資源管理型漁業推進総合対策事業 (地域重要資源:ミズダコ)調査 中田凱久・早川 豊・佐藤恭成 調査目的 本種は津軽海峡西部海域においてスルメイカ、コンブ、アブラツノザメに次いで沿岸漁業の重要資源 1 年をピークに年々減少してきでいる。このような状況下で一部自主規制が行われてい であるが、昭和6 るものの必ずしも成果はあがっておらず、今後更に適正な管理利用を図るため、資源生態調査を行い、 その結果を漁業者検討会等に提示し、管理型漁業への転換を促進させる。 調査対象海域及び漁業 1.調査対象海域:竜飛、三厩村、今別町西部、今別町東部漁協海域(津軽海峡西部海域) 2 . 調査対象漁業:タコ樽流し漁業 調査内容及び方法 1.漁獲統計調査:統計資料ではミズダコ、マダコ、ヤナギダコなどが混同されているため、これを整 理分析するとともに、漁業種類別銘柄別漁獲量などを調査した。 2 . 標本船調査:操業実態を把握するため、樽流し漁業の操業船1 0 隻に日誌の記帳を依頼した。 3 . 市場調査:漁協職員に漁獲物組成(体重)の調査を依頼した。 4 . 魚体調査:交接時期および産卵時期などを把握するため、検体調査を実施した。 5 . 回遊移動調査:成長および移動状況を把握するため、標識放流を実施した。 調査結果及び考察 1.漁獲統計調査 平成 4年のミズダコとマダコの漁獲割合は、重量で前者が9 9 . 7 %、後者が 0 . 3 %で圧倒的にミズダ コが多く、これは例年同様の傾向であった。 1 5 7トン ( 7 2 . 9 % )で最も多く、次いで 7トン ( 21 .6 % )、小型定置網 4 .9トン(2 . 3 % )、ヤス突き 3 .6トン( 1 .6 % )、一本 アイナメ篭4 次に、各漁協資料から漁業種類別漁獲量を見ると樽流しが 3 . 5トン( 1 .6 % )等の順で前年と類似していた。 . 4 % (前年 3 . 1 % )であるが、樽流しでは 5 . 4 % (前年 また、全漁獲量に占める銘柄小の割合は 4 釣り 4 . 1 % )で両年とも多かった(表 1) 。 一方漁協別の年間漁獲量は竜飛が約 1 0 1トン ( 4 6 . 5 % )、三厩村6 2トン ( 2 8 . 5 % )、今別町西部3 4 トン(15 . 9 % )、今別町東部では 2 0トン(9 . 0 % )でいずれも前年漁獲量を上回り、前年同様津軽海 峡西部側に近い漁協程漁獲量が多かった。 また、銘柄小の漁獲割合は各漁協とも 1 0 %以下であるが、三厩村が 7%台で比較的多かった。(表 2 )。 -1 7 1一 表 1 平成 4年漁業別銘柄別漁獲量(調査対象 4漁協) お き そ 樽流し 雌大 雄大 並 総計 篭 小型定置 ヤス突き 単位:k g 一本釣 5 ,8 3 0 1 2,7 2 4 2 7,4 3 9 6 1 1 7 1 9 1 ,4 4 0 2 ,6 7 8 9 2 6 2 5 5 4 0 2 ,1 7 3 2 1 9 2 8 1 3 8 7 ,7 6 0 2 8 5 3 4 2 2,4 2 4,9 1 1 1 5 9,1 3 4 9 ,5 7 4 1 5 7,4 5 0 4 6,6 0 4 4 ,9 2 9 3 ,5 5 7 3 ,5 1 3 2 1 6,0 5 3 竜飛 雌大 雄大 並 総計 言 十 1 4 ,9 7 9 9 ,8 2 0 1 2 4,0 8 4 8 ,5 6 7 表 2 平成 4年漁協別銘柄別漁獲量 討を 総 三厩村 単位:k g 今別東部 今別西部 総計 1 3,1 6 4 1 7,4 2 6 6 6,8 4 6 ,0 7 9 3 5 ,2 9 4 3 ,7 9 6 4 8,1 4 3 4 ,4 2 1 2 ,4 9 7 1 ,4 8 2 2 9,1 2 7 1 ,2 6 9 1 ,4 7 9 2 ,2 0 7 1 5,1 0 8 8 0 5 2 2,4 3 4 2 4,9 1 1 1 5 9,1 3 4 9 ,5 7 4 1 0 0,5 1 3 6 1,6 5 4 3 4,3 7 5 1 9,5 0 9 2 1 6,0 5 3 @ 雌 大 :1 5 k g 以上 雄並:3 -12kg 雌 並 : 315kg 小 : 2-3 kg 雄 大 :1 2 k g以 上 さて、図 1-1-6に漁業種類別月別銘柄別漁獲量を示した。 