2.安全管理体制と方法 2-1 安全管理体制 輸送の安全の水準の維持および向上を図ることを目的とした安全管理規程において、輸送の安 全を確保するために遵守すべき事業の実施および管理の体制、方法を定めています。 社 長 役 員 (安全統括管理者) 総 務 部 長 運 輸 部 技 長 部 長 技 術 部 次 長 運 輸 部 次 長 業 務 課 長 術 運転保安課長 車 両 課 長 (運転管理者) (車両管理者) 企画更新課長 工 務 課 長 施 設 課 長 (施設管理者) 運輸指令長 工 繕 務 係 係 長 長 長 営 係 信 号 通 信 係 長 力 長 電 係 長 長 2 係 係 新 1 設 更 新 施 更 長 長 係 係 2 画 車 企 検 長 長 係 係 長 1 両 係 車 車 転 ( ) 長 検 運 乗務 員指 導管理 者 駅 (平成27年4月1日現在) 3 2-2 主な管理者の役割 役 職 役 割 輸送の安全を確保するために軌道事業の実施および管理の体制を整備すると 社 長 ともに、その方法を定め、状況を把握し必要な改善を行い、輸送の安全の確 保に関する最終的な責任を負います。 安全統括管理者 (常務取締役 運輸部長) 施設、車両、運転取扱いの安全性および相互の部門間の整合性を確保すると ともに、安全確保を最優先とした輸送業務の実施、並びに各管理部門を統括 管理し、安全性の維持向上のための施策の実施状況について、必要な改善の 措置を講じます。 投資計画、予算計画、要員計画その他必要な計画の検討にあたり、職員、設 総務部長 備の状況その他の事項を総合的に勘案し、安全性およびその実現可能性の検 証を行います。 運転関係の係員および施設、車両を総合的に活用し、安全で安定した輸送を 運転管理者 確保するため、運行計画の設定および改定、乗務員および車両の運用、列車 (運転保安課長) の運行の管理、乗務員の育成および資質の維持、その他運転に関する業務の 管理を行います。 施設の新設、改良、保守に係る管理体制および整備・維持管理計画の作成、 施設管理者 (施設課長) 変更に関する事項を総合的に勘案し、安全性の検証を行うとともに施設係員 に対する教育・訓練を適切に行い、係員の資質の維持・管理を行います。 車両の構造、機能の改良、維持に係る管理体制および整備・維持管理計画の 車両管理者 作成、変更に関する事項を総合的に勘案し、安全性の検証を行うとともに車 (車両課長) 両係員に対する教育・訓練を適切に行い、係員の資質の維持・管理を行いま す。 乗務員指導管理者 (運転係長) 運転管理者の命を受けて、乗務員の適性、知識および技能の維持・管理を行 い、乗務員の資質の充足状況に関する定期的な確認および運転管理者への報 告を行います。 4 2-3 安全管理方法 (1)安全マネジメント会議の実施 安全マネジメント態勢の維持・向上を目的に、当社の「安全管理規程」に基づき「安全マネ ジメント会議」を開催しています。 この会議は、安全統括管理者以下、各部の課長級以上の社員で構成し、毎月1回、安全統括 管理者をはじめとする各管理者が、責務を円滑に遂行するために必要な相互連絡、および輸送 の安全に関する検討を行っています。会議の内容を、安全統括管理者から社長へ報告するとと もに、各課でのミーティング等を通じて全社員に周知を行うことで、全社一丸となって安全意 識の高揚を図っています。 (2)内部監査(定期監査・特別監査)の実施 安全管理体制の適合性と有効性を検証するため、毎年、 社長へのインタビューをはじめ、全部署を対象に輸送の安 全に関する内部監査(定期)を実施し、出された改善推奨 事項等については、同年度中に改善を図りました。 また、平成26年10月28日に発生した線路内支障に よる輸送障害を対象に、特別監査を実施し、再発防止に取 り組んでいることを確認しました。 監査風景 (3)マネジメントレビューの実施 経営トップが主体的に関与して、安全管理体制が適切かつ有効に機能していることを評価し、 必要に応じて見直し改善するための活動として、マネジメントレビューを年1回定期的に開催し ています。平成26年度マネジメントレビューは平成27年5月に開催し、経営トップより、内 部監査の結果を生かし、安全マネジメント態勢の継続した改善が図られるよう努めることなど、 指示がありました。これら指示事項に対する取り組みを進めています。 (4)社長・安全統括管理者等による現場巡視 安全管理状況を確認するため、社長をはじめとして安全統括管理者や各部長による定期的な 現場巡視を行っています。平成26年度は、「春の全国交通安全運動」「鉄道・軌道および索道 の安全運転推進運動」「秋の全国交通安全運動」「年末年始の輸送等に関する安全総点検」の実 施時に巡視を行いました。 現場巡視 5 (5)その他 ①事故防止対策検討会の実施 自社で発生した運転事故および運転休止や遅延が生じた原因並びに対策に関すること、他社で 発生した事故に関し当社に該当する事項の事故防止に関すること、その他運転事故および輸送障 害の防止に関することで検討の必要があるときには、社内関係部署が連携し事故防止対策検討会 を開催しています。 