ジュニアネイションズカップ 小野 レポート

Tour de l’Abitibi 2015 7/21(火)~7/26(日)
UCI ジュニアネイションズカップ カナダ
自分にとって初めての UCI ネイションズカップとなるツールドラビティビ。昨年日本チー
ムがステージ優勝をしており、今年もステージ優勝の可能性が十分あるステージレース。エ
ーススプリンターの沢田のステージ優勝、沢田のサポートをしつつ自分自身もステージ 6 位
以内に入り UCI ネイションポイントの獲得を目標に走った。
第 1 ステージ:115.6km(106+3×3.2km)
この日は沢田のステージ優勝、総合リーダーの獲得がチームの目標。そのため横風区間はチ
ームで対応するようにし、ゴール前では渡辺、沢田を集団前方にあげるようにした。自分自
身は、最初の GPM(山岳ポイント)を取りに行き 1 回目の様子で判断してその後山岳リーダ
ージャージを狙っていくか決め、そして沢田のスプリントのために前方をキープしてアシ
ストをするようにした。
16h30 にレースがスタート
序盤から石上と前方を位置して 20km 地点から始まるガタガタ穴だらけ区間、25km 地点
の GPM に備えた。GPM 前でモロッコがチームで山岳賞狙っているのでその列車に乗って
狙っていったが早く先行しすぎてしまい後ろから抜かれて 3 位通過の 2 ポイントを獲得し
た。37km 地点のスプリントポイントを沢田が取りに行く予定だったがパンクで遅れてお
り、自分がフランスのスプリンターNo.33BARBIER PIERRE の後ろにつけたのでボーナス
タイムを取りに行ったが 5 位通過で獲得ならなかった。残り 40km からアメリカ、フラン
スが全員前に集まってきたので石上とその中に入り展開に備えた。その後から横風が吹き
始め、残り 25km から猛烈な横風が吹きアメリカがエシェロンで強烈に先頭を引き始めて
集団が一列棒状になった。アメリカの後ろにフランスがエシェロンを作ろうとするができ
ず、石上と前に上がりアメリカのエシェロンに入り前で展開した。残り15kmでアメリカ
の COSTA ADRIEN のアタックをきっかけにアメリカの MCNULTY BRANDON が単独で
抜け出して独走し始めた。集団が追うが離されていった。その時沢田と合流して集団の前方
に上げて周回コースに備えた。周回コースに入ったが渡辺、沢田が前に上がってこないので
集団前方に上がれず、自分の脚も限界になり最後は集団から遅れないように粘り集団内で
ゴールした。
ラストは沢田のために走ったが沢田も序盤のパンクで集団に戻るのに脚を使い脚が売り切
れていた。その時のみんなの状態を確認するべきだった。結果的に沢田が少し遅れてしまい、
サポートのために動いていた石上が集団の前方でゴールした。
アメリカ、フランスはチームで動くことができるのでエースが脚を貯めることができてい
た。レースが動いているときは常に石上の近くで走り、その他はアメリカ、フランスのエー
スの後ろを走ったが前に上がるタイミング、チームメイトの使い方を身近で見ることがで
きて自分自身学ぶことができた。
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第 2 ステージ:104.4km(94.8+3×3.2km)
この日は昨日体力を消耗させた沢田の状態を走りながら確認して、大丈夫なようなら沢田
をフランスチームの後ろにつけてスプリントをしてネイションズポイント、ステージ優勝
を目指していき、自分自身もスプリントで狙っていった。
気温が 14℃と低く冷たい雨が降る中 16h45 にレースがスタート。
大町がスタートアタックをして有力チームでない 4 人が追いつき逃げ集団が形成されたの
で集団はスローペースで進む。20km 程で右前方で集団落車が起こり、左中腹にいた自分
は巻き込まれてしまった。5 人程ローテーションを回し無駄な力を最小限に抑えて集団に
復帰した。あまりに寒く身体が冷えて動かないのでマズイと思い、70km くらいからアメ
リカがコントロールする集団のローテーションに入り身体を温めた。ゴール地点は第 1 ス
テージ同様ゴール前に周回コースがある。ここでは前方に上がっていないと下りで集団が
一列棒状になってしまう。しかし身体が思うように動かないまま周回コースに入り、徐々
に番手が下がり残り 2 周に入るところで中切れにあい遅れてしまい、そのまま踏みなおす
ことができずゴールした。総合順位を大きく下げてしまった。
落車から復帰するのに身体が熱くなりレインウェアを脱いでしまい、その後寒さで身体が
動かなくなり勝負に絡むことができなくなってしまった。なのでその時熱くてもそのまま
着ているべきだった。ただ落車で大きな怪我をしなかったことが良かった。
