7 頁から 9 頁に改訂後の「使用上の注意」等の全文を記載していますので

医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読み下さい。
《2015年9月》
選択的SGLT2阻害剤-2型糖尿病治療剤-
ダパグリフロジンプロピレングリコール錠
この度、フォシーガ錠5mg・10mgの【使用上の注意】を、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知により改訂を行
いましたので、ご連絡申し上げます。
なお、新しい添付文書を封入した製品をお届けするのに日数を要すると存じますので、すでにお手元にございます製
品のご使用に際しましては、ここにご案内申し上げます改訂内容及び最新の添付文書(2015年9月改訂)をご参照
下さいますようお願い申し上げます。
記
1.改訂箇所
行政指導による改訂(厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 平成27年9月)
・「慎重投与」の項に「尿路感染、性器感染のある患者」を追記致しました。
・
「重要な基本的注意」の項(8)~(10)の尿路感染・性器感染、ケトアシドーシスに関する記載を追記・
変更致しました。
・「重大な副作用」の項の「腎盂腎炎」に、
「敗血症」の記載を追記致しました。
・「重大な副作用」の項に「ケトアシドーシス」を追記致しました。
2.改訂内容
改訂後(下線部は追加箇所)
改訂前(破線部は削除箇所)
1.
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)~(3) (略)
(4) 尿路感染、性器感染のある患者[症状を悪化させるおそれがあ
る。](「重要な基本的注意(8)」、「重大な副作用」及び「その他
の副作用」の項参照)
(5)以降番号繰り下げ
1.
2.
重要な基本的注意
(1)~(7) (略)
(8) 尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至る
ことがある。また、腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。
十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、
発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬
等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対
処方法について患者に説明すること。(「慎重投与」、「重大な副
作用」及び「その他の副作用」の項参照)
(9) 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血
糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシ
スがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上
昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。(「重大
な副作用」の項参照)
1) 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困
難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中
ケトン体測定を含む検査を実施すること。異常が認められた場
合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2) 特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、
2.
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
該当項目なし
重要な基本的注意
(1)~(7)(略)
(8) 尿路感染及び性器感染を起こすことがあるので、症状及びその
対処方法について患者に説明すること。また、腎盂腎炎等の重
篤な感染症を起こすおそれがあるので、十分な観察を行うなど
尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適
切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。
(「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項参照)
(9) 本剤の作用機序により、血糖コントロールが良好であっても尿中