昨年は、自社、他社で発生した10件の事案について検討会を行い、設備改修や異常時体制の 強化を図りました。 ②危機管理対応指針 当社の営業路線・場所およびその周辺で、危機事象が発生した場合又は発生するおそれがある 場合に、お客さま、地域住民および社員等への被害を防止・軽減するため、各部が実施する危機 管理対策の基本的枠組を示し、危機事象に備えています。 また、危機的事象の発生に備えて、社員が取るべき行動とその基本的な心構えや指針をまとめ、 常に携行できるよう全社員に配布しています。 ③緊急事態対策および防災体制 事故や自然災害等の緊急事態発生時においても、適切な指揮命令や行動がとれるよう体制と 取り扱いを定めた、緊急事態対策要綱と防災体制要綱を社内規程として整備しています。 また昨年は大規模災害等の発生に備え、子会社を含めた合同対策本部の設置を規定し、更な る体制の強化を図るとともに、列車が運行不能となった場合においても、お客さまのご不便を できるだけ少なくするよう、代替輸送機関の拡大等を図りました。 【緊急事態対策要綱】 自然災害、第三者災害又は重大事故等による長時間の輸送障害又は多数の死傷者の発生等、 社会的に大きな影響を及ぼすと認められる場合に備え、速報、情報伝達、救援、復旧、代替輸 送等の対策を定めています。 【防災体制要綱】 暴風時、雪害時、地震時の自然災害に関する体制及び取扱いを定め、的確、迅速な防災処置 をとることにより、その被害を最小限にとどめることを目的としてそれぞれに備えた対策を定 めています。 6 ④安全マネジメント態勢に関する教育方法の拡充(eラーニング) 全社で、安全マネジメント態勢に関するeラーニ ングツールを導入しています。繰り返しテストを行 うことで社員の安全に対する理解度を深め、安全意 識の向上を図っています。また、運転士や指令員は それと併せて運転保安業務に関するeラーニングツ ールを利用し、知識の向上を図っています。 (eラーニングとは、コンピュータネットワークを eラーニング 介した遠隔教育のこと。 ) ⑤ヒヤリハット運動の充実とリスク評価 従来から、安全マネジメント会議において、全社的にヒヤリハット事例を収集、整理し、事故 を未然に防止するリスク管理体制を構築しております。ヒヤリハットの要因を洗い出し、対応策 を検討・実施するために、重篤度、頻度、災害発生の可能性を数値化することで、更に踏み込ん だリスク評価を行っています。 ⑥アルコールチェック 運転士の出勤点呼において、アルコール検知器による呼気濃度測定を実施しています。測定 結果は管理監督者が出勤点呼時に健康状態と併せて確認し、管理しています。 また、工作車や作業車、車庫内の車両等を運転する技術部員についてもアルコール検知器によ る呼気濃度測定を実施しています。 呼気濃度測定 アルコール検知器 ⑦異常時用ワッペン 社員が通勤時や移動などのために当社線を利用中、事故 や災害に遭遇した際には、「名札ワッペン」を左胸などに貼 り付け、お客さまや外部の関係者に対して当社関係者であ ることを明示し、円滑な支援活動を行えるよう備えていま す。 7 2-4 平成26年度の安全管理体制に係る主な活動結果 平成26年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平成27年 1月 2月 3月 社長・安全統括管理者による巡視(春の全国交通安全運動) 安全管理規程 改正 第1回安全マネジメント会議 マネジメントレビューの実施 第2回安全マネジメント会議 事故防止対策検討会 第3回安全マネジメント会議 社長・安全統括管理者による巡視(安全運転推進運動) 第4回安全マネジメント会議 触車事故対応訓練 事故防止対策検討会 第5回安全マネジメント会議 社長・安全統括管理者による巡視(秋の全国交通安全運動) 安全報告書 ホームページ公表 震災対応訓練(大阪880万人訓練) 第6回安全マネジメント会議 平成26年度非常時合同訓練 事故防止対策検討会 第7回安全マネジメント会議 役員や各管理者を含む全社内部監査(総務部、運輸部、技術部) 事故防止対策検討会 第8回安全マネジメント会議 内部監査(定期監査) 社長・安全統括管理者による巡視 (年末年始の輸送等に関する安全総点検) テロ対応訓練 事故防止対策検討会 第9回安全マネジメント会議 安全マネジメント研修(他社研修施設見学) 震災対応訓練(大阪府との震災対応訓練) 事故防止対策検討会 第10回安全マネジメント会議 安全マネジメント研修(ヒューマンファクター講義) ホームからの旅客転落時の対応訓練 分岐器非常転換訓練 事故防止対策検討会 第11回安全マネジメント会議 内部監査(特別監査)(10月28日発生の輸送障害について) 分岐器非常転換訓練 第12回安全マネジメント会議 事故防止対策検討会 8
© Copyright 2024 ExpyDoc