S-1

M2M/IoTカンファレンス 基調講演
IoTを活用した新たな価値創造
【目次】
1 IoTがもたらす本質的な変化
企業・経営部門 統括室 事業推進グループ
大川真史
2 プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
3 変革のために何をすべきか
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
会社紹介・自己紹介
会社紹介・自己紹介
株式会社
三菱総合研究所編「IoTまるわかり」(日本経済新聞出版社)
三菱総合研究所
 1970年創業の総合シンクタンク(企業経営、
インフラ整備、地域経営、教育、医療、福祉、
環境、資源、エネルギー、安全防災、先端科
学技術、ICTなど)
 約650名の研究員
大川真史
(株)三菱総合研究所
事業推進グループ
主任研究員
企業・経営部門
統括室
【主な研究領域/プロジェクトテーマ】
・製造業の新サービス事業強化
・新事業企画業務支援・人材育成
【講演】
・第4次産業革命におけるものづくりの新潮流(日本経団連)
・製造業のソリューション事業強化への取り組み(品川区役所)
・製造業のサービス事業戦略(三菱マーケティング研究会)
・IoTを活用した新たな価値創造(三菱グループ技術フォーラム)
他
【社外活動】
・明治大学サービス創新研究所 客員研究員
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1
はじめに:本講演のメッセージ
IoTとは
モノが(人も物も) つながって やりとりをする
1
IoTの本質的な価値は、新たな価値をユーザーに提供すること
( QCDR改善ではない)
2
IoTの普及によりビジネスモデルのイノベーションが頻発する
3
プラットフォームとビジネスモデルの構築がポイント
4
従来のやり方のままでは今回の変革を乗り越えることは出来ない
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2
IoTがもたらす本質的な変化
【目次】
1 IoTがもたらす本質的な変化
2 プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
3 変革のために何をすべきか
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3
1
IoTの隆興
IoTがもたらす本質的な変化
IoTと似たコンセプトは以前から存在していた。ようやく実現できる環境が整った
「モノがつながる」のコンセプト
ものづくり産業の変化(サービス化)
~1980年代
ニコラ・テスラ : テレオートメーション
(世界システム(無線送電))
ダニエル・ベル : 脱工業化社会
アルビン・トフラー:第三の波
インター
ネット
普及前
パロアルト研究所 マーク・ワイザー:
ユビキタスコンピューティング
スタン・デービス:
マス・カスタマイゼーション
21世紀
CPS(サイバーフィジカルシステム)、
IoT(RFID)、M2M
パルサミーノ:Innovate America
Internet of Things
要素技術の進展
現在
イノベーションの新潮流
デバイス、センサー
高速通信網
“メイカーズ”
クラウド技術
ビッグデータ解析
マーケティング3.0
セキュリティ
人工知能
デザイン思考
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4
出所:三菱総合研究所
1
IoTが生み出す価値
IoTがもたらす本質的な変化
「従来業務の効率化」 「新たな価値をユーザーに提供」 の2種類に大別できる
イノベーションの新潮流
新たな価値を
ユーザーに提供
生
み
出
す
価
値
顧客価値
提供
QCDR改善
従来業務の
効率化
“メイカーズ”
デザイン思考
マーケティング3.0
 代行(O&M)
 Industrial Internet
 顧客動向分析/CRM
 デジタルマーケティング
 自動化/自働化
 Industrie4.0
 システム統合/ERP
 デジタルサプライチェーン
アナログ/クローズドネットワーク
オープンネットワーク
ネットワークの広がり
デバイス、センサー
高速通信網
クラウド技術
ビッグデータ解析
セキュリティ
人工知能
要素技術の進展
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5
出所:三菱総合研究所
1
いまの日本企業に必要な取り組み
IoTがもたらす本質的な変化
これまで疎かにしていた「新たな価値をユーザーに提供」に全力で取り組むべき
イノベーションの新潮流
新たな価値を
ユーザーに提供
生
み
出
す
価
値
“メイカーズ”
デザイン思考
マーケティング3.0
 ユーザー起点の新たな
価値創造
顧客価値
提供
QCDR改善
従来業務の
効率化
クローズドネットワーク
オープンネットワーク
ネットワークの広がり
デバイス、センサー
高速通信網
クラウド技術
ビッグデータ解析
セキュリティ
人工知能
要素技術の進展
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6
出所:三菱総合研究所
1
ユーザー起点の新たな価値創造
IoTがもたらす本質的な変化
「ユーザーの使い様」をイノベーションの起点と捉える必要がある