ケトン体陽性又は血中ケトン体増加がみられることがある。患者
の症状、血糖値等の臨床検査値を確認し、インスリンの作用不
足によるケトン体増加と区別して糖尿病の状態を総合的に判断
すること。
(10) インスリン分泌能が低下している患者では、糖尿病性ケトアシド
ーシスの発現に注意すること。
(11) ~(14) (略)
7 頁から 9 頁に改訂後の「使用上の注意」等の全文を記載していますので、併せてご参照下さい。
-1-
改訂後(下線部は追加箇所)
改訂前(破線部は削除箇所)
過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う
場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に
行うこと。
3) 患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、
腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について
説明するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに
医療機関を受診するよう指導すること。
(10) 以降番号繰り上げ
(1) 重大な副作用
1) (略)
2) 腎盂腎炎、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎があらわれ、敗血症
(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分
に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処
置を行うこと。(「慎重投与」及び「重要な基本的注意(8)」の
項参照)
3) (略)
4) ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケト
アシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分
に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処
置を行うこと。(「重要な基本的注意(9)」の項参照)
(1) 重大な副作用
1) (略)
2) 腎盂腎炎(頻度不明):腎盂腎炎があらわれることがあるの
で、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止
するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意(8)」の
項参照)
3) (略)
該当項目なし
該当箇所のみ記載
<改訂理由>
尿路感染・性器感染、腎盂腎炎、敗血症
本剤を含むSGLT2阻害剤は尿中グルコース排泄促進作用があり、尿路感染・性器感染が発現することは知られて
いますが、国内において本剤との関連が否定できない重篤な腎盂腎炎や、一部の症例では腎盂腎炎に引き続き敗
血症や敗血症性ショックに至った症例が報告されました。「重要な基本的注意」や「重大な副作用」の項に腎盂腎炎
を含む重篤な尿路感染や性器感染について注意喚起を行っておりましたが、本剤発売後に腎盂腎炎から敗血症に
至った症例が報告されたことを踏まえ、敗血症に関する記載を追記し、注意喚起を行うことと致しました。また、「尿路
感染、性器感染のある患者」では、再発や重症化に留意する必要があることから、「慎重投与」に設定し、注意喚起す
ることと致しました。
ケトアシドーシス
本剤を含むSGLT2阻害剤の作用機序により、血糖コントロールが良好であってもケトン体増加がみられることがあるこ
と、インスリン分泌能が低下している患者では、糖尿病性ケトアシドーシスの発現に注意することを既に「重要な基本
的注意」の項に記載し注意喚起を行っておりましたが、国内において重篤なケトアシドーシスの症例が報告され、また
一部の症例では糖尿病性ケトアシドーシスの徴候とされる著しい血糖上昇を伴わない症例が報告されたことから、「重
要な基本的注意」の項を改訂、「重大な副作用」の項に追記し、注意喚起を行うことと致しました。
以下に国内で報告された腎盂腎炎から敗血症に至った症例及び著しい血糖上昇を伴わない糖尿病ケトアシドーシ
スとして報告された症例の概要を紹介致します。
-2-
[症例概要1]
(国内自発報告)
性・
年齢
男・
50代
患者
使用理由
(合併症)
糖尿病
(高血圧、
高尿酸血症、
アレルギー性
鼻炎)
副作用
1日投与量
投与期間
5mg
67日間
経過及び処置
急性腎盂腎炎、敗血症
投与約3ヵ月前
投与14日前
投与開始日
投与64日目
