オーダーメイド型の走り込みトレーニングが野球投手の投能力に与える影響 笹原 宙 (競技スポーツ学科 コーチングコース) 担当教員 北村 哲 キーワード:走り込みトレーニング,オーダーメイド,投能力 1.緒言 3.結果と考察 House(1995)は,試合での投球力を維持す A 選手,C 選手はミドルパワー,ローパワーの るためにはスタミナが必要であり,ピッチャ 練習メニューの頻度を多く行った結果,①ス ーは走りこむ事が重要であることを述べてい トレートの速度のばらつきが小さくなった.B る.本学野球部含め多くのチームにおいて, 選手はハイパワーの練習メニューの頻度を多 投手全員が同じ走り込みトレーニングを行う く行った結果,①ストレートの平均速度,② ケースが多い.しかしながら,各投手の能力 ストレートの速度のばらつき,③ストレート が異なることを考えると,効果的な走り込み の最大速度が向上していた.D 選手はハイパ 方法を各投手に合わせてオーダーメイドする ワーの練習メニューの頻度を多く行った結果, 必要性があると考えられる. ①ストレートの平均速度のばらつきが大きく そこで本研究は,各投手別に生理学的視点 なり悪影響を及ぼした.D 選手はミドルパワ において,投能力の課題と対応していると考 ー,ローパワーの練習頻度を多く実施すると えられる走り込みトレーニングを行うことに 投能力向上に繋がった可能性があると考える. より,投能力にどのような影響を与えるのか 表 1 ストレートの投能力の変化と各トレーニング頻度 を事例的に明らかにすることを目的とする. 2.研究方法 1)対象 本学硬式野球部の投手 4 名 2)トレーニング実験の過程 ①第 1 次評価(各投手の投能力,パワーお 4.まとめ よび持久力の把握) , ②第 1 次トレーニング 走り込みメニューをオーダーメイドするこ 計画の立案,③第 1 次トレーニング実験の とで,各被験者のストレートに関して,それ 遂行(4 週間) ,④最終評価 ぞれの投能力を改善することができ有用であ 3)投能力の評価 ストレート・変化球を各 40 球のピッチング った.変化球については,体力的側面よりも 技術的側面の影響が大きいことが考えられ, テストから,①コントロール力,②コントロ 今後検討が必要である. ールの持続能力,③最大ボール速度,④ボー 5.主な引用・参考文献 ル速度の持続能力を測定した. Tom 株式会社ベースボール・マガジン社:東 4)持久力の評価 京 P56. ①50m 走(ハイパワー),②YOYO テスト(間 欠的回復力) ,③400m 走(ミドルパワー) ,④ シャトルラン(有酸素性持久力) ,⑤1500m 走(ローパワー)について測定した. House(1995)ウイニング・ピッチャー. 林 裕幸(2001)野球ピッチング.株式会 社西東:東京 P186.
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