がん登録について がん登録とは、がんの予防、治療のために国や地域でのがん対策を立案したり、適切な治療指針の確立や評価のため に、診断、治療およびその後の転帰に関する情報を収集し、保管、整理、分析する仕組みです。がん登録の種類には、 その対象と目的の違いによって地域がん登録（都道府県単位）、院内がん登録（医療機関単位）、臓器別がん登録（学 会・研究会単位）の３種類に分類されます。 地域がん登録 実施主体 登録対象 目的 院内がん登録 臓器別がん登録 都道府県（市） 医療機関 学会・研究会 対象地域で発生した全がん患者 当該施設で診断・治療を受けた全がん患者 臓器別がん登録協力施設で治療を受けた がん患者 地域のがん罹患を把握 受療状況の把握 生存率の計測 施設別のがん診療の実態を把握 地域がん登録への情報基盤 全国のがんの専門詳細情報の集積 診断や治療のガイドライン作成 当院は、２００９年１月に厚生労働大臣より「がん診療連携拠点病院」の指定を受け、国が定めた「がん診療連携拠点病 院 院内がん登録標準登録様式」に従い、国立がん研究センターによる研修を修了した実務者が院内がん登録を実施し ています。 院内がん登録により収集された情報は、がん診療の実態を把握し、がん診療の質の向上とがん患者の支援を目的とし て活用されます。 なお、院内がん登録に含まれている個人情報については、「個人情報保護法」「医療・介護事業者における個人情報 の適切な取り扱いのためのガイドライン」及び「飯田市立病院個人情報保護方針」を遵守し、適切に保護・管理し、業務の 遂行に努めております。 がん診療連携拠点病院 院内がん登録全国集計について 「がん対策基本法」及び「がん対策推進基本計画」によるがん診療連携拠点病院の指定要件として「院内がん登録を実 施し、集計結果等を国立がん研究センターに情報提供すること」とされています。２００７年以降、診断あるいは治療された がんの情報は、診断された日や発見の経緯、がんの進行度（病期）など定められた項目を登録し、国立がん研究センター がん対策情報センターに提供しています。 集計結果は、国や都道府県のがん対策の立案や評価、各施設の診療支援とがん診療の機能評価 に活用され、日本 のがん医療の質の向上・評価に活用されています。 ２０１2年１月～１２月に診断された情報は、２０１３年９月時点で指定されていた全国のがん診療連携拠点病院３９７施設 を対象として収集され、資料１～５は全国、長野県、飯田市立病院の集計結果を抜粋したものです。 なお、集計値が10人以下の場合、値を伏せて‐‐(ハイフン)で表記されています。 1 資料１ 部位別、性別登録数 資料１は、部位別性別に登録数を集計したものです。 全国的に男性の登録数が女性の登録数より多く、 男性は前立腺や胃、肺の登録数が多く、女性は乳腺や婦人科系腫 瘍の登録数が多いことがわかります。 【男女比】 0% 20% 40% 60% 80% 全国 56% 44% 長野県 56% 44% 飯田市立 55% 45% 男性 100% 女性 【部位別男女別】 全国 長野県 男 女 計 男 口腔咽頭 11,964 4,691 16,655 172 食道 15,845 2,765 18,610 263 胃 49,037 20,504 69,541 860 結腸 30,809 22,849 53,658 628 直腸 18,316 9,911 28,227 肝臓 15,919 7,081 23,000 胆嚢・胆管 6,172 4,892 膵臓 10,325 喉頭 4,514 肺 飯田市立病院 女 計 女 計 231 16 11 27 46 309 14 -- 21 393 1,253 71 28 99 423 1,051 49 38 87 310 181 491 22 17 39 246 128 374 -- -- 13 11,064 134 112 246 13 -- 21 8,114 18,439 187 160 347 14 14 28 328 4,842 74 -- 77 -- 0 -- 45,869 20,887 66,756 800 377 1,177 47 26 73 骨・軟部 1,932 1,534 3,466 39 21 60 0 -- -- 皮膚 8,542 8,593 17,135 153 153 306 -- 15 24 乳房 322 58,491 58,813 -- 1,078 1,084 -- 89 90 子宮頸部 22,368 22,368 480 480 50 50 子宮体部 10,344 10,344 201 201 19 19 57 57 0 0 0 0 子宮 卵巣 6,818 前立腺 46,331 膀胱 14,683 腎・尿路 脳・神経 6,818 59 男 147 46,331 1,070 3,982 18,665 312 11,252 4,920 16,172 6,129 7,750 13,879 甲状腺 2,807 7,353 147 -- -- 1,070 128 128 83 395 32 12 44 214 82 296 16 -- 22 105 141 246 -- -- -- 10,160 68 219 287 -- 28 34 悪性リンパ腫 11,311 9,625 20,936 219 160 379 19 15 34 多発性骨髄腫 2,378 1,994 4,372 51 39 90 -- -- -- 白血病 4,764 3,336 8,100 104 57 161 -- -- -- 他の血液 3,920 2,304 6,224 85 44 129 -- 0 -- その他 9,417 6,807 16,224 181 141 322 15 11 26 258,298 590,856 6,281 4,928 11,209 503 418 921 総数 332,558 2 資料２ 性別、年齢階級別 資料２は、がんと診断された年齢の割合を性別年齢階級別を表したものです。 