投与67日目
(投与中止日)
中止2日後
中止7日後
中止8日後
中止11日後
体重149kgの患者。(身長不明)
HbA1c:9.3%
HbA1c:9.4%
本剤(5mg/日)追加投与開始。
37℃台の発熱、頻尿、残尿感出現。
その後、発熱は40℃台となる。
尿失禁、40.0℃の発熱にて来院し、精査加療目的で入院。HbA1c:
9.6%。入院後、本剤投与中止し、補液、フロモキセフ点滴投与開始。ヒト
インスリンによるスライディングスケールにて血糖コントロールを開始。
尿培養よりE.coli、α-Streptococcus検出。
血液培養よりE.coli検出。
37℃台へ解熱し、経口食開始。
フロモキセフ投与終了。
抗生剤内服(セフカペン ピボキシル)へ変更。
治癒退院となる。
臨床検査値
血糖
HbA1c
最高体温
収縮期血圧
拡張期血圧
白血球数
好中球
血小板数
BUN
SCr
CRP
(mg/dL)
(%)
(℃)
(mmHg)
(mmHg)
(/mm3)
(%)
(×104/mm3)
(mg/dL)
(mg/dL)
(mg/dL)
投与98日前
投与14日前
162
9.3
9.4
投与開始日
162
147
84
8060
123
69
7760
16.6
17.5
20.1
1.05
投与67日目
(投与中止日)
195
9.6
40
129
95
7640
82.7
18.1
18.7
1.17
18.99
中止6日後
36
82
6290
24.1
10.2
0.94
2.27
中止29日後
87
8.2
131
73
6330
14
10.7
0.98
併用薬(*:被疑薬)
:*グリメピリド、*ビルダグリプチン、*アロプリノール、*アジルサルタン、*ロラタジン
:発現日
-3-
[症例概要2]
(国内自発報告)
性・
年齢
女・
40代
患者
使用理由
(合併症)
2型糖尿病
(クッシング
症候群、統
合失調症、
高血圧、脂
質異常症、
肥満症)
副作用
1日投与量
投与期間
5mg
113日間
経過及び処置
両側腎盂腎炎に伴った敗血症性ショック、急性腎不全
投与26年前
投与3年前
投与27日前
投与24日前
投与11日前
投与開始日
投与110日目
投与111日目
投与113日目
(投与中止日)
中止1日後
中止3日後
中止4日後
中止10日後
身長165cm、体重94kgの患者。
肥満がみられた。
血糖異常は指摘されず。
異色便、貧血で入院。入院時血液検査、血糖:516mg/dL、HbA1c:10.9%で
初めて高血糖を指摘される。
貧血改善のため退院。
鼻出血で受診時、HbA1c:10.9%、PG:540mg/dLを指摘され教育入院となる。
下腿浮腫なし、末梢チアノーゼ軽度。
インスリン強化療法及びメトホルミンを導入。
血糖改善傾向となりインスリンを終了。
メトホルミンに加え、本剤(5mg/日)追加投与開始。
本剤投与前より細菌尿を認めていたが、無症候性であったため抗生剤は投与
せず。合併症:神経障害(-)、網膜症 A0/A0、腎症 2 期。
その後、メトホルミン(2000mg/日)、本剤(5mg/日)でHbA1c:6.8%前後と血糖
コントロール良好となり、退院。
内服開始数カ月は感染徴候もなく、細菌尿も消失していた。
発熱、全身倦怠感発現。
微熱、食欲低下。症状が改善せず。
38℃の発熱、悪寒あり。腹部単純CT:両側腎盂腫大(+)、周囲脂肪織濃度上
昇、左副腎偶発腫(+)、左副腎軽度萎縮あり。両側腎盂腎炎による敗血症性
ショック、急性腎不全の診断でICUに入室。大量補液、抗生剤(セフトリアキソ
ン2g/日×2日間)、ノルアドレナリンで治療開始。排尿困難、腰痛、CVA叩打痛
認めず。本剤投与中止。
セフトリアキソン投与中止。
ショックバイタルから離脱し、一般病棟へ転棟。
セファゾリン(3g/日)投与開始(8日目の朝まで)。
36℃台まで解熱し、全身状態改善。
セファゾリン投与中止、アモキシシリン(750mg/日×5日間)投与開始。
経過良好につき退院。
臨床検査値
血糖
(mg/dL)
HbA1c
(%)
体温
(℃)
血圧
(mmHg)
白血球数
(/mm3)
好中球
(%)
血小板数
(x104/mm3)
eGFR
(ml/min/1.73m2)
BUN
(mg/dL)
SCr
(mg/dL)
K
(mEq/L)
CRP
(mg/dL)
尿色調
尿 pH
尿蛋白(定性)
(mg/dL)
尿ケトン体
尿潜血
尿亜硝酸塩
尿沈渣(尿中白血球)
尿沈渣(赤血球)
尿沈渣(細菌)
尿沈渣(封入体細胞)
白血球反応(尿)
フィブリノーゲン
(mg/dL)
フィブリン分解産物
pH
PaO2
(mmHg)
PaCO2
(mmHg)
投与
27日前
516
10.9
投与
11日前
170
37.9
96/51
17400
10
54
