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1. 制振遮音ボードSP-4Dによる工場等外壁の遮音性能改善例
2.「平成27年度防音勉強会」
─防音対策の初歩─
[質問回答]
3.「平成27年 音響基礎講習会」
報告
1. 制
振遮音ボードSP-4Dによる工場等
外壁の遮音性能改善例
東邦亜鉛㈱
3. 角波鋼板の音響透過損失
従来,工場の外壁には波形スレートが多く用いられ
てきましたが,現在新築で採用されることは減り,代
わりに耐食性が改善された角波鋼板や,金属板と金属
板との間に断熱材を配置した断熱複合板が利用されて
います.これらの材料は,押出成形セメント板やALC
1. はじめに
今回は,騒音に関する苦情件数の中でも件数の多い
工場の外壁で利用されている材料の中から,
「角波鋼
板に比べて軽量で取付が容易など,比較的施工性に優
れている半面,軽量であるがゆえに音響透過損失は小
さくなっています.
板」を使用した外壁構造の遮音性能と,弊社製品であ
80
る
「制振遮音ボードSP-4D」を利用した遮音性能の改善
例を示します.
品名:制振遮音ボード SP-4D
材質:石 膏ボードt=12.5mm+制振遮音板
(アスファ
ルト基材)
t=4mm
サイズ:t=16.5mm×910mm×1820mm
面密度:約20.4㎏/m2
不燃材料NM-2509
音
響
透
過
損
失
2. 制振遮音ボードSP-4Dの紹介
70
60
50
40
30
20
(dB)
10
0
125
250
500
1000 2000 4000
中心周波数(Hz)
(ア)ALC t=100mm
(イ)押出成形セメント板 t=60mm
(ウ)スレート小波板 t=6.5mm
(エ)角波鋼板 t=0.4mm
音響透過損失グラフ(1)
No.171/Sep. 2015 音響技術
1
1. 制振遮音ボードSP-4Dによる工場等外壁の遮音性能改善例
a(1)
角波鋼板t=0.4mm
100
60
6.5
0.4
構造断面図(R)
(15)0.4
a(2)
石膏ボードt=12.5mm
4. 遮音対策構造とその遮音性能
角波鋼板のみを外装材として単体で使用する建築物
以外に,工場の種類や事務所,倉庫などには内装材を
施して利用されることも少なくありません.以下のよ
うに内装仕様等を変化させた各構造の音響透過損失測
定を行いました.
(
a 1)
角波鋼板t=0.4mmのみ
(
a 2)
角 波 鋼 板t=0.4m m + 鉄 骨 下 地t=100+ 石 膏
100
ボードt=12.5
→(
a 1)
の内装材として一般的な材料である
石膏ボードを使用した構造
a(3)
制振遮音ボードSP-4D
t=16.5mm
(制振遮音板t=4+
石膏ボード=12.5)
(
a 3)
角 波鋼板t=0.4mm+鉄骨下地t=100+制振遮
音ボードSP-4D
→(
a 2)
の石膏ボードの代わりに,面密度の
大きい遮音ボードを使用した構造
※石膏ボードt=12.5mmの面密度 約8.4kg/m2
※制振遮音ボードSP-4D t=16.5mmの
面密度 約20.4kg/m2
100
(
a 4)
角 波鋼板t=0.4mm+鉄骨下地t=100
( グラス
ウール24k−t=100mm充填)+制振遮音ボード
a(4)
SP-4D
制振遮音ボードSP-4D
t=16.5mm
(制振遮音板t=4+
石膏ボード=12.5)
→(
a 3)
の空気層内にグラスウールを充填し
た構造
一般的な間仕切壁などの中空二重壁構造の傾向と同
様に,面密度の増加,及び吸音材の充填による透過損
グラスウール24k
t=100mm
失の向上が測定結果から確認出来ます.
