聖心女子大学キリスト教文化研究所 教養ゼミナール 2016 年度 開講講座一覧 *新規講座紹介 1610「一なる神、八百万の神」(金曜 15:10〜16:40) 多神教的な風土の中で、神仏を受け入れてきた日本人にとって、一なる神を信じるという考え方は 捉えにくいところがあり、そのことによって、一神教的伝統を基盤に持つ西欧やイスラームの社会や 文化の理解が妨げられている面があります。本年度のオムニバス講座は、一神教と多神教をテーマと し、その特性と相互の関わりについて、本学の多彩な講師陣が思想・歴史・文学など様々な観点から お話しします。 第 1 回(5/27) アウグスティヌスとマニ教 山田庄太郎(本学哲学科講師) 古代末期を代表する教父アウグスティヌスは、その青年期をマニ教徒として過ごし、後にキリス ト教徒へと回心した。当時キリスト教に比肩する世界宗教だったマニ教と、アウグスティヌスの 関係について論じる。 第 2 回(6/24) 初心者のための神学 加藤和哉(本学哲学科教授) スコラの神学者トマス・アクィナスは、聖書、古代教父、アリストテレスなどの哲学者のテクス トなどを縦横無尽に駆使しつつ、万人に理解可能な普遍的な神の探求を目指した。人間の共通の 理性によって、宗教上の問題がいかに調停可能かを考えたい。 第 3 回(7/22) 一なる神同士の競演:ユダヤ教から見た一神教世界 市川裕(本学哲学科非常勤講師・東京大学教授) ユダヤ教が広まった地域は、そのほとんどが、イスラームとキリスト教の支配地域と重なってい るため、ユダヤ教はその両方の宗教のもつ特徴と向き合って歩んできた。その違いを考えること は現代欧州のイスラーム問題を考えるヒントにもなろう。 第 4 回(10/21) イスラム社会の宗教マイノリティー:ヤズィーディー教徒(ヤズィード派)を中心に 山口昭彦(本学史学科教授) イラクやコーカサス地方に居住するヤズィーディー教徒のコミュニティが近代以降、どのような 状況におかれたのかを探ることで、中東地域における宗教・宗派間関係の変容の一端を浮かび上 がらせたい。 第 5 回(11/18) 神々と日本人:たくさんの神とのかかわりかた 長野美香(本学哲学科准教授) 日本人は多数の神をどのように信仰してきたのか。仏教受容による神仏習合はそれにどのような 影響を与えたか。さらに一神教の輸入はそれらの何を変え、何を変えなかったか。我々自身の日 常も省みつつ考えたい。 第 6 回(12/9) 遠藤周作『深い河』を読む 川津誠(本学日本語日本文学科教授) 遠藤周作の最後の小説である『深い河』は、キリスト教を中心に起きながら、ヒンズー教や仏教 を重ね、インドの空間を背景に取り込んで、「神」という存在そのものと人間の関係を考えさせる 作品となっている。じっくり読んでみたい。 【通年】 月 10:40-12:10 世界の聖地紀行(巡礼文明論) 1601 9,000 円 麗澤大学客員教授 吉澤 五郎 通年 12 回:4/11, 4/25, 5/9, 5/23, 6/6, 6/20, 7/4, 10/3, 10/17, 11/7, 11/21, 12/5 人びとはなぜ「聖地」に魅せられるのでしょうか。 キリスト教三大聖地のイェルサレム、ローマ、コンポステーラをはじめ、広く世界の聖地と聖 域を巡りながら「聖なる美」を結ぶ普遍性と人類共生の調べを鑑賞し、あわせて現代へのメッ セージを討議する。 使用テクスト: 吉澤五郎『旅の比較文明学―地中海巡礼の風光』(世界思想社)他 月 13:30-15:00 聖務日課と音楽 1602 5,000 円 国際基督教大学名誉教授 金澤 正剛 通年 6 回: 4/18, 5/16, 6/20, 10/17, 11/21, 12/19 1963 年以前のカトリック典礼において、聖餐式(ミサ)以外の典礼、特に晩課(ヴェスペラス)において音 楽がどのように用いられているかを、実例を聴きながら学ぶ。また典礼外であっても、典礼と深い関係の あるもの(サルヴェ・レジナなどのマリアの賛歌やテ・デウム)についても、必要に応じて取上げる。 使用テクスト: 特になし。資料は必要に応じて毎回配布する。 火 10:40-12:10 シェイクスピア講読 1603 9,000 円 本学名誉教授 道家 弘一郎 通年 12 回:4/12, 4/26, 5/10, 5/24, 6/14, 6/28, 7/12, 10/11, 10/25, 11/8, 11/22, 12/13 現代の世界で実用的とされる言語、しかもわれわれが最も長く親しんだ外国語である、英語で、世界第一 級の文学が産み出されているということは、何という恩恵であろうか。その英文学で第一に指を折られる のはシェイクスピアである。なかでも最も人口に膾炙しているのは『ハムレット』である。本年度は、 『ハムレット』を読む。今年はたまたまシェイクスピア没後 400 年の記念の年でもある。 