Is値と地震被害に関して(建築学会「1978年宮城県沖地震被害調査報告」) 資料1 ■ 構造耐震判定指標(Is値) 下図の曲線①は静岡県において無作為に抽出された建物の耐震診断結果から想定した既存建物 のIs値の分布で,曲線②は1968年十勝沖地震(M7.9、震度5)および1978年宮城県沖地震 (M7.4、震度5)で中破以上の被害を受けた建築物のIs値分布を示しています。 この表の分布によると震度5程度では,Is値が0.6以上の建物に中破以上の被害が生じてい ません。また、Is値が0.6を下回るとIs値が低くなるにつれて被害を受ける可能性が高く, Is値が0.35程度を下回ると被害が急激に増大することなどが読み取れます。 またこれらの地震では、大破などの大きな被害を受けた建物のほとんどは、Is値が0.4以下 であったことが報告されています。 2 Is値と大地震の被害を比較すると下記の様なことが言えます。 ①Is値が大きくなると、被災度は小さくなる傾向が見られる。 ②Is値が0.6を上回れば被害は、概ね小破以下となっている。 ③Is値が0.4から0.6の建物では多くの建物に中破以上の被害が生じている。 ④Is値が0.4以下の建物の多くは倒壊または大破している。 ■Is値=0.6の建物が受ける地震被害予測 被 害 軽微 小破 ランク 被害 状況 概要 中地震 震度5強 程度 大地震 震度6強 以上 柱・耐力壁・二次 壁の損傷が軽微 か,もしくは,ほ とんど損傷がない 柱・耐力壁の損傷 は軽微だが,RC 二次壁・階段室の まわりにせん断ひ びわれが見られる Is値=0.6 Is値=0.6 中破 大破 倒壊 柱に典型的なせん 断ひびわれ・曲げ ひび割れ,耐力壁 にひび 割れが見られ,R C二次壁・非構造 体に大きな損傷が 見られる 柱のせん断ひび割 れ・曲げひび割れ によって鉄筋が座 屈し,耐力壁に大 きなせん断ひび割 れが生じて耐力に 著しい低下が認め られる 柱・耐力壁が大き く破壊し,建物全 体または建物の一 部が崩壊に至る
© Copyright 2024 ExpyDoc