新しい作用機序を持ったプロトンポンプ阻害剤

年 月にプロトンポンプ阻害薬 (
ン (タケキャブ /武田薬品)
) として新しく
が薬価収載となりました。 ボノプラザンはカリウムイオン競
合型アシッドブロッカー (
) という新しい作用機
序を持った薬剤ですが, 分類は
ラザンと従来の
品
分
名
名
メ ー カ ー 名
規
格(
に位置づけられています。 今回, 薬価収載となったボノプ
について比較してみました。
表
商
成
ボノプラザ
用法, 用量, 代謝, 活性比較
ネキシウム
オメプラール
タケプロン
エソメプラゾール オメプラゾール ランソプラゾール
第一三共
アストラゼネカ
武田薬品
アストラゼネカ
パリエット
ラベプラゾール
タケキャブ
ボノプラザン
エーザイ
武田薬品
日の
服 用
回 数
)
逆 初期治療 (最長 週間)
流
性
再発・再燃を繰り返す維
食
持療法
道
による治療で効果不十
炎
分な場合(さらに 週間まで)
効 非びらん性胃食道逆流症
(最長 週間まで)
投与時における胃潰瘍
能 又は十二指腸潰瘍の再発抑制
低用量アスピリン投与時に
・ おける胃潰瘍又は十二指腸
潰瘍の再発抑制
胃潰瘍, 吻合部潰瘍
効 (最長 週間まで)
十二指腸潰瘍
果 (最長 週間まで)
症候群
の除菌補助
(一次除菌)
剤を 日 回 日間
の除菌補助
(二次除菌)
剤を 日 回 日間
薬物代謝酵素
胃酸による活性
薬価 (円)
病状が著しい場合は
∼
∼
―
―
効果不十分の場合
(通常 週間)
効果不十分の
場合は 週間
効果不十分の場合
×
重度の場合 ×
―
―
回
―
回
回
回
効果不十分の場合
病状が著しい場合は
回
―
―
―
回
※吻合部潰瘍は
含まれません
回
―
回
+
アモキシシリン
回
+
クラリスロマイシン
+
アモキシシリン
主に
必要
回
+
メトロニダゾール
主に非酵素的還元反応
必要
∼
回
回
主に
必要
主に
必要
◎用量は 回量, 単位は
鹿児島市医報
第
巻第 号 (通巻
号)
(平成
年)
回
主に
必要としない
医療トピックス
胃酸分泌は胃体部の胃底腺にある壁細胞で行われます。 壁細胞における胃酸分泌の最終段階
はプロトンポンプ (
+
,
+
) という酵素が担っています。 プロトンポンプは壁細胞内
の細胞内分泌細管において細胞外から
働きをしています。 分泌された
従来の
+
を取り込むことによって,
+
は胃の管腔にある
を胃の管腔に分泌する
−
と結合して胃酸となります。
はプロドラッグ製剤であり, 細胞内分泌細管において酸により活性体 (スルフェ
ンアミド体) となります。 この活性体がプロトンポンプの
合) をすることでプロトンポンプの働きが阻害され,
一方ボノプラザンは細胞外の
阻害され
+
+
+
基と非可逆的な共有結合 (
結
の分泌が抑制され胃酸が減少します。
と競合結合することで,
+
のプロトンポンプへの取り込みが
+
の分泌が抑制され胃酸が減少します。 この作用機序をカリウムイオン競合型アシッ
ドブロッカー (
) といいます。 従来の
は酸に不安定であるため, 一部のプロトンポン
プしか阻害できず, 作用発現するのに数日を要していましたが, ボノプラザンは酸に安定なた
め, 細胞内分泌細管に長時間残存して, プロトンポンプを阻害することから作用発現が早いと
いう特徴があります。 また従来の
は酸に不安定であるため腸溶性製剤などの製剤的工夫が
必要でしたが, ボノプラザンはそのような製剤的工夫も必要ありません。
の代謝には肝臓薬物代謝酵素チトクローム
には遺伝子多型があるため,
とが知られています。
の多くは
の
と
が関与しています。
で代謝される薬剤は効果に個人差が生じるこ
で代謝されていますが, ボノプラザンは主に
で代謝されているため個人差がでにくいということも特徴となっています。
【参考資料】各社添付文章, インタビューフォーム
(鹿児島市医師会病院薬剤部
第
平田
りか)
回記念鹿児島市医師会親善ゴルフ大会の開催について ………………………………・
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