100
構造断面図(R)
2
architectural acoustics and noise control
1. 制振遮音ボードSP-4Dによる工場等外壁の遮音性能改善例
80
b(1)
角波鋼板t=0.4mm
70
音
響
透
過
損
失
石膏ボードt=12.5mm
石膏ボードt=9.5mm
60
TLD−45
TLD−40
50
TLD−35
TLD−30
40
30
100
20
(dB)
TLD−15
b(2)
制振遮音ボードSP-4D
t=16.5mm
(制振遮音板t=4+
石膏ボード=12.5)
10
0
125
250
500
1000
2000
4000
中心周波数(Hz)
a
(1)角波鋼板t=0.4mm
a
(2)角波鋼板t=0.4mm+空気層t
=100mm+石膏ボードt=12.5mm
a
(3)角波鋼板t=0.4mm+空気層t
=100mm+制振遮音ボードSP-4D t=16.5mm
a(4)角波鋼板t=0.4mm+空気層t=100mm(グラスウールt=100mm充填)
+制振遮音ボードSP-4D t=16.5mm
100
音響透過損失グラフ(2)
構造
遮音性能
(TLD値)
a
(1)
角波鋼板t=0.4mmのみ
TLD−15
a
(2)
角波鋼板+鉄骨下地+石膏ボード12.5mm
TLD−28
a
(3)
角波鋼板+鉄骨下地+制振遮音ボードSP-4D
TLD−34
a
(4)
角波鋼板+鉄骨下地
(グラスウール100mm充
填)
+SP-4D
TLD−39
5. 角波鋼板を使用した防火構造の一例とその遮音性能
敷地境界付近に配置される工場等の建築物の場合,
b(3)
制振遮音ボードSP-4D
t=16.5mm
(制振遮音板t=4+
石膏ボード=12.5)
グラスウール24k
t=50mm
100
75
構造断面図
外壁面から敷地境界までの距離が近いため距離減衰効
果が小さいなるため,建物内部騒音が大きい場合は特
人 石膏ボード工業会)
に,音響透過損失の高い外壁構造が要求されます.ま
b
(2)
角 波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+
た,周囲において発生する通常の火災による燃焼を抑
鉄骨下地t=100+石膏ボードt=9.5mm+制振
制するために,外壁の構造を防火構造としなければな
遮音ボードSP-4D
らないケースもあります.
ここでは防火構造の一例と,その構造に対して遮音
対策を施した構造の音響透過損失測定を行いました.
→b
(1)
に面密度を付加するため遮音ボード
を増し張りした構造
b
(3)
角 波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+
結果を以下に示します.
鉄骨下地t=100+石膏ボードt=9.5mm+空気
b
(1)
角 波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+
層75t
(グラスウール24k−t=50mm充填)
+制振
鉄骨下地t=100+石膏ボードt=9.5mm
防火構造の一例 PC030NE−9109
(社団法
No.171/Sep. 2015 音響技術
遮音ボードSP-4D
→b
(2)
の構造に対してさらにグラスウール
3
1. 制振遮音ボードSP-4Dによる工場等外壁の遮音性能改善例
を充填した
「ふかし壁」
を設置し,その仕
上材に遮音ボードを使用した構造
b
(1)の防火構造が比較的軽量な構造であるため,b
(2)の遮音ボード増し張りによる面密度増加の効果が
はっきりと確認出来ます.また,同じ遮音ボードをふ
かし壁として施すことで,増し張りによる対策効果に
比べ,同等の重量増でさらに大きく透過損失が改善さ
れていることを確認出来ます.
構造
遮音性能TLD値
b
(1)
角波鋼板+石膏ボード12.5mm+鉄骨下地+
石膏ボード9.5mm
TLD−32
b
(2)
b
(1)
構造+制振遮音ボードSP-4D増し張り
TLD−40
b
(3)
b
(1)構 造 + 空 気 層75mm
(グラスウール
50mm充填)
+SP-4D
TLD−50
6. おわりに
外壁面の遮音対策を行う場合,外壁の遮音構造以外
に開口部
(扉,窓,換気口など)
の性能及び配置に留意
80
する必要があると考えます.
ここで紹介させて頂きました遮音構造の例が,工場
70
音
響
透
過
損
失
等における新築時の外壁の遮音計画や既存構造の改善
60
TLD−50
対策の参考になれば幸いに思います.
TLD−45
TLD−40
50
TLD−35
TLD−30
40
30
20
(dB)
10
0
125
250
500
1000
2000
4000
中心周波数(Hz)
b(1)角波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+空気層t
=100(グラスウールt=100mm充填)+石膏ボードt=9.5mm
b(2)角波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+空気層t
=100mm+石膏ボードt=9.5+制振遮音ボードSP-4D t=16.5mm
b
(3)角波鋼板t=0.4mm+石膏ボードt=12.5mm+空気層t
=100mm+石膏ボードt=9.5mm+空気層t=75mm
(グラス
ウールt=50mm充填)+制振遮音ボードSP-4D t=16.5mm
音響透過損失グラフ(3)
4
architectural acoustics and noise control