JIS 意見受付 - 日本非破壊検査協会

JIS 意見受付
JIS Z XXXX 放射線透過試験用複線形像質計
による像の不鮮鋭度の決定
原案作成委員会
この JIS は日本非破壊検査協会規則「JIS 原案作成に関する規則」に基づき関係者に JIS の制定前の意
見提出期間を設けるために掲載するものです。
意見は規格原案決定の際の参考として取り扱いさせていただきます。
掲載されている JIS についての意見提出は下記メールアドレスまでお願いいたします。
意見受付締切日:2016 年 3 月 21 日(月)
意見提出先:Email:[email protected]
日本工業規格(案)
JIS
Z XXXX:0000
迄
放射線透過試験用複線形像質計による像の不鮮鋭度
の決定
序文
21
日
Determination of the image unsharpness value using duplex wire-type image
quality indicators
この規格は,2013 年に第 2 版として発行された ISO 19232-5 を基に,対応する部分については対応国際
規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定さ
3月
れていない規定項目を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所及び附属書 JA は,対応国際規格にはない事項である。
適用範囲
1
2
01
6年
この規格は,放射線透過画像の像の不鮮鋭度を決定する方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 19232-5:2013,Non-destructive testing-Image quality of radiographs-Part 5
: Determination
of the image unsharpness value using duplex wire-type image quality indicators(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,“修正している”
ことを示す。
引用規格
2
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
コメ
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS Z 2300 非破壊試験用語
3
ブ
JIS Z 2306 放射線透過試験用透過度計
用語及び定義
パ
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 2300 によるほか,次による。
3.1
複線形像質計(duplex wire-type IQI)
像の不鮮鋭度を評価するために用いられる像質計で,高密度の金属で作られた線対の系列からなる。
3.2
像の不鮮鋭度(image unsharpness value)
透過画像の識別性に影響する因子。分離して識別できない最小の線対の番号で表す。
注記
像の不鮮鋭度に対応する線対の番号を表 1 に示す。
2
Z XXXX:0000
複線形像質計
4
4.1
形状,寸法及び構造並びに線対の材質
複線形像質計は,図 1 に示すように透けて見える固形の樹脂のホルダーに 13 組の線対からなる系列を埋め
込んだ構造とする。それぞれの線対は,円形断面をもった同径の針金で構成する。D1 から D3 までの線対の
材質はタングステンとし,その他の線対は白金とする。
寸法は,図 1 による。
mm
B
1~2
2
01
6年
A
3月
21
日
迄
単位
C
線対の拡大図
A:識別できる記号の表示される領域
コメ
B:固形の樹脂のホルダー
C:線対
ブ
d:針金の径及び針金と針金との間隔
線対の番号並びに対応する像の不鮮鋭度,針金の径及びそれらの許容差
パ
4.2
図 1-複線形像質計の形状,寸法及び構造
線対の番号並びに対応する像の不鮮鋭度,針金の径及びそれらの許容差は,表 1 による。
3
Z XXXX:0000
表 1-線対の番号並びに対応する像の不鮮鋭度,針金の径及びそれらの許容差
単位
4.3
記号表示
0.050
0.063
0.080
0.100
0.130
0.160
0.200
0.250
0.320
0.400
0.500
0.630
0.800
± 0.005
± 0.01
迄
D13
D12
D11
D10
D9
D8
D7
D6
D5
D4
D3
D2
D1
対応する値
u
0.10
0.13
0.16
0.20
0.26
0.32