これまで
ユーザー起点
(参考)価値共創
決まった使い方で
想定通りの価値を提供
意図せざる使い様、
本当の使い様が判る
ユーザーに使い方を
委ねる
企業
企業
ユーザー
ユーザー
IoT
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企業
ユーザー
モノが(人も物も) つながって やりとりをする
7
出所:三菱総合研究所
1
ものづくりから価値提供への変革
IoTがもたらす本質的な変化
従来
今後
顧客に買ってもらう
(壊れたら修理・買い換え)
(壊れないために予防する・製品もアップデートされる)
顧客に使い続けてもらう
1
Product
(製品)
 製品性能・品質、販売価格
 運用・利用性能・品質、LCC(ライフサ
イクルコスト)
2
Value
(価値)
 ハードウェアを中心としたQCD
 最適な使い方を実現するソフト、アプリ、
サービス
 ハードウェアを売る(売り切り)
 ソフト、アプリ等が付加価値の重要性を
増す
 ハードウェアではコスト低減が重要
Business
3 (ビジネス
モデル)
4
Resource
(リソース)
 製品技術に強い人材
 顧客の使い方がわかる人材
 顧客に最適な使い方を提言できる人材
5
Industry
(産業全体)
 「ものづくり」中心の文化
 クローズドなバリューチェーン
 シリコンバレーに代表されるITの文化
 オープンなバリューチェーン
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8
出所:三菱総合研究所
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【目次】
1 IoTがもたらす本質的な変化
2 プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
3 変革のために何をすべきか
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2
プラットフォーム=価値提供の土台
自家用車
IoTに代表されるデジタル化による新た
な価値提供は、プラットフォーム上で行
われる
同じ車に乗っている人で、最近A社のス
ピーカーを買った人がいるんですけど、低
音の抜け感が良いと評価していますよ。
へぇ、でも実際のところ、どうなんだろう
ねぇ。
3km先にあるA社の営業所、明後日、ス
ピーカー搭載車の試乗会やるらしいです。
【土台の上で流れている情報】
 部品:評判、価格・・・
 部品メーカー:需要動向、供給状況・・・
 部品販売店:キャンペーン・・・
じゃぁ行ってみようかな。ところで、いくらく
らいのスピーカーなの?
【ユーザーにとっての価値】
 新しいスピーカーを買うまでに必要な情
報を自家用車が収集してくれる
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・・・
カースレテオだけど、もうちょっと低音が響
いて抜けるような音質に変えたいなぁ。
右の事例で「やりとり」していること
 自動車=コミュニケーションの土台
(プラットフォーム)
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
WEBではAMAZONが一番安いのです
が、Bカー用品店は時々、その値段より
安く売ってる事があるみたいです。
10
出所:三菱総合研究所
事例①プラットフォームの覇権≠規格作り
2
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【PHR(Personal Health Records)】
個人が自らの生活の質(QOL=Quality of Life)の維持や向上を目的として、自らの健康に関する
情報を収集・保存・活用するシステム
iOS「ヘルスケア」
出所:経済産業省「個人が健康情報を管理・活用する時代に向けて
~パーソナルヘルスレコード(PHR)システムの現状と将来~」(2008年3月)
Microsoft HealthVault
www.healthvault.com
2007年-
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Google health
2008年-2012年
11
2
事例②プラットフォーム間連携
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【スマートグリッド】
IT/IoTの進展により、ユーザーの情報を取
得・統合・活用した、高効率、高品質、高
信頼な電力供給システム
【石炭ガス化複合発電(IGCC)】
ガスタービンと蒸気タービンで発電する
発電機、変圧器、熱回収ボイラ、LNGシス
テムなどが複雑に関係するシステム
出所:経済産業省「次世代エネルギーシステム
に係る国際標準化に向けて」(2010年)
出所:東京電力「火力発電の種類」
http://www.tepco.co.jp/solution/power_equipment/thermal_power/type-j.html
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12
2
事例③覇権は入れ替わる
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【航空機(産業)】
