いていると断定して良いでしょう。 が 6.疲労 モードⅠのストライエーション 図4.90 森要、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 6.疲労 単位のMPa√mの意味を教えて下さ 単位のMP √ の意味を教えて下さ い。(da/dNのグラフ中) •き裂先端の応力場を表わす際に、応力拡大 表 係数Kが次式のように用いられます。この式 から 応力拡大係数の次元は応力の次元に から、応力拡大係数の次元は応力の次元に 長さの平方根を乗じたものになります。 σy = 1 2π K x O x 6.疲労 図4.90 図4 90 写真jのストライエーション 写真jのストライエ ション 間隔は、どこを計ったか? •複数本のストラ 複数本のストラ イエーションを 含む間隔を測 定し 含まれる 定し、含まれる ストライエーショ ンの数で割りま す。 図4.79の「一つのストライエーショ ン」の間の小さいギザギザはすべり さ ギザギザ す でしょうか? •ご推察のとおり ご推察のとおり、 すべりです。 (b)で示される とおり 開 した とおり、開口した き裂先端が除 荷時にすべりま 荷時にす りま 6.疲労 す。 森要「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 経験・業務 き裂発生からどのくらいの期間で壊 れたかの寿命推定、どれくらいの応 力で壊れたかの応力推定に関して 詳しく学びたいので、良いセミナー や書籍の紹介があれば助かります。 •「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」 丸善、“5.1.4 破壊力学による定量解 析”に、破面観察からストライエーション間 隔とき裂長さを測定し、その他の材料特性 と合わせて、寿命推定、応力推定をする方 法が記述されています。 •き裂進展の計算の参考書としては以下が あります。 応力拡大係数ハンドブック(材料学会) 構造健全性評価ハンドブック(共立出版) 経験・業務 CFRPなどの繊維強化プラスチックの 破壊に関するマクロ観察、ミクロ (SEM)観察のフラクトグラフィはある でしょうか? • テキスト 249ページから260を参考にして ください。 • 「最新 フラクトグラフィ -各種材料の破 面解析とその事例(テクノシステム)」が詳 しいです。 経験・業務 インコネル713Cタービンホイール(ター ボ)の翼が疲労破壊することがあります。 その中で、起点位置に切り立った鏡面 状の破面が、いくつも連なっていること があります。場合によってはマクロ的に も見える範囲で現れます。これはテキス トp.137の図4.65にある第一段階のす べり面き裂と考えて良いのでしょうか? (次に続く) 経験・業務 (続)尚、最終破断までのき裂進展 部には第二段階のストライエーショ ンが観察されます。 材料の組織はデンドライト、使用温 度は800~900℃と思われます。 経験・業務 起点位置に切り立った鏡面状の破面は母材の 結晶粒サイズと同等の大きさでしょうか?同等 の大きさであれば、第1段階のすべり面と考え て良いと思います。 インコネル713Cは鍛造材でしょうか?インコネ ル718では、鍛造材は、上と同じような結晶粒サ イズと同等の鏡面状の破面が起点となる場合 もありますが、応力比が高くなると、Cr炭化物が 起点となります。熱処理温度にもよりますが、鋳 造材より鍛造材の方が、Cr炭化物が圧延方向 に列になって現れ、研磨面でも頻繁に見られる ほぼ多くなります。 経験・業務 弊社は製造業で、加工工程に、溶接→ 熱処理という工程があります。8%Cr鋼 とS15Cの溶接や、 6%Cr鋼とS15Cの溶 接を行っており、ちょうど昨日説明に あった“溶接後熱処理割れ”に近い物が 発生しています。き裂はビードの端から 発生し、HAZに沿って進展しているよう に見えます。(次ページに続く) 経験・業務 (続)昨日の説明では、Cr鋼では溶接 後熱処理割れは比較的起き難いと されていましたが、8%では逆にCr が多すぎるということなのでしょうか。 また、その対策があればご教授願 います。 溶接後熱処理割れは感受性式 PSR = (Cr) + (Cu) + 2(Mo) + 10(V) + 7(Nb) + 5(Ti) - 2% で評価されます。この式がプラスにな ると割れやすくなり、CrだけでなくMo, やVなどの元素とも関係しています。 そして粗大な結晶粒と溶接止端部の 応力集中とも関係しています。(次 ページに続く) (続)したがって8%のCr鋼は後熱処 理割れが非常に起こりやすい材料で す。 熱影響部の粗大結晶粒を防ぐため溶 接入熱の低い溶接法、溶接条件 で溶接し、溶接ビードの止端部を滑ら かに仕上げるよう溶接すれば割れ は防げると思います。 経験・業務 業務上電子部品の破壊原因解析を行う ことが多いのですが、鋼材の破面解析 事例をもとに解析を行っていますが、正 しいのかどうかの評価に困ることがあり ます。 はんだ接合部やリード線の切れなどの 教材や勉強会があれば紹介して頂きた いです。 経験・業務 はんだ接合部やリード線の切れなどの教材 の一例を紹介します。 1. Metals Handbook Ninth Edition Volume 12 Fractography, pp.481-488 (1987), ASM International. 2. 吉田弘之[著],上野「電子機器設計者 が知りたい 電子部品の故障原因とそ の対策」,日刊工業新聞社(2001年) 3. 社団法人日本溶接協会マイクロソルダ リング教育委員会[編],「マイクロソ ルダリング技術 第三版」,日刊工業新聞 社(2011年) 4. 菅沼克昭[著],「始めての はんだ付け 技術」,工業調査会(2002年) 5. 