2006年度産の一般流通種子を2007年10月に入手して,日本樹木種子研究所でテトラゾ リウム試験(以下,TZ試験),早期発芽力検定法(NETIS : KT-060003-A),および発芽 試験を行いました。その結果,種子の品質に大きな違いがあることがわかりました。 ネズミモチ TZ試験 2006年愛媛県産 RSセンター在庫種子 A 果肉は多少やわらかくなっているが 発酵臭は無い。TZ試験でも良好な 反応を示している。 2006年福岡県産 B社販売種子 B 外見は比較的良好であるが,強烈な 発酵臭がある。TZ試験ではほとん ど反応しないため,残念ながらほぼ 全滅と考えられる。 C 2006年産地不明 C社販売種子 外見は悪いが,発酵臭はほとんど ない。TZ試験では完全に劣化し た種子もあるが,比較的良好な反 応を示している。 *TZ試験では,生きている細胞のみ赤く染色される。 早期発芽力検定・発芽試験(%) 100 早期検定 (7日) 発芽率 (30日) 80 60 40 20 0 A B C 図1 早期発芽力検定と発芽試験の結果 ■ ABC各種子の早期発芽力検定(7日間)と 発芽試験(30日間)の結果,RSセンター種子 (A種子)の発芽率は90 %弱と非常に良好でし た。 しかし,一般流通種子には完全に死滅し ているものもありました(B種子)。このよう に劣化した種子では自然回復緑化は困難です。 C種子は発芽率60 %強でしたが,外見から もわかるように種子の劣化は着実に進行して おり,長期貯蔵するにつれて品質が急速に劣 化する可能性が高いと思われます。 ■ ネズミモチは長期貯蔵が困難な湿潤型種 子ですが,RSセンターでは独自開発した貯蔵 技術により中長期間の貯蔵を可能とし,品質 が明らかな種子を供給しています。 2006年度産の一般流通種子を2007年10月に入手して,日本樹木種子研究所でテトラ ゾリウム試験(以下,TZ試験)と早期発芽力検定法(NETIS : KT-060003-A)を行ない ました。その結果,種子の品質に大きな違いがあることがわかりました。 ヤマモミジ TZ試験 2006年長野県産 RSセンター在庫種子 A 多少劣化した種子があるが,その多くは 「しいな」である。カエデ類の種子は採集 後の精製の程度にもよるが,この程度の割 合で「しいな」が含まれていることは普通 である。 2006年秋田県産 種苗業者B社在庫種子 B 劣化している種子が多く,良好なものは1 ∼2割程度しかない。 *TZ試験では,生きている細胞のみ赤く染色される。 早期発芽力検定値(%) 100 80 60 40 20 0 A B 図2 早期発芽力検定と発芽試験の結果 ■ AB各種子の早期発芽力検定(7日間)の結果, RSセンター種子(A種子)の発芽率は約65 %と 良好ですが,B種子は約15 %とかなり低い状態 でした。 カエデ類は比較的長持ちする乾燥型種子です が,このような種子でも市場から調達した種子 は品質が悪いことがわかります。この原因とし て,樹種に応じた適切な貯蔵方法が適用されて いないために,種子の劣化速度が速まったこと が考えられます。 B種子のような状態では中長期的な貯蔵は困 難であり,自然回復緑化に使用したとしても良 好な結果を導くことはできません。 斜面樹林化技術協会 〒108-0014 東京都港区芝4-8-2 東興ジオテック株式会社内 TEL:03-6845-1526 FAX:03-3456-8752 http://isabou.net/nraj
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