2.05
5.0
20.5
5.0
30
3+
+
投与
10日前
135
8.2
投与
103日目
144
6.4
投与
中止日
243
6.5
38℃台
中止
1日後
128
7100
8800
16400
64.6
58.1
30.8
27.8
13.6
107
107
8
8
11
46
0.48
0.48
4.95
4.2
4.0
4.5
0.8
0.57
40.18
pale yellow pale yellow brown
6.0
6.5
5.5
100
>=1000
+/+/+
>=100
10-19/F
30-49/F
1-4/F
<1/F
1-4/F
3+
1+
3+
1-4/F
1/1-5F
3+
1+
2+
482
10100
7300
11
13
43
3.36
4.1
39.84
10.9
21
31
2.08
4.0
31.27
7.118
80
14.8
7.416
85.8
23.8
中止
2日後
中止
3日後
中止
6日後
中止
10日後
8800
8300
6900
16.8
41
18
1.16
3.8
22.84
41.5
83
14
0.6
3.8
6.17
58
97
15
0.52
4.7
0.77
24
15.4
36℃台
937
20.9
7.418
122.0
30.7
併用薬(*:被疑薬)
:*メトホルミン塩酸塩、*炭酸リチウム、カンデサルタン シレキセチル、アムロジピンベシル
酸塩、プラバスタチンナトリウム、トリヘキシフェニジル塩酸塩、リスペリドン
:発現日
-4-
[症例概要3]
(国内自発報告)
性・
年齢
男・
70代
患者
使用理由
(合併症)
2型糖尿病
(アルツハイ
マー型認知
症)
副作用
1日投与量
投与期間
5mg
約1カ月間
10mg
5日間
経過及び処置
糖尿病性ケトアシドーシス
投与約14年前
投与5ヵ月前
投与3ヵ月前
投与1ヵ月前
投与開始日
投与約1ヶ月目
本剤増量5日目
(投与中止日)
中止1日後
中止2日後
中止4日後
中止5日後
中止10日後
糖尿病指摘。その後体重は58kg程度で安定、シタグリプチン(50mg/日)とメトホ
ルミン(750mg/日)で安定していた。
HbA1c:7.9%、体重55kg。
HbA1c:8.4%、体重54kg。
HbA1c:8.6%、体重53kg。シタグリプチン(50mg/日)、メトホルミン(750mg/日)、
ピオグリタゾン(30mg/日)、ボグリボース(0.9mg/日)、ミチグリニド(30mg/日)へ
投与変更。
食欲不振あり。尿ケトン:2+、HbA1c:9.4%、体重52kg。シタグリプチン増量
(50→100mg/日)、本剤(5mg/日)投与開始、メトホルミン増量(750→2250mg/
日)、ミチグリニド(30mg/日)、ピオグリタゾン(30mg/日)、ボグリボース(0.9mg/
日)継続。
HbA1c:9.5%、体重48kgへ激減。尿ケトン:2+、本剤増量(5mg→10mg/日)、ボ
グリボース(0.9mg/日)からミグリトール(225mg/日)へ変更、その他の薬剤継続。
(上記すべて患者談)
体重44kgと4日で4kgの体重減少あり。糖尿病性ケトアシドーシス疑いで当科紹
介受診。pH:7.312、尿ケトン:3+、血中総ケトン:9740μmol/l、血糖:188mg/dL、
SCr:0.87mg/dL、BUN:29mg/dL。抗GAD抗体:陰性、IRI(インスリン):1.3、血
中CPR:0.6ng/ml、乳酸:7.2mg/dL。糖尿病性ケトアシドーシスと診断し緊急入
院。ICU入室となった。生理食塩水、3号液投与し、3号液内に速効型インスリン
を追加。経口血糖降下薬はすべて中止、スライディングでインスリンリスプロ投
与。
食欲戻り、尿ケトンも1+へ。食事開始。インスリンリスプロの固定打ち開始。ICU退
室。
尿ケトン:-へ。
補液+点滴内速効型インスリン中止。インスリングラルギン投与開始。インスリン
リスプロ+インスリングラルギンの4回注射へ。入院時CTで膵腫瘍を認めたことか
ら消化器内科へコンサルト。
糖尿病性ケトアシドーシスは回復。消化器内科転科。
精査により、膵頭部癌(膵管癌)・肝転移Stage IVbと診断。
臨床検査値
HbA1c
(%)
血糖
(mg/dL)
収縮期血圧 (mmHg)
拡張期血圧 (mmHg)
BUN
(mg/dL)
SCr
(mg/dL)
Na
(mEq/L)
K
(mEq/L)
Cl
(mEq/L)
血清乳酸
(mg/dL)
CPR
(ng/mL)
尿ケトン体
血中ケトン体 (µmol/l)
ケトン体血清 ACAC
(µmol/l)
ケトン体血清 3-OHBA
(µmol/l)
ケトン体血清総ケトン
(µmol/l )
抗 GAD 抗体 (U/ML)
インスリン抗体 (%)
pH
PO2