使用テクスト:小津次郎『ハムレット』(研究社小英文叢書) 火 13:30-15:00 「ヨハネ福音書」を読む 1604 9,000 円 元本学教授 田邊 菫 通年 12 回:4/5, 4/19, 5/10, 5/24, 6/7, 6/21, 10/4, 10/18, 11/1, 11/15, 12/6, 12/20 「ヨハネ福音書」を少しずつ読み、簡単な解説の後、参加者の感想、理解、質問などを分かち合って、互 いに理解を深めながら進めていく。前以ての知識は必要ではないが、積極的な参与を期待したい。 使用テクスト: 「ヨハネ福音書」 翻訳はどれでもよい。 水 13:30-15:00 アウグスティヌス『神の国(De Civitate Dei』を学ぶ 1605 9,000 円 首都大学東京名誉教授・元本学教授 加藤 信朗 通年 12 回:4/13, 4/27, 5/18, 6/1, 6/15 ,7/6, 10/12, 10/26, 11/9, 11/30, 12/14, 1/18 昨年度はアウグスティヌスの二大主著『告白録(Confessiones)』と『神の国(De Civitate Dei)』が互 いにもつ密接な関連を学んだ。前者は「個」としての「人間」のあるがままを、後者は「共同体」として の「人間」をあるがままを「真理そのもの」である「神」へと「自己」の「心の奥底」で問い掛けて明ら かにする試みであった。今年度は『神の国』の第一巻と第二巻を学ぶ。 使用テクスト: 『アウグスティヌス著作集』第十一巻『神の国』(1)(赤木、泉、金子訳)教 文館を主要テキストとする。Oeuvres de Saint Augustin 33 La Cité de Dieu I-V の「ラテン語原典+仏訳版」の重要箇所を参考資料として配布する。 木 10:30-12:00 文学と人生 1606 5,000 円 元本学教授 鈴木 秀子 通年 6 回:4/21, 5/19, 6/16, 10/20, 11/17, 12/15 文学に凝結している人間の知恵を学び、それを私たちの日常生活にいかに活かすべきかを、キリスト教精 神に基づいて、皆で一緒に考えていきたいと思います。 使用テクスト: 毎回配付資料を用意します。 木 13:30-15:00 新約聖書の「愛」(アガペー)の概念 1607 9,000 円 元本学教授 遠藤 徹 通年 12 回:4/14, 4/28, 5/12, 5/26, 6/9, 6/23, 10/13, 10/27, 11/10, 11/24, 12/8, 1/12 昨年は長年のアガペー研究を著書『〈尊びの愛〉としてのアガペー』に結実させ、教文館より刊行するこ とができた。本年度は、これをテキストとして、〈尊びの愛〉としてのアガペーの意味合いを更に探り、 それを実践に結びつける道筋を考える。またこの両者に直結することとして、新渡戸稲造の『武士道』を も読み進む。 使用テクスト:遠藤 徹『〈尊びの愛〉としてのアガペー』(教文館) 新渡戸稲造『武士道』樋口謙一郎・国分舞訳、IBC パブリッシング株式会 社(他の翻訳を既にお持ちの方はそれで可) 金 13:30-15:00 日本の歴史・文化とキリスト教について 1608 6,000 円 本学名誉教授 山崎 渾子 通年 8 回:4/15, 5/20, 6/17, 7/15, 10/21, 11/18, 12/16, 1/20 第1の開国期とも言われる鉄砲やキリスト教伝来に始まる日本の南蛮文化時代、そして鎖国期、また第2 の開国期の幕末明治初期を中心に、日本人とキリスト教の出会いがどのようなものであったのかを研究し たい。今年は「キリシタン信徒発見」(1865 年3月 17 日)から 150 周年に当たり、その意義も合わせ て、歴史に学び、現代・未来を見据えて考える。あわせて自分の関心事である「岩倉使節団と信教自由問 題」も取り上げる。 使用テクスト:宣教師・留学生関係の資料・文献、キリシタン関係史料、岩倉使節団関係や外 交文書などを必要に応じて使用したい。 金 13:30-15:00 キリスト教美術を見る眼(1) スペイン中世のキリスト教美術をめぐって―祈りの形体― あ キリスト教美術を見る眼(2) 5,500 円 ―Logos を描くとは?― (1) 東北芸術工科大学准教授 安發 和彰 1609 (2) 清泉女子大学教授 通年 7 回:(1) 5/27, 6/24, 7/22 高野 禎子 (2) 10/28, 11/25, 12/16, 1/20 (1) 12 世紀頃以来のキリスト教美術作品を取り上げながら、近代のガウディ建築にも通じる、一途で深 い祈りが育んだスペイン的な宗教美術の精神について追求してゆきます。 ・《モンセラート修道院の「黒い聖母」:奇跡と巡礼の美術》=「黒い聖母」像の美と崇敬の歴史 について。 ・《ピレネー山中の板絵:流血と祈りの美》=殉教の死と栄光を描いた祭壇飾りについて。 ・《ガウディのサグラダ・ファミリア聖堂:中世に溯る天上世界》=ガウディ建築の伝統的宗教精 神について。 (2) 主に英仏中世の美術作品を取り上げてキリスト教美術を見る眼を養う。単に『聖書』の絵解きでは ない、各時代の背景などを視野に入れて考えてみよう。