第47回日本小児感染症学会総会・学術集会 ランチョンセミナー8 ワクチン・感染症に おける抗体の役割と 抗体価の読み方 座長 講師 日時 場所 尾 崎 隆 男 先生 庵 原 俊 昭 先生 (愛知厚生連 江南厚生病院 病院顧問 こども医療センター顧問) (独立行政法人 国立病院機構 三重病院 名誉院長) 2015年10月31日(土) 12:00∼12:50 コラッセふくしま5階 H会場 研修室 配布場所:ホテル福島グリーンパレス 総合受付脇(メインロビー) 配布時間:10月31日(土)8:00∼ ※整理券配布は11:30終了を予定しておりますが、当日の整理券 配布状況によって変更となる場合がございます。 また、整理券はセミナー開始時間と同時に無効となります。 共催:第47回 日本小児感染症学会総会・学術集会/デンカ生研株式会社 ワクチン・感染症における 抗体の役割と抗体価の読み方 講師 庵 原 俊 昭 先生 (独立行政法人 国立病院機構 三重病院 名誉院長) 抗体は感染症の診断、ワクチンの接種基準、ワクチンの効果の指標として用いられている。抗 体の役割やその数字(抗体価)を解釈するためには、抗体産生細胞の種類や抗体測定方法の 原理を理解することが大切である。 抗体産生細胞には3種類がある。一つ目はT細胞非依存性に抗体を産生する循環性B細胞由来 形質細胞であり、産生される抗体のavidity(抗原との結合力)は低値である。二つ目はT細胞 依存性に抗体を産生する濾胞性B細胞由来の、リンパ濾胞で抗体を産生する短命形質細胞 (SLPC)であり、avidityは高値である。三つ目は濾胞性B細胞が骨髄で成熟した長命形質細胞 (LLPC)であり、avidityは高値である。刺激する抗原の種類により、抗体を誘導する形質細胞の 種類が異なっている。生ワクチンでは1回の接種で3種類の形質細胞が誘導される。追加接種 の際に増加するのは濾胞性B細胞とSLPCであり、濾胞性B細胞の一部はLLPCとなる。 抗体測定方法は原理上大きく2種類に分類される。一つ目は血清2倍階段希釈法であり、抗体 価は「倍」で表示される。中和抗体(NT)や赤血球凝集抑制抗体(HI)はこの方法に分類される。 二つ目は血清1点希釈法である。血清をある濃度に希釈し、標準血清から求められる標準曲線 から抗体価を求める方法である。酵素免疫法(EIA)が代表である。抗体価は単位で表示され る。測定方法による抗体価の互換性をみるために、WHOは測定方法の如何にかかわらず、国 際単位で抗体価を表示することを求めている。A型肝炎やB型肝炎の抗体価は本邦でも国際 単位で表示されている。陽性閾値の互換性は抗体陽性率で求められる。麻疹NT抗体4倍は EIA抗体4.0EIA価に相当する。 抗体の有意上昇は、測定誤差以上の上昇である。測定原理上測定誤差以上の上昇とは、2倍 階段希釈法では2管(4倍)以上の上昇であり、1点希釈法では2倍以上の上昇である。その他、抗 体の臨床上の役割について言及する。
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