議第59号 尾花沢市新庁舎建設計画の見直しを問う住民投票条例の設定 について 尾花沢市新庁舎建設計画の見直しを問う住民投票条例を次のように制定する。 尾花沢市新庁舎建設計画の見直しを問う住民投票 条例 (目的) 第1条 この条例は、本市の新庁舎建設について、住民の意思を確認することを目的 とする。 (住民投票) 第2条 前条の目的を達成するため、 「 新 庁 舎 建 設 の 延 期 と 設 計 規 模 の 縮 小 」の 賛 否 を 問 う 住 民 に よ る 投 票 ( 以 下 「 住 民 投 票 」 と い う 。) を 行 う 。 2 住民投票は、住民の自由な意思が反映されるものでなければな らない。 (住民投票の執行) 第3条 2 住民投票は、市長が執行するものとする。 市 長 は 、地 方 自 治 法( 昭 和 2 2 年 法 律 第 6 7 号 )第 1 8 0 条 の 2 の 規 定 に 基 づ き 、 協議により、その権限に属する住民投票の管理及び執行に関する事務を尾花沢市選 挙 管 理 委 員 会 ( 以 下 「 選 挙 管 理 委 員 会 」 と い う 。) に 委 任 す る こ と が で き る 。 (住民投票の期日) 第4条 住 民 投 票 の 期 日( 以 下「 投 票 日 」と い う 。)は 、こ の 条 例 の 施 行 の 日 か ら 起 算 して30日を経過する日までの間において市長が定めるものとする。 2 市長は、前項の規定により投票日を定めた場合において、前条第2項の規定によ り選挙管理委員会に事務を委任したときは、速やかに選挙管理委員会 に通知しなけ ればならない。 3 市長は、第1項の規定により投票日を定めたときは、当該投票日の7日前までに これを告示しなければならない。 (投票資格者) 第5条 住 民 投 票 に お け る 投 票 の 資 格 を 有 す る 者 ( 以 下 「 投 票 資 格 者 」 と い う 。) は 、 次の各号のいずれにも該当する者とする。 (1) 投票日において年齢満20歳以上の日本国籍を有する者 (2) 前 条 第 3 項 の 規 定 に よ る 告 示 の 日( 以 下「 告 示 日 」と い う 。)の 前 日 に お い て 、 そ の 者 に 係 る 本 市 の 住 民 票 が 作 成 さ れ た 日 ( 他 の 市 町 村 ( 特 別 区 を 含 む 。) か ら 1 本市に住所を移した者で住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第22条の 規定により届出をしたものについては、当該届出をした日)から引き続き3ヶ月 以上本市の住民基本台帳に記録されている者(投票日(第8条第2項に規定する 期 日 前 投 票 に あ っ て は 、 当 該 期 日 前 投 票 を 行 う 日 。 次 項 に お い て 同 じ 。) に お い て 本 市 に 住 所 を 有 し て い な い 者 を 除 く 。) 2 前項の規定にかかわらず、投票日において公職選挙法(昭和25年法律第100 号)第11条第1項若しくは第252条又は政治資金 規正法(昭和23年法律第1 94号)第28条の規定により選挙権を有しないとされる者は、住民投票 における 投票の資格を有しない。 (投票資格者名簿の調製) 第6条 市 長 は 、投 票 資 格 者 の 名 簿( 以 下「 投 票 資 格 者 名 簿 」と い う 。)を 調 製 し な け ればならない。 (投票の方式) 第7条 2 住民投票は、一人一票の投票とし、秘密投票とする。 住 民 投 票 を し よ う と す る 投 票 資 格 者( 以 下「 投 票 人 」と い う 。)は 、投 票 用 紙 の 所 定 の 欄 に 自 ら 賛 成 の 場 合 は ○ の 記 号 を 、 反 対 の 場 合 は ×の 記 号 を 記 載 し な け れ ば な らない。 3 前項の規定にかかわらず、身体の故障その他の事由により、自ら投票用紙に○又 は ×の 記 号 を 記 載 す る こ と が で き な い 投 票 人 は 、 規 則 で 定 め る と こ ろ に よ り 、 代 理 投票をすることができる。 4 第2項の規定にかかわらず、投票人は、規則で定めるところにより、点字投票を することができる。 (投票所においての投票) 第8条 投票人は、投票日の当日、自ら投票所に行き、投票資格者名簿又はその抄本 の対照を経て、投票しなければならない。 2 前項の規定にかかわらず、投票人は、規則で定めるところにより、期日前投票又 は不在者投票を行うことができる。 (投票用紙の様式) 第9条 2 第7条第2項に規定する投票用紙は、別記様式のとおりとする。 前項の規定にかかわらず、第7条第4項の規定による点字投票の投票用紙の様式 は、規則で定める。 (無効投票) 第10条 次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。 (1) 所定の投票用紙を用いないもの。 (2) ○ 又 は ×の 記 号 以 外 の 事 項 を 記 載 し た も の 。 2 (3) ○ 又 は ×の 記 号 の ほ か 、 他 事 を 記 載 し た も の 。 (4) 白紙投票。 (情報の提供) 第11条 市長は、住民投票の適正な執行を確保するため、庁舎建設に関して、投票 資格者が意思を明確にするために必要な情報を、公平かつ公正に提供する よう努め るものとする。 (投票の促進) 第12条 市議会及び市長は、投票資格者の半数以上の投票を目指し、広報その他の 手段により、投票資格者の投票を促すよう努めるものとする。 (投票運動) 第13条 住民投票に関する投票運動は自由とする。ただし、買収、脅迫その他投票 資格者の自由な意思が拘束され、若しくは不当に干渉され、又は住民の平穏な生活 環境が侵害されるものであってはならない。 2 前項の投票運動の期間は、投票日の前日までとする。 (投票及び開票) 第14条 2 第1条の目的を達成するために、開票は必ず行わなければならない。 前条までに定めるもののほか、住民投票の投票及び開票に関し必要な事項につい ては、規則で定めるところによるもののほか、公職選挙法、公職選挙法施行令(昭 和25年政令第89号)及び 公職選挙法施行規則(昭和25年総理府令第13号) の規定により行われる本市の議会の議員又は長の選挙の例による。 (投票結果の告示等) 第15条 市長は、住民投票の結果が確定したときは、速やかにこれを告示するとと もに、市議会議長にその内容を通知しなければならない。 (投票結果の尊重) 第16条 市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。 (委任) 第17条 この条例に定めるもののほか、住民投票に関し必要な事項は、規則で定め る。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、公布の日から施行する。 (失効) 2 この条例は、投票日の翌日から起算して90日を経過した日にその効力を失う。 3 別記様式(第9条関係) 投票欄 × 二 、 人 設 東 ○ は 計 京 か 規 オ を 模 リ の 記 の ン 他 入 大 ピ は し 幅 ッ 、 て な ク 何 下 見 終 も さ 直 了 書 い し ま か 。 に で な 賛 の い 成 延 で の 期 下 人 と さ は 将 い ○ 来 。 を 人 、 口 反 を 対 勘 の 案 し 、 × 無 効 と な り ま す 。 一 、 上 の 投 票 欄 の 四 角 の 中 に 、 尾 花 沢 市 新 庁 舎 建 設 を 尾 花 沢 市 新 庁 舎 建 設 の 見 直 し を 問 う 住 民 投 票 〔 注 意 〕 平 成 二 十 七 年 執 行 印 (備考) 1 投票用紙の色は白色とし、印刷の文字は黒色とする。 2 規格は縦128ミリメートル、横80ミリメートルとする。 3 投票用紙に押すべき印は、刷り込み印とする。 4 提 案 理 由 地 方 自 治 法 第 7 4 条 第 3 項 の 規 定 に よ り 、尾 花 沢 市 新 庁 舎 建 設 計 画 の 見 直 し に 関 する住民投票条例制定の請求 に意見を附けて付議するため、提案するもの である。 5 地方自治法第74条第3項による意見書 尾花沢市の新庁舎建設計画に関する住民投票条例案(以下「住民投票条例案」という。) は、地方自治法第74条第1項の規定に基づき、新庁舎建設計画の賛否を住民投票で決定 しようとする内容であります。 住民投票は、市議会と市長による代表民主制を基本とする地方自治にあって、これを補 完する制度であります。 住民投票を行うに当たっては、それぞれの事案に応じて投票に付すべき事項、成立要件 などの事項が定められていることが必要です。また、相当な経費を市費から負担しなけれ ばならないことや、市民の皆様に時間と労力をかけて投票をお願いすることになります。 そのため、住民投票を実施した場合には、その投票結果を尊重すべきものとされています。 こうした制度の趣旨に照らして、直接請求の内容については個々に十分に検討し、意見 を付すこととされております。 住民投票条例案を市議会へ提案するにあたり、「新庁舎建設の必要性と緊急性」、「住民 投票条例案に関する疑問点及び問題点」並びに「住民投票条例制定請求の要旨に関する疑 問点及び問題点」の3点について、私の意見を申し上げます。 1.新庁舎建設の必要性と緊急性 (1)東日本大震災を教訓とする地域防災計画の見直しと現庁舎の耐震不足 現庁舎は、1959年(昭和34年)に建築され、既に56年が経過し老朽化が進んで おります。