11-1-018-0131 木下 達也 京都の現状と展望 ~京野菜は京都の顔に

11-1-018-0131
木下 達也
京都の現状と展望
~京野菜は京都の顔になりえるか~
ⅰ
調査目的
本稿では、「京野菜」
、特に京都の名産品とされるものについての現状と市場展開につい
て調査し、それらがこれからどうあるべきかを考察する。
ⅱ
調査概要
京野菜といえば、文字通り京都で生産された野菜を指す。今回はその中でも伝統野菜、
ブランド野菜と呼ばれる類のものに限定し調査を行う。これらの現状における課題を順に
述べていくと、(1)府内での京野菜シェアの拡大(2)京野菜の本格的な全国展開、などがあ
げられる。これらの課題に対して、本稿では(1)漬物、惣菜などの加工品としての需要拡大
(2) 「京都産」を全面的に打ち出した、新たな流通・販売戦略(3) 観光客等他県からの来
訪者に京野菜の魅力をアピールという立案を行った。
ⅲ
調査手段
始めに、京野菜に関連した語句をもとに、ポータルサイト「Yahoo!」の検索エンジンに
おいて検索を実施、サイトの概要閲覧を行い、役立つと思われるサイトを選別した。
続いてそれらのサイトにおいて記事や資料の閲覧を行い、課題と対策及び効果の整理を
行った。
ⅳ
調査計画
以下の通りのスケジュールで調査を実施した。
情報源の抽出
記事の整理
考察
ⅴ
6月15日 6月16日 6月17日 6月18日 6月19日 6月20日
*
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調査内容
ⅴ-1 情報源
京野菜についての現状と市場展開などについて調査を行うため、
「京野菜」
「京マーク」
「特
産」
「伝統」
「宣伝」
「現状」
「展望」などのキーワードをもとに、
「Yahoo!」の検索エンジン
において検索を実施。AND 検索も活用しある程度検索結果を絞り込んだ後に、サイトの概
要閲覧を行い、参考になるサイトを選別した。(添付資料1を参照)
ⅴ-2 記事の整理(情報分析)
今回選別したサイトにおいて、記事および資料の概要閲覧を行い、京野菜の現状と市場
展開にかかわる情報で、テーマにあうと考えられる記事について整理を行った(添付資料2
を参照)。また、課題-対策-効果の三つのプロセスについて整理すると以下のようになっ
た。
課題
対策
効果
漬物、惣菜など
加工品としての
府内での京野菜
需要拡大
地元で京野菜が
日常的に食べら
のシェア拡大
れる
「京都産」を全
面的に打ち出し
た、新たな流
通・販売戦略
「みやげもの」と
京野菜の本格
しての京野菜
的な全国展開
観光客等の来
訪者に京野菜の
魅力をアピール
上記の整理を踏まえ、本稿では府内での京野菜シェアの拡大、京野菜の本格的な全国展開
を課題として主に考察した。
ⅴ-3 考察(情報立案)
本稿では、京野菜についての情報を明確化する為の対策のテーマとして、表作成法を使
用し、情報立案を試みた。そして、京野菜についての情報を明確化する為の方法を考えて
ゆくと以下のようになった。
府内でのシ
ェア拡大
対策
若者向けの雑誌
などで紹介
料理教室の
開催
みず菜に次ぐ主
力商品の育成
全国展開
安全と安心にこ
だわった、確か
なモノづくり
これらの具体的対策について、効果・時期・実現性の評価を行い、以下の対策を優先させ
ることを提案する。ただし、この提案については、様々な課題があり、今後精査していく
必要がある。
① 若者向けの雑誌などで紹介
・主体:出版社、各レストラン、情報通信会社
・時期:できるだけ早めに
・場所:京都府内
・方法:出版社と京野菜を使ったレストランの提携により、若者離れしている京野菜の
シェアを高めてゆく。元々の消費量が低い分、伸び代は高いと思われる。
・効果:大きい
② 安全と安心にこだわった、確かなモノづくり
・主体:京野菜農家、京都府の地方自治体、新聞社等
・時期:できるだけ早めに
・場所:京都府内
・方法:京都独自の種子や栽培方法にこだわった「京都こだわり農法」による安心・安
全な栽培を全面的にピックアップ、質の高い全国ブランドとして一層の品質と信頼感向
上を図る。
・効果:非常に大きい
このような宣伝戦略は、地元で京野菜が一般化し、日常的に食べられるようになるとと
