もう少し、官製相場に期待

しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp
投資環境
2015 年 10 ⽉ 16 ⽇
もう少し、官製相場に期待
1.⽇銀は前倒しで、ETF、Jリートを買⼊れ
⽇銀の、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(Jリート)に対する買いの⼿がやや鈍って
きています。今年の買⼊額は、10 ⽉ 15 ⽇時点で、ETFは年 3 兆円の買⼊⽅針に対し 2 兆 5,241 億円、J
リートは年 900 億円の買⼊⽅針に対し 790 億円(図表 1、2)。10 ⽉ 15 ⽇時点の年初からの進捗率は、⽇数
ベースで 78.9%経過に対し、ETFは 84.1%、Jリートは 87.8%に達しています。
ETFは、これまで前場の騰落率がマイナス 0.15%を超える⽇には、必ず⽇銀の買⼊れが実施されてきま
したが、前場に 0.54%下落した 10 ⽉ 8 ⽇、0.75%下落した 10 ⽉ 13 ⽇でも、⽇銀の買いが⼊らず、⽇銀の
買⼊れの基準が⾼くなっている模様です(図表 3)。前場に 2.3%下落した 14 ⽇に買⼊れが実施されました。
Jリートについては、前場にマイナス 0.2%を超える下落となった⽇には、昨年 9 ⽉から今年の 4 ⽉までは、
すべての営業⽇で買⼊れが実施されてきました(図表 4)。しかし、今年 5 ⽉以降、買⼊れの基準が不明確に
なり、10 ⽉は、前場に 0.54%下落した 13 ⽇にも買⼊れが⾒送られ、前場に 1.57%下落した 15 ⽇にようや
く買⼊れが実施されました。
年末までの買い余⼒はETFで 4,759 億円、Jリートで 110 億円。直近の 1 回当たりの買⼊額を基準にす
ると、それぞれ 14〜15 回、9 回程度の買⼊れを実施する枠が残っているとはいえ、今⽉ 30 ⽇の⽇銀政策決
定会合での追加緩和(買⼊額の拡⼤)が期待されている状況です。
図表1. ⽇銀によるETF買⼊れ
(億円)
図表2. ⽇銀によるJリート買⼊れ
(億円)
30,000 900 25,000 買入れ累計
800 買入れ累計
平均買入れペース
700 平均買入れペース
20,000 600 500 15,000 400 10,000 300 5,000 200 100 15/12
15/9
15/8
15/7
15/6
15/5
15/4
15/3
15/11
(年/⽉、⽇次)
(出所)日銀よりデータ取得し、しんきん投信作成
図表3. ⽇銀によるETF買⼊れ⽇数
図表4. ⽇銀によるJリート買⼊れ⽇数
前場の騰落率<-0.15%
(⽇)
15/10
(年/⽉、⽇次)
(出所)日銀よりデータ取得し、しんきん投信作成
15/2
0 15/1
15/12
15/11
15/10
15/9
15/8
15/7
15/6
15/5
15/4
15/3
15/2
15/1
0 前場の騰落率<-0.2%
(⽇)
前場の騰落率<‐0.15%となった日数
(出所)Bloomberg、⽇銀よりデータ取 得し、しんき ん投信 作成
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
前場の騰落率<‐0.2%となった日数
15/9
15/7
15/5
(年/⽉、⽉間)
日銀の買入れ日数
15/3
15/9
15/7
15/5
15/3
15/1
14/11
14/9
14/7
14/5
14/3
14/1
0
15/1
2
14/11
4
14/9
6
14/7
8
14/5
10
14/3
12
14/1
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
14
(年/⽉、⽉間)
日銀の買入れ日数
(出所)Bloomberg、⽇銀よりデータ取 得し、しんき ん投信 作成
Shinkin Asset Management Co., Ltd
1
投資環境
2015 年 10 月 16 日
しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
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2.もうしばらく、公的年⾦の買い⽀えへの期待も
⽇銀の買いの⼿がやや鈍ってきている⼀⽅、市場では年⾦積⽴⾦管理運⽤独⽴⾏政法⼈(GPIF)など公
的な資⾦による、国内株式などへの投資への期待がくすぶっています。
公的年⾦は、運⽤⽅針の⾒直し(国内債券の割合を引き下げ、国内株式、外国証券の割合を引き上げる)前
までは、資産割合を維持するために、資産価格が上昇すると割合を減らすために売り、下落すると買う、典型
的な逆張りの投資家でした(図表 5)。ただ、運⽤⽅針の⾒直しを受け、2014 年 4 ⽉以降は、株式相場の上
昇をけん引しました。年⾦資⾦が経由する信託銀⾏の売買動向をみると、相場に左右されず、買い越しが続い
たことが窺えます。
もっとも、今年の 3 ⽉末にはGPIFが保有する国内株式の⽐率は 22%まで上昇し、⽬標とする 25%に近
付いたことから、4-6 ⽉期は⼤きな買⼊れをせず、ほぼ相場の上昇に任せる運⽤となった模様です。8 ⽉以降
は、相場の下落に伴い、再び買い主体になっているとみられます。
GPIFの国内株式の割合は、6 ⽉末には 23.4%まで上昇しましたが、直近では 22%強まで低下している
可能性があります(図表 6)。下落局⾯では、低下した国内株式の割合を引き上げるための買いに動くことに
加え、⽬標とする 25%まではまだ買い余⼒が残っています(図表 7)
。国内株式の割合が 25%に到達する⽬
処がつくまでは、相場の押し上げ役としての公的資⾦への期待も、国内市場を⽀えます。
(10億円)
図表5. 信託銀⾏の売買と株価の動き
(円)
22,000 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 信託銀行売買(左目盛)
15/9
15/5
15/1
14/9
14/5
14/1
13/9
13/5
13/1
12/9
12/5
12/1
11/9
11/5
4,000 11/1
売り越し ← → 買い越し
800 700 600 500 400 300 200 100 0 ‐100 ‐200 ‐300 ‐400 ‐500 (年/⽉、週次)
日経平均株価(右目盛)
(出所)Bloomberg、⽇銀よりデータ取 得し、しんき ん投信 作成
図表7. GPIFの買⼊れ余⼒(試算)
図表6. GPIFの資産構成割合推移
(年⾦積⽴⾦全体)
60%
国内債券
50%
40%
(35%)
30%
(25%)
20%
国内債券
国内株式
国内株式
外国株式
(15%)
外国債券
外国債券
10%
短期資産
15/9
15/6
15/3
14/12
14/9
14/6
14/3
13/12
13/9
13/6
13/3
0%
(年/月)
(注)直近は試算値
(出所)GPIFの資料を基に、しんき ん投 信作成
外国株式
2015年6⽉末
基準
10⽉15⽇基準
-5.9兆円
-7.9兆円
〜 -4.2兆円
1.1兆円
〜 2.3兆円
2.1兆円
〜 2.8兆円
2.7兆円
〜 3.9兆円
〜 4兆円
1.5兆円
〜 2.2兆円
3.6兆円
〜 4.7兆円
(注)「積⽴⾦全体の資産額に対して求めた、基本ポート
フォリオに対応する資産額との差」および「短期資産を除いた
資産残⾼に対し求めた、基本ポートフォリオに対応する資産
額との差」を試算
(出所)GPIFの資料を基に、しんきん投信作成
(シニアストラテジスト
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
〜 -6.2兆円
2.8兆円
鈴⽊和仁)
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