市では、庁舎の建替えに備え、平成7年度から庁舎建設基金を設置し積み立て を行ってまいりました。 この間、バブル経済の崩壊や三位一体改革、さらには新鶴子ダムの建設負担金の償還な ど本市財政にとって大変厳しい状況が続いてきました。 そうした中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、広範囲にわたり甚大な 被害をもたらしました。本市においては、現庁舎のライフラインが寸断し機能が限定され た中での災害対策となり、対応にあたる職員はもとより市民の方にも強い不安感を与える ものとなりました。 この東日本大震災を教訓として、平成25年2月に改定された本市の地域防災計画にお いては、 「本庁舎建設時にあっては、耐震性を考慮した建物とし災害時の防災拠点として対 応可能な防災センターとしての機能を整備し全国瞬時警報システム(J-アラート)や防 災無線の整備を進める。また、備蓄物資や防災資機材を配備するスペースを確保し、多目 的スペースや会議室等を避難所として指定する。」と、見直したところであります。 また、公共施設の耐震化につきましては、市民の生命が 第一と考え、学校や保育園、地 区公民館等を優先して耐震化を図ってきたところであります。 6 こうした公共施設の耐震化の目処が立った 平成25年7月、現庁舎の耐震診断を実施し たところ、国が定める安全基準(Is値0.7)を大きく下回り、震度6強の大規模な地 震が発生した場合、倒壊・崩壊する危険性が高い結果(Is 値0.03)となり、第三者 機関である判定委員会からは、耐震補強も不可能で 建替えが必要と指摘されたところであ ります。 このIs値0.03という判定結果は、全国的にも類を見ない総務省でも驚くほどの低 い数値で、来庁される市民をはじめ、議員、職員の生命を守る観点から極めて重く受け止 めたところであります。 (2)使いやすく便利で、防災機能の充実を望む市民の声 こうした結果を受け、平成25年9月から10月にかけ、庁舎建設に関する住民アンケ ート調査を実施しました。アンケートの素案を検討する過程では、総務文教常任委員会や 全員協議会におきまして、 「建替えを前提にアンケートをすべきではないか。」 「いつ災害が 起きるか分からない。どうしたら早く建設できるのか考えていくべき。」など、議員の皆様 から多くのご意見を頂戴したところであります。 住民アンケートでは、使いやすく便利な庁舎は勿論のこと、庁舎を防災拠点とし、避難 所機能を併せ持った施設を望む声が多く寄せられたところであります。万一の災害時に司 令塔となり、避難所となる庁舎は極めて重要な役割を担う施設であると考えております。 (3)新庁舎建設の検討経過 平成26年1月、自治組織や商工農林団体、消防団、身障者団体、介護福祉、子育て世 代、市議会などの各代表者と、アドバイザーとして2名の大学教授からなる庁舎建設検討 委員会を設置し、住民アンケートで得られた回答結果をたたき台として、新庁舎のあり方 について幅広く協議を重ねてまいりました。 検討経過については、市報や市ホームページでお知らせするとともに、委員会での会議 資料や会議録をホームページに掲載し情報提供に努めて きました。また、パブリックコメ ントの実施や議会の皆様からもその都度ご意見を賜りながら 計画へ反映させ、同年8月、 庁舎建設基本計画を策定したところであります。 議会におきましては、これまで、新庁舎建設に関して総務文教常任委員会を15回、全 員協議会を14回開催し、本会議におきましても一般質問や総括質疑の折に 市の考えを申 し上げてまいりました。また、平成27年度当初予算では、新庁舎関連予算を含む予算案 をご可決いただき、新庁舎建設事業に対する議会としての意思をお示しいただいたものと 認識しております。 7 (4)財政の健全化 新庁舎建設は、市にとって半世紀に一度の大きな事業であります。来庁される市民はも とより、議員、職員の生命を守ることは何よりも大事でありますが、同時に、建設費用に 係る後年度負担を軽減し、引き続き健全な財政運営 を堅持することも重要であります。 これまで市では、平成3年から始まった新鶴子ダム 建設事業に係る償還金を、毎年4億 5千万円ずつ25年間返済してきました。この償還金が財政状況を示す実質公債費比率や 将来負担比率に大きく影響してきたことで、実質公債費比率が18.0ポイントを超え、 起債する場合は国及び県の許可が必要でありました。しかしながら、平成26年度決算で は15.6ポイントと起債許可団体からも脱却し、 新鶴子ダム建設事業に係る償還金の返 済も平成27年度をもって完了することになります。 このように時間をかけ議員の皆様とも議論を重ね、市民のご理解を得ながら、財政の健 全化に努めてきたところであります。 (5)防災拠点となる新庁舎の必要性と緊急性 マグニチュード9.0という観測史上最大規模の地震により、甚大な被害をもたらした 東日本大震災以降、日本各地において、大規模な地震が多発しております。また、昨年の 御嶽山の噴火や、つい最近の阿蘇山の噴火、さらには箱根山や口永良部島などの火山活動 も活発化しております。さらに、先の北関東・東北南部を中心とする豪雨では、本市初の 避難勧告を発令するにいたったところであります。 災害は、いつ起きるか分かりません。そのためにも、災害に対して万全の備えを期す必 要があり、庁舎には防災拠点としての重要な役割が求められます。市民の生命を守るため 庁舎の早期建替えは、行政と議会に課せられた喫緊の課題であると考えております。 地方自治制度の根幹をなす議会制民主主義は、市民の皆様から付託を受けた議員の皆様 と行政が協調し、市民の幸せを第一に考えていくものであります。 新庁舎建設につきまし ては、今後とも議員の皆様からご意見を賜り、ご理解を得ながら進めてまいりたいと考え ております。また、これまでと同様、市民の皆様とも意見交換の場を設け、ご理解を得な がら進めてまいる所存であります。 2.住民投票条例案に関する疑問点及び問題点 次に、住民投票条例案について、条文に沿って疑問点及び問題点を3点申 し上 げま す。 (1)住民投票に付する事項「新庁舎建設の延期と設計規模の縮小」について まず、住民投票条例制定請求の要旨の中では、「東京オリンピック終了まで新庁舎建設 の延期」、「将来人口を勘案した設計規模の大幅な縮小」、「行政機能の分散化によるリスク 分散と分庁舎の充実」と、3点について請求理由が記載されております。 8 本条例案第2条第1項では住民投票に付する事項として、「新庁舎建設の延期と設計規 模の縮小の賛否」の2点についてのみ記載されており、行政機能の分散化については、住 民の判断を求めない内容となっています。 第2条第2項では、「住民投票は、住民の自由な意思が反映されるものでなければなら ない。」と記載されています。そのためには、2つの事案に対して住民の意思が明確に反映 される内容でなければなりませんが、第9条第1項及び別記様式では、個々の事案を一括 して賛否を問う形となっているため、2つの事案に対する判断が異なる場合、住民の意思 を反映できる内容とはなっていないものと考えます。 (2)住民投票の成立要件について 次に、本条例案には、住民投票の成立要件に重要な投票率に 関する規定がありません。 第12条では、「市議会及び市長は、投票資格者の半数以上の投票を目指し、」と記載され ていますが、住民投票条例制定請求の要旨の中では、「全市民に真意を問う必要性がある」 と記載されています。第16条では、 「市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなけれ ばならない。」と記載されていることを合わせて考えますと、住民投票には、直近の市議会 議員選挙や市長選挙の結果を参考にするなど、最低投票率の要件を定めるべきと考えます。 新庁舎建設事業という大きな政策を選択するにあたり、 議会制民主主義を補完する住民 投票を実施し、その結果を住民の総意として市議会及び市長が尊重するためには、 あらか じめ定めた投票率を超えるものでない限り、大きな矛盾が生じるものと考えます。 (3)住民投票に関し必要な事項について 3点目として、第17条で「住民投票に関し必要な事項は、規則で定める。」と記載さ れております。本条例案では、規則に具体的に何を委任するのか、また、市が何を規則で 定めることとなるのか判断できない内容であると考えます。 3.住民投票条例制定請求の要旨に関する疑問点及び問題点 次に、住民投票条例制定請求の要旨について 、疑問点及び問題点を 3点申 し上 げま す。 (1)資材高騰等を理由とする東京オリンピック終了までの延期について 本請求では、「東京オリンピック終了まで新庁舎建設の延期」、「将来人口を勘案した設 計規模の大幅な縮小」、「行政機能の分散化によるリスク分散と分庁舎の充実」 の3点を住 民投票条例制定請求の本旨としております。 まず、資材高騰等を理由とする平成32年(2020年)の東京オリンピック終了まで の延期については、その根拠が明確に示されておりません。近年、建築資材や労務単価が 高騰していることは承知しておりますが、今後とも上昇するのか高止まりのまま推移する 9 のか、現段階では判断できないところであり、東京オリンピック以降に市場動向が下降に 転じる保証もありません。 また、庁舎建設財源として、国庫補助金や交付税措 置のある有利な地方債、庁舎建設基 金繰入金などを考えております。