『生きる見本』 『働き方の見本』

『生きる見本』 『働き方の見本』
出張先のホテルのベットでごろんとしながら本 [「生きる希望を忘れた若者たち」社会学者 鈴木弘輝著] を
読んでいたらズキンとくる言葉が目に入ってきた。その言葉が冒頭の『生きる見本』であった。
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我に返って、私は子どもたちに『生きる見本』を見せてきたかなと、また私が真似て作った言葉の『働
き方の見本』を見せてきたかなと。
暑い盛り、同じ様な仕事をしている知り合い(私よりキャリアが長い)と食事兼飲む機会があった。
その中の話しで「ここ何年間か研修を手伝っていて四十代後半から五十代にかけての社員の受講態度が
気になる。特に、いろいろな世代層が一緒に受ける時が、より一層出てくる。それは、私の力不足かも
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しれないけれど。朝から目をつぶりジッとしていて眠っているのかもしれない。資料も記入すべきとこ
ろは何も書いていない。命令でイヤイヤ出席しているのかも…」という話しを知人がしていた。
そのようなことは、私もお手伝いしているところで気になっている時もあった。隣に座っている人も気
にしていることもある。全体的に若い世代層の方が熱心である。
他のところでは、どうだろうと気になり北海道以外の知人に聞いてみた。やはり、同じ様であった。ひ
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とりの知人が厳しいことを言っていた。「研修もイヤだ。そして職場もイヤだ。どうせなら研修でのん
びりしようと思っているのでは…」と。
リーダーシップは“影響力”という部分もありますが、基本的にリーダーシップは良いことと思われが
ちです。しかし、マイナスの影響力を発揮している場合があります。リーダーシップ研修の中で「みな
さん方の先輩で若い社員に悪い影響力(リーダーシップ)を発揮している人もいるのでは…」と話すと、
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ニヤッとする若い人たちがいます。
『生きる見本』『働き方の見本』⇒⇒『見本』および『手本』『模範』⇒「モデル(model)」「ロール
モデル(role model)」。
この言葉「今の若い者は…」は、いつの時代にも言われてきました。しかし、言っている本人は上記の
『見本』になっているのでしょうか。また、私はよく「若い世代層を、今は少し頼りなくてもどんどん
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上の地位に持っていったら」と話しますが、反応は「まだ、育っていないから」とか「頼りにならない
から…」などの言葉を聞くことが多いです。しかし、そのように話している本人は例えばその地位にな
った時には育っていたのだろうか、頼り甲斐があったのか。ではないと思います。なってから育てられ、
そして育ってきたのではないでしょうか。また、ロールモデルがいたのかもしれません。
『生きる見本』
『働き方の見本』は、特別なことをすると言うことではないです。『当たり前のこと』を当たり前にす
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ることではないかと思います。年代で言うと、人生経験・仕事経験を重ねた者は、その経験から学んだ
知識や行動を身をもって『見本』「モデル」を示すことが大切かと思います。言葉ではいくらでも伝え
ることができますが、行動が一致していなければなりません。将来のことは、若者に託すというのは無
責任だと思います。
慶応大学大学院の先生でジョン・キム氏が、ゼミの大学院生に贈る言葉をまとめた本が「媚びない人
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生」として出版されています。書評には、学生時代に読めばという内容が多いですが、ビジネス誌でダ
イヤモンド社(ネットで読んでも楽しいです)という雑誌に、いろいろな方々との対談が載っています。
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読んでみて、ひとつは私たち世代にも大切なことが書かれています。すぐスキルおよび方法論と考えが
ちですが、ジョン氏が書かれた内容は思考の材料および思考の方法です。
対談の中には、この文章の最初に出てきた年代、プラス私も含めた六十才代以上の年代に厳しいことが
出ています。例えば、大人の価値観および今までの社会の価値観で若者を評価している。大量生産・大
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量消費などの物質至上主義など。そのようなことで、今、幸せ感がどうなんだろうと。ちなみに幸福度
ランキング2012年では世界で90位です。大量生産・大量消費・物質至上主義・規模拡大などは、私は終
わっていると思います。その価値観を抱いている世代の変革が必要ではないかと思います。
「改正高年齢者雇用安定法」が成立し65才まで働けるように来年から段階的に引き上がりますが、公務
員の世界は税金を使うので考えないと思いますが、企業等では経費が上がってきます。多分、待遇など
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は大きく変わってくるのではないかと思います。例えば、退職年齢(雇用最終年齢)を40才とか50才に
なり再就職試験とか、もしくはその年代から昇給ストップとか、60才以上は以前の月収の50%とか、以
前の人事考課を参考に選別され1年更新の契約社員とか、企業は収益等を考えなければならないので、
いろいろな施策が出てくると思います。ただ、一番心配なのは、65才まで延長したことにより若い人た
ちの雇用などがよりひどくなるのではないでしょうか。
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五十才代・六十才代の年代の方々、良い意味での『生きる見本』
『働き方の見本』頑張ってみませんか。
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