時にイタリア・ルネサンスの名画や日本の同 時代の作品なども紹介しながら、楽しく読み解いてみたい。 使用テクスト:(1) 授業時にハンドアウトを配布する。 (2) 授業時に適宜紹介する。 金 15:10-16:40 一なる神、八百万の神 1610 5,000 円 コーディネーター:本学哲学科教授 加藤 和哉 通年 6 回: 5/27, 6/24, 7/22, 10/21, 11/18, 12/9 宗教は対立の原理なのか、共生の基盤でありうるのか。歴史・思想・文学などさまざまな観点から、一神 教や多神教の特性、それら相互の関わりのあり方を明らかにするものです。大勢の皆様の受講をお待ちし ております。(詳細は 1 ページ目の「新規講座紹介」をご覧ください。) 担当講師: 山田 庄太郎(本学哲学科講師) 加藤 和哉 (本学哲学科教授) 市川 裕 (本学非常勤講師・東京大学教授) 山口 昭彦 (本学史学科教授) 長野 美香 (本学哲学科准教授) 川津 誠 (本学日本語日本文学科教授) *2016 年度新規講座紹介(追加) 長年にわたり、教養ゼミナールで旧約聖書の講座をご担当いただきました加藤久美子先生に代わり、 山吉智久先生による旧約聖書の講座が始まります。本年度は、旧約聖書の一番最初の部分に示された 古代イスラエルの人々の「物語」についてお話しくださいます。これまで受講されていた方はもちろ ん、この機会に新たに受講されることをおすすめします。 講師プロフィール : 1978 年生。立教大学、同大学院で聖書学を学び、ドイツに留学、2012 年テュービン ゲン大学で博士号を取得。帰国後は、明治学院大、本学などで非常勤講師をつとめているほか、現在進めら れている新しい共同訳聖書翻訳事業に参加。G.フォン・ラート『古代イスラエルにおける聖戦』(教文館) などの翻訳がある。 月 15:10-16:40 古代イスラエルの人々の「物語」 6,000 円 —原初史(創世記 1-11 章)を読む 1611 本学非常勤講師 山吉 智久 通年 8 回:4/18, 5/16, 6/20, 7/18, 10/17, 11/21, 12/19, 1/16 旧約聖書の冒頭を飾る創世記の中で、天地創造からバベルの塔へと至る 1-11 章は、学問的に「原初 史」と呼び慣わされています。そこには、古代イスラエルの人々が、神を、世界を、自然を、人類を、 そして自己をどのような存在として捉え、それらと向き合っていたのかが、物語という形で示されてい ます。これらの物語を一つずつ丁寧に読み進めながら、そこにたたみ込まれた思索の結晶に耳傾けてみ ましょう。 使用テクスト:旧約聖書(創世記)の日本語訳 4月 日 5月 2016年 月 火 水 木 金 1 土 2 日 1 2016年 月 2 火 3 水 4 木 金 土 5 6 7 12 13 14 21 創立記念週間(4/29~5/5) 3 10 17 24 4 5 事務室 前期始業日 Sr田邉 13:30~15:00 11 12 13 14 15 吉澤先生 加藤(信)先生 10:40~12:10 道家先生 10:40~12:10 13:30~15:00 遠藤先生 13:30~15:00 Sr.山崎 13:30~15:00 18 19 20 21 22 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 Sr田邉 13:30~15:00 25 26 27 28 吉澤先生 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 遠藤先生 13:30~15:00 10:40~12:10 6月 日 2016年 月 6 7 8 9 8 16 15 13:30~15:00 火 水 1 木 10 吉澤先生 10:40~12:10 道家先生 11 16 17 23 22 30 金 23 24 吉澤先生 10:40~12:10 道家先生 29 30 31 7月 2016年 月 土 2 3 4 9 10 11 日 遠藤先生 13:30~15:00 10:40~12:10 Sr田邉 13:30~15:00 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 Sr.鈴木 10:30~12:00 29 9 18 19 20 加藤(信)先生 Sr.山崎 13:30~15:00 Sr.鈴木 10:30~12:00 25 26 27 遠藤先生 13:30~15:00 安發先生 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 10:40~12:10 Sr田邉 13:30~15:00 火 水 13:30~15:00 木 28 金 土 1 2 7 8 9 14 15 16 加藤(信)先生 13:30~15:00 5 12 19 6 7 吉澤先生 10:40~12:10 Sr田邉 13:30~15:00 13 14 15 16 17 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 13:30~15:00 Sr.