VSUG DAY -THE FINAL

2005年11月、ビジュアル
スタジオ2005の発売に合わせ
グループ(VSUG)が結成され
た。そして10年の時を経て、そ
の活動を終えることになった。
その区切りとして、3月5日、
「ザ・ファイナル」と名付けられ
たイベントが、品川にある日本マ
イクロソフトのセミナールームで
開催された。冒頭で開会のあいさ
つに立ったのは、当時、マイクロ
ソフトで開発ツールのマーケティ
ング部長だった北川裕康氏だ。
TFS/VSTSの変遷と、
VSUGでフォーラムのボードリーダーを
オレたちとビジュアルスタジオ
との関係を話そう
お昼休みを挟んだ午後は、まずビジュアル
担当していた石野光仁氏、青柳臣一氏、社本
これからのDevOps時代に向けての開発
スタジオのMVPである亀川和史氏が、バー
明弘氏、そして都合により参加できなかった
渋木宏明氏に代わり石坂忠広氏が登壇して、
ジョン管理ツールについて解説した。
開発者にとって、エディタやコンパイラと
ビジュアルスタジオの歴史や思い出深いエピ
石野氏が手持ちのサーフェスの仮想マシン
ソードなどが語られた。
年のRCSから始まる主要ツールについて紹
上に、・NET以前のものも含め、ビジュア
いった開発そのものに次いで必要とされるも
介した。マイクロソフト製品では、広く使わ
ルスタジオの全バージョンをインストールし
のがバージョン管理ツールであり、1982
れたビジュアルソースセーフや前身として
ビジュアルスタジオ2002/2003で
て動作するようすを見せながら、それぞれの
とくに開発対象がウィンドウズに限定され
粗削りだった機能がその後のバージョンでな
バージョンがどのように進化してきたかが解
実際に、C#によるASP・NETのプロ
ていた従来とは異なり、2013年以降はク
マイクロソフトデルタという製品があったこ
ジェクトを作成し、Webアプリケーション
ロスプラットフォームへの対応、パートナー
くなったり、ビジュアルスタジオ2005が
とを紹介し、今日のチームファウンデーショ
ため、JWNTUGやPASSJ
をビジュアルに開発できるWebフォームや
シップの強化、オープンソースの促進、数カ
色んな面で安定したバージョンであることな
説された。ときどき「お宝写真」としてMS
のようなコミュニティが欲しいと
開発サーバーを使わずIISを使ってホスト
月という短い期間での更新など、開発の状況
ンサーバー(TFS)やビジュアルスタジオ
思って翔泳社の岩切さんに相談し
するようすや、ビジュアルソースセーフなど
どが紹介された。
DNマガジンのバックナンバーや、イベント
てできたのがVSUG。ロゴマー
を紹介した。一方、最新版のビジュアルスタ
が変化していることが示された。
チームサービス(VSTS)を解説した。
クの3つの輪はユーザー、スポン
ジオ2015では、ウィンドウズに限らず、
「幅広く開発者をサポートする
サー、メーカーのつながりを表し
ン性」(Openness)は、サトヤ・ナ
こうした近年のマイクロソフトの「オープ
ビルドとデプロイ、テストといった分野に対
れ、DevOps時代の計画と追跡、管理、
プロイ、簡易負荷テストなどの機能が紹介さ
のソース管理、テスト管理、自動ビルド、デ
「うっかり」ウィンドウズフォンについて
なっていることなどが説明された。
してしまった機能や現在の主要機能の基盤と
の実験的な製品についても触れた上で、消滅
また、ASP・NET Webatrix
やCω(シーオメガ)、ライトスイッチなど
の参加証なども紹介された。
ている」と設立の経緯を語り、運営と参加者
すべてのアプリ、すべての開発者を対象にし
デラ氏のCEO就任がきっかけと言われてい
する機能が提供されていることが示された。
ていることを訴えた。
るが、それ以前からオープンソースのプラッ
も登壇者の開発愛が感じられる時間だった。
は触れられなかったが、ときどき脱線しつつ
のオープンソース化がターニングポイントと
していることを紹介して締めくくられた。
VSTSの更新内容を自分のブログで翻訳
続く基調講演では、マイクロソフトのエバ
されているが、2010年の「MIX]とい
また、2002年の・NET登場時に放送
「はじめて買ったのは Quick C for Windows 1.0」
トフォームであるコードプレックスなどは運
営されていた。また、2014年の「BUI
ンジェリスト、井上章氏が「ビジュアルスタ
うイベントではjQueryの採用が発表さ
LD」というイベントで発表された・NET
ジオ~過去、現在、そして未来」と題して、
れ、開発者のジョン・レシグ氏が基調講演に
登壇している。決して急激な変化というわけ
の情報がネット上に残っていることを示した
されたテレビコマーシャルを紹介し、「お客
ではないということが語られた。
上で、Azure仮想マシンにインストール
様のニーズに、すばやく変化できる」という
現在でもビジュアルスタジオ97や6・0
新版の情報について紹介した。
されたビジュアルスタジオ2003を起動し
メッセージは今も通用するものだとした。
・NETコアなどがゴーライブライセンスで
最後にクロスプラットフォームに対応する
てみせた。コンピュータの性能が大幅に向上
きの声が上がった。「バージョン2003を
提供されることを紹介し、最新版でのデモが
しているため、起動はすばやく、会場から驚
現在のVSTS/TFSでは、Git対応
に感謝の言葉を述べた。
入社前の3年は社外での活動だったという井上章氏
ビジュアルスタジオの過去バージョンから最
感謝を述べる北川裕康氏
使ったのは2002が64ビット環境にイン
披露された。
参加者も古いバージョンから使っている人が多い
[日曜日]
(最初で最終号)
12-18= ☂ 3 0% 最高 19 度
5 日 17 時気象庁発表
てビジュアルスタジオ・ユーザー
VSUG DAY -THE FINALストールできないため」とのことだ。
フォトギャラリー
3月6日
<1> VSUG DAY -THE FINAL 基調講演、セッションレポート
<2> アーキテクトパネル
懇親会、編集部より
2016(平成 28)年
今日の東京
本日の紙面
ンソースに取り組んでいることも理
10年間ありがとうございました!