0.40
0.50
0.64
0.80
1.00
1.26
1.60
針金の径及び
針金と針金との間隔の
許容差
21
日
線対の番号
針金の径及び
針金と針金との間隔
d
± 0.02
3月
像の不鮮鋭度
mm
複線形像質計は,識別できる記号が表示された像質計を使用する(図 1 参照)。また,その場合,その像
2
01
6年
質計の番号が確認できなければならない。
像の不鮮鋭度の決定
5
像質計による像の不鮮鋭度の決定方法は,次による。
a)
複線形像質計は,JIS Z 2306 に規定する針金形,有孔形又は有孔階段形透過度計と共に使用する。
なお,検出器固有の不鮮鋭度を測定する場合は、複線形像質計だけを直接,検出器の上に配置して
測定する。
b)
複線形像質計は,試験対象物の線源側に配置し,放射線束の中心軸にできるだけ直角となるように配
置する。
複線形像質計の像は,フィルム上で 4 倍までの拡大鏡又はデジタルラジオグラフィのプロファイル機能によっ
c)
d)
コメ
て評価する。
線対で 2 本の離れた針金の像から,隙間のない 1 本の状態となっている線対のうち像の最も大きい線
対を分離識別できない上限とする。デジタルラジオグラフィの場合,プロファイル機能を使用し,二
ブ
つのピークの大きさに対する変調(ディップ)が 20 %以下となる最初の線対とする。対応する針金(像)
の径及び針金と針金との間隔(図 1 及び表 1 参照)を d とした場合,像の不鮮鋭度 u は 2d で与えられ
パ
る。d の値は,像の基本空間分解能とみなすことができる。
注記
e)
複線形像質計は,像の不鮮鋭度だけに関わるもので,針金形,有孔形又は有孔階段形透過度
計の代用とはならない。
特殊な条件は適用する規格によって決定してもよい。
4
放射線透過試験用複線形像質計による像の不鮮鋭度の決定
(Ⅰ)JIS の規定
4 複線形
像質計
内容
(Ⅲ)国際規格の規定
箇条番号
2
JIS Z 2300,JIS Z
2306 を追加した。
4.2 線対の番号並
びに対応する像の
不鮮鋭度,針金の径
及びそれらの許容
差
4.1.2
(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
内容
ISO/IEC 17050-1 を引用
4.1.3
ブ
4.2
パ
4.2 適 合
宣言
技術的差異の内容
削除
ISO/IEC 17050-1 を削除した。
追加
JIS Z 2300 及び JIS Z 2306 を
追加した。
表 1 の見出しを一部変更した。 国内で広く用いられている用語の使
線対の番号及び対応する像の 用に混乱を来さないように語句の表
不鮮鋭度をまとめて,像の不鮮 現を変更した。
鋭度と表現した。
方法規格として制定するため削除し
た。
用語の定義及び透過度計の規定のた
め追加した。
変更
ISO の文字と製造番号を
表示
変更
識別できる記号及び像質計の
番号を表示するとした。これら
の記号及び番号を表示する領
域を図 1 の表示領域に限らな
いこと変更した。
国内の実情を考慮して変更した。
適合宣言の内容及び方法
を規定
削除
適合宣言の内容及び方法を削
除した。
方法規格として制定するため削除し
た。
コメ
4. 3 記号表示
箇条ごと
の評価
(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
線対の番号並びに対応す
る像の不鮮鋭度,針金の
径及びそれらの許容差を
規定
2
01
6
箇条番号
及び題名
2 引用規
格
(Ⅱ)
国際規格
番号
ISO 19232-5:2013,Non-destructive testing-Image quality of radiographsPart5:Determination of the image unsharpness value using duplex wire-type image quality
indicators
年
3月
JIS X XXXX:0000
21
日
附属書 JA
(参考)
JIS と対応国際規格との対比表
迄
Z XXXX:0000
5
Z XXXX:0000
像質計の使用方法
変更
箇条タイトルを規格タイトル
にあわせて変更した。
規定内容により沿うタイトルに変更
した。
針金形又は有孔階段形透
過度計との併用を推奨
追加
JIS Z 2306 に規定されている
有孔形透過度計を追加した。
国内で使用実績がある有孔形透過度
計を追加した。
検出器固有の不鮮鋭度測
定の場合の複線型像質計
の配置を注記
変更
検出器固有の不鮮鋭度測定の
場合の複線型像質計の配置を
規定に変更した。
-
追加
デジタルラジオグラフィの場
