東日本大震災から5年を迎えて

東日本大震災から5年を迎えて
平成28年3月
日本商工会議所
会頭
三村
明夫
東日本大震災から5年が経過しました。改めまして、震災により亡くなられた方のご冥福を
心からお祈り申しあげますとともに、被災された皆様、特に、いまだ仮設住宅などで避難生活
を送られている皆様に、お見舞いを申しあげます。
被災地全体で見れば、住宅再建はピークを迎え、被災企業の施設・設備もほぼ復旧しつつあ
ります。しかしながら、震災時の被害状況の違いや、土地区画整理の調整状況、業種ごとの需
要や雇用の動向の違いなどにより、この5年の間に、地域間・業種間で復興の進捗に大きな差
が生じています。さらには、風評被害がいまだ続く一方で、震災の風化も懸念されています。
今後は、これまで以上に、地域の実情にきめ細かく対応した効果的な支援が必要になります。
さて、全国の商工会議所は、震災直後から、514 商工会議所のネットワークを活かして、救
援物資や義援金の寄贈、経営指導員の応援派遣、遊休機械無償マッチング支援プロジェクトな
ど、状況に応じた被災地の復興支援に全力で取り組んでまいりました。こうした全国的な取り
組みと同時に、個々の商工会議所による独自の支援が多数行われ、それまでにはなかった「地
域を越えた連携」が生まれました。また、東北六魂祭や伊達な商談会をはじめとする地域の観
光資源や産品などをPRする取り組みにより、全国、そして世界の人々に、「東北の魅力」が、
これまでになく強力に発信されていることは、誠に心強い限りであります。
被災地の皆様におかれましては、大変なご苦労を伴うこととは思いますが、このように新た
に築かれたつながりや枠組みを活用しつつ、引き続き、地域自らが復興に向けて力強く取り組
んでいいただき、その姿をアピールしていただきたいと思います。
今後、我々がすべきことは、
「震災復興の経験に学び続けること」ではないかと思います。
「災
害でストップした事業を立て直す」、「失った販路を取り戻す」、「まちのにぎわいを甦らせる」
など、震災復興の経験に学ぶ姿勢を持ち続け、被災地に「行き、知り、動く」ことを続けるこ
とが、風評を拭い、風化を防ぎ、ひいては被災地の真の復興につながると考えます。
私自身、今後も、被災地を訪問し、引き続き、先頭に立って復興支援に取り組んでまいりま
す。
常に前を向いて、一緒に歩み続けましょう。
平成 28 年 1 月以降の主な活動
1/21
「東北六県商工会議所連合会」ならび「東日本大震災被災沿岸部被災地区商工会議
所連絡会」から日本商工会議所への要望
要望項目:東日本大震災からの復興と、先を見据えた東北経済の再生
Ⅰ.早期復興と自立に向けた、継続支援を
Ⅱ.中小企業の経営再建・自立に向けて
Ⅲ.風評被害払拭・風化防止に向けて
Ⅳ.原子力災害の克服と産業復興再生の確実な推進を
― 福島の再生に向けて ―
Ⅴ.主要プロジェクトへの対応
日本商工会議所三村会頭に対し、要望書を手交
2/18
要望書を手交時の集合写真
「東日本大震災からの復興に関する意見・要望
5年後の確実な復興・創生の実現
とその先を見据えた取り組みを」を公表
日本商工会議所では、被災地の商工会議所や事業者等の意見・要望を踏まえ、被災地の確実
な復興・創生の実現に向けて取り組むべき事項をとりまとめた。今後、復興庁をはじめ政府・
与党関係各所に本要望を提出し、その実現を働きかけていく。
具体的な要望項目は、以下のとおり。
Ⅰ.インフラ復旧・復興まちづくりの促進
1.インフラの着実な復旧・整備の促進を
2.復興事業の長期化に伴う余剰宅地等の発生や商業機能復旧の遅れへの対応を
Ⅱ.産業復興・なりわいの再生
1.観光振興など交流人口拡大に向けた支援策の拡充を
2.国際競争力を備えた農林水産業の再生を
3.被災企業の販路回復・開拓を通じた自立促進への支援を
4.復旧・復興の段階を踏まえたグループ補助金制度の柔軟な対応を
5.安価で安定的な電力・エネルギーの供給確保を
6.被災企業に対する資金繰り支援の継続を
7.被災地域における商工会議所等の経済団体への支援拡充を
Ⅲ.インフラ復旧・産業復興の原動力である労働力の確保
Ⅳ.国の主導による福島の復旧・復興の加速
1.除染・汚染水処理や風評被害対策等の迅速かつ確実な実行を
2.国の指導の下での原子力損害賠償の確実な実施を
3.企業立地促進のための税制優遇など施策の拡充を
4.地域全体の再生を牽引するプロジェクト等の早期実現を
★その他の商工会議所関係の復興プロジェクトは下記 HP からご覧いただけます。
【日本商工会議所 > 地域振興情報 > 東日本大震災復旧・復興支援情報】
http://www.jcci.or.jp/region/tohokukantodaisinsai/archive.html