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第 3 ステージ:10.6km(個人タイムトライアル)
この日は午前中個人 TT、午後にロードレースが行われた。
コースがウェットなので落車に気を付けて 9h34 にスタート。
序盤はペースで走っていたが、登りで失速した。途中で雨が降ってきて視界が悪くなりコ
ースを間違えてしまい、タイムを失ってしまった。とは言っても世界トップとの TT の強
さが桁違いであった。選手の基本となる TT の能力を伸ばさなければならないと強く感じ
た。
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第 4 ステージ:51.5km
午後は距離も短く、アメリカの総合 1 位 2 位がタイム差を 3 位につけていたので、トラブ
ルがなくチームで連携できれば十分に勝てるステージであった。そのために先頭で最終コ
ーナーに入れるようにみんなで試走を行った。自分自身は沢田が勝てるようにサポートし
ようと考えた。
18h15 にレースがスタート。
スタートからアタック合戦で早い展開で進んでいく中、自分はゴールスプリントに備えて
集団内で脚を使わないようにして走った。残り 15km を切ったところで落車が起こり石
上、沢田が巻き込まれてしまった。このとき先頭でアメリカの COSTA ADRIEN がアタッ
クしていたが活性化されず沢田はすぐに復帰してきた。残り 10km を切ったところから、
渡辺、沢田と集まることができたので一度集団前方にまとまってあがりゴールスプリント
に備えた。この時点で自分はフレッシュな状態であり、それを伝えた。残り 5km でアメ
リカがトレインで先頭を引いているので、自分が後ろ二人を先頭にあげて位置取りをし
た。その後アメリカのトレインの後ろに入り込んだが後ろがついていなかった。自分は位
置を下げてはいけないと思い、前方を位置し続けた。このまま自分のスプリントをするこ
とに切り替えて、他の選手を使いながら上がっていきなだれ込む形で 6 位になった。
優勝はスプリンターではないアメリカの BLEVINS CHRISTOPHER。アメリカはチーム
でまとまることができて完全にゴール前を支配していた。日本チームもまとまることがで
きて連携できていれば勝てる可能性がすごく高かったと思う。非常に悔しさを感じた。
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第 5 ステージ:104km(13×8km)
この日は前日の落車の影響でチームのキャプテンである石上がスタートせず4人となって
しまった。前日の自分の脚の感覚と位置取りからして調子は良い。今日こそはチームでま
とまって沢田のスプリント力を活かしステージ優勝を目標に走った。大人数の逃げは逃げ
切る可能性があるので、その動きには気を付けていった。
13h30 にレースがスタート。
序盤は集団の中で脚をためて、コーナーの立ち上がりではもがかずに流れに身を任せた。
できるだけアメリカの選手の近くを走り、彼らのチームでの攻撃にも備えた。残り 3 周に
入るときに、みんなに前方に上がるよう伝えた。その後 10 人ほど抜け出しその中にフラ
ンス 2 人とアメリカがいたので、すぐに数名で前追い 16 人の逃げが出来た。その中でロ
ーテーションに入り集団とのタイム差がどんどん開いていったが、タイム差をつけたくな
いアメリカ、フランスの 1 人などがローテーションに入らなかった。クラブチームやモロ
ッコが引いていたが、日本チームの目標はステージ優勝なので自分もローテーションに入
らずに、この逃げが逃げ切った場合、吸収された場合に備えた。この逃げはラスト 1 周に
入るときに吸収され、自分はほとんど脚を使わずに集団前方に戻った。この時周りを見た
が日本チームがいなかった。この日は位置取り争いでゴール前の密集度は、今までのステ
ージより高く感じた。残り 2km の右コーナーでフランスのスプリンターの後ろに入るこ
とができ、5 番手ほどで残り 1km の坂に入ることができた。そのままフランスの後ろをキ
ープしたが自分のスプリントがなく 9 位でゴールした。
この日もチームでまとまることができず、チームで勝負に絡むことができなかった。
自分自身としてはゴール前の位置取りに自信を持つことができた。
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第 6 ステージ:93.7km(84.1+3×3.2km)
この日のステージは昨日までの走りで自分がエース・キャプテンとなり自分は自分のスプ
リントのために走り、沢田は自分を利用しスプリントしてステージ優勝を狙っていった。
日本チームは人数が少ないので他チームを利用してついていかなければならなかった。コ
ースが途中から第 1 ステージと同じところになるので、