(mmHg)
PCO2
(mmHg)
HCO3-act
(mmol/L)
AG
(mmol/L)
BE(ecf)
(mmol/L)
BE(B)
(mmol/L)
BB
(mmol/L)
投与
5ヵ月前
7.9
投与
3ヵ月前
8.4
投与
1ヵ月前
8.6
投与
開始日
9.4
2+
投与中止日
10.2
188
137
75
29
0.87
137.9~140
4.18~4.5
99.4~102
7.2
0.6
3+
9740
2189
7551
9740
1.3
0.4
7.312~7.316
102.0
33.3
16.5
22.0
-9.6
-8.7
37.3
中止
1日後
中止
4日後
中止
5日後
133
150
144
23
0.82
137
4.5
102
7.4
14
0.80
141
4.1
105
12
0.79
142
3.9
106
1+
-
0.4
335
1113
1448
1.3
0.4
併用薬:シタグリプチンリン酸塩水和物、メトホルミン塩酸塩、ピオグリタゾン塩酸塩、ボグリボース、ミグリトー
ル、ミチグリニドカルシウム水和物
:発現日
-5-
[症例概要4]
(国内自発報告)
性・
年齢
女・
40代
患者
使用理由
(合併症)
2型糖尿病
(筋ジストロフ
ィー、子宮平
滑筋腫、
白内障、
慢性胃炎、
鉄欠乏性貧
血、便秘、
消化不良、
胃腸炎)
副作用
1日投与量
投与期間
5mg
不明
経過及び処置
代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
2型糖尿病と診断された。
血糖コントロール不良のため、本剤投与開始。
約20年前
投与開始日
(日付不明)
発現1ヵ月前
発現17日前
発現日
HbA1c:8.1%。
他院に通院中、下痢が発現、その後も持続。
38℃以上の発熱、咳嗽、喀痰、頭痛がみられ、食欲が低下。
(急性上気道炎、代謝性アシドーシス発現)
少量の食事を摂取するも、以後ほとんど固形物の摂取ができなくなった。飲水
も少なかった。
近医受診し、ツロブテロールテープ(2mg/日)、アジスロマイシン(500mg/日)、
デキストロメトルファン(60mg/日)を処方される。従来の薬の休止指示なし。
深夜、全身状態不良で救急外来へ搬入。
血糖:184mg/dL、pH:7.107、アセト酢酸:1943µmol/L、3-ヒドロキシ酪酸:
13189µmol/L、総ケトン体:15132µmol/L。
未明~ 動脈ガス分析でアニオンギャップ開大の代謝性アシドーシスを来た
しており、血中乳酸:0.7(正常)より糖尿病ケトアシドーシスと診断。pH:7.282。
十分量の補液(細胞外液)、インスリン投与、NaHCO3やカリウム製剤による補
正を実施。下痢に対して整腸剤投与。
本剤を含む全ての経口剤の投与中止。
尿ケトン体:4+持続。アシドーシスは改善。
代謝性アシドーシス、下痢は回復。
発現1日後
発現3日後
発現4日後
発現5日後
(投与中止日)
中止3日後
中止5日後
臨床検査値
血糖
(mg/dL)
HbA1c
(%)
最高体温
(℃)
BUN
(mg/dL)
SCr
(mg/dL)
Na
(mEq/L)
K
(mEq/L)
Cl
(mEq/L)
CRP
(mg/dL)
尿ケトン体
pH
BE
(mEq/L)
乳酸
(mmol/L)
アセト酢酸
(µmol/L)
3-ヒドロキシ酪酸 (µmol/L)
総ケトン体
(µmol/L)
血中 CPR
(µg/ml)
尿中 CPR
(µg/日)
抗 GAD 抗体
(/ml)
尿アセトン
白血球反応
発現
1ヵ月前
130
(空腹時)
8.1
発現日
投与中止日
5:00
13:00
発現
4日後
184
≧38
36.9
10
0.32
142
3.2
108
0.29
4+
7.107
-23.0
1943
13189
15132
中止
1日後
中止
3日後
128
37.0
37.4
37.4
6
0.29
150
4.4
114
0.20
7.282
-14.9
0.7
7.148
-20.5
7.345
-7.9
中止
5日後
中止
13日後
97
37.0
3
0.20
140
4.6
101
1.03
4+
7.48
8.0
0.87
71.1
<0.30
36.7
9
0.25
141
4.2
103
0.71
-
8
0.27
142
4.3
105
0.12
-
-
併用薬:テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、ピオグリタゾン塩酸塩、アコチアミド塩酸塩水和物、ルビプロスト
ン、モサプリドクエン酸塩水和物、酸化マグネシウム、ビフィズス菌製剤(5)
、クエン酸第一鉄ナトリウム、レバミ
ピド
:発現日
-6-
改訂後の使用上の注意
1.
2.
3.
