聞く活動の充実(その3) ~TPR教授法

聞く活動の充実
~
TPR教授法
(その3)
~
TPR教授法って何ですか?
TPR教授法とは?
Total Physical Response Approach : 全身反応教授法の頭文字で
す。アメリカの心理学者 James J. Asher が提唱した言語教授法です。
簡単に言えば、学習者が指導者の指示を聞いて、言語ではなく動
作で反応するという教授法です。発話が強制されないので、児童の
心理的負担も少なく、聞くことに集中できます。
簡単な指導事例を見てみましょう。
指導事例
Simon Says(サイモンセッズ) ゲーム
・教師の英語での指示どおりに生徒が動作する活動
ルール:生徒が動作するのは、教師の指示の前に
Simon Says
を付けてある時のみ
教師:(動作をしながら、)Simon says “Jump”.
児童:(ジャンプする。)
教師:(動作をしながら、)Simon says “Touch your head”.
児童:(自分の頭を触る。)
教師:(自分は動作をせずに)Simon says “Touch your shoulders”.
児童:(自分の肩を触る。)
教師:(動作はせずに)OK. Stand up and jump.
児童:(立ち上がらない。)ただし、多くの児童が立ち上がりジャンプしてしまいます。
≪以下略≫
※ 指示する際の動詞を替えることで、様々な動詞に慣れ親しませることができます。
Touch ~. (~を触りなさい)と指示することで、(実物や Hi, friends! 等を使用して)
様々な名詞に慣れ親しませることができます。
指導の流れとしては、次のようになります。
指導の流れ
1
教師が指示し、モデルとして自ら動作をして、学習者に指示の意味を理解させる。
2
教師が指示し、学習者に教師と一緒に動作をさせる。
3
教師が指示し、学習者だけで動作を行わせる。
4
指示の順や組み合わせに変化をつけて、動作を継続して行わせる。
5
学習者が相互に指示を出し、動作し合わせる。
なお、次の長所、短所がありますので、留意してください。
長所: 教師が話す指示や表現を学習者の実態に応じて変えれば、学年を問わず有効です。
話すことを強制しないので、学習者はストレスを感じることなく楽しく学習で
きます。
短所:教師が授業の中心になりがちです。
抽象的な表現は扱いにくいです。
特に、「自信のないことは言えない」という傾向が見ら
れる子どもたちにとっては、無理に発話しなければならな
いという心理的な負担も小さくなるという点で有効です。
活用場面は、導入のウォームアップ、動詞や名詞等に慣
れ親しませる活動が考えられます。
また、Hi, friends! の「聞く」活動を行う際に、TPR
の考え方を組み入れ自校化して取り組んでみるのもよいと
思います。
参考資料 小学校外国語活動研究ガイドブック
文部科学省 平成21年