A net Vol.19 No.1 2015 小児 の分 離 肺換 気 小児の 分離 肺 換気 東京都立小児総合医療センター麻酔科 宮澤 典子 慶應義塾大学病院麻酔科 出野 智史 宮 澤 典 子 東京都立小児総合医療センター麻酔科 医長 Noriko Miyazawa プロフィール:2003年 4 月:東京都立八王子小児病院に就職し、小児麻酔を始めました。 2010年 3 月:旧東京都立 3 小児施設(清瀬、八王子、梅ヶ丘)が統合し、東京都立小児総合医療センターが開設され ました。現在、年間約4,000件の麻酔と小児ペインクリニック外来を行っています。 ────────────────────────────────────────────────────────── 出 野 智 史 慶應義塾大学医学部麻酔学教室 専修医 Satoshi Ideno 慶應義塾大学病院麻酔科 プロフィール:2013年 5 月~2014年 4 月:東京都立小児総合医療センターにて研修 はじめに し、組織傷害を軽減するため、患児の負担を軽減する ことにつながる。 低侵襲内視鏡手術が小児領域でも急速に発展するに では、分離肺換気は両肺換気と比較して合併症が増 伴い、分離肺換気の機会が増えている。煩雑な手技で えないのであろうか。Dingemannら 1)によれば、分離 あるが計画通りに麻酔管理ができた時の満足感も大き 肺換気と両肺換気で無気肺の発生率と早期抜管率を比 い。術者や看護師とのコミュニケーションが成功の鍵 較したところ、両者に有意差は無かった。 であることは他の複雑な麻酔と同様である。 小児 (15歳未満程度) の分離肺換気において重要と考 えられるのは、低酸素血症を起こさない呼吸管理、静 脈還流量低下に対する循環管理、小さな体に合わせた 器具の選択と工夫である。 小児における分離肺換気の生理学的特徴 側臥位が呼吸に影響することは成人で良く知られて いる。肺コンプライアンスを表す換気の圧容量曲線上 に、上になった肺(non-dependent lung)と下になった 分離肺換気によって合併症は増加しないのか。 開胸手術では肺を圧排して視野を得ることができ 肺(dependent lung)のコンプライアンスの変化を示し たBenumofの図2)は教科書に掲載される図版の定番で ある3)。 る。同様に、胸腔鏡下手術でも二酸化炭素(CO2)送気 乳幼児(生後 7 年未満)では胸郭が柔らかいため、側 や圧排子を使用して視野を得ることができる。しかし 臥位で下になった胸郭の形を十分に保持することが 分離肺換気を行うことで作業空間はさらに広がり、手 できない。このため機能的残気量(functional residual 術操作が格段に容易になる。ひいては手術時間を短縮 capacity:FRC)が残気量に近い値になり、dependent 22 臨床ワークブック lungの末梢気道閉塞を招く。また、体が小さいために らに手術操作による大血管の圧迫も静脈還流量を低 重力による血流の差が上下の肺の間で少なく、換気血 下させ、心臓を直接圧迫する可能性もある6)。乳幼児 � � 流比(V /Q )不均衡の改善に役立たない4)。全身麻酔中 では体重あたりの心拍出量が多く、成人の1.5~ 2 倍 は、麻酔薬や筋弛緩薬の影響で肺コンプライアンスは であるため、心拍出量の減少は血圧低下など循環動態 � � 低下し、さらにV /Q 不均衡が増悪する 。 に大きく影響する6)。 3) 非麻酔時の成人ではdependent lungの方が換気も血 心拍出量を正常に保つことは低酸素血症を防ぐため 流も良いため、状態の良い肺を下にした側臥位が酸素 (PaO2) の にも重要である7)。心拍出量と動脈血酸素分圧 化に有利である。乳児 (生後 1 年未満) ではnon-depen- 関係は天秤のような繊細な関係にある。PaO2 はシャ dent lungの換気が良く、血流は上下の肺であまり差 によって決まり、 ント率と混合静脈血酸素飽和度 (SvO2) がないために、状態の良い肺を上にした側臥位の方が 心拍出量が減るとシャント率も減少するがSvO2 も減少 酸素化に有利である。これがどの年齢で逆転するのか するため、PaO2 も低下する。反対に心拍出量が増加す は解っていない 。 ると、SvO2 は増加するが肺血管床の拡張によりシャン 3) 乳幼児では酸素需要が大きいにも関わらず FRCが ト率が大きく増加するためPaO2 は結果的に低下する7)。 少ないため、低酸素血症になり易い。特に新生児 (生後 乳幼児の心拍出量は手術操作や胸腔内 CO2 送気(通 28日未満) の酸素消費量は 6 ~ 8 mL/kg/minで、成人の 常約 5 ~ 8 mmHg)による静脈還流量低下によって容易 2 ~ 3 mL/kg/minに比べ 3 倍である(Table 1) 。