特に、防災センター機能に活用できる緊急防災・減災事 業債は、元利償還金の7割が交付税措置される有利な地方債でありますが、現行法では、 平成28年度までの時限措置となっており、後年度に事業が延期されれば、この地方債が 活用できず、市の将来負担が増加することになります。また、保健センター機能に活用で きる過疎対策事業債も平成32年度までの時限措置となっており、緊急防災・減災事業債 と同様に、将来負担が増加することになります。さらには、平成29年4月以降は、消費 税率10%へ移行することも予定されている ところであります。平成27年6月に閣議決 定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」いわゆる「骨太の方針」では、地方 の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額について、平成30年度(2018年度)ま で、平成27年度の水準を下回らないよう同水準を確保する旨明記されておりますが、そ れ以降については不透明な状況であります。 以上のことから、具体的な根拠を示さず、平成32年(2020年)の東京オリンピッ ク以降へ延期という主旨には、疑問が残ります。 これまで建設時期については、議会の皆様と 十分協議し判断してまいりたいと申し上げ てきました。市民の生命を第一に考え、その上で市の財政状況や国の財政計画、市場動向 も加味しながら、建設時期については行政と議会の責任において判断すべきものと考えま す。 (2)将来人口を勘案した設計規模の大幅な縮小について 将来人口を勘案した設計規模の大幅な縮小についてでありますが、庁舎建設基本計画で お示ししているとおり、新庁舎建設にあたっては、将来動向を見据え身の丈に合った庁舎 を基本としております。職員数や議員定数の将来動向はもとより、 議会機能も含め全庁的 にスペースの共用化を図ることによって、コンパクトな庁舎を目指してまいりたいと考え ております。 将来人口の推移は重要な指標のひとつではありますが、バリアフリー化や 窓口のワンス トップ化による市民の利便性の向上、市民団体等の活動の場や誰もが気軽に利用できる憩 いの場といった市民交流スペースの配置など、誰もが使いやすく便利な庁舎とすることも 重要であると考えます。 また、庁舎は市民の生命を守る防災拠点であります。新庁舎では防災センター機能を新 たに整備する計画でありますが、例えば防災研修室については自主防災組織等の防災研修 や講習会、休日・夜間の市民団体等への一般開放、さらには災害時の一時避難スペースと して活用できるよう配置し、市民に開かれた公共的な機能も付加してまいりたいと考えて 10 おります。そうした観点から将来人口も含め、多角的な視点で検討すべきものと考えます。 (3)行政機能の分散化によるリスク分散と分庁舎の充実について 行政機能の分散化によるリスク分散と分庁 舎の充実についてでありますが、災害時には 指揮命令系統の一元化を図り混乱を招かないことが最も重要であると考えます。行政機能 の分散化は、リスク分散には一定の効果があると思われますが、指揮命令や情報収集・伝 達の一元化を考えた場合には疑問が残ります。また、空き公共施設や本町地区の空地利用 等を提案されておりますが、空き公共施設で耐震性が確保されている施設は市街地にござ いません。また、本町地区の空地についてでありますが 、市有地は面的にまとまった用地 を確保することが困難であり、民地については用地取得に多大な費用が必要となります。 地方自治法第4条第2項に規定する 庁舎の位置については、「住民の利用に最も便利で あるように、交通の事情、他の官公署との関係等に ついて適当な考慮を払わなければなら ない。」とされております。 住民アンケートでも、現庁舎の位置が約6割の方が利用しやすいと回答されており、使 いにくいとする回答は1割に満たない結果でありました。 庁舎建設基本計画では、建設場所について住民の利便性を第一に考え、現庁舎の東側駐 車場を選定したところであります。行政サービスの一元化による住民の利便性の観点から 考えると、行政機能の分散化は、住民の負担を増加させ、さらには、施設の維持経費も嵩 むことが懸念されます。 以上が住民投票条例案に関する意見でありますが、 市としては、新庁舎建設という重要 な事業を地方自治制度の根幹をなす議会制民主主義の中で、 これまで通り、市民の付託を 受けた議員の皆様からご意見を賜り、ご理解を得ながら進めてまいりたいと考えておりま す。さらには市民の皆様ともこれまで同様、意見交換の場を設けてまいり ますので、新た に「新庁舎建設計画に関する住民投票条例」を制定して住民投票を実施する必要はない も のと考えるものであります。 平成27年10月1日 尾花沢市長 11 加 藤 國 洋
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