鈴木 10:30~12:00 Sr.山崎 20 21 22 23 24 吉澤先生 Sr田邉 13:30~15:00 遠藤先生 13:30~15:00 安發先生 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 10:40~12:10 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 26 27 8 28 3 4 遠藤先生 13:30~15:00 29 5 6 吉澤先生 加藤(信)先生 13:30~15:00 10:40~12:10 18 10 11 12 13 道家先生 10:40~12:10 13:30~15:00 25 17 18 19 Sr.山崎 13:30~15:00 20 21 22 山吉先生 15:10~16:40 30 24 25 23 安發先生 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 26 27 28 29 30 道家先生 10:40~12:10 夏期休暇 9/29迄 8~9月の事務室の開室時間は週2回、10:00~13:00または13:00~16:00予定。 10月 日 11月 2016年 月 火 水 木 金 9/30 土 日 2016年 月 1 事務室 後期始業日 2 9 16 3 4 吉澤先生 10:40~12:10 Sr田邉 13:30~15:00 10 11 12 13 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 13:30~15:00 遠藤先生 13:30~15:00 17 18 19 20 21 吉澤先生 10:40~12:10 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 Sr田邉 13:30~15:00 Sr.鈴木 10:30~12:00 Sr.山崎 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 23 24 聖心祭 30 31 12月 2016年 月 日 4 11 5 6 7 6 15 26 27 28 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 13:30~15:00 遠藤先生 13:30~15:00 高野先生 13:30~15:00 13 22 聖心祭 20 29 27 7 11 12 19 8 9 10 吉澤先生 10:40~12:10 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 13:30~15:00 遠藤先生 13:30~15:00 14 15 16 17 18 Sr.鈴木 10:30~12:00 Sr.山崎 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 24 25 遠藤先生 13:30~15:00 高野先生 13:30~15:00 21 22 吉澤先生 10:40~12:10 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 道家先生 10:40~12:10 28 29 1 2 3 1 8 9 10 8 9 遠藤先生 13:30~15:00 特別講座 15:10~16:40 金 5 6 吉澤先生 10:40~12:10 Sr田邉 13:30~15:00 12 13 14 15 16 道家先生 10:40~12:10 加藤(信)先生 13:30~15:00 Sr.鈴木 10:30~12:00 Sr.山崎 13:30~15:00 高野先生 19 20 21 22 金澤先生 13:30~15:00 山吉先生 15:10~16:40 Sr田邉 13:30~15:00 26 27 23 25 23 土 日 火 水 15 16 29 30 金 土 4 5 6 7 10 11 12 13 14 20 21 遠藤先生 13:30~15:00 新年始業日 17 木 3 17 山吉先生 15:10~16:40 18 19 加藤(信)先生 13:30~15:00 Sr.山崎 13:30~15:00 高野先生 13:30~15:00 24 22 23 24 冬期休暇 1/9迄 28 26 30 13:30~15:00 18 土 5 7 2017年 月 2 木 金 4 加藤(信)先生 13:30~15:00 1月 水 木 3 Sr田邉 13:30~15:00 25 火 水 2 Sr田邉 13:30~15:00 8 14 火 1 25 26 27 28 春期休暇 31 29 30 31
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