従っ に低下するため、膠質液やアルブミン液の急速投与を 5) て、乳幼児では側臥位手術で低酸素血症になり易い。 Table 1. 小児の酸素予備能 生理的指標 単位 新生児 酸素消費量 mg/kg/min 6∼8 肺胞換気量 Va mL/kg/min 200 機能的残気量 FRC mL/kg Va / FRC 乳児 では必要に応じた輸液をしている。輸液速度は10~ 幼児 成人 15mL/kgで維持し、血圧低下時には膠質液をボーラス 2∼3 投与する。血圧の低下は時に急激で、末梢動脈血酸素 125 100 60 飽和度(SpO2 )と呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)の 27 27 37 42 急激な低下が見られる。血圧低下が持続する時にはカ 7.5 4.6 2.7 1.4 (文献5より引用改変) テコールアミンを使用することもある。むろん小児で も過剰輸液は肺内シャントを増加させて低酸素血症を 助長し、術後の肺水腫を招く可能性があるので注意が 必要である。 小児分離肺換気の問題点 小児の分離肺換気が成人の場合と比べて難しいの は、次の 3 点である。 ③器具の選択が難しい 気管チューブや気管支ブロッカーの選択は気管の太 ①低酸素血症になり易い さに合わせて綿密に行う。 � � 低酸素血症の原因は、肺胞低換気、V /Q 不均衡、肺 内シャント、拡散障害に分けられる。分離肺換気では � 行っている。成人では胸部手術での過剰輸液は肺合 併症の原因になるとして一般に制限するが7)、乳幼児 � 1)シングルルーメンチューブ 気管チューブを片肺に挿管する方法である。マー V /Q 不均衡が最も問題となる。手術体位が側臥位であ フィー・アイ (側孔) の無いチューブを選択する。気管 ることも大きく影響している。貧血など他の合併症は 支ファイバースコープ(fiberoptic bronchoscope: 術前に改善させておく。 FOB)をガイドにして入れることが多い。当院では分 離肺換気をする場合は、内径 3 mmのチューブを使用 ②低血圧になり易い 手術側の胸腔はCO2 注入によって胸腔内圧が上昇す して行う。年長の小児でも気管出血などの緊急時に片 肺挿管を行っている。 る。また、無気肺を予防し十分な酸素化をするために 比較的高い圧の陽圧換気と呼気終末陽圧 (positive end- 2)気管支ブロッカー expiratory pressure:PEEP)を維持している。この 気管支ブロッカーによる方法が最も頻度が高い。気 ため、静脈還流量が低下して心拍出量が低下する。さ 管チューブの内腔に入れた気管支ブロッカーを、 23 A net Vol.19 No.1 2015 FOBで観察しながら左右いずれかの気管支に挿入す ブの壁内に組み込まれているため、脱落が少ないと言 る。解剖学的に右に入れ易い点は成人と同様である。 われている8)。 気管支ブロッカーとして販売されているものに 4)ダブルルーメンチューブ Arndt® 気管支ブロッカー(Cook Medical社)がある。 小児には 5 Frと 7 Frを使用している(Table 2)。三叉 本邦では28Frが最細である。挿入時、FOBは2.8mm の専用コネクターにFOB、ブロッカーおよび呼吸回 を使用する。海外では26Frが販売されており、外径 路を接続できるようになっていて、換気をしながらブ が8.7mmで 8 歳以上が使用の目安である8)。 ロッカーの挿入が行える。カテーテル部分には内腔が このチューブは脱落が少なく安定していて使い易 あり、先端が輪になったテグスが入っている。FOBを い。欠点は術後に人工呼吸を行う場合、気管チューブ この輪の中に捉えて、左右の気管支に選択的に誘導で の入れ替えが必要な点である。必ずチューブエクスチェ きる。 ンジャーを用意して入れ替えを行う。 Arndt 気管支ブロッカーで太すぎる場合は4 Fr肺動 ® 脈(pulmonary artery:PA)カテーテル(Balloon wedge 小児分離肺換気の実際 pressure catheterTM/Harmac Medical Products社)を 使用している。バルーンは柔らかくて俵状のため気管 1)気管チューブと気管支ブロッカーの選択 支との接着面が広い。また緩やかにカーブしており、 当院で行っている分離肺換気の方法を Table 2 にま 口角に固定し易い。Fogarty カテーテル(Edwards とめた。これは経験に基づいて作成したものであるが、 Lifesciences社) を勧めている成書もあるが8)、カテー Hammerらの報告 8)と共通しているところが多い。気管 テルもバルーンも硬過ぎると考える。 