運航の自動化が進んだ現在の飛行機産業は、キャリアの参入が増加する一方、非常に複雑
化したシステムとグローバル整備体制を持つメーカーが覇権を握る
キャリア
航空連合、メガキャリア、フラッグキャリア、LCC、カーゴキャリア
ボーイング
エアバス
ボンバルディア
エンブラエル
三菱重工業
スホーイ
AVIC
機体メーカー
・エンジン
Tier 1
: GE, P&W, Rolls-Royce, Safran, IAE, Snecma・・・
・装備システム: Rockwell Collins, Honeywell, Parker Hannifin・・・
・部 位
: Spirit Aerosystems ・・・
Tier 2
機器、部品、ソフトウェア、材料等
Tier 3~
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出所:三菱総合研究所
事例④プラットフォームを盤石にする
2
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【(医療用)画像診断器】
X線装置、CT、MRI、エコーなどの画像データは、DICOM(画像フォーマット)に準拠。
各画像診断器はメーカー保守が必要。病院は稼働率向上を望む
X線室1
読影室
A社X線
X社ビューワ
DICOM
X線室2
B社X線
PACS
病棟
CT室
D社エコー
A社CT
MRI室
Y社ビューワ
DICOM
A社エコー
C社MRI
他院・クリニック
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出所:GE Healthcare「Who will you trust for MultiVendor Services?」
14
出所:GE Healthcare WEBサイト
http://www3.gehealthcare.com/en/products/c
ategories/accessories_and_supplies/adventur
e_series_for_mr/sunset_safari
2
(参考)Industrie4.0
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
ドイツにて産官学共同で行われる次世代製造業のコンセプト
何がしたいのか
「スマートファクトリ」の実現
産業クラスター内の
デジタル化・ネットワーク化
何をしているのか
ドイツの国家プロジェクト
8つの取り組み施策の
ロードマップ作成
【官】 中央官庁、州政府
【産】 情報通信・機械・電気電子の各
業界団体、グローバルニッチトップ
【学】 研究所、工科大学、専門大学
ドイツ製造製品の輸出
設計・生産基盤の輸出
産官学で「ドイツ製造業の復権」
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誰が推進しているか
Industrie4.0プラットフォーム
(業界団体が事務局)
標準化
情報システム
基盤
通信インフラ
セキュリティ
ワークスタイル
人材育成
規制
省エネ
出所:Industrie4.0 Platform(http://www.plattform-i40.de/)、科学技術振興機構研究開発戦略センター
(CRDS)「次世代製造技術の研究開発 ドイツ編」(2015/1/9)、日本貿易振興機構(ジェトロ)「ドイツ
「Industrie 4.0」とEUにおける先端製造技術の取り組みに関する動向」(2014/6/5)をもとに三菱総研作成
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2
(参考)Industrial Internet
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
産業機器とビッグデータと人々を結びつけるオープンでグローバルなネットワーク
顧客理解の深耕による関係強化
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出所:日本GE「インダストリアル・インターネット」
(http://www.ge.com/jp/company/industrial_internet/)
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事例⑤プラットフォームのオープン化
2
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
【Predix】
GEは従来自社機器センサー等からのデータ分析用に利用していたPredixをオープン化。
アクセンチュア、アマゾン、ソフトバンク、シスコシステムズ、インテル等の企業とパー
トナーシップを取り、オープンな開発環境の中で利用企業にとって利便性(セキュリティ、
コスト、使い勝手等)の高いシステムを提供
エアアジア
燃料コスト1000万ドル削減
E.ON
風力発電の発電量4%アップ
コモンウェルス
変圧器の故障対応効率15%改善
出所:GE Predix (http://www.predix.com)
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事例⑥Industrie4.0とIndustrial Internet
