平 成 28 年 3 月 お客様各位 一般社団法人 日本火災報知機工業会 消防用設備等の 適正な維持管理 について 謹啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。 消 防 用 設 備 等 の 維 持 管 理 に つ き ま し て は 、平 素 か ら 特 段 の ご 配 慮 を さ れ て お ら れ る こ と と 推 察 い た し ま す 。消 防 用 設 備 等 は 火 災 の 警 報 、消 火・抑 制 、避 難 、消 防活動支援などに使用され、火災から人命及び財産を守る重要な設備です。 平 成 13 年 に 発 生 し た 新 宿 歌 舞 伎 町 の 火 災 で は 、死 者 44 人 、負 傷 者 3 人 の 大 惨 事 と な り ま し た 。出 火 原 因 は 放 火 の 疑 い と 言 わ れ て い ま す が 、火 災 拡 大 の 要 因 は 以下の通りです。 自動火災報知設備が正常に作動しなかった。防火戸は有効に閉鎖しなかった。 3 階には避難器具が設置されていなかった。 い ず れ も 防 火 管 理 及 び 消 防 用 設 備 等 の 維 持 管 理 が 不 十 分 で あ っ た こ と が 、被 害 を 拡 大 し た と い え ま す 。こ の 火 災 を 契 機 に 消 防 法 が 改 正 さ れ 、防 火 対 象 物 定 期 点 検報告制度の新設、措置命令等違反に対する罰則が強化されました。 ま た 、一 部 の 違 反 行 為 に つ い て は 法 人 に 対 す る 罰 金 が 大 幅( 最 高 1 億 円 )に 引 き 上 げ ら れ ま し た 。全 国 の 政 令 指 定 都 市 で は 火 災 予 防 上 の 命 令 を 受 け て い る 対 象 物をホームページ上で公表しています。 平 成 26 年 度 版 の 消 防 白 書 に よ る と 、建 物 火 災 の 出 火 件 数 は 約 25,000 件 、建 物 火 災 の 死 者 数 は 約 1,250 人 と な っ て い ま す 。 出 火 原 因 は 連 続 し て 放 火 が 1 位 で 、 放 火 の 疑 い を 含 め る と 約 1/7 を 占 め 、 外 部 か ら の 火 災 危 険 が 高 く な っ て い ま す 。 近 年 は 企 業 の 経 営 者 が リ ス ク 管 理 を 確 実 に 行 な う こ と が 求 め ら れ て い ま す 。万 が 一 の 火 災 は 、企 業 内 の 人 的 損 失 、資 産 の 損 失 の 他 、顧 客 デ ー タ の 損 失 、サ ー ビ ス の 停 止 な ど 種 々 の リ ス ク が 顕 在 化 し 、損 害 賠 償 、法 的 制 裁 、信 用 の 失 墜 に い た ります。 建 物 の 安 全 を 維 持・向 上 す る た め に は 消 防 用 設 備 等 の 維 持 管 理 を 確 実 に 行 な っ ていただくことが大事となります。 裏 面 に 維 持 管 理 に 必 要 な 項 目 を 明 示 し ま し た の で 、消 防 計 画 、防 火 管 理 、長 期 修繕計画に役立てていただけるようお願いいたします。 謹白 消防用設備等の 維持管理に必要 な項目 1 消防用設備等の点検と報告 消防用設備等は消防法で点検と点検結果の報告が義務付けられています。 2 自主点検、自主検査 上 記 法 定 点 検 の 外 、年 に 2 回 以 上 防 火 管 理 者 な ど が 定 期 的 に 自 主 点 検 を 行 な う 。 火 気 関 係・避 難 障 害・防 火 戸 の 閉 鎖 障 害・消 防 用 設 備 等 の 操 作 障 害 な ど は 毎 日 、 建築構造・防火施設・避難施設は定期的に自主検査を行なう。 3 法定点検の指摘事項、自主点検・自主検査の不備及び欠陥は改修 管理権原者は、消防用設備等の点検、自主点検・自主検査の結果を確認し、不 備・欠陥は改修する。改修の予算措置に時間がかかる場合は改修計画を立て、 改修を促進する。 4 定期交換部品の交換 ス イ ッ チ ン グ 電 源・ 蓄 電 池・C R T デ ィ ス プ レ イ・ L C D( 液 晶 デ ィ ス プ レ イ ) など寿命を有する部品は、定期的に交換するように計画する。放置しておくと システム停止など、致命的障害に至る恐れがあります。 5 長期修繕計画とリニューアル ・消防用設備等を構成する機器には、多くの電気・電子部品が使用されており、 経 年 に よ り 劣 化 す る こ と が 知 ら れ て い る 。長 期 修 繕 計 画 を 立 て 、製 造 か ら 15 年 ~ 20 年 経 過 し た 場 合 は 、 受 信 機 等 シ ス テ ム の リ ニ ュ ー ア ル を 推 奨 致 し ま す 。 ・製 造 か ら 10 年 ~ 15 年 経 過 し た 場 合 は 、機 器 性 能 の 劣 化 状 況 を 確 認 す る た め に 劣 化診断を行なうことが有効です。 ・機器の物理的劣化だけでなく、修理が多くなり経済的負担が多大になった場 合 、補 修 用部品の入手が困難になった場合、技術の進歩により性能的に陳腐化 した場合などはリニューアルの対象となります。 ○ ○ ○ 消防用設備等に限らず、建物は維持管理を適切に行なうことが、建物の機能維持、資 産価値の向上につながります。 防火管理:管理権原者は防火管理者を定め、所定の防火管理業務を行わなければなら な い こ と が 消 防 法 で 定 め ら れ て い ま す 。防 火 管 理 業 務 に は 、消 防 計 画 の 作 成 ・ 自 衛 消 防組織の構築・防災教育・消防訓練などがあります。 法改正への適合:防災設備の信頼性向上、火災による惨事を防止するために法改正が 行われます。連結送水管・消防用ホースの耐圧性能点検、防火対象物定期点検など法 改正に対応した維持管理が必要です。 上記維持管理項目を参考に消防用設備等の適正な維持管理を促進するようお願いいた します。 一般社団法人 日本火災報知機工業会 〒 110-0016 東 京 都 台 東 区 台 東 4- 17- 1 偕 楽 ビ ル ( 新 台 東 ) TEL O3( 3831) 4318 FAX O3( 3831) 4365 H27
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