チューブサイズは予測式、内径 =4+age ( yr) /4 を目安 ® 気管支ブロッカーはダブルルーメンチューブを使用 にし、胸部写真やCTの気管径の計測値を参考に決め できない10歳未満に適している。気管チューブが細く ている。FOBの操作性を考え、できるだけ内径の て内腔にブロッカーを入れられない場合は、チューブ 太い気管チューブを選択する。5.0mm以下ではカフ の外を通して気管支に入れる方法がある(Table 2) 。 無しチューブを選択することが多い。また必ずマー フィー・アイの無いチューブを選択している。これは 3)ユニベント気管内チューブ FOBやブロッカーの迷入を避けたいからである。 ® 日本人が作った製品(富士システムズ社)であるが、 気管チューブ内腔で最も細いのはスリップジョイン 本邦では内径6.0mm(外径10.0/11.0mm)が最細である。 トの先端である。内径5.0mm以下のチューブでは 3 サ 気管支ブロッカーを通すチューブ壁の厚みのために外 イズ上のスリップジョイント(内径で1.5mm増)を外か 径が大きく、12~13歳ぐらいにならないと使えない。 らはめ込むとチューブ内腔の太さを最大限生かすこと 一方海外では内径3.5mm(外径7.5/8.0mm)が販売され ができる(Fig.1) 。 ており、6 歳から使用できる。バルーンが気管チュー Table 2. 適応気管チューブサイズと分離肺換気の方法 気管チューブサイズ(内径mm) 分離肺換気の方法 ≦3.0 3.5∼4.0 4.5 片肺挿管 そとがわ チューブ外側 4Fr PAカテーテル/5Fr Arndt®ブロッカー チューブ外側 4Fr PAカテーテル/5Fr Arndt®ブロッカー うちがわ チューブ内側 5Fr Arndt®ブロッカー 5.0∼5.5 チューブ内側 5Fr Arndt®ブロッカー 6.0∼6.5 チューブ内側 5Fr / 7Fr Arndt®ブロッカー ≧7.0 28Fr ダブルルーメンチューブ 東京都立小児総合医療センターで行っている方法を表にした。 24 臨床ワークブック る8)。FOB2.8mmがポート付きの最細であるので、内 径5.5mm以上の気管チューブが対象となる。 内径3.5mm スリップジョイント 内径5.0mm スリップジョイント 右気管支の場合は、上葉の分岐までの長さが重要で ある。気管分岐部から右上葉分岐までは 2 歳児で約 1 cmと報告されている8)。この長さは 5 Fr Arndt® 気管 支ブロッカーのバルーン部の長さに相当する。上葉の 入口を半分塞ぐような状態にならざるを得ない。Table 3.5mm 5.0mm 2 に示したブロッカーと気管チューブの使い分けも、 バルーンの長さに大きく左右されている。乳児に使 用している 4 Fr PAカテーテルのバルーン部の長さは 気管チューブ 気管チューブ 5.8mmである。乳児で右気管支のブロックが必要な場 合は、上葉入口をほぼ覆うように留置することになる。 細い気管チューブでは、ブロッカーを気管チューブ Fig.1. スリップジョイントを取り替えて内腔を広くする 気管チューブのスリップジョイントを外し、3サイズ上のスリッ (例:内径3.5mmのチューブに内径5.0mmのスリッ プジョイント プジョイントを使用)中に気管チューブを先端から通して固定 する。これによってチューブの最狭部分が広くなる。内径 5.0mm 以下の気管チューブの外径は3サイズ上のチューブの内 径とほぼ同じである。 ���� �� の外側に入れている。気管チューブの内径4.5mmが内 �� 側と外側の境界である(Table 2)。外側を通す場合は、 喉頭展開してまずブロッカーを声門から挿入し、続 いて気管チューブを挿入する。Swivel Y connector® (Sontek Medical社)を使って換気をしながらFOBを操 作し、ブロッカーを左右いずれかの気管支に入れる。 2)片肺挿管 内径 3 mmの気管チューブを使用する場合は、気管 分岐部を越えてチューブを進め片肺挿管し、分離肺 換気を行う。漆原ら 9)は胸腔鏡下食道閉鎖根治術で、 気管支ブロッカーには脱気のために内腔が必要であ る。3 FrのFogarty® カテーテルには内腔が無いため、 4 FrのPAカテーテルが最細である。 手術中に気管支ブロッカーが脱落してしまった場合 内径3.0mmの気管チューブを片肺挿管して分離肺換気 は、0.018inchのガイドワイヤーを内腔に入れてカテー を行っている。C型食道閉鎖の新生児症例だが、体重 テルを硬くすると操作し易くなり、FOBで見ながら が2,000gあればこの方法で手術は可能であると述べて 再度気管支に入れることができる。 いる。 