感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、
食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意の上、常に投与継続の可
否、薬剤の選択等に注意すること。
(8) 尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあ
る。また、腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある。十分な観察を行
うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な
処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び
性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること。(「慎
重投与」、「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項参照)
(9) 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロ
ールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトア
シドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、
以下の点に留意すること。(「重大な副作用」の項参照)
1) 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識
障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を
含む検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
2) 特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な
糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシ
ドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。
3) 患者に対し、ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過
度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)について説明するとともに、
これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指
導すること。
(10) 排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、そ
れらの治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。
(11) 本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意
すること。
(12) 本剤とインスリン製剤との併用における有効性及び安全性は検討されて
いない。
(13) 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事
している患者に投与するときは注意すること。(「重大な副作用」の項参
照)
3. 相互作用
本剤は主として、UGT1A9によるグルクロン酸抱合により代謝される。(「薬
物動態」の項参照)
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
糖尿病用薬との併用時には、低 糖 尿 病 用 薬 ( 特
糖尿病用薬
血 糖の 発現 に 注 意す るこ と。 特 に、インスリン製剤
スルホニルウレア剤
に、スルホニルウレア剤、速効型 又はスルホニルウ
チアゾリジン系薬剤
インスリン分泌促進剤、GLP-1受 レ ア 剤 ) と の 併 用
ビグアナイド系薬剤
α-グルコシダーゼ阻害 容体作動薬又はインスリン製剤と 時には、低血糖の
併用する場合、低血糖のリスクが リ スク が増 加 す る
剤
速効型インスリン分泌 増加するおそれがある。これらの おそれがある。
薬剤による低血糖のリスクを軽減
促進剤
するため、スルホニルウレア剤、速
DPP-4阻害剤
GLP-1受容体作動薬 効型インスリン分泌促進剤又は
インスリン製剤の減量を検討する
インスリン製剤 等
こと。低血糖症状が認められた場
合には通常はショ糖を投与し、αグルコシダーゼ阻害剤との併用
により低血糖症状が認められた場
合にはブドウ糖を投与すること。
(「重大な副作用」、「薬物動態」
及び「臨床成績」の項参照)
血糖降下作用を増強する 血糖降下作用が増強されること 血 糖 降 下 作 用 が
があるので、血糖値、その他患者 増強される。
薬剤
の状態を十分に観察しながら投
β遮断薬
与すること。
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻
害剤 等
血糖降下作用を減弱する 血糖降下作用を減弱させ、血糖 血 糖 降 下 作 用 が
値が上昇してコントロール不良に 減弱される。
薬剤
なることがある。
副腎皮質ホルモン
食後の血糖上昇が加わることによ
甲状腺ホルモン
る影響に十分注意すること。
アドレナリン 等
併用時は血糖コントロールに注意
し、血糖値、その他患者の状態を
十分に観察しながら投与するこ
と。
利尿薬
本剤との併用により、利尿作用が 利 尿 作 用 が 増 強
ループ利尿薬
増強されるおそれがあるため、必 される。
サイアザイド系利尿薬 要に応じ利尿薬の用量を調整す
るなど注意すること。
等
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者[輸液、インスリンによる
速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖
管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
【効能・効果】
2型糖尿病
<効能・効果に関連する使用上の注意>
1. 本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患
者には投与しないこと。
2. 重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の
効果が期待できないため、投与しないこと。(「重要な基本的注意(2)」及び
「薬物動態」の項参照)
3. 中等度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能
性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。(「重要な基本的注意
(2)」、「薬物動態」及び「臨床成績」の項参照)
【用法・用量】
通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不
十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができ
る。
【使用上の注意】
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1) 中等度の腎機能障害のある患者(「重要な基本的注意(2)及び(3)」及
び「薬物動態」の項参照)
(2) 重度の肝機能障害のある患者[使用経験がなく安全性が確立していない。
(「薬物動態」の項参照)]
(3) 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、
利尿剤併用患者等)[本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがあ
る。](「重要な基本的注意(3)」及び「重大な副作用」の項参照)
(4) 尿路感染、性器感染のある患者[症状を悪化させるおそれがある。](「重
要な基本的注意(8)」、「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項参
照)
(5) 他の糖尿病用薬(特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進
剤、GLP-1受容体作動薬又はインスリン製剤)を投与中の患者[併用によ
り低血糖を起こすおそれがある。](「重要な基本的注意(1)」、「相互作
用」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参照)
(6) 次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
1) 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
2) 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又
は衰弱状態
3) 激しい筋肉運動
4) 過度のアルコール摂取者
2. 重要な基本的注意
(1) 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法につ
いて十分説明すること。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌
促進剤、GLP-1受容体作動薬又はインスリン製剤と併用する場合、低血
糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤、速効型インスリ
ン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合には、これらの薬剤によ
る低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
(「慎重投与」、「相互作用」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参
照)
(2) 本剤投与中に、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられること
があるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害のある患者にお
いては経過を十分に観察し、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2 未満に
低下した場合は投与の中止を検討すること。(「慎重投与」、「その他の副
作用」及び「臨床成績」の項参照)
(3) 本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減
少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に
行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の
適切な処置を行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎
機能障害のある患者、利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性
ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症
等の発現に注意すること。(「慎重投与」、「相互作用」、「重大な副作用」、
「その他の副作用」及び「高齢者への投与」の項参照)
(4) 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病
以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状
腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
(5) 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を
十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
(6) 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、
常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても
効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療を考慮すること。
(7) 投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合があり、また、患者の不養生、
-7-
4.
