闇と光、ドラマ、幻、迷宮、越境、伝説…… プラハのバロックを豊かに展覧する、日本で唯一の研究書。 PRAŽSKÉ BAROKO 石川達夫 2015 年 3 月 6 日刊 プラハのバロック ――受難と復活のドラマ プラハの街に溢れるバロックの遺産。ローマなどと並んでバロックの中心都市であったにもかかわらず、プ ラハのバロックは三十年戦争初期の〈白山の戦い〉敗北後、支配者ハプスブルク家が推し進める対抗宗教改革・ 再カトリック化の猛威にさらされた暗黒時代の象徴として、ながらく一面的で否定的な評価を受けてきた。 イタリアやスペインなど外国からの借り物でない独自の個性を持ちながら、バロック研究の中でそこだけが 空白のまま、ようやく本格的研究が始まったばかりのプラハ・バロックの特質を、劇的で複雑な歴史の襞に分 け入り、そこに生きた人々の精神性から解き明かす。戦禍による荒廃の中に生まれ、復活への祈りを画布に、 石に刻みつけたバロック的メンタリティーが、いま明らかになる。 A5 判 ・320 頁・ 定価 6,696 円(本体 6,200 円+税) ISBN 978-4-622-07896-8 [目次抄] いしかわ・たつお 序章 敗者のバロック――プラハ・バロックの背景 1 三十年戦争と「白山の戦い」/ 2 対抗宗教改革と再カトリック化/ 3 イエズス会/ 4 カトリシズムとプロテスタンティ ズム/ 5 ゴシックとバロック/ 6 闇と光/ 7 プラハの地霊/ 8 忘我と正気 第一章 動性 1 楕円/ 2 ドラマ/ 3 幻 第二章 迷宮 1 コメンスキー/ 2 バルビーン/ 3 ヴァルトシュテイン/ 4 迷宮庭園 第三章 受難 1「瞑想(泣く女)」/ 2「ピエタ」/ 3「カルヴァリア(ゴルゴタ)」/ 4「聖ルトガルディスの幻」/ 5「ア トラス」 第四章 伝説 1「勝利の聖母マリア」伝説/ 2 ロレタ伝説/ 3「プラハの幼子イエス」伝説/ 4 聖ヤン・ネポムツキー伝説/ 5 聖サルヴァ トール伝説 第五章 越境 1 敷居/ 2 移動/ 3 世界 終章 バロックの受難と復活 ――プラハ・バロックの遺産 1 荒廃と復興/ 2 葬られるバロック/ 3 蘇るバロック 補章 プラハ・バロック探訪――プラハ・バロックの遺産を巡る 1 城地区/ 2 小地区/ 3 カレル橋/ 4 旧市街/ 5 新市街/ 6 その他の地区 注/主要参考文献一覧/図版および出典一覧 1956 年 生 ま れ。 専 修 大 学 文 学 部教授。神戸大学名誉教授。『マ サ リ ク と チ ェ コ の 精 神 』( 成 文 社 , 1995)は第 17 回サントリー 学芸賞(思想・歴史部門)およ び第4回木村彰一賞を受賞。ほ かに『黄金のプラハ』(平凡社 , 2000)『プラハ歴史散策』(講談 社+α新書 , 2004)『チェコ民族 再生運動』(岩波書店 , 2010)な ど。パトチカ『歴史哲学につい ての異端的論考』(みすず書房 , 2007)はじめ訳書も多数。 KACIRSKE ESEJE O FILOSOFII DEJIN ヤン・パトチカ=著 石川達夫=訳 歴史哲学についての異端的論考 20 世紀チェコ最大の哲学者ヤン・パトチカ。生が必ずや直面する意味喪失の経験を足下の問題として据え、 死・夜・存在の闇に直面した際の〈震撼〉によって、慣れた所与の日常性が剥ぎ落とされ真理に直面する可 能性を開かれた〈震撼させられた者たち〉の連帯の思想を展開したパトチカの遺作。著者晩年の主著。 四六判 ・288 頁・定価 4,968 円(本体 4,600 円)ISBN 978-4-622-07326-0 2007 年刊 http://www.msz.co.jp 〒 113-0033 東京都文京区本郷 5-32-21 tel. 03-3814-0131 fax 03-3818-6435
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