大豆由 新規トコトリエノールエーテル誘導体の抗中皮腫作用 矢野 友啓

東洋大学研究シーズ集 2015~2016
医療・福祉・食品・健康
新規トコトリエノールエーテル誘導体の抗中皮腫作用
研究
新規トコトリエノールエーテル誘導体が強力な抗中皮腫作用を持つことを示した。
概要
食環境科学部 食環境科学科
矢野 友啓
教授 Tomohiro Yano
研究キーワード:中皮腫 抗がん剤耐性改善 トコトリエノール誘導体
URL: http://researchmap.jp/read0004018
医療・福祉・食品・健康
研究シーズの内容
H28 細胞に対して生理的濃度範囲(シスプラチンが無効な濃度範囲)で、T3E は濃度依存的に
顕著な増殖抑制効果を示したが、この濃度範囲ではヒト正常中皮細胞には顕著な影響を示さなか
った。T3E の H28 細胞増殖抑制作用については、予測された強力な Src 阻害作用が認められ、そ
の作用は主に Src 阻害による G1 期停止が関与していることが判明した。しかし、T3E の作用は、こ
の G1 期停止に加えて、G2/M 期停止と顕著なアポトーシス誘導が関与していることが判明した。この
T3E の増殖抑制作用のうち、G2/M 期停止と顕著なアポトーシス誘導に関与するシグナル伝達系の
特定を試みたところ、G2/M 期停止に関しては、Src に依存しない(IL-6 依存)Stat3 活性化抑制が、
アポトーシス誘導には Src と Stat3 活性化抑制がそれぞれ関与していることが明らかになった。
このように、T3E は中皮腫細胞の悪性形質発現に関与する重要な複数のシグナル分子の伝達系
を同時に抑制することにより、顕著な細胞増殖抑制作用を発揮していることが推測され、従来の抗
がん剤とは異なる作用により、抗中皮腫剤として機能することが示された。すなわち、T3E は新規抗
中皮腫剤として有望と考えられる。
トコトリエノール(T3)の抗酸化部分をブロック
T3E は HMG-CoA 還元酵素を抑制して
することで、生体内での安定性を増強
コレステロールの生合成を阻害
トコトリエノール(T3)
安定化
エーテル誘導体(T3E)
HMG-CoA還元酵素の活性 / %
100
抑制
図 肺がん細胞におけ
50
る HMG-CoA 還元酵素
の活性に対する T3E の
影響
0
基準
T3
活用例・産業界へのアピールポイント
癌予防・治療、サプリメント・薬品業界
特記事項(関連する発表論文・特許名称・出願番号等)
Tocotrienol 誘導体およびそれを用いた医薬品 特開 2004-323478
24
T3E