月まで自主規制を行っているので、この間の漁獲はないが、樽流しは 1 1月から順 タコ漁業は 6-10 次漁獲が上昇し翌年 5月ピークとなり終漁している。銘柄別では「並」が漁期間主体を占め、次いで 「大」、 「小」の順であった。 アイナメ篭は 12-1月に漁獲のピークが見られ、銘柄別では「並」が多いが、 12-1月には「大」 が多かった。 、 5月にピークが見られ、 12-2月は「大」が多かった。 小型定置網は 2月 ヤス突きは 1-2月が盛漁期で、 「並」が主体であった。 一本釣りは 1 2、 3-5月に漁獲され、ピークは 5月で、 「並」が主体であった。 、 4-5月にかけての 2つのピークがあり、前者 以上を纏めて見ると対象海域での漁獲は 12-1月 では比較的「大」の割合が多く、後者での「大jは 2月以降激減し、 「並」が大部分を占めている。 L 内 nt 単位・トン 4O 羽 10 8 5月 6月 月 図雌大図雄大図並園小 図 1-1 樽流し漁業の銘柄別漁獲量 単位・トン 18 16 14 12 10 8 6 4 2 図 1-2 篭漁業の銘柄別漁獲量 -173- 開幽 並 図 猷 図 閉月猷 月図 5 8 ン 単佳・ ト 1 .8 1 .6 1 .4 1 .2 日. 8 0 . 6 0 . 4 0 . 2 B 5月 6月 月 図鑑大図雄大図並~小 図 1-3 小型定置網漁業の銘柄別漁獲量 単位・トン 1 .6 1 .4 1 .2 0 . 8 日. 6 0 . 4 0.2 B 5月 . _ 7~ . _ 9月 . 1 6月 8月 10月 月 図雌大図鑑大図並I!fd小 図 1-4 ヤス突き漁業の銘柄別漁獲量 -1 7 4ー 単位・トン 2 l .B 1 .6 1 .4 1 .2 ~.B ~.6 日. 4 B.2 8 1 月 . 3月 . 5月 2月 4月 6月 月 図雌大図雄大図並 m i小 図 1-5 一本釣り漁業の銘柄別漁獲量 単位・トン 切 40 謁 担 1~ 日 1 月 . 3月 . 5 月 . 7月 2月 4月 6月 月 8月 9月 'J 図雌大図雄大図並~小 図 1-6 全漁業の銘柄別漁獲量 -1 7 5ー 10月 なお、対象海域における本種の漁獲変動 ( 3 4 年 平成 4年)を図 2に示した。 昭和5 9 年以前は各年 1 0 0トン未満であったが、樽流し漁法が導入された 6 0 年から増加に転じ、翌日 1 4トンを記録した。 年には過去最高の 4 2 年以後減少傾向を辿り平成 3年には 1 6 4トンまで落ち込み、 4年が 2 1 6トンの漁獲量と しかし、 6 なっている。 単位・トン ヨ 刃 4 四 漁穫量 200 1 国 。 伺 6s { 昭 40) 70 75 { 昭 50) 閲 85 (昭 60) 羽 図 2 調査対象漁協のミズダコの漁獲量推移 2 .標 本 船 調 査 対象海域においてミズダコを漁獲対象としている操業船はおおよそ 1 6 0隻であるが、各漁協とも最 3 隻、三厩村3 8 隻、今別西部 9隻、今別東部 6隻計 7 6 も漁獲量の多い「樽流し」漁法の操業船は竜飛2 隻である。このうち標本船として依頼した竜飛所属船 3隻、三厩村所属船 3隻、今別西部所属船 2 隻、今別東部所属船 2隻の操業状況等を見ると以下のとおりであった。 5樽/隻/日で平均 1 4 . 2尾 竜 飛 所 属 船 :11-2月は前沖水深30-80mの岩礁地帯で操業し、 1 ( 9 8 k g ) の漁獲、 3-5月はやや沖合いの水深60-85ml こ漁場が移り、約 1 4 樽/隻 5 .9 尾 ( 9 5 k g ) の漁獲を揚げている。 /日で平均 1 また、漁期聞を通じて他漁協船よりも、雌雄ともに銘柄「大」の漁獲が多く、特 、 4月に多かった。 