ともに、栽培方法などにこだわることにより京野菜のブランド性を高め、これまで以上に
広く全国に知られていくようになる。
また、京野菜の「ブランド化」が進むことにより、消費者の「本物志向」を充足させる
事が出来、より一層のシェア拡大に繋がると思われる。
しかし、調査した内容によれば、ブランドは伝統にこだわりすぎると発展がないので、新
しいブランド商品を作っていくことも必要などの意見もあり、従来の京野菜以外にもさら
に多くの伝統またはブランド野菜を選定することも今後の課題となるだろう。
以上
添付資料1:役立つサイト
① 京都府ホームページ
出所名:京都府庁
URL:http://www.pref.kyoto.jp/index.html
概
要:京都府庁のホームページ。府政情報、教育、産業、地域振興などのコンテン
ツがあり、府内のタイムリーな情報提供がなされている。京都のローカルな情報を調
査する際に利用するとよい。
② 都市農研・watching
出所名:都市農業研究会
URL:http://www.geocities.co.jp/NatureLand/3252/watch.htm
概
要:都市農業研究会のHP。掲載された情報は少し古いものの、京野菜について
の詳細な調査がなされている。
③ JA京都「京野菜」
出所名:JA京都
URL:http://www.jakyoto.com/jakyoto/kyoyasai/index.html
概
要:JA京都のコンテンツの一つ。伝統野菜の定義や、ブランド野菜の選定基準
など、京野菜の基本情報が記されている。
④ 勝ちスポ
出所名:エヌエフコーポレーション
URL:http://www.kachispo.com/
概
要:普段とは一味違ったニュースを提供する、自由層向けの情報サイト。
エンターテイメント向けの情報が多い。
⑤ さいさい京野菜倶楽部
出所名:公益社団法人 京のふるさと産品協会
URL:http://kyo-furusato.jp/
概
要:京都産農林水産物の販売促進を行う社団法人の京野菜に関する総合サイト。
京野菜について詳しく書かれており、イベント情報なども掲載されている。
⑥ FUJIME
出所名:京都大学
URL:http://www.bio.kpu.ac.jp/veglab/FUJIME-J.html
概
要:京都府立大学名誉教授、藤目幸擴のホームページ。とれたての京野菜の写真
などが掲載されている。
⑦ 京野菜 –wikipedia出所名:ウィキペディアジャパン
URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%87%8E%E8%8F%9C
概
要:フリー百科事典ウィキペディアの一項目。京野菜についての基本的な情報が
記されている。
⑧ ざ・京都
出所名:ざ・京都
URL:http://www.the-kyoto.jp/
概
要:京都観光のためのサイト。京野菜のみならず他のものについても特集されて
いる。
⑨ 京野菜かね正
出所名:かね正青果株式会社
URL:http://www.kyoyasai.co.jp/index.html
概
要:京野菜を通信販売しているサイト。京野菜それぞれの情報が詳細に掲載され
ている。
⑩ 安全と安心をお届けする京野菜
出所名:JA全農京都
URL:http://kyoyasai.kt.zennoh.or.jp/
概
要:JA全農京都による京野菜のページ。季節別に取れる京野菜の情報を掲載。
添付資料2:記事整理
① 「京野菜」はただのブランド野菜か?-京マーク出所名:エヌエフコーポレーション
URL:http://www.kachispo.com/k/1587/
時
期:不明
タイトル:京都ブランド「京野菜」名前に負けない味と歴史
概
要:京野菜とは、名前のみならず実際に少し変わった野菜である。都・京都では、
海の離れた京都では、宮廷料理や精進料理に使うための良質の野菜が求められ、そのため
に生まれたのが京野菜である。現代市場向け商品としての品種改良はされておらず、昔な
がらのやり方で栽培されているので、味だけでなく栄養面でも一般的な野菜を上回るもの
が多いといわれている。変な形=京野菜と思われがちだが、実際ははっきりとした規定を持