男性は4０歳代から、女性では３０歳代から登録数が上昇しはじめます。女性は、50代までは男性に比較して高い傾向 があり、男性は６０歳代から急激に登録数が上昇しています。 女性の診断時年齢は全国、長野県ともに６０歳代まで上昇の傾向を示していますが、当院は８０歳代まで上昇の傾向を 示しています。 【男性】 【女性】 40% 40% 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 0% 0-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 80-89歳 90歳以上 全国 長野県 0-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 80-89歳 90歳以上 飯田市立 全国 長野県 飯田市立 資料３ 発見経緯 資料３は、腫瘍が診断される発端となった理由を集計したものです。 がんの早期発見・早期治療を目的として実施されるものを「がん検診」、学校、職場、国民健康保険などにより実施され る健康一般に関するものを「健康診断」「人間ドック」、他の疾患（高血圧や糖尿病など）の治療中に発見されたものを「他 疾患経過観察中」としています。自覚症状があるために医療機関を受診した場合は、「その他、不明」としています。 施設名 健康診断 人間ドック がん検診 他疾患経過観察中 剖検発見 その他、不明 51,607 44,040 163,852 236 331,121 長野県 905 1,190 3,318 -- 5,792 飯田市立病院 63 89 283 0 486 全国 0% 20% 全国 9% 7% 長野県 8% 11% 飯田市立 7% 10% がん検診 40% 60% 28% 100% 56% 30% 52% 31% 健康診断人間ドック 80% 53% 他疾患経過観察中 剖検発見 その他不明 3 資料４ 症例区分 資料４は、どこの医療機関でがんと診断され、どこの医療機関で初回治療を開始したのかを集計するための症例区分で す。 ・ 診断のみ 自施設でがんと診断し、他医療機関で初回治療を開始したもの ・ 自施設診断、自施設治療 自施設でがんと診断し、自施設で治療を開始したもの （治療をせずに経過観察する場合を含む） ・ 他施設診断、自施設治療 他医療機関でがんと診断され、自施設で初回治療を開始したもの ・ 他施設初回治療開始後 他医療機関でがんと診断され、他医療機関で初回治療開始後に自施設において治療 の継続、経過観察をしたもの ・ 剖検のみ 剖検により初めてがんと診断されたもの 施設名 自施設診断 自施設治療 診断のみ 他施設診断 自施設治療 他施設初回 治療開始後 剖検のみ 31,501 370,625 127,100 61,410 220 長野県 461 7,088 2,493 1,163 -- 飯田市立病院 53 629 155 84 0 全国 0% 20% 全国 5% 長野県 4% 飯田市立 40% 60% 63% 63% 6% 68% 診断のみ 自施設診断自施設治療 他施設にて初回治療開始後 剖検のみ 80% 100% 22% 10% 22% 10% 17% 9% 他施設診断自施設治療 4 資料５ 主要5部位別病期分類(UICC TNM分類 治療前ステージ) 病期分類（ステージ）とは、がんの大きさや他の臓器への広がり方などの進行度を分類するもので、UICC（国際対がん 連合）の定める基準に基づき、初回治療が行われる前につけられたものです。前医療機関で治療開始されており治療前 のステージが不明の場合などは「不明」または「空白」として登録されます。 主要５部位とは、日本でのがん罹患や死亡の顕著な胃、結腸・直腸、肝臓、肺、乳腺の５部位をさします。 また、手術を実施した場合は術後病理学的ステージがつけられますが、非手術症例（放射線治療や薬物治療など）も 集計の対象とするため治療前のステージを集計してあります。 【胃】 【結腸・直腸】 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 全国 全国 長野県 長野県 飯田市立 飯田市立 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 不明、空欄 20% 0期 Ⅰ期 40% Ⅱ期 60% Ⅲ期 80% Ⅳ期 100% 不明、空欄 【肺】 【肝臓】 0% 20% 40% 60% 80% 0% 100% 全国 全国 長野県 長野県 飯田市立 飯田市立 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 不明、空欄 20% 0期 Ⅰ期 40% Ⅱ期 60% Ⅲ期 80% Ⅳ期 100% 不明、空欄 【乳腺】 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全国 長野県 飯田市立 0期 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 不明、空欄 5
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