に 1月 0 三厩村所属船:前沖に岩礁地帯が少ないので漁期間を通じ竜飛方面に出漁し、竜飛 字鉄沖水深3 - 100mの岩礁地帯で、竜飛所属船よりやや沖合いのしかも広い範囲に亘って操業 3 樽/隻/日で平均 1 0 . 3尾 ( 5 7 k g ) の漁獲を揚げている。 し 、 1 域の岩礁地帯で操業して 今別所属船:西部、東剖洪に 12-2月は主に前神沿岸寄り水深 15-40m 3 . 6 :t尊/隻/日で いるが、三厩沖同様浅海域しか岩礁地帯が分布しないためか平均 1 1 2 尾 C 5 8 k g ) と漁獲も少なく、 3-5月も大泊 奥平部沖水深30-90mで 、 2 2 樽/ 隻/日で平均 8 .8 尾 ( 4 7 k g ) の漁獲であった。 -1 7 6一 また、両漁協船とも銘柄「大」の漁獲は 1-3月の聞のみで数尾に過ぎなかった。 次に、標本船により漁獲されたミズ、ダ、コの時期別・水深別・銘柄別分布状況を図 3に示した。 本種は主として水深20m 以深の岩礁域(天然礁)周辺に棲息するが、 11-12 月では水深60m 位まで が主棲息域と考えられ、大型個体は雄が多い。 1月になると雄の大型個体は水深20-40m域に移動 し、一方雌の大型個体が水深60-80m 域に出現し、雌雄の棲み分けが見られるものの漁期間を通じ雌 雄とも最も多く出現した時期であった(交接時期の想定)。 2月以降雄は急激に減少するが、雌の大型個体は水深60-80m域を中心に 4月まで多く見られ、 5 月になると急激に減少していたが、このことは産卵のため、或は産卵を終了し岩穴に住み着いたと考 えられた(産卵時期・水深・海域の想定)。 1991 。 1 1 水 口 12 • 0 。 40 ト 深 o (m) I0ね並ヲコ 100ト 0 3 。 0 口 • 4 月 5 ロ圃 ロ • E 0 口 - 1!r99 0 0 ロ ロ . 0 0 ロ ー 一 一1‘g尾 0 0 ・ ・・・・ 0・ • 0 。 -メス大 I jコ 2 ・・ ・・ ・・ ・ ・0 0 0 0 ・ ・ ・0 0 口・ -メス 1 1 5 ' コ 80ト ロ ね が コ 1992 1 ロ . o • 0 ロ • ロ • ロ • l ( ) ( ト9 9 9 足 120 図 3 ミズダコの時期別水深別漁獲尾数の変化 3 .市 場 調 査 三厩村漁協における漁期間の魚体測定結果を図 4に示した。 1月は 6kgと1 0 k g 、1 2月は 2kg 、 5kg 、 8kg にモードが見られた。 測定できなかった月もあるが、 1 1月は 2 0 k gを越える個体が漁獲され 2旬 、 6kg 、 8kg 、1 2 k g j l lりにモードが認められた。 3月になる と大型個体は殆ど漁獲されなくなり 2-5kg の個体が75%近くを占めていた。 5月も 3月同様の傾向 の個体が70%を越えていた。 であるがやや大きくなり 3-6kg -177- 2 I i ' l 11月 1 5 N=5: 3 1 1 3 5 日 12 3 ( . 5 6 7 8 91 1 31 I1 21 3 1 . (1 51 61 71 81 92 I i ' l2 12 22 32 4 初 < ! 月 1: 1 5 N=3: 37 1 日 5 日 12 3 A 5 6 7 8 91 0 1 11 21 3 1 41 51 61 71 81 92 I i ' l2 ¥2 22 32 4 濁 l月 N=213 1 5 1 日 5 日 11 21 31 , (1 51 61 71 81 92 I i ' l2 ¥2 22 32 4 123.(567891日 1 2 5 お 3月 N=3! : Ji ¥ 5 ¥ 1 1 5 B 1234567891自 1 11 21 3¥ . (1 51 61 7¥ 81 92 I i ' l2 ¥2 22 32 4 2 5 % 初 5月 N=188 ¥ 5 1 1 1 5 日 12 3 . . 