なぜ 「Cozy Room」 が必要か?~「S/N 比」の概念

第22号 Vol.22 2012年8月発行
株式会社 コムフレンド
以下、論文名「重症心身障害児はリラックス空間を認識しているのか?―能動的表出行動を促進する支援技
術利用に関する基礎的研究―」 日本教育情報学会誌「教育情報研究」第 27 巻 第 4 号 2011 より抜粋。
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なぜ 「Cozy Room」 が必要か?~「S/N 比」の概念による説明~
観察された重障児の能動的表出行動、及び生理反応の測定を通して、
ストレス低減が示唆された環境(リラックス空間)は、①集団から隔離され、 ②照度や騒音が低く、
③快感情を誘発する玩具(快ストレス)のある空間
であった。
この特徴を鑑みるに、リラックス空間を特徴付ける中心概念は、情報工学の概念である「S/N 比」によって
説明可能ではないだろうか。
・「S/N 比」 信号量(Signal)と雑音量(Noise)の比によって表わされる。
S/N 比=信号量(Signal)
雑音量(Noise)
・「周波数」(frequency) 特定の現象が単位時間あたりに繰り返される回数の事を指す。
一人でリラックス 「Cozy Room Mini」
主に自閉症児が利用
2,3 人で遊び「Cozy Room Standard」
主に知的障害児が利用
(本図は、苅田知則先生からご提供いただきました。)
「Cozy Room Log」(旧称 Economy)
Log 内 活用例
「Cozy Room」は、2009 年に愛媛大学教育学部 苅田知則准教授が発表された論文により、
ストレスを軽減するカームダウン効果を有することが実証されています。
論文名:「障がい児のためのカームダウン環境(COZY Room)の開発・評価」
ヒューマンインターフェース学会論文誌 Vol.11, No4, 2009
さらに、2011 年に日本教育情報学会誌に発表された、苅田先生の論文「重症心身障害児はリラックス空間を
認識しているのか?―能動的表出行動を促進する支援技術利用に関する基礎的研究―」では、
「Cozy Room」の利用を通して、右図のような効果モデルを提示され、考察されています。
*MID=Motor and Intellectual Disabilities:心身障害
*sAMY=唾液中のアミラーゼ活性量
S/N 比の高い環境はカームダウン環境になりうるが、信号量(Signal)の提示頻度が高くなる(周波数が高くなる)と
活性度が高まり、提示頻度が低くなる(周波数が低くなる)と活性度は低くなると考えることができる。
つまり重障児がリラックスできるリラックス空間とは、S/N 比が高く周波数が低い(雑音が少なく信号は散発)環境
といえる。また、遊びを誘発する環境は、S/N 比が高く周波数が高い(雑音が少なく、信号は頻発)環境となる。
以上の論文内容より、「Cozy Room」は、S/N 比が高いため、カームダウン環境を創出することができるといえ、
「Cozy Room」内で活用する Cozy 製品によって活性と沈静をうまく調整することができます。