Google tests digital wallets that can stay in pockets Googleがポケットに入れたまま使えるデジタルウォレットをテストしている。 (ⅰ) SAN FRANCISCO ̶Google is testing ways to let people use digital wallets without having to even take smartphones out of their pockets. (ⅱ) The Internet colossus is dabbling with ways to make its Android Pay system for smartphones hands-free, with verification by facial recognition, Google product manager Pali Bhat said in a blog post. (ⅲ) Imagine if you could rush through a drive-thru without reaching for your wallet, or pick up a hot dog at the ballpark without fumbling to pass coins or your credit card to the cashier, Bhat said. 解説 (ⅰ) 日本語訳 ポケットからスマートフォンを取り出すことさえ必要のないデジタルウォレットを人々が使えるよ うにする方法をGoogleはテストしている。 単語・熟語 letは「許可」の意味を持ちますが、これは同時に「可能」の意味を持っていると解釈することが できます。例えば、運転免許は運転を「許可」するものですが、これは同時に運転をすることが できるという「可能」を表すものでもあります。したがって、letは必ずしも「許可」で訳さなけ ればならないというわけではありません。時には「可能」で訳した方がうまくいきます。今回は 「可能」で訳しました。ちなみにこの考え方はallowでも同じです。 構文 have to doは「∼しなければならない」という意味ですが、否定文では「∼する必要はない」と なります。今回はwithoutと一緒に使われていますので、「∼する必要はない」と訳しましょう。 (ⅱ) 日本語訳 このインターネット大企業はAndroid Payを、顔認識による確認を使い、スマートフォンを操作 しないシステムにする方法に手を出した、とGoogleの製品管理担当シニアディレクターを務める Pali Bhatはブログの投稿で語った。 単語・熟語 colossus:巨人/巨大企業 dabble:(∼に)首を突っ込む、手を出す(in, with, at) verification:確認 構文 smartphones hands-freeが少し難しいと思いますが、これは「操作しないスマートフォン」程 度に訳せればよいと思います。英文を読んでスマートフォンを操作しなくても支払いができるとわ かれば問題ありません。 Google product manager Pali Bhatの訳は日本語の参考サイトから引用しました。 (ⅲ) 日本語訳 「財布を取り出すことなくドライブスルーを利用できたり、硬貨やクレジットカードをレジ係に 出そうとしてもたつくことなく野球場でホットドックを受け取ることができたらと考えてみてく ださい」とBhatは話した。 単語・熟語 imagine if:(実際には違うが)もし∼だったらと考えてみなさい(if節中は仮定法) rush A through [through A]:Aを急いで処理する drive-thru:ドライブスルーの(店) reach for A:Aを取ろうとする、求めて手を伸ばす ballpark:野球場 fumble:(∼をしようとして)不器用な手つきで扱う、いじくる(to do) 構文 fumbleの訳ですが、そのまま辞書通りに訳してもぎこちないものになってしまいますので、 fumbleからかけ離れない程度に上手な訳を考えましょう。 毎回辞書に載っている通りの訳が通用するとは限りません。その場合は自分で類語表現を探すし かないのです。こういったことがあるので、和訳では英語力だけでなく日本語力も求められると言 われます。 個人的に気になったのが二文目のmake its Android Pay system for smartphones hands-free です。この書き方は正確ではないと思います。 以下はGoogleのHands Freeの公式ホームページから引用したものです。 How is this related to Android Pay? Hands Free is a separate app and is not related to Android Pay. Googleは「Android PayとHands Freeとの間に関係性はない」と述べていますので、より Googleの発言に寄り添うのであれば、make its Android Pay system for smartphones hands-free, with verification by facial recognitionと書かない方がよいでしょう。このmakeを 仮にOを導くmakeと考えても「顔認識による確認を使い、スマートフォンを操作しないAndroid Payシステムを構築する(its Android Pay systemをOと捉える)」となり、Hands Freeとの関連 性が否定できません。もちろん私の今回の記事のようにOC(O=its Android Pay, C=system)と解 釈して訳した場合でも、Hands Freeとの関連性が否定できません。ここではhands-freeですか らHands Freeというアプリそのものではありませんが、Android PayとHands Freeには関係が あると誤解する可能性があります。 ただ、このニュース記事を書いた方がHands Freeそのもののみを紹介するよりも、Android Pay にhands-free機能を加えたものとイメージしてもらった方がわかりやすいかもしれないと考えて のことであったのかもしれません。私はその可能性を考慮してmake Oではなくmake OCと解釈 しました。 しかしいずれにせよ、完全にミスリードがないとは言い切れないでしょう。公式ホームページで わざわざ「関連性がない」と明言するわけですから、それだけGoogleは前もって想定される質問、 疑問に答えようとしている、あるいは新しいサービスとして世に送り出していきたいという考え があるのではないでしょうか。 一つのニュースに対して複数の記事を読むことを私はおすすめします。今回の私の見方は少々細か すぎるかもしれませんが、皆さんも一つの記事を鵜呑みにしないようにしましょう。もちろんこ れはメディア批判などではありません。たくさんのメディアがあるからこそ、それぞれのメディア の報道内容を比較して「これは納得できる、正しいだろう」と思えるものを自分で選び取ってい く姿勢が、情報の多い現代では重要だと思いませんか。当然それはこの「英文つまみ食い」にお いても同じことで、最終的には皆さんが自分で考えて情報を選び取っていく必要があるでしょう。
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