フランスにおける Orange のプリベイド SIM による 4G- LTE でのインターネットの使用 柴田 @koji_sibata 2015 年 9 月 5 日(土)から 9 月 12 日(土)までの間、国際会議での自身の研究発表のため フランス共和国・パリ市に滞在した。その際、滞在中に携帯電話回線でインターネットを利用 するため、シャルル・ドゴール空港の第 2 ターミナルに到着後、2 階の出国ロビーに移動して 写真のような RELAY というお土産やお菓子、ジュースなどを置く売店でフランスの最大手の 携帯電話通信会社である Orange のプリベイド SIM を購入した。そこで、実際に経験した運用 までの手順について報告する。 空港に到着後は、あらかじめネットで調べた通り売店のレジに並んで店員のおばさんに「ボ ンジュールマダム、Internet のみを使用したいので Orange の携帯電話向けの SIM カードが 欲しい」というと、手馴れた様子で写真の Orange の mobicarte という文字の入った黒いパッ ケージを差し出し、これを買うよう進められた。さらに、「SIM カードの購入のみか、この場 でチャージもするか、1 ヶ月使用可能なチャージは 20 ユーロだが良いか?」と聞かれたのだが、 今回は「1 週間程度の滞在なので 7day のみ」と伝えると、 「それなら 12 日使用期限の 10 ユー ロが良い」といわれたので、今回は SIM 本体の他にチャージによるデータ容量を購入した。 SIM が 9.9 ユーロ、チャージ代が 10 ユーロであり、この売店では合計 19.9 ユーロを支払った ことになる。 そこで早速、空港の売店の横にあるベンチにて、SIM フリーのスマートフォンである Infocus M2 にて携帯電話回線を介してインターネットが使えるよう各種設定を施した。そのためにま ず、挿入された SIM をアクティベートする必要があるのだが、これは 225 に電話して#123#を入力 すればよい。この操作によりスマホに SMS が送られてきて、まずは SIM 自体が使えるように なる。次にプランを登録してインターネットが使えるようにデータ容量のチャージを行う。そ のため、今度は売店で渡されたレシートを元に 224 に電話して#123#を入力 したのち、メッセージが流れたら、 レシートに記載されている 14 桁の番号を入力 した。 こののち端末を再起動すると、無事に W-CDMA(3G)にてインターネットに接続できるよう になった。なお、Infocus M2 の場合には SIM を挿入すると APN が自動的に設定され、特に 自ら入力する必要は無かった。このような経緯にて、空港とパリ市内を結ぶ RER による街中 への移動、さらに徒歩でのホテルへの移動に際して google マップナビなどでこのスマホを活用 していたのだが、嬉しい誤算もあった。それは、使用して半日程度すると端末にはなぜか 4G の文字が表示され、W-CDMA だけでなく LTE での接続も可能となったことである。従来のネ ットの情報では、空港で購入した SIM では Orange、SFR ともに 4G-LTE での接続しか出来 ないとのことだったので、これは意外である。 なお、端末に設定されていた APN は以下の通りである。 名前 orange world APN orange ユーザ名 orange さらに、ノート PC などでもインターネットを共有したかったので SIM を Huawei E5375 に差し替えたところ、特に設定をせずにそのまま 4G-LTE のネットワークに接続できた。 但し、 E5375 はプラチナバンドである 800MHz 帯の Band20 には対応していなかったため、今後の 快適な利用を考え、さらに SIM を Aliexpress で買った Telia 版の ZTE MF910 に差し替え上 記の APN を設定したところ、このルータでも orange の 4G ネットワークにてインターネット の接続が可能となった。 なお、上記の MF910 の設定にて業務用として暫くインターネットを使っていたのだが、 Orange の携帯電話回線に接続された状態で MF910 は途中で 2 回ものアップデートをしたた め、木曜日の朝には許容要領である 1GB に達したと思われ、SNS による通知の後で途中から orange の HP にアップデートされてパケットが流れなくなってしまった。 そこで、Porte-Maillot 駅の目の前の国際会場である Palais des congres de Paris から会議の 合間をぬって徒歩で近隣の orange boutique を訪れ、使っていた SIM にデータ通信の容量を追 加した。