合の像の不鮮鋭度の決定方法
詳細を規定した。
JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 19232-5:2013,MOD
ブ
コメ
2
01
6
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
- 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
- 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
- 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
- MOD…………… 国際規格を修正している。
パ
迄
5
21
日
像の不鮮鋭度の決
定方法
針金形,有孔形又は
有孔階段形透過度
計との併用を推奨
検出器固有の不鮮
鋭度測定の場合の
複線型像質計の配
置を規定
デジタルラジオグ
ラフィの場合の像
の不鮮鋭度の決定
方法詳細を規定
年
3月
5 像の不
鮮鋭度の
決定
重要な事項であり,また,撮影対象
及び撮影方法に拠らない事項である
ため,この規格において注記から規
定へ変更した。
主として適用されると思われる試験
方法への適用方法を追加した。
1
JIS Z XXXX:0000
放射線透過試験用複線形像質計による像の不鮮鋭度の決定
解 説
この解説は,規格に規定・記載した事柄を説明するもので,規格の一部ではない。
制定の趣旨
21
日
1
迄
この解説は,日本規格協会が編集・発行するものであり,これに関する問合せ先は日本規格協会である。
この規格は,2013 年に第 2 版として発行された ISO 19232-5,Non-desutructive testing-Image quality of
radiographs-Part 5: Determination of image unsharpness value using duplex wire-type image quality indicators を
基とし,国内の事情等を考慮し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
この規格の対応国際規格である ISO 19232-5 は,デジタルラジオグラフィ(D-RT)に不可欠な複線形像
3月
質計(Duplex wire-type image quality indicator)による像の不鮮鋭度の決定方法を規定しており,フィルム
法(F-RT)とは適用の目的が異なることから,従来 F-RT の像質決定に用いられてきた透過度計を規定し
た JIS Z 2306(放射線透過試験用透過度計)とは別規格として制定した。
制定の経緯
2
01
6年
2
2004 年に ISO 19232-5,Non-desutructive testing-Image quality of radiographs-Part 5: Image quality
indicators (duplex wire type)-Determination of image unsharpness value が第 1 版として制定された。同時に第
1 版として制定された ISO 19232-1~ISO 19232-4 は透過写真の像質の評価に関わる規格であるのに対して,
ISO 19232-5 で規定する複線形像質計は透過画像の像の不鮮鋭度を決定することを目的としている。しか
し, ISO 19232-5 を引用している ISO 規格はなく,対応する JIS も存在しなかった。
2011 年に制定された ISO 16371-1,Non-destructive testing-Industrial computed radiography with storage
phosphor imaging plates - Part 1: Classification of systems 及 び 2013 年 に 制 定 さ れ た ISO 17636-2 ,
Non-destructive testing of welds-Radiographic testing-Part 2: X- and gamma-ray techniques with digital detectors
コメ
において ISO 19232-5 が引用され,複線形像質計の使用方法が詳細に規定された。2013 年に ISO 19232-5
が第 2 版として制定されたことから,この ISO 規格を基に,一般社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI)
