イタリア通信 デザインの本場ミラノには、数多 くのインテリアショップが点在して いる。その店舗形態はメイドインイ タリーのブランドのショーウィン ドーから、知る人ぞ知るデザインを 集約させたセレクトショップまで 様々。今回はそのセレクトショップ の中から3軒を選び、今のインテリ アの潮流を聞いてみた。 まず初めは、ミラノの繁華街ポル タ・ヴェネツィアにほど近いショッ ここで今の流行を一言で聞いた プ、スポッティ。 ら、ずばり「贅沢な素材感」と返っ てきた。かつてはイタリアの一般家 庭で見られたベルベットや革張りの ソファや椅子、本物の石材を使った 壁、大理石の彫刻や家具など、骨董 品の域に達している素材に再び光を 店内のインテリアは色目や素材に も落ち着いた重厚感があり、その中 にミッドセンチュリーモダンを代表 す る ア イ コ ン 的 ア イ テ ム で、 時 が 経っても色あせないル・コルビジェ のシェーズロングや、イームズのハ ングイットオールが自然に交じり 次は、ミラノでも一際お洒落な地 合っている。 区とされるブレラ地区の一等地ポン タ ッ チ ョ 通 り に 店 を 構 え る、 ス パ こちらで同じことを尋ねると、ま ツィオ・ポンタッチョ。 るで申し合わせたかのように「クラ シックへの回帰」と返ってきた。中 でも気になっているのは大理石と金 属素材で、特に金属に関しては真鍮 をはじめ、銅、ブロンズ、ステンレ スなどが再び注目を集めているとい う。また、異素材同士の組み合わせ こかで見たようなデザインや素材に フ ァ ー の 裾 に 応 用 し た も の で、 「ど りとして使われていたフリンジをソ 1950年ごろまでカーテンの裾飾 た 世 界 中 の デ ザ イ ナ ー 達 の 作 品 が、 ナーのオルランディ女史に厳選され の 良 い 隠 れ 家 ギ ャ ラ リ ー で、 オ ー 一角にあり、緑の中庭を囲む気持ち 広報担当者に話を聞くと、昔も今 対 唯 一 の 作 品 」「 リ サ イ ク ル 素 材 の も変わらず注目している方向性とし 扱い」 「コンセプチュアルであると 素材よりも、むしろ懐かしさを覚え ベルベット張りのソファーは、カ 同時にファンクショナル」「トラディ て、 「コンテンポラリーなデザイン バーを取り外して洗うことはできな ショナルでありながらエモーショナ と職人のような手作業」 「世界で絶 い。ひたすら長く使い込んで年月と るデザインや素材が、今の人々に求 ともに風合いが変わっていくのを楽 3 軒 の 共 通 項 に 挙 げ ら れ る の は、 ル」などを挙げた。 の上質」とは、これからのインテリ セレクトショップが提案する「本物 た上での今後」であろう。ミラノの タイルが変わる都度に、気軽にイン アは昔から使われていた素材を用い 「素材に対する配慮」 「過去を見据え テリアを入れ替える昨今の傾向に対 り替えるのが、本来の扱われ方なの して、ある種の一石を投じようとし はないだろうか。 欲しいという思いに集約されるので て丁寧に作り、それを末永く使って アを語る上で知らない人はいない老 アーキテクツ・スタジオ・ジャ パンは日本の枠を超えて、海外 で活躍中の建築家、デザイナー、 アーティストにも、そのネット ワークを広げています。 最後は、もはやミラノでインテリ ているようにも見える。 だとか。引越しや進学などライフス しい持ち主の趣味に合わせて布を張 しみ、持ち主が世代交代した時に新 められていると考えている。 言う。斬新で前衛的なデザインや新 一堂に会している。 から少し西へ離れた閑静な住宅街の ロッサーナ・オルランディ。中心部 スポッティ SPOTTI www.spotti.com Viale Piave, 27 -20129- Milano 人の好みが再び戻ってきている」と 特に一押ししているインテリアは、 そうだ。 ❹ スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ SPAZIO ROSSANA ORLANDI www.rossanaorlandi.com Via Matteo Bandello, 14 -20123- Milano ❸ ❺ 22 23 スパツィオ・ポンタッチョ SPAZIO PONTACCIO www.spaziopontaccio.com Via Pontaccio, 18 -20121- Milano ❽ 舗セレクトショップ、スパツィオ・ ❼ 文・写真/西村清佳(イタリア在住) 写真④のみプレス提供 vol.97 ❶ を楽しむデザインも増えてきている ①②落ち着いた重厚感のスポッティ店内。③スパツィオ・ポンタッチョ店内の様子。 表通りからショーウィンドーの中へ引き込んだ動線が特徴的。 ④カーテンフリンジをつけたソファー「ジルダ」は今年のサローネで発表。⑤お洒落なブレラ地区は歩行者天国にオープンカフェも多い。⑥ス パツィオ・ロッサーナ・オルランディではキッチンの什器類も豊富に揃えている。⑦カリスマの目利き、オルランディ女史に厳選されたデザイ ナー家具。70 年代イタリアのアイコン的アイテム「カクタス」も。⑧緑に囲まれた気持ちの良い中庭。 あてる「レトロ・クラシックへの回 帰」の傾向が見られるという。 ❻ ミラノのデザインセレクトショップ3軒に聞く! これから旬のインテリアとは? ❷
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