その際に面倒な事態を避けるため、SIM は Infocus M2 に入れ替えておいた。 来店すると、女性のおばさんの店員にレジみたいな機械の前に通されて用事は何かと聞かれ た。そこで最初は、「空港で買ったプリペイド SIM でこのスマホを使っていたのだが途中から 使えなくなったので、SIM を Re-fill して欲しい」と伝えたのだが、店員に英語で「言ってい ることが理解できない」と言われて断られそうになった。 そこで、こちらも必死だったので 10 ユーロを店員に見せつつ自分のスマホを指差し、 「チャ ージ、チャージ」と連呼した。すると、今度はこの店員にフランス語で「10 ユーロ分のチャー ジをすればいいんだな」的なことをいわれたので、 「Yes, Yes」と連呼したところ、何とか別の レジに通されチャージの作業に入ることが出来た。 ここからは、まず渡した 10 ユーロ分の会計を済ませた上で、店員みずからレシートに記載 されたチャージ分の番号を元に渡したスマホ(Infocus M2)に対して 224 への電話による上記 の 14 桁の番号入力による作業をやってもらえた。これにより、またプリペイド SIM が挿入さ れたスマホで再び Orange の携帯電話回線経由でインターネットに接続することが出来るよう になった。多分 10 ユーロで 12 日間の使用期限で1GB 分が追加チャージされたと思われる。 一週間ほどパリ市内で Orange の携帯電話網でインターネットに接続した感想として、地上で は建物の中でも基本的に4G-LTE で接続できたのだが、地下鉄の車内などでは 2G(GSM)に 落ちることもしばしばであった。 なお、帰国時に若干余裕が出来たので、空港の出発ロビーにて Infocus M2 にて速度測定を行 った。その結果は図の(http://www.speedtest.net/my-result/a/1453271257)の通りであり、 電波は弱いが接続状況が LTE なので、それなりの速度であった。 なお、パリ滞在中は充実した日々を過ごすことが出来ていたのだが、ちょっとしたハプニン グもあった。自身のポスター発表の終わった 9 月 9 日(水)の夜に、国際会議の公式行事とし てセーヌ川のディナークルーズに参加したのだが、その帰りにパリ地下鉄でスリ未遂にあった。 具体的には、クルーズ会場に近い駅から終電も迫った時間帯である 23:00 前に地下鉄 6 号線の 電車に乗り、さらにフランクリン・ルーズベルト駅で 1 号線、シャルルドゴール・エトワール 駅で 2 号線に乗換え時に車内で目の前の席に小学校高学年くらいの女児二人が座っているのを 確認した。こんな深夜の地下鉄に女児二人とはおかしいなとは思っていたのだが、会議出席の 疲れもあってその後はあまり気にせずにいた。しかし、自身が宿泊しているホテルの最寄駅で ある Jaures 駅で地下鉄を降り足早に出口に向かったところ、背後から人が追いかけてくるの を感じた。そして、次の瞬間にスラックスの右ポケットに手を突っ込まれ、危うく財布を抜か れそうになった。振り返ると、改札口辺りで例の女児二人がこちらを見ており、おどけた様子 でホームへと戻っていったのであった。 後で調べてみると、パリ市内の地下鉄はスリで有名のようで、東欧などから渡ってきたロマ がパリ郊外のキャンプに住み着き、その子供がこのような振る舞いをしているとのことであっ た。その他のパリ市内の観光地でも署名スリなどに出くわすことが多くあったのだが、地下鉄 での一件は特に怖い出来事であった。当方、スペイン・バルセロナでも同様な目に会っていた のだが、パリでの滞在も慣れかけたころに再びこのような目に会ってしまい大変遺憾である。 以上、本報告書では自身のフランス・パリでの国際会議での研究内容の発表のついでにシャ ルル・ドゴール空港にてプリペイド SIM を購入してスマホやルータに挿入し、4G-LTE での 携帯電話回線を介したインターネットの利用例を示した。最後に参考にさせていただいた下記 のブログの著者に感謝いたします。 参考文献 飯島恵里子, “パリで現地 SIM は簡単に買える! SIM フリーiPhone 6 で使った”, http://ascii.jp/elem/000/000/955/955496/ “仏最大手「Orange」の SIM カードを簡単にゲットして使えるようにする方法”, http://gigazine.net/news/20140718-get-orange-sim/ “フランスで SIM フリー 2014”, http://4travel.jp/travelogue/10915708
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