信頼性技術研究会[編著],失敗事例に 学ぶ! 電子技術者のための 故障解 析と対策ノウハウ」,日刊工業新聞社( 2003年) 5. 長谷川正行[著],「マイクロソルダリング 不良解析Q&A」,日刊工業新聞 社(1998年) 6. 長谷川正行[著],「カラー写真で見る マ イクロソルダリング不良解析」, 日刊工業新聞社(2008年) 7. 川口寅之輔[訳],「エレクトロニクス・ハ ンダ接合部の顕微鏡写真集 ハ ンダ付け部とその欠陥顕微鏡写真$(付録) 検鏡用資料作成法」,日本アルミット 株式会社(1992年) 経験・業務 業務において、破断面解析を担当する 業務において 破断面解析を担当する ことになりましたが、よく上司より疲労破 壊であったのかどうか確認されます。疲 労破壊の場合は必ずストライエーション が現れるのでしょうか?また その他の が現れるのでしょうか?また、その他の 破面の表れで疲労破壊と言える場合は ありますか?実際に観察ではストライ エ シ ンが見えないこともあります 主 エーションが見えないこともあります。主 に観察する材料はTi 6Al 4Vです。 に観察する材料はTi‐6Al‐4Vです。 Ti 6Al 4V合金の疲労破面 Ti‐6Al‐4V合金の疲労破面 • 疲労破面の場 合に必ずストラ イエーションが 観察されるわけ ではありません。 静的破壊の破 面の特徴がなく、 面の特徴がなく 繰り返し荷重が かかっているこ とが既知であれ ば、疲労が疑 われます。 われます 片桐一宗、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」44節より 経験・業務 バネ鋼SUP9Aが折損した。バネの内 バネ鋼SUP9Aが折損した バネの内 側から中心付近まで鋭利なき裂が 入り、中心付近から疲労の破面が 観察された。バネは巻き端部からフ レ ティング疲労で折損することが レッティング疲労で折損することが 多かったが 内側から中心付近まで 多かったが、内側から中心付近まで 入ったき裂の原因を調べる為にはど こに着目すればよいか知りたい。 表面処理がされているので、難しいと思い ますが、まずは起点部を観察されることで が ず す。起点部は表面の場合と内部の場合が ありますが、内部であればフィッシュアイ 上の模様が観察されることがありますの で、成分分析などを行うと介在物の成分 がわかります。表面起点の場合は、表面 処理で硬いため難しいかもしれませんが、 処理で硬いため難しいかもしれませんが ラチェットマークなどを探すことになるで しょう。しかし、硬いことから残りにくいので、 判断は難しいかもしれません。 判断は難しいかもしれません バネの破損例と破面 き裂の起点 き裂 起点 欠陥の有無 バネの破損例と破面 経験・業務 方位性ピットの具体的な利用方法を教 えて下さい。破面上に認められた方位 性ピットによってどのような情報が得ら れるでしょうか?例えば添付の方位性 ピットで言うと、{100}型の方位性ピット 言 、{ } が生じており、<110>か<100>方 向にき裂が伝播したことがわかるので しょうか?また、他に得られる情報はあ るでしょうか? 経験・業務 •ピットの形から結 晶面を、頂点を結 ぶ方向から結晶 方向を知ることが 出来ます。 内田仁、村田雅人、「フラクトグラフィ 破面と破壊情報解析」4.3節より 経験・業務 疲労破壊の破面で、過大な荷重を 疲労破壊の破面で 過大な荷重を 受 受けてクラックが発生し、疲労進展 発 、疲労 展 した場合と、最初から疲労進展した 場合 場合で、明確な違いはあるでしょう 確な違 ある う か(炭素鋼 アルミ合金) か(炭素鋼、アルミ合金)。 •過大な荷重を受けてクラックが発生した 場合には、延性き裂進展した後にストラ イエーションが見える可能性があります。 が 能性があ •最初から疲労の場合には、無特徴部か •最初から疲労の場合には 無特徴部か らストライエーション形成へ移ります。 経験・業務 起点付近の段差模様とラチェット マークの見分け方を教えて下さい。 • 起点付近の段差模様というのがよくわかりま せんが 推測すると電子顕微鏡で観察できる せんが、推測すると電子顕微鏡で観察できる 段差の模様ということでしょうか。起点部は結 晶組織などのミクロ構造に依存した特徴があ らわれます。それに起因した段差ということで しょうか。 しょうか • 一方で、ラチェットマークも段差に起因した 模様です したがいまして 見分けるというよ 模様です。したがいまして、見分けるというよ りは、用語の問題のように考えられまして、ラ チェットマークというのは肉眼からルーペの倍 ト クと う は肉眼から ペ 倍 率程度で見える起点部の段差模様ということ になります。ご指摘の段差模様は、電子顕微 な ます ご指摘 段差模様 電 微 鏡レベル(ルーペより高倍率)で観察される段 差 模様 お話 かと推測 た ます 差の模様のお話しかと推測いたします。 経験・業務 破面の洗浄で、10%H2SO4+ネオ 破面の洗浄で 10%H2SO4+ネオ スチレンで洗浄すると破面にヨウ素 す の化合物ができ観察出来なくなった。 どう どうしてヨウ素の化合物が付着した ウ素 合物が付着 た のか知りたい。 のか知りたい 破断した材料が不明ですが、こちらにヨウ素が無け 破断した材料が不明ですが こちらにヨウ素が無け れば、H2SO4とネオスチレンにはヨウ素が無いわけ ですから ヨウ素化合物ができる条件ではありませ ですから、ヨウ素化合物ができる条件ではありませ ん。化合物が本当にヨウ素化合物なのかという点ま でさかのぼり、ヨウ素化合物と同定したプロセスを見 直すことをお勧めいたします。
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