っている。そして、1987 年に「明治以前の導入の歴史を有する。京都府内全域を対象とす
る。たけのこを含み、キノコ類、シダ類を除く」などといった定義に合う 41 品目を、京の
伝統野菜と定めた。そして、京都府・京都市・JA・流通業界によって作られたブランド
認証審査会によって「優れた品質が保証され、一定の生産量があって市場流通が可能なも
の」という条件のもと、定められたのが『京のブランド産品』、つまり「京マーク」のつい
た野菜である。
② ブランド京野菜等倍増戦略
出所名:京都府庁
URL:http://www.pref.kyoto.jp/brand/resources/11710054.pdf
時
期:平成1 4 年1 2 月
タイトル:ブランド京野菜等倍増戦略
概
要:
事実
課題
対策
効果
京野菜の人気が
他府県産京野菜と
「京都こだわり農法」の基本
「京都こだわり農
高く、他府県産の
の違いを明確化す
に「土づくり」を位置づけ、
法」による安心・
京野菜が増加
ること
「京都こだわり農法」の栽培
安全な栽培が10
技術等の普及・定着、環境に
9のブランド産地
やさしい持続的な栽培を実
で定着
現。また、京野菜の栄養性の
研究も進める。
「食」への信頼感
京都産の京野菜に
消費者や流通関係者からの信
こだわり栽培によ
の低下と安心・安
対する信頼感を向
頼を高めるため、産地栽培方
り、高い品質と厳
全な農作物への
上させる
法等についての情報を提供で
選された規格を持
きるようにする。また、学校
つ京野菜だけをブ
給食での京野菜の利用によ
ランド認証し、京
り、子供達への味覚の定着を
マーク品とするシ
図るとともに、消費者からの
ステムを構築。
期待
信頼を獲得する。
「京マーク」の浸
ブランドイメージ
全国に向けて京野菜の魅力を
「旬の京野菜提供
透が不十分
の浸透を図るとと
発信するとともに、観光産業
店」を25店追加
もに、「京マーク」 等との連携を進め、消費者流
認定し、観光産業
の知名度向上を図
通者に京マークの知名度向上
との連携を強化
る
に向けた取組を行う。
③ ブランド京野菜等倍増戦略第2次プラン
出所名:京都府庁
URL:http://www.pref.kyoto.jp/brand/1173406491320.html
時
期:平成18年
タイトル:ブランド京野菜等倍増戦略第2次プラン
概 要:
事実
課題
対策
効果
京野菜人気が高
首都圏等におい
安心・安全で高品質な京野
ブランド産地におけ
まる中、首都圏の
て、京都産を前面
菜を安定して生産・出荷で
る計画的な定量生
みず菜を中心に、 に打ち出した、新
きる体制を確立し、首都圏
産・出荷体制を確立
大きな競合産地
たな流通・販売戦
等では、他県産との違いの
するとともに、共同
の追い上げは激
略の展開による、
明確化を図り、京都産を前
販売体制等の整備を
しく、他県産京野
一層の需要拡大が
面に打ち出した、新たな流
すすめ、安定供給と
菜が急増。
必要。
通・販売戦略を構築し、ブ
有利販売
ランド力の強化と需要拡
大を目指す。
ブランド京野菜
全国ブランドとし
高級感のあるイメージを
等は、首都圏を中
ての地位を維持・
分かりやすく伝えるため、 野菜の信頼感が高ま
心に、季節感と高
強化するには、よ
ブランド産品だけが使用
級感のある、おい
り安心・安全で、
できる出荷袋にデザイン
しいブランドイ
栽培方法にこだわ
を変更するなど、ブランド
メージが浸透し、 った「確かなもの
「質の高い全国
づくり」をすすめ、
ブランド」として
一層の品質と信頼
高い評価が定着。 感向上を図る。
管理の改善を図る。
消費者のブランド京
る。
添付資料3
三分法による対策立案
1.みず菜に次ぐ主力商品
1.新たなブランド品目
2.一般食材としての需要増加が見込め
る品目を京野菜に
3.新品種の導入や規格の見直し
1.こだわり農法の技術水準の向上
京野菜の全国
展開
2.京都産京野菜のブランド力
の強化
2.消費者に対するブランド京野菜の信頼
感を高める
3.京マークのさらなる普及
1.土産物用商品の開発
3.観光者への京野菜の宣伝
2.従来製加工品のアピール
3.京野菜を使った料理の試食会を実施