5.
副作用
国内の臨床試験において、1012例中172例(17.0%)に副作用が認められた。
主 な副 作 用 は、 頻 尿 36 例 ( 3.6%) 、 口 渇 18 例 ( 1.8%) 、 性 器 感 染 17 例
(1.7%)、尿路感染17例(1.7%)等であった。(承認時)
(1) 重大な副作用
1) 低血糖:他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン
分泌促進剤、GLP-1受容体作動薬)との併用で低血糖があらわれるこ
とがある。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合も、低血糖があらわ
れることがある。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品
を摂取するなど適切な処置を行うこと。(「臨床成績」の項参照)
2) 腎盂腎炎、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血
症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が
認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「慎重投
与」及び「重要な基本的注意(8)」の項参照)
3) 脱水(頻度不明):脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給
を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下
等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切
な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発
現した例が報告されているので、十分注意すること。(「慎重投与」及び
「重要な基本的注意(3)」の項参照)
4) ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドー
シスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認
められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基
本的注意(9)」の項参照)
(2) その他の副作用
1~5%未満
1%未満
感染症
性器感染(腟カンジダ症等)、
尿路感染(膀胱炎等)
ヘマトクリット増加
血液
消化器
便秘、口渇
筋・骨格系
皮膚
腎臓
下痢
背部痛
発疹
頻尿
精神神経系
腎機能障害、排尿困難、
尿量増加
頭痛、振戦、めまい
眼乾燥
眼
生殖器
高齢者への投与
(1) 一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、患者の状態を観察し
ながら慎重に投与すること。(「重要な基本的注意(3)」の項参照)
(2) 高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので、注意
すること。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には本剤を投与せず、インスリ
ン製剤等を使用すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されて
いない。動物実験(ラット)において、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期
間の曝露及び生後21日~90日の曝露により、出生児及び幼若動物に腎
盂及び尿細管の拡張が認められたとの報告がある。また、本薬の動物実
験(ラット)で胎児への移行が報告されている。]
(2) 授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳
を中止させること。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]
7. 小児等への投与
小児等に対する安全性及び有効性は確立していない(使用経験がない)。
8. 臨床検査結果に及ぼす影響
本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒド
ログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は、血糖コ
ントロールの参考とはならないので注意すること。
9. 適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を
おこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
10. その他の注意
国内外の臨床試験の併合解析において、全ての悪性腫瘍の発現割合は本
剤群と対照群で同様であったが、膀胱癌及び乳癌では本剤群で多い傾向
が認められた。しかしながら、投与開始から膀胱癌及び乳癌の診断までが短
期間であったことから、いずれの腫瘍においても本剤との因果関係は確立さ
れておらず、非臨床試験においても発癌性あるいは変異原性は認められて
いない。
陰部そう痒症
循環器
高血圧
その他
倦怠感、体重減少
この改訂内容につきましては、日本製薬団体連合会発行の「DRUG SAFETY UPDATE(DSU)医薬品安全対策情報 No.243(2015
年10月発行予定)」に掲載されます。
最新の添付文書情報は、PMDA ホームページ「医薬品に関する情報」(http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html)
にてご確認ください。
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〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
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〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
電話 0120-626-190
-8-