3)気管支ブロッカー Arndt ® 気管支ブロッカーの利点は三叉のコネクタ である。使用方法は成人と変わらない。しかし、気管 術中管理 1)麻酔方法 麻酔導入はセボフルランによる緩徐導入を行うが、 チューブが細いためにFOBをブロッカーの“輪”の中 維持はプロポフォール、フェンタニル、レミフェンタ に入れるのは難しい。例えば内径4.5mmではチューブ ニルを用いた静脈麻酔で行っている。吸入麻酔薬では の内径に対してFOB2.2mmと 5 Frの気管支ブロッカー FOB操作中や分離肺換気中に麻酔深度が不安定にな (バルーンを含む最大径2.5mm) を一緒に入れようとす るためである。また、換気が不十分な部分の血流を減 ると思うように動かすことができない。“輪”を使わず らして V /Q 不均衡を改善させる低酸素性肺血管収縮 � � に、先にブロッカーを盲目的に気管支まで進めておき、 (hypoxic pulmonary vasoconstriction:HPV)は吸入麻 そのあとFOBを入れてブロッカーの位置を確認する方 酔薬の影響を受ける可能性が指摘されている。小児の が容易である。 最小肺胞濃度は成人より高く、麻酔維持には高めの濃 左気管支ではブロッカーの先端を少し曲げ、頭を右 側に外転して左に進める。成功しない時には、頭を左 度を必要とする。従って静脈麻酔薬の方が有利と考え られる10)。 側に外転すると入ることがある。FOBのポートからガ 術前に上肢か首にしっかりとした静脈路を確保する イドワイヤーを入れてブロッカーを導入する方法もあ ことは重要である。胸腔鏡の器具は乳児の体に比べて 25 A net Vol.19 No.1 2015 大きく、被布が全身を覆ってしまうため、術中に血管 て使用し、酸素流量を変え、圧を10cmH2Oに調節して 穿刺はほぼ不可能である。 いる。 術後鎮痛のために神経ブロックは積極的に行ってい 乳幼児の胸腔鏡下手術では上になる胸腔に 5 ~ る 。胸腔鏡下手術だけで終わる場合は胸部傍脊椎ブ 8 mmHgの圧で CO2 を送気する。これが肺のコンプラ ロック、比較的大きめの切開が行われる時には胸部硬 イアンスにどのような影響を与えるのか、明解には解 膜外麻酔を選択している。胸部硬膜外麻酔は分離肺換 説できない。おそらく、non-dependent lungの脱気と 11) 気中の酸素化には影響しないと報告されている 。 4) HPVにより肺コンプライアンスは圧容量曲線の右上 � � 方に移動して、V /Q 不均衡は改善すると考えられる。 一方、静脈還流量が低下して心拍出量が低下すること 2)換気条件 乳幼児の酸素需要が高いことは前述したが、低酸素 血症を起こさないことを目標としている。 は酸素化に不利である。SpO2 や血液ガス分析の結果を 見ながら、最適な人工換気と輸液管理が必要である。 を 分離肺換気を開始する時には吸入酸素濃度(FiO2) 1.0にし、SpO2の値が95%を保っていれば FiO2 を次第 に下げるが、安全域を考えて、0.4以上を維持する。 おわりに 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は40~50mmHgぐらい 胸腔鏡下手術では胸腔内を鮮明な画像で見ることが であれば許容できると考えている。高二酸化炭素許容 でき、今後の発展が期待される。これには分離肺換気 人工換気(permissive hypercapnia)に基づき、呼吸性ア が欠かせない。分離肺換気による手術では、全身麻酔 シドーシスがなければ酸素化を優先させるのは成人と の導入、神経ブロック、ライン確保、分離肺換気用気 同様である。ETCO2 の値は乳児では気管チューブの 管支ブロッカー挿入など麻酔科医が手術開始前に行う リークやサンプリングの方法により低く表示されるこ ことは多い。確実な手技の積み上げが安定した麻酔管 とがある。サンプリングを呼気と同方向から行うと改 理を可能にする。ちょっとした工夫を楽しみながら、 善することが多い。 患児にとって最高の麻酔を目指したい。 換気モードについて、分離肺換気でこの方法が良い というものはないようである。小児では圧制御モード で 1 回換気量 8 ~10mL/kg、PEEP 4 ~ 5 cmH2Oに設 引用文献 定し、ETCO2 が40~50mmHgとなるように換気を行っ 1 )Dingemann C, Zoeller C, Bataineh Z, et al.: Sin- ている。片肺換気でも両肺換気と同じ 1 回換気量で始 gle-and double-lung ventilation in infants and chil- めるが、最大吸気圧が高くなり過ぎる時は 1 回換気量 dren undergoing thoracoscopic lung resection. Eur を下げて呼吸回数を増やす。