5 6 7 8 91 9¥ ¥1 21 3¥ . (1 51 61 71 81 92 i !2 12 22 32 4 体重<KgJ 図 4 三厩村漁協における月別体重組成 - 178一 4 .魚 体 調 査 対象海域に棲息するミズダコの生物特性等を把握するため 1 1月-5月の間毎月並 大型個体を 1 0 数 尾購入し多項目測定を行ったが、大型個体の入手が少なかったので既往データと合わせて検討した。 2-1月であった。この時 既に述べた標本船及び市場調査では、雄の大型個体が多く出現したのは 1 期の体重 1 0 k g 以上の雄個体では精巣重量 3 0 0 g以上となっており、発達した精英を数本から 7-8本 保持しており成熟個体と考えられた。 次に、雌では 1 2 月には体重 1 5 k g を越える個体でも卵巣は 1 0 0 g程度で白色を呈し卵粒は小さく未熟 であった。 2月になると体重2 0 k g を越える個体の卵巣重量は 2 0 0 -8 0 0 gとなりクリーム色を呈する様になり 卵粒も米粒大になっているものも観察された。 4月には 9 .2 k g 及び: 1 3 k g の個体でも卵巣内の卵粒は発達し黄色みを帯び、これらは産卵可能と推測 された。 一方、標本船調査から雌雄の大型個体が同時に多く出現したのは 1月であり 2月以降雄の大型個体 が急激に少なくなったこと等も考慮すると、交接時期は 1月頃、また 5月以降雄の大型個体の漁獲が 激減すること等から、産卵時期は 5月以降であろうと想定された。 5 .回遊移動調査 本調査での標識放流再捕結果は以下の通りである。 4日(水試実施) 企放流年月日:平成 3年 5月2 6m 放 流 場 所 : 三 厩 沖 人 工 礁 水 深7 放流尾数・サイズ:7 0 尾・1.4 8 .6 k g 再捕年月日 再捕場所 平4 . 1. 4 三厩仲水深 7m 放流重量 再捕重量 6 .4 k g 1 5 .7 k g 企放流年月日:平成 3年 5月 2日及び 6月1 6日(竜飛漁協実施) 放流場所:竜飛前沖水深4 0m 放流尾数・サイズ:5 0 尾・ O .8 2 .7 k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし . . . 放流年月日:平成 4年 2月 7日(竜飛漁協実施) 0m 放流場所:竜飛沖(棋榔)水深4 放流尾数・サイズ:8 3 尾・ O .6 2 .5 k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし A 放疏年月日:平成 4年 3月1 6日(竜飛漁協実施) 放流場所:竜飛前沖水深4 0m 放流尾数・サイズ:8 4 尾・ O .5 3 .1 k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし -179- 備考 ♂ 企放流年月日:平成 4年 6月 1日(竜飛漁協実施) 放流場所:竜飛前沖水深50m 放流尾数・サイズ:2 5 尾・ 0 .9-1 .7 k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし .放流年月日:平成 5年 2月 1日(竜飛漁協実施) 鎧島) 40m 放流場所:竜飛沖(竜飛 放流尾数・サイズ:6 1 尾・ O .3 2 .6 k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし 企放流年月日:平成 4年 2月1 5日(三厩村漁協実施) 放流場所:三厩沖(六条間 藤島)水深50m 放流尾数・サイズ: 1 2 2 尾・ 0 . 9 2 . 4 5 k g 再捕場所 放流重量 再捕重量 . 4 .1 4 三厩沖水深75m 平4 1 .8k g 1 .7 5 1 .6 6 2 . 2 5 1 .9 8 2 .3 6 1 .5 6 2 .1 5 1 .0 2 . 3 2 1 .9 1 .5 5 1 .7 2 2 . 1 3 .O k g 3 .4 3 .4 5 .0 3 .2 4 .7 4 .0 4 .4 2 . 