3
ブ
の標準化委員会に JIS 原案作成委員会を設置し,JIS 原案を作成した。
審議中に特に問題となった事項
パ
この規格は D-RT における像質の決定を規定する方法規格として制定するため,適合性評価に関する項
目を削除することとした。
ISO 規格では,”total image unsharpness value”, ”image unsharpness value”, “total image unsharpness” 及
び “image unsharpness の異なる表現が用いられているが,差異は認められないため,この規格では“像の
不鮮鋭度”に統一した。
ISO 19232-5:2013,ISO 19232-5:2004 及び EN 462-5:1996 に準拠して製造した複線形像質計は,識別記号
及び番号の表示方法がそれぞれ異なっているが,複線形像質計の構造は同じであり,技術的な差異はない
ため,何れもが使用できるように配慮した。
解
1
2
Z XXXX:0000
解説
複線形像質計と共に使用する透過度計として JIS Z 2306 で規定している有孔形透過度計を含むこととし
た。
4
適用範囲について
この規格は,デジタル撮影を含む放射線透過画像の像の不鮮鋭度を決定する方法について規定する。
5
規定項目の内容
迄
規定項目の主な内容は,次の通りである。
a) 適用範囲(箇条 1) 複線形像質計は,D-RT の像の不鮮鋭度の決定に不可欠であるが,F-RT に適用し
b) 像の不鮮鋭度(3.2)
21
日
てもよい。
この規格で用いる像の不鮮鋭度とは,検出器システムに固有の不鮮鋭度に幾何
学的不鮮鋭度を含めた合計の不鮮鋭度を指している。
c) 記号表示(4. 3) ISO19232-5:2013 では,ISO の文字及び複線形像質計の番号を埋め込むと規定してい
るが,ISO 19232-5:2004 及び EN 462-5:1996 それぞれの規格番号を埋め込むと規定している。この規格で
3月
は,4.1 及び 4.2 の要求事項を満足する複線形像質計の識別できる記号及び番号が試験現場において確認で
きればよいこととした。
なお、この規格に準拠して製造した複線形像質計に JIS を示す識別できる記号を埋め込む場合には,例
えば単に J の文字とするなど認証マークに抵触しないよう留意する。
2
01
6年
d) 像の不鮮鋭度の決定(箇条 5) この規格では複線形像質計を用いて像の不鮮鋭度を決定する基本的な
方法を規定している。D-RT では,複線形像質計は検出器の水平方向又は垂直方向から数度(2°~5°)
傾けて配置する必要があり,また,像の不鮮鋭度及び基本空間分解能の詳細な決定方法は規格によって異
なる。例えば,この規格の対応国際規格である ISO 19232-5 を引用している ISO 17636-2 等に詳しく規定
されているので,これらに従って複線形像質計を使用し,像の不鮮鋭度及び基本空間分解能を決定する。
6
原案作成委員会の構成表
原案作成委員会の構成表を,次に示す。
コメ
JISXXXX(放射線透過試験用複線形像質計-像の不鮮鋭度の決定)原案作成委員会
パ
ブ
(委員長)
(幹事)
(幹事)
(委員)
氏名
○ 大 岡 紀
○ 河 原 大
○ 脇 部 康
平 塚 洋
土 井 賢
桑 原 純
八 木 隆
中 井 洋
金 森 照
池 田 克
杉
浩
構成表
所属
一
吾
彦
一
彦
夫
義
二
夫
己
司
学校法人ものつくり大学
東京都立産業技術研究センター
新日本非破壊検査株式会社
経済産業省 製造産業局
一般財団法人日本規格協会(2015 年 11 月まで)
一般財団法人日本規格協会(2015 年 11 月から)
一般社団法人日本鉄鋼連盟
一般社団法人日本溶接協会
一般社団法人日本伸銅協会
ステンレス協会
一般社団法人日本チタン協会(日鉄住金テクノ
ロジー株式会社)
ポニー工業株式会社
東光産業株式会社
○ 釜 田 敏 光
○ 木 村
徹
解
2
3
Z XXXX:0000
川 康 則
田 和 重
崎 吉 範
藤
潔
富士フイルム株式会社
日立 GE ニュークリア・エナジー株式会社
株式会社シーエックスアール
一般社団法人日本非破壊検査協会(日本 X 線検
査株式会社)
牧 原 善 次
一般財団法人発電設備技術検査協会
西
龍 司
東芝電力検査サービス株式会社
鶴 田 孝 義
三菱重工業株式会社
他生産者 1 名
槇
健 介
経済産業省 産業技術環境局
山 口 光 輝
一般社団法人日本非破壊検査協会
注記 ○印は,分科会委員を示す。
(執筆者 大岡紀一)
パ
ブ
コメ
2
01
6年
3月
21
日
(オブザーバー)
(事務局)
成
横
洲
加
迄
○
○
○
○
解説
解
3