最近の酪農経営及び生乳需給を巡る 情勢等について 平成26年10月 1 Ⅰ.日本酪農の基礎データ 1.酪農家数:18,600戸(2014年2月:畜産統計) ※北海道:6,900戸、都府県:11,700戸 2.乳牛の飼養頭数:139.5万頭(2014年2月) ※55%が搾乳している牛 3.酪農家1戸当たり飼養頭数:75頭(2014年2月) ※北海道115頭、都府県51頭 4.生乳の生産量:745万t(2013年度) ※北海道:385万t、都府県:360万t 5.生乳の処理量:(2013年度) ※牛乳等向け:396万t、乳製品向け:343万t 6.国内需要量:1,172万t(生乳換算)(2012年度) ※米の需要(867万t)を大きく上回る基礎的な食品 2 7. 酪農は日本農業の基幹的産業 ■日本の農業産出額のうち、畜産は第1位。 ■生乳は約8%を占める。 農業産出額(H24) 8兆5,251億円 畜産産出額(H24) 2兆5,880億円 第3位 第1位 第2位 うち、生乳産出額(H24)6,874億円 資料:農林水産省「生産農業所得統計」 3 8. 酪農家戸数の推移(生産基盤が縮小) ■酪農家の数はピーク(1963年42万戸)の1/20 ■規模拡大による生産維持も限界に近づく 酪農家戸数の推移(実数) 資料:農林水産省「畜産統計」 酪農家戸数の推移(減少率) 4 9. 進む酪農家の高齢化 ■経営主の年齢は、他作目と比較すると若いが、徐々に高齢化が進展 経営組織別基幹的農業従事者の平均年齢(男女平均) 資料:農林水産省「農業構造動態調査」 5 10. 生乳生産の継続減少、直近減少幅は拡大 ■生乳生産量はピーク(H8年度866万t)の9割弱 生乳生産量の推移 資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」 6 Ⅱ.酪農経営をめぐる情勢 1.酪農経営の概況(24年度生産費) ■都府県の1頭当たり生産費(24年度)は、820千円(前年差+9千円)。しかし、1頭当た り搾乳量の増加により1㎏当たり生産費は、97.2円(前年差▲0.7円)。 ■北海道の1頭当たり生産費(24年度 )は、664千円(前年差+10千円)、1㎏当たり生産 費は、83.8円(前年差0.2円)。 1頭当り生産費(都府県) 千円/頭 900 800 その他 900 866千円 858千円 800 180 175 700 700 家族労働費 償却費(建物等) 乳牛償却費 1頭当り生産費(北海道) 千円/頭 171 176 128 25 600 165 163 600 500 31 103 33 22 101 29 500 126 400 28 115 400 放牧採草費 300 811 全算入 生産費 820 前年差 +9 流通飼料費 200 100 100 0 47 H23年度 資料:農林水産省「牛乳生産費 調査」 1kg当り生産費 46 副産物 654 664 118 前年差 +10 103 104 200 370 352 300 760千円 745千円 H24年度 0 210 201 96 91 H23年度 H24年度 1頭当り乳量の増加により24年 1頭当り乳量の増加により24年度 1kg当たり生産費は低下。。 の1kg当たり生産費は低下 ■都府県(H23年度):811千円/頭÷8,292kg/頭=97.9円/kg (H24年度):820千円/頭÷8,436kg/頭=97.2円/kg(前年差:▲0.7円/kg) ■北海道(H23年度):654千円/頭÷7,822kg/頭=83.6円/kg (H24年度):664千円/頭÷7,924kg/頭=83.8円/kg(前年差:+0.2円/kg) 7 2.24年度生産費による酪農経営の状況(都府県) (1)流通飼料費 ■H24年度の粗飼料価格(CIF)は、前年を110%を上回る水準にまで上昇。 ■しかし、H24年度生乳生産費の流通飼料費(生産費の約4割)は、配合飼料購入費、 乾牧草等購入費ともに105%程度の上昇。 粗飼料(アルファルファペレット)価格の推移(CIF) H17年4月を基準にした指数 千円/頭 900 2.1 1.9 1.7 H24年度(前年比) :112% 800 1.5 700 1.3 600 1.1 H24平均 H23平均 17.4 8 12 18.4 8 12 19.4 8 12 20.4 8 12 21.4 8 12 22.4 8 12 23.4 8 12 24.4 8 12 0.9 粗飼料(ヘイキューブ)価格の推移(CIF) H17年4月を基準にした指数 配合飼料 購入費 182 400 200 100 1.5 450 0 流 通 飼 料 費 ( 4 3 % ) 173 乾牧草等 購入費 179 H23年度 前年比105% 流 通 飼 料 費 4 5 % 前年比105% 188 ) 1.7 459 500 300 H24年度(前年比) :115% その他 ( 1.9 1頭当たり生乳生産費(都府県)における 流通飼料費の動向 H24年度 1.3 1.1 H24平均 H23平均 17.4 7 10 1 18.4 7 10 1 19.4 7 10 1 20.4 7 10 1 21.4 7 10 1 22.4 7 10 1 23.4 7 10 1 24.4 7 10 1 0.9 資料:農林水産省「牛乳生産費調査」 生産費の乾牧草購入費は CIF価格を下回る上昇率 資料:財務省「貿易統計」 8 (2)配合飼料価格の動向 ■トウモロコシ価格の上昇を背景に配合飼料価格は高騰し、高止まり。 ■トウモロコシの直近の国際価格は、大きく低下。 補てん金交 付は未定 資料:配合飼料価格は、農水省公表資料 注1:トウモロコシ価格は日本経済新聞(シカゴ相場の先物、期近価格(当月最終取引日の終値))を各月の為替相場(東京三菱UFJ銀行)で、円換 算し、四半期毎に平均した値。 注2:26年度第2半期のトウモロコシ価格は、7・8月の平均数値。 9 (3)粗飼料価格の動向 ■輸入粗飼料も、為替や干ばつの影響などにより高値で推移しているもの の、25年12月以降低下傾向で推移。 粗飼料価格(CIF)の推移ーH17年4月を基準とした指数― 資料:財務省「貿易統計」 10 3.乳牛資源が継続減少 ■24ヵ月齢以上乳牛飼養頭数は近年、継続的に減少 ■24ヵ月齢未満乳牛飼養頭数は25年度より増加傾向 (26年度の期中から、生乳生産に寄与するか?) 24月齢以上乳牛頭数の推移(全国) 24月齢未満乳牛頭数の推移(全国) 11 資料:(独)家畜改良センターによる牛個体識別全国データベースを基にJミルクが集計 Ⅲ.国際乳製品需給の状況 ■貿易量は世界の牛乳乳製品生産量のわずか7~8% ■限られた輸出国の輸出量の減少で、価格は高騰 ■異常気象は常態化。輸出出回り量は不安定 ■中国等新興国の需要増加も価格高騰の一因 ■直近の乳製品国際価格は、低下傾向。 オセアニア乳製品国際価格(FOB[$/㌧])の推移 12
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