5 5 .4 4 .3 4 . 1 3 .4 7 . 8 5 9 5 9 6 5 8 1 8 2 8 8 8 8 8 8 9 0 9 0 9 2 9 2 1 0 5 3 3 5 経過日数 再捕年月日 11 11 .2 0 平4 . 4 11 平4 . 5 .6 11 4 0 4 2 6 0 平4 . 5 . 7 佐井焼山沖水深9 0 平4 . 5 . 1 3 三厩沖水深75m 11 11 11 11 .1 5 平4 . 5 11 平4 . 5 .1 5 11 . 1 7 平4 . 5 11 平4 . 5 .1 7 11 6 2 7 5 2 0 4 3 4 0 .1 5 戸井沖水深 1 6 0 平5 . 1 平4 . 5 . 3 0 11 経過日数 漁 具│備考 樽流し 11 11 11 11 11 11 11 11 11 11 11 11 雑延縄 . 放流年月日:平成 4年 3月1 7日(三厩村漁協実施) 放流場所:三厩仲(算用師)水深60m 放流尾数・サイズ: 1 0 2 尾・ O .4 52 .2 5 k g 再捕場所 放流重量 再捕重量 . 5 . 6 三厩沖水深75m 平4 1 .7 k g 2 .1 2 .0 2 .5 k g 3 .6 3 .8 再捕年月日 . 5 . 1 3 平4 平4 . 5 .1 5 11 11 4 0 4 2 -1 8 0一 5 0 5 7 5 9 具│備考 漁 樽流し 11 11 企放流年月日:平成 4年 4月 6日(三厩村漁協実施) 放流場所:三麗沖(増)11)水深3 5m 放流尾数・サイズ: 1 1 8 尾・ O .7 2 .3 5 k g 再捕年月日│再捕場所 平4 . 7 . 1 5 I戸井神水深50m A 放流年月日:平成 5年 3月 1 2日(三厩村漁協実施) 5m 放流場所:三厩沖(算用師)水深6 放流尾数・サイズ: 1 3 9 尾・ O .6 3 .O k g 平成 5年 3月3 1日現在再捕報告なし 以上の様に本調査期間内標識放流個体の現在までの再捕結果は、竜飛放流群の様に全く再捕例のな い場合もあり、その要因を検討する必要があろう。 5日放流群は再捕率 1 1 .5% で、北海道恵山沖で 3 3 5日後(増 一方、三厩放流群のうち平成 4年 2月1 . 7 )の再捕例があった。 重倍率 3 さて、本県では数年前より、対象海域 4漁協、青森地方水産業改良普及所、当場三者で標識放流を 実施しており、その状況を表 3に示した。 再捕率は 0-16% で放流群や放流時期により異なり、 1 2-3月にかけての放流が良い傾向が窺え る 。 次に移動状況について昭和6 3 年及び‘平成元年の事例を図 5、 6に示した。 6 3 年の 1 5 8 尾の再捕のうち、 1 2 6 尾 ( 8 0 % )は放流地点海域、 8尾 (5%)は西へ移動、 2 2 尾(14 %)は東へ移動、 2尾(1%)は沖合いへ移動していた。 平成元年の 5 1 尾の再捕のうち、 3 0 尾 ( 5 9 % )は放流地点海域、 4尾 ( 8%)は西へ移動、 8尾 ( 1 6 %)は東へ移動、 7尾(14%) は沖合い移動、 2尾 ( 4%)は沿岸へ移動し再捕されていた。 これらの事例から対岸の北海道との交流や津軽海峡東西への移動があるものの着底後の個体は深浅 移動が主体であろうと考えられた。 - 181- 表 3 ミズダコの標識放流および再捕状況 放流年月 放流場所(漁協) 62年 2-4月 厩 1 2月 11 流 l月 11 1- 3月 11 1- 3月 - ・ー・・・・.ー・-ー..““‘ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ー ・ ー ・ 5 0 2 4 .0 飛 1 1 6 5 4 .3 厩 村 9 9 3 1 2 3 1 2 .4 ~ 別西 部 9 7 8 8 .2 ~ } J J I 東 部 1 4 2 2 2 1 5 . 