由の一つだろうが、コミュニティに
「だから、安心してやめられるん
それはもちろん、運営に関わって として知られていた人ばかりだ。最 よる情報は確実に増えている。
ライトニングトーク
イベントの最後は、ビジュアルス
タジオの元PM陣が裏話を披露し、
その後、9人の登壇者によるライト
ニングトークで締めくくられた。
皆様に感謝の気持ちを贈る。
うこともある。改めて、すべての
い時間を過ごすことができたとい
ジイの証拠と理解した上で、楽し
もう一点、昔話が楽しいのはジ
「この日」に公開したかった。
というありさまだった。それでも
ため、作業に取り掛かったのは日付が変わってから
ただ、帰宅後に、ついテレビを見続けてしまった
という言葉もいただいた。
井上章氏からは「エバンジェリストはフリー素材」
ない。当日、写真を撮る許可をいただいただけだ。
もなく、VSUG事務局にも相談していたわけでは
思いついたのは数日前だったので、事前準備は何
だったので「最後のご奉公」という意味もある。
力する機会がなかったというか、お任せしっぱなし
にした。マイクロソフト在籍当時から、たいして協
いが、自主的に「VSUG新聞」を作ってみること
参加できそうにない。その代わりというわけではな
ただいたのだが、残念ながら、今年は仕事の都合で
る「デコード2015」で新聞制作の声をかけてい
去年、マイクロソフトの技術者向けイベントであ
イベントの後、有志が集まって懇親会が
催された。Windows Phoneなどが当たるビ
ンゴ大会もあり、おおいに盛り上がった。
VSUGへの感謝を込めて
傍観者の立場で偉そうなことは言
えないが、長期に渡りコミュニティ きた方、参加された開発者、そして 近問題視されがちな言葉を使えば、
を運営するということは、たやすい スポンサー協力されたメーカーの尽 そうした方々の「やりがいを搾取」 ですよ」という言葉もあった。これ
もっとも、学校を卒業しても「同
ふさわしい例だろう。
ことではない。長く続いている勉強 力あってこそのものだ。ロゴマーク してしまっているのではないか、と こそが「発展的解消」という表現が
会もあるが、開発技術が変遷しやす が示す3つの輪が、まさにうまく絡 すら考えたこともある。
今では「SNS」という言葉も古
もともとVSUGの運営に関わっ めかしく聞こえるほどに「ソーシャ 窓会」というものがある。いつかま
いものであり、ビジュアルスタジオ み合った証左でもある。
自身が大きく変化したことを考えて
榊原氏は「ステークホルダーにど アップするか」というテーマでは、
から開発コミュニティの中心的存在 クロソフト自身がしっかりとオープ うに楽しい時間を過ごせるだろう。
も、10年に渡って運営が続いてき てきた方々は、皆、VSUG発足前 ル」な活動は一般化している。マイ た集まることができたら、今日のよ
たことは、やはり驚きである。
アーキテクト・パネルの時
アーキテクトを目指す若者に、パ
鈴木氏は「古いシステムにおける た議論がなされた。
る。人間は時間軸に沿って考えるこ
小井土氏は「うちはパッケージを
「どのように最新技術をキャッチ
という守りと攻めの両面が必 ものを考える」とした。
小さく始める、早く失敗する ントロールして、説明できるような
い。新しいことを始めるには 業務側の仕様を決めるメンバーをコ
こで収益を増やすことは難し とは何か、エンドユーザー、SE、
様が決まっているものの、そ 売るビジネス。パッケージのニーズ
では既存のテンプレートや仕
が必要で、業務系の古い分野 べた。
満たすかどうかを考えた提案 し、どこまでやるかを考える」と述
萩原氏は「技術が収益性を とが得意なので、そういう形で分析
が取り上げられた。
ピングするか」というテーマ 必要性をお客様に確認して、判断す れて締めくくられた。
して、どのように技術をマッ も、捨てるべきかもしれない。その ネラーからの熱いメッセージが送ら
まず、「ビジネス要求に対 複雑さは当時は有意義だったとして
福井厚氏が努めた。
レータをVSUG運営委員の れを確かめることが重要」とした。 技術を関連付けて学んでいくといっ
パネラーとして登壇し、モデ で異なる視点を持っているので、そ 際に自分で試してみること、複数の
介氏、OSKの小井土亨氏が る。非機能要求は、それぞれの立場 とが重要、話を聞くだけではなく実
エクスパートナーズの鈴木雄 んな要求を持っているのかを見極め 情報を集めるには自らが発信するこ
彰氏と萩原正義氏、グロース 作ったり概要図を作って整理し、ど で得意な分野をいくつか持つこと、
間は、マイクロソフトの榊原 んなタイプの人がいるかをリストを すべてをカバーすることは難しいの
アーキテクトはテクノロジーの進化にどのように対応してきたか
要」と語った。
懇親会
編集部より
2016年(平成 28 年)3月6日(日曜日) 〔2〕
VSUG新聞
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