コンペティション 多角的に取り組む効果 ~データから見るコンクール活用術~ ● 1 連弾に取り組む ~ソロにも活かせる効果 デュオ部門 初参加者数の推移 2015年度は連弾プレ初級の新設や、各級の年齢制限の見直しが行われました。 再編され たデュオ部門連弾の各種データに注目してみます。 2015年度に連弾に初めて参加した人は2,000名を突破。主に連弾プレ初級の新設にとも なう低年齢層の初参加が大きく伸びました。 デュオ部門 学年別参加者数の比較 デュオ部門 ソロ部門との併願状況 連弾プレ初級の新設により未就学 A2級と連弾プレ初 児が、連弾初級の年齢制限の変更 級、A1級と連弾初級 により小1~2の参加が大きく増 の併願など、主に低年 えました。未就学と小1の参加は 齢層が連弾にも挑戦し 前年の約2倍、小2は約1.6倍、小 やすくなりました。 5、小6は約1.4倍となりました。 ●指導者インタビュー さんのソロで進出することができました。 大友惠美子先生 (高知県・指導会員) 浅野興志郎君と小梅さんの兄妹はコンペ初参加。妹の小梅さんは人前に 立つことが苦手でしたが「興志郎君と一緒なら」と連弾で参加してみる ことに。コンペに参加してからは、ステージ経験で自信がついたのか、 連弾プレ初級新設をきっかけに、初めてデュオ部門に 2 組の生徒が参加 「来年はソロでもコンペに参加したい」と自ら一歩踏み出せるようにな しました。藤川優花さんと坂口凜瑠さんは A1 級との併願。「ここはど りました。興志郎君は、初参加ですがソロとデュオを両方仕上げるのは ういう場面だと思う?」「今間違えちゃった、ごめんね」と近い目線で 難しいかとも思いましたが「俺が頑張らんと小梅も頑張らんき!」と今ま 会話しながら曲を作れるのは、同い年のお友達同士ならではだと思いま でにも増して練習に励み、A1 級と連弾プレ初級の両方で本選進出を果 す。デュオの曲作りはもちろんのこと、ソロでも互いの存在を励みに練 たしました。今回初めて教室からデュオ部門に 4人が参加したことで、 習し、昨年は二人とも進出できなかった地区本選に、今年は連弾と坂口 ほかの生徒たちも連弾に憧れはじめています。 2 ステップでリハーサルする ~本番を数多く踏む効果 ● ステップ・提携コンクールのリハーサル活用と通過率 今年のコンペティション参加者のうち、5人に1人がステップを、10人に1人 が提携コンクールを活用しています。予選・本選とも活用している方の通過率 が高い傾向にあることがわかります。 1 (c)一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ) ●参加者インタビュー るステップに向けて、まず最初の本番であるステップに向けて準備を 竹山英里奈さん し、ステップでいただくアドバイザーの先生方の講評や、いつもご指導 いただいている角野先生に会場で聴いていただいたアドバイスを元に、 千葉県/2015年ピティナ・ピアノコンペティションE級金賞ピアノを角野美智子先生、ソルフェ そこから更に仕上げに向けて音楽を深めて行きます。本番の緊張感をも ージュを安達恭子先生に師事 って、広いホールで演奏することは、響きの確認や細かい部分の音楽づ コンペに向けては、予選本番の約1ヶ月前にステップを、2週間前に演 くりにとても役立ちますので、ステップに参加してからコンペ本番まで 奏検定を受け、リハーサルとして活用しています。まず最初の本番であ の1ヶ月でグッと曲を仕上げていくことができるように思います。 3 提携コンクールを利用する ~秋冬で極めておく効果 ● ピティナ・ピアノコンペティション参加者が利用した提携コンクールの内、約7割の方が、秋冬に開催されている日本バッハコンクール に参加されています。夏のコンペと秋冬の提携コンクールを上手く組み合わせて活用されている方も多いようです。年齢が上がるほど他 のコンクールとの併願率が上がること、また提携コンクール利用者は予選・本選ともに通過率が高い傾向にあることがわかります。 2015コンペティション参加者が利用した提携コンクール 提携コンクールへの参加率(ソロ部門) ●参加者インタビュー ックに深く取り組むことができ、古典・ロマン・近現代と、バロックの 野村優衣さん 違いを学ぶ良い機会になったと思います。バロックを学ぶことで、各声 部、特に左手をよく聴くことの重要性を更に感じました。コンクールま 兵庫県/2014年日本バッハコンクールに参加、2015年ピティナ・ピアノコンペティション本選 での取り組みや、コンクールでいただいた講評で、今の自分に足りない 入選。元田美穂先生に師事 部分に気づくこともできたと思います。バッハコンクールの後に参加し ピティナのコンペや他のコンクールに何度か参加していましたが、ずっ た今年のコンペでは、昨年のコンペで上手くいかなかった部分を反省し と弾きたいと思っていた曲が課題曲にあったため、昨年、バッハコンク つつ、バッハコンクールで得られた経験も効果があり、初めて本選に進 ールに興味を持ち、初めて参加しました。バッハコンクールでは、バロ むことができました。 ● 4 自由曲で参加する ~Jカテゴリーの活用で毎年参加する効果 グランミューズ部門のJカテゴリーは、中学3年生~高校3年生の方が自由曲で参加できるカテ ゴリーです。この年齢では、課題曲のあるE・F級ソロ部門もありますが、何らかの理由で「今年 2015年Jカテゴリー参加者の 2014年度参加級 は課題曲2曲ではなく、自由曲で」という選択肢で、無理なく毎年コンペに参加を続けることが 可能です。Jカテゴリー参加者の前年の参加級を調べてみると、D~F級が7割を超えており、課 題曲で受ける年と、自由曲で受ける年を織り交ぜてコンペに参加されている方が多いことが分か ります。 ●参加者インタビュー が私にピッタリだと思い、参加を決めました。自由曲での参加は、自分 浦部 晏未さん の得意な作曲家を発見する機会となり、また予選・本選・全国決勝大会 と同じ曲を弾いたので、1つの曲を追求することができ、良い経験にな 大阪府/2014年ピティナ・ピアノコンペティショングランミューズ部門Jカテゴリー第2 りました。一方、今年参加したソロ部門(F級)では、ピティナの特色 位、2015年F級本選優秀賞、二本柳奈津子先生に師事 である四期の作品を弾くことで、色々な作曲家の勉強ができ良かったで 中学三年生で受験を控えている年にも、なんらかのコンクールに参加し す。高校受験の年も、Jカテゴリーを活用することでコンペへの参加を たいと思い、先生に相談しました。すると、ピティナのグランミューズ 休まず継続することができましたので、ピティナでの経験を生かしてこ 部門Jカテゴリーを紹介され、冬まで続くコンクールが多い中、ピティ れからも頑張りたいと思います。 ナは夏で終わるので受験への負担も少なく、また自由曲で参加できる点 ピティナ・ピアノホームページ掲載記事 2015年10月16日(金)トップニュース http://www.piano.or.jp/ 2 (c)一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
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