Industrie4.0
2
プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
Industrial Internet
市場、ユーザー、顧客、
川下企業
市場、ユーザー、
顧客
中核
機関
Industrie4.0
中核
企業Internet
Industrial
サプライヤ、
ビジネスパートナー
サプライヤ、
ビジネスパートナー
産官学で「ドイツ製造業の復権」
顧客理解の深耕による関係強化
産業クラスター内部のプラットフォーム化
ユーザー業務全体をプラットフォーム化
 Industrie4.0は、産業クラスター内を同一プ
ラットフォームでシステム化する取り組み
 プラットフォームシステム自体が商品でもある
 Industrial Internetは、ユーザーに新たな価値
を提供し、ユーザーからの依存度を高め、ユー
ザー業務を囲い込む(骨抜きにする)
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出所:三菱総合研究所
変革のために何をすべきか
【目次】
1 IoTがもたらす本質的な変化
2 プラットフォーム起点のビジネスモデル変革
3 変革のために何をすべきか
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3
変革実現のために必要な方策
変革のために何をすべきか
IoT活用のためには、データ収集と価値提供のためのプラットフォームと、そこで事業を行う
ためのビジネスモデルを一体となって構築すべき
ユーザー/サプライヤーを巻き込んでプラットフォームを構築したプレイヤーだけが、高く安
定した利益を得ることができる
1
プラットフォームの構築
① ユーザー情報を収集するCPS(Cyber Physical System)
(モノが中心/ソフトウェアが中心)
② 複数のモノからの情報を統合する情報ネットワーク
(オープンネットワーク、公的性格大)
IoTを活用した
ビジネス変革
2
ビジネスモデルの構築
① ユーザー利用のライフタイム価値を最大化するビジネスモデ
ル
② ユーザーから得られる情報を製品、ビジネスプロセスに
フィードバックするビジネスモデル
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出所:三菱総合研究所
ポイント①ユーザー利用のライフタイム価値の最大化
3
変革のために何をすべきか
IoT活用による価値の本質は、顧客が受け取る価値(利益)の最大化である。ビジネスモデル
は顧客が受け取る価値の分け前を売上としてシェアしてもらう仕組みである
この面積を
最大化する
金額
顧客の累積利得
(価値)
この面積を
最小化する
顧客の累積支出
初期費用
時間
利用開始
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廃却
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出所:三菱総合研究所
ポイント②新たな価値創造に必要な情報を見極める
3
変革のために何をすべきか
メーカー目線から離れ、ユーザーが関わるすべてを知る必要がある。IoTの普及は、競合他社
も含めだれでも知ることが出来るようになることを意味する
既存業務の効率化
メーカー
顧客(ユーザー)
現場
経営
経営
設計
管理
顧客
の競合
工場長
製造
営業・
サービス
社会
顧客の顧客
官公庁
・
独法
関連
業界
担当
顧客の業界団体
他メーカー(メーカーの競合)
「ユーザーを知る」の範囲
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出所:三菱総合研究所
ポイント③「いつもの」でない人とイノベーション
3
変革のために何をすべきか
「いつものメンバー」でない人とユーザーの使い様を分析すれば、筋のいいインサイトを獲得
できる。その延長線上に新たな価値創造がある
出所:Lee Fleming「『学際的コラボレーション』のジレンマ」 (DIAMOND ハーバードビジネスレビュー2004年12月号)
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3
第一歩として何をすべきか
変革のために何をすべきか
幅広いスキルと熱量のあるメンバーによるイノベーションチームが出来れば動き出す
(分担、分業では動かない)
1
ユーザーを知る
「顧客の変化」を
確認する
イノベーション
チーム
サービス・
商品を作り
3 込む
データが集まる
使い様を
分析する
2
検証
具体化
サービス開発
評価
インサイト(仮説)が
発見される
修正
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出所:三菱総合研究所
本資料に関するお問い合わせ先
株式会社 三菱総合研究所 企業・経営部門
統括室 事業推進グループ
主任研究員 大川真史 [email protected]
TEL : 03-6705-6096
FAX : 03-5157-2165
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
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