5 1 .3 4 8 1 5 8 1 1 .7 飛 1 1 5 2 1 .7 厩 村 1 ,2 6 2 3 8 3 .0 8 9 3 3 .4 2 2 6 8 3 . 5 1 .6 9 2 5 1 3 . 0 飛 4 0 0 9 2 .3 厩 村 8 3 1 1 2 1 .4 ~ } J J I 西 部 3 5 8 4 1 .1 b 3 、 日 J I 東 部 2 2 4 8 3 .6 1 ,8 1 3 3 3 1 .8 一 . . ー ・ ・ ・ ・ ー ー ー ー ・ ・ ・ ー ー . _ . . . . . . . . . . . 竜 11 1- 5月 11 1- 3月 i 寸h 別西 部 11 1- 3月 ~ } J J I 東 部 . . . . . . . . . . . . . . ー...ー・ー・・ ・ - ー . . ・ ・ ‘ ・ ・ ・ ー ー ・ ・ 計 2年 1- 5月 11 2- 5月 11 2 - 3月 11 2- 5月 ・ ・ ・ ー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ー ・ ・ 竜 再 . . 晶 . . . ‘ ・ ‘ ・ a ・ . . . . 再 。 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ a 計 元 年 1- 4月 率 1 2 . 5 部 別西 竜 ・ ・ 捕 2 村 計 11 数 1 6 ~ l 月 捕 。 ..........ーー 6 3 年 数 3 4 放 ・ー・・. ー ー 計 - 182- i タ首灯台 2 5 5 小周 t f i l t i 中 (670') 一,・. ‘ "・'、、 . 4 、 、 、 、 、 住井 i 中 一 ・ . i 1 ・ ・・ . ・./ . 、 . 1 ‘ ob ' li 責暢戸時 敏i 定 1, 348宅 再t . 158尾 →再 f 商品品所 f l字 I J経過日 f l 再繍事 11 .7% 図5 1 9 8 8年 ( S 6 3 ) ミズダコ標識放流結果 一 戸 h T 長リ3 ・ 31 i 町3 3 井 8 首九 ・ ιy 争 中 日 付 --a""qa 品 前 T7 内2 T伺 品 知 山 中 日 周2 , , 、 ‘ , , , •••• 段i 定 1, 692尾 再1 M 51~ 樗1M導! 3 . 0 < ? o & 1TliH過日敏 図6 1 9 8 9 年 (H元)ミズダコ標識放流結果 -183- , ~b'l 流 1品所 . j J i1M'品所 ,a 、 •• • . • . 、 、 、 . . ‘ 1 7 7 ‘ h 1 5 体 量 1 0 鈎 ∞ l 1 ~泊 ∞ 2 2 切 訓泊 3 5 0日 図7 1 9 8 8年三厩沖周辺のミズダコの成長 ~I m 1 5 体 量 1 0 ω ∞ I 1 鈎 ∞ 苫 2 5 0 耳淘 図8 1 9 8 9年三厩沖周辺のミズダコの成長 -1 8 4ー J 5 0 日 一方、昭和6 3 年及び平成元年の再捕事例を用いて放流後の成長を図 7、 8に示した。 一般に本種は成長速度が速いので、放流サイズ、時期、場所、雌雄により成長が異なり、また、再 捕場所、時期によっても成長が異なると考えられる。 両年の結果から 1 2 . 5 k gの個体では 6ヶ月後で 6-8kg 、 l年後で 1 1 1 6 同程度に成長すること が推測された。 なお、雌雄別では雄が雌よりも成長が良い傾向にあり、また水深の深い方に放流した方が成長が良 い傾向が見られた。 。 。 引用文献 1 ) 十三邦昭・他:三厩周辺海域におけるミズダコ調査, 青森県水産試験場事業報告. P 2 0 0 2 2 5 . 平成元年度. 2 ) 十三邦昭・他:三厩周辺海域におけるミズダコ調査, 青森県水産試験場事業報告. P1 3 6 1 5 5 . 平成 2年度. -1 8 5一
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