血液ガス分析の結果を正 J Pediatr Surg 23: 48-52, 2013. 常範囲内に調節するというよりは、低酸素血症を避け、 血中CO2 濃度は高めに保つ方が肺損傷は少ない 。 8) 2 )Benumof JL:Anesthesia for Thoracic Surgery, WB Saunders, Philadelphia, 1987, 112. PaO2 をどのくらいに維持するかについては意見が 3 )Ulma G:Chapter 17 Anesthesia for Thoracic 分かれる 7,8)が、当院ではPaO2 低下が起こる可能性を Surgery. Gregory GA ed. Gregory’ s Pediatric Anes- 考えてやや高めに維持している。分離肺換気を開始し thesia. 4th ed. Churchill Livingstone, Philadelphia, てHPVによる代償が働くまで、PaO2 の低下は長いと 2002, 423−429. 45分間続く可能性があるといわれている 。他に低酸 8) 素血症を起こす原因が無いか確認が必要である。 4 )Golianu B, Hammer GB:Pediatric thoracic anesthesia. Curr Opin Anaesthesiol 18:5−11, 2005. 低酸素血症を改善する方法として non-dependent 5 ) 中川聡:第 1 章 呼吸・循環 小児の生理学的特 lungに10cmH2O程度の圧で持続的気道陽圧(continu- 徴. 堀本洋編. 実践小児麻酔. 真興交易医書出版 ous positive airway pressure:CPAP)や高頻度ジェッ 部, 東京, 2003, 14−21. トベンチレーターの使用が有効である 。CPAPは 4,12) 6 )Lerman J, Cote CJ, Steward DJ:Manual of Pedi- 簡単な器具で行うことができる。当院ではカフ内圧計 atric Anesthesia 6th ed. Chapter 13 General and を酸素チューブに三方活栓で接続し、圧メーターとし Thoracoabdominal Surgery. Churchill Livingstone, 26 臨床ワークブック Philadelphia, 2010, 336−344. 10)Souza D, McDaniel GM, Baum VC:Cardiovascu- 7 )Slinger PD, Campos JH:Management of one lung lar physiology. Davis PJ, Cladis FP, Motoyama ventilation. Chapter 59 Anesthesia for Thoracic EK ed. Smith’ s Anesthesia for Infants and Chil- Surgery. Miller RD ed. Miller’ s Anesthesia 7th ed. dren, 8th Ed. Mosby, Saint Louis, 2011, 80−115. Churchill Livingstone, Philadelphia, 2010, 1846−1853. 8 )Hammer GB:Chapter13 Anesthesia for Thoracic 11)Golianu B, Hammer GB:Pain management for pediatric thoracic surgery. Curr Opin Anaesthesiol 18: 13−20, 2005. Surgery. Cote CJ, Lerman J ed. A Practice of 12)Karzai W, Schwarzkopf K:Hypoxemia during one- Anesthesia for Infants and Children 5th ed. Else- lung ventilation:prediction, prevention, and treat- vier Saunders, Philadelphia, 2013, 277−290. ment. Anesthesiology 110:1402−1411, 2009. 9 )漆原直人, 福本弘二, 三宅啓, 他:C型食道閉鎖症 に対する胸腔鏡下食道閉鎖根治術, 特集 プロが 見せる手術シリーズ (1) :難易度が高い胸部手術, 小児外科 45:538−545, 2012. 27
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