Autodesk Maya キャラクターリギングセミナー

Autodesk Maya キャラクターリギングセミナー
関節を直接動かすコントローラから動きの為のコントローラへ
最も解り易いコントロール方法はジョイントを掴んで回転させるコントローラです。
私がリギングをするときは、関節を直接動かす単純なリギングの組み立てから初めて、徐々に動きの軌跡を追いやすいコントローラを追加しながら構築していく方法をとりま
す。
動きそのものをトレースしやすい構造は、先ず動き方をどうしたいのか?から考えます。
動物の運動は伸縮が多いと思います。
縮んで伸ばす運動は、骨格がある人や動物の場合、身体が伸び縮みする訳ではなく、関節を曲げて伸ばす回転運動から目的の縮んで伸ばす運動を行います。
とはいえ伸縮だけではなく、目的の運動の前後には回転運動となる振り子運動など、先行動作や振り抜き動作によく見られます。遠心力を目的の運動エネルギーに利用す
る動きもあります。
それぞれの動きが複雑に絡み合いながらも出来るだけ無駄なエネルギーロスが起こらないように急激な方向転換せずに加速減速しながら動くものです。
重心移動も重要な動きです。バランスをとったり、力を溜めたり、動作前の準備、動作中、動作を止めようとするときの重心のとりかたなど。
以上のような伸縮や重心移動をアニメーションし易くするにはどうするか?などを考えながら構築して行きます。←これはやりたいことの例です。他にも表現したい動きがあれ
ばそれのために考えます。
リギングは関節を動かすものですが、目的の運動は関節の回転ではありません。
コントローラはジョイントを掴んで関節を回す道具と考えるより、以上に書いたような動きをジョイントに伝える動きの為の道具だと考えて下さい。
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リグの構築
私は3DCGをはじめて15年になりますが、数年間はリグという言葉さえ知りませんでした。
極端な言い方をすればリグが無くもアニメーションではできる。ジョイントやIKに直接アニメーションキーを打つ方がやれることの自由度が高いです。
リグがあるから良いアニメーションになる訳ではなく、時間さえかければ結果としての動きはアニメーターのセンスで決まります。
リグ(コントローラ)をつけるのは作業画面での掴みやすさや動かしやすさとアニメーションキーの打つ項目を減らすなど作業効率の向上という目的が第一でしょう。
リグによって短時間でアニメーションができるので更に詰める為の時間ができて結果的に良いアニメーションになるということは多いと思います。
リギングはしてはいけない動きを制限する為のものでもあります。リグによって動きを制限できます。
キャラの性質や体型や動きの種類によって、やりたい動きやさせたくない動きなどでリグの付け方が違ってきます。
そんな理由からどんなアニメーションなのか明快に分かってない段階ではリギングをあまり複雑に組んでしまわない方がいいと思います。
それに操作の仕方は個人さまざまなので、アニメーターが好まないリグを組んでしまうことも考えられます。アニーメーションをつけるのが自分なら自分と、他の人ならその方
と相談しながら組むことです。
ここで組んだものは私が自分と相談しながら組んだ
ものなのでリギングの一例でしかないと思います。
とはいえ汎用性は考えて組んだリグなので、全身を
使うアクションなど柔軟な動きに対応させたセッティ
ングは心がけています。
コントローラーが多く煩雑に見えるので扱い辛そう
ですが、ある程度は表示非表示で必要なものだけ
出して操作できるようにできます。
人のほぼ全ての動きができて、いろいろな動き方に
も対応できるようにした結果、コントローラの数が増
えてしまった訳です。
最初はシンプルに組んでいても、そこからやりたい
ことに合わせて増やしていくという方法で組んでい
ったものなので、結局やりたいことが増えるほどコン
トローラが増えました。
これらは全て組み込んだ方が良い訳ではありませ
ん。この中から使えそうなところを拾って活用して貰
えればと思います。
各コントローラーは掴んだ時に一体のオブジェクトと
して扱えるようキューブ状のものや形が複雑な立体
型まで全て一本のカーブで一筆書きをしています。
MELやエクスプレッションなどテキスト入力は使わ
ず、コネクトとドリブンとコンストレインだけでセッティ
ングしてるので作業は単調です。リグの組み方は構
造の考え方なので構築には同じ手順のものが多く、
重なる手順は省いて説明するつもりです。
002
モデルをT字ポーズで組む場合はジョイントが真っ直ぐ通るようにモデリングします。
ジョイントを入れやすくする為です。
ジョイントはT字ポーズで水平垂直方向に直線に入れます。
そうしないと回転軸があらぬ方向を向いてしまったりします。
リギングはこの垂直水平にジョイントが並んでいる状態からが組みやすいです。
ジョイントは出来るだけモデル断面の中心に置くようにします。
スキニングのしやすさ。クセの無い曲がり方をさせる為です。
モデリングで関節の形状などを表現するためや衣装等のデザインによりバインドポーズをT字ポーズにしたくない場合は、ジョイントをT字ポーズで組んでからジョイントの回
転でモデルに合わせて下さい。
ウエイト調整がしやすいように両足を開いたり指を開くのも有りですが、ジョイントの軸が水平垂直に直線上に並ぶように組んでから回転で曲げて下さい。
ジョイントの階層選択をして全ジョイントの回転の値を0にすれ
ばT字ポーズになるようなジョイントにします。
バインドポーズとリギングのデフォルトポーズが同じである必要
はありません。
今回のモデルはT字ポーズでバインドしますが、変則的なとこ
ろとして背骨が後ろに反っています。これはモデリングの影響
で首の位置と腕の付け根が影響してます。
以下のURLをバインドポーズの参考にして下さい。
http://usms.ws/blog/2012/11/bind_pause_1.html
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