27 愛防第 22-10 号 平成 28 年3月1日 各関係機関・団体長 様 愛媛県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について(送付) このことについて、3月の予察情報を送付します。 病害虫発生予報(3月) 平成 28 年3月1日 愛 媛 県 1 気象予報(高松地方気象台) 1か月予報 2 月 25 日発表(2 月 27 日から 3 月 26 日) < 1か月の平均気温・降水量・日照時間 > 平均気温(1か月) 降水量(1 か月) 低 10 並 30 高 60% 少 20 並 40 多 40% 四国地方 高い見込み 平年並か多い見込み 日照時間(1 か月) 少 40 並 40 多 20% 平年並か少ない見込み < 予報のポイント > 暖かい空気が流れ込みやすく、向こう 1 か月の気温は高いでしょう。期間の前半はかなり高くなる可能 性があります。低気圧や前線の影響を受けやすく、向こう1か月の降水量は平年並か多く、日照時間は平 年並か少ない見込みです。 2 病害虫の発生予想 かんきつ (1) かいよう病 ア 予報の内容 発生量:並~やや多 イ 予報の根拠 (ア) 2月の伊予柑を対象とした越冬病斑調査の結果では、発生ほ場率は、全県ではやや少、発病度 は平年並となっているが(下表参照) 、南予地域での発病ほ場率が高い傾向にある。 (イ) 気象予報では、降水量は平年並か多いとされていることから、発病にはやや助長的である。 ウ 防除上の注意 (ア) 園地に残存する夏秋梢などの罹病枝葉を除去し、病原菌密度を下げる。 (イ) 強風により付傷すると発病が助長されるため、防風垣や防風ネットを整備する。 (ウ) 春先感染防止対策として、発芽前の薬剤防除を徹底する。ただし、ICボルドー66D は、マシ ン油乳剤との散布間隔を 14 日以上あけ、樹勢の弱い樹には使用しない。気温が高い予報から発 芽が早まることが予想されるため防除時期に注意する。 伊予柑におけるかいよう病の越冬病斑調査 調査ほ場数 発生ほ場率(%) 発病度 調査年月 H28 年2月 166 39.2 4.0 H27 年2月 157 46.5 6.2 H26 年2月 155 41.3 3.7 H25 年1~2月 136 51.5 5.1 H24 年2月 134 57.5 5.5 H23 年2月 131 29.0 1.6 H22 年2月 119 26.9 0.8 H21 年2月 120 26.7 1.1 H20 年2月 236 37.7 2.2 H19 年2月 229 72.6 5.6 H18 年2月 226 70.2 5.3 平年 - 50.9 4.6 注:平年は H18~27 年の平均値。 発病度=(甚×7+多×5+中×3+少×1)/(調査樹数×7)×100 1 (2) ミカンハダニ ア 予報の内容 発生量:多 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査における寄生葉率、1葉当たり雌成虫数は、平年よりも高くなっている(下表 参照) 。特に、東・中予での発生が多い。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、現在の発生傾向が 続くものとみられる。気温が高い予報から発芽が早まることが予想されるため防除時期に注意す る。 ウ 防除上の注意 (ア) 12~1月にマシン油乳剤を散布していないほ場では、発芽前までに必ず散布する。但し、12 ~3月の冬期に2度散布はしない。気温が高い予報から発芽が早まることが予想されるため防除 時期に注意する。 (イ) やや樹勢が低下した樹では、高度精製マシン油乳剤(97%)を使用する。 定点調査におけるミカンハダニの発生状況 寄生葉率(%) 1葉当たり雌成虫数 調査時期 H28 年2月 2.42 0.05 平年 0.87 0.02 注:平年は H20~27 年の平均値。 か き (1) 炭疽病 ア 防除上の注意 (ア) 昨年発生したほ場では、越冬病斑のある枝を徹底して除去し、病原菌密度を下げる。また、切 除した枝は、ほ場内に放置せず適切に処分する。 (イ) 越冬病斑からの感染を予防するため、休眠期(発芽前)にホーマイコート 50 倍を散布する。 なお、薬液が十分枝にかかるように丁寧に散布する。 野 菜 (1) 黄化えそ病(冬春きゅうり) ア 予報の内容 発生量:少~やや少 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査では発病を確認していない(発病株率の平年値:0.00%) 。 (イ) 2月の定点調査では媒介虫のミナミキイロアザミウマの発生は、先月同様、寄生を確認してい ない(平年寄生虫数:0.13 頭/10 葉) 。 (ウ) 気象予報では、気温は高いとされていることから、媒介虫のミナミキイロアザミウマの発生に は助長的である。 ウ 防除上の注意 (ア) 発病株は直ちに抜き取り、適正に処分する。ハウス栽培では発病株の早期抜き取りが重要な耕 種的防除法となる。 (イ) 媒介虫の卵・蛹には薬剤の効果が劣るので、発生ほ場では、発生に応じて2~3回防除する。 (ウ) 媒介虫は雑草等でも増殖するので、ほ場内外の除草を徹底する。 (エ) 今後作付けされる作型では、定植時にアザミウマ類に登録のある粒剤等を施用する。また、防 虫ネットや紫外線除去フィルムの展張等の物理的防除も積極的に行う。 (2) べと病(冬春きゅうり) ア 予報の内容 発生量:多 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査における発病葉率は 10.50%であり、先月(12.50%)からほぼ横ばい傾向で推 移し、平年(1.87%)より高くなっている。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、発病には助長的で ある。 ウ 防除上の注意 (ア) できる限り換気を図り、ハウス内の多湿を防止する。 (イ) 草勢の低下は発病を助長するので、適正な肥培管理に努める。 (ウ) 老化葉や発病葉は早めに除去する。 (エ) 発病初期の防除に重点を置き、薬液が葉裏の菌叢に十分かかるよう丁寧に散布する。また、病 勢が進展している場合は、治療効果の高い薬剤を散布する。 2 (3) うどんこ病(冬春きゅうり) ア 予報の内容 発生量:やや少 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査における発病葉率は 3.50%であり、先月(1.00%)より増加したが、平年 (4.36%)に比べやや少ない。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、現在の発病傾向が 続くものとみられる。 ウ 防除上の注意 (ア) 病勢が進展した発病葉は可能な限り除去する。 (イ) 窒素過多を避ける。 (ウ) 発病初期の防除に重点を置き、葉裏まで薬液がかかるように丁寧に散布する。 (4) うどんこ病(冬春いちご) ア 予報の内容 発生量:やや少 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査では葉の発病は確認していないが、果実の発病をわずかに確認した(下表参照) 。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、発病にはやや助長 的である。 ウ 防除上の注意 (ア) 発病葉や発病果は、速やかに除去する。 (イ) 果実発病が中心となるため、発病初期の防除に重点を置く。 (ウ) 薬剤散布に当たっては、展着剤を必ず加用し、葉裏や芽の間隙部に薬液が付着するよう丁寧に 散布する。なお、ストロビーフロアブルについてはニーズ、アプローチBI等の浸達性展着剤は 加用しない。 (エ) 同一系統の薬剤の連用を避け、ローテーション使用を心掛ける。 定点調査におけるうどんこ病の発生状況 発病葉率(%) 発病果率(%) 調査時期 本年 (H28 年 2 月) 0.00 0.09 平年 0.33 0.23 注:平年は H18~27 年の平均値。 (5) ハダニ類(冬春いちご) ア 予報の内容 発生量:やや多~多 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査における寄生株率は 9.64%であり、先月(5.45%)より増加傾向で、平年 (4.30%)より多くなっている。ほ場により発生差が大きく、多発ほ場が散見される。 (イ) 気象予報では、気温は高いとされており、発生には助長的である。 ウ 防除上の注意 (ア) ほ場観察して早期発見に努め、発生が見られたら早めに防除する。また、同一系統の薬剤の連 用を避け、ローテーション使用を心掛ける。 (イ) 天敵導入ほ場では、天敵昆虫の活動に影響を及ぼさない薬剤の選択に留意する。 (ウ) 既発生ほ場では、気温の上昇に伴い密度の増加が懸念されるため、防除時期を逸しないよう注 意する(病害虫技術情報第 5 号(27 愛防第 115 号:平成 28 年 2 月 3 日発表)参照) 。 (6) アブラムシ類(冬春いちご) ア 予報の内容 発生量:やや少 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査における寄生株率は 0.27%であり、先月(1.64%)より減少し、平年(2.04%) より低くなっている。 (イ) 気象予報では、気温は高いとされており、発生にはやや助長的である。 ウ 防除上の注意 (ア) ほ場観察して早期発見に努め、発生がみられたら早めに防除する。 (イ) 天敵導入ほ場では、天敵昆虫の活動に影響を及ぼさない薬剤の選択に留意する。 (7) 黄化葉巻病(冬春トマト) ア 予報の内容 発生量:やや少 イ 予報の根拠 (ア) 2月の定点調査では発病を確認していない(発病株率の平年値 0.06%) 。 3 (イ) 2月の定点調査における媒介虫のタバココナジラミの寄生は、先月同様、寄生を確認していな い(平年寄生株率:0.24%) 。 (ウ) 気象予報では、気温は高いとされていることから、媒介虫のタバココナジラミの発生には助長 的である。 ウ 防除上の注意 (ア) 発病株は発見次第速やかに抜き取り、肥料袋に詰めたり、土中に埋めるなど適正に処分する。 ハウス栽培では発病株の早期抜き取りが重要な耕種的防除法となる。 (イ) 媒介虫のハウス内侵入を防ぐため、ハウス開口部に防虫ネット(0.4mm 目合い以下が望まし い)を被覆する。また、紫外線除去フィルムを組み合わせると効果的である。 (ウ) 媒介虫は多くの植物に寄生するため、ほ場内外の除草に努める。 (エ) 媒介虫に対しては、育苗時~定植時のネオニコチノイド系粒剤の施用や、定期的な薬剤防除を 行う。なお、薬剤感受性低下防止のため、同一系統の薬剤の連用は避ける。 (8) 灰色かび病(冬春トマト、冬春きゅうり、冬春いちご) ア 予報の内容 発生量:やや少 イ 予報の根拠 (ア) 冬春トマト、きゅうり:2月の定点調査では発病を確認していない(下表参照) 。 冬春いちご:2月の定点調査における発病果率は 1.09%と平年より高くなっている(下表参照) 。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、発病にはやや助長 的である。 ウ 防除上の注意 (ア) できる限り換気を図り、ハウス内の多湿を防止する。 (イ) 過繁茂や軟弱な成育は発病を助長するので、適正な潅水や肥培管理に努める。 (ウ) 発病果や枯死茎葉は早めに除去する。 (エ) 発病初期の防除に努める。同一系統の薬剤の連用を避け、ローテーション使用を心掛ける。 定点調査における灰色かび病の発生状況 冬春トマト 調査時期 (発病果率 %) 本年(H28 年 2 月) 0.00 平年 0.15 注:平年は H18~27 年の平均値。 冬春きゅうり (発病果率 %) 0.00 0.11 冬春いちご (発病果率 %) 1.09 0.55 (9) 白色疫病(たまねぎ) ア 予報の内容 発生量:やや多 イ 予報の根拠 (ア) 1月後半の広域調査における発生ほ場率は、早どり栽培で 39.34%(平年 42.13%)、普通栽培で 3.85%(平年 3.37%)と平年並の発病であった。 (イ) 気象予報では、気温は高い、降水量は平年並か多いとされていることから、発病にはやや助長 的である。 ウ 防除上の注意 (ア) ほ場の排水に努める。 (イ) 早期発見に努め、発病初期の防除を行う。 (ウ) 早生品種では球の肥大期を迎え発病が増加する時期となるため注意する。 4 【病害虫発生予察情報】 ホーム > 仕事・産業・観光 > 農業 > 鳥獣害・病害虫対策 > 愛媛県病害虫防除所 ホームページアドレスは http://www.pref.ehime.jp/h35118/2406/byocyubojo/index.html 【農薬使用時の注意】 ◎農薬の選定にあたっては、農薬取締法に基づき登録された農薬から選定しましょう。 ◎農作物の安全性を確保するため、農薬の使用にあたっては、適用作物、使用回数、 使用時期、使用濃度、使用量、使用方法等の使用基準を遵守しましょう。 ◎病害虫等の発生を的確に把握し、適時適切な経済防除に努め、農薬や労力等の低投 入を図るとともに、低毒性農薬を使用しましょう。 ◎農薬による防除のみに頼らず、耕種的防除法、物理的防除法及び天敵導入等を積極 的に取り入れた総合防除を推進しましょう。 ◎同一薬剤の連用は耐性菌、抵抗性害虫の出現や助長をまねくので、農薬のローテー ション使用を心掛けましょう。 ◎農薬の使用にあたっては、当該散布場所の地形、当日の気象、養蚕、養蜂、その他 の環境条件を考慮し、周辺環境に影響の少ない薬剤を選定するとともに、危害の未 然防止や環境の保全に努め、農薬事故防止対策を徹底しましょう。 ◎農薬を使用する際、農薬のラベルに記載された登録内容、使用上の注意事項等を遵 守し、農薬の散布にあたっては、農薬の種類に応じた保護具を必ず装着しましょう。 〔 表示事項の遵守 〕 ① 適用がない農作物へは使用しないこと。 ② 定められた使用量又は濃度を越えて使用しないこと。 ③ 定められた使用時期(収穫前日数等)を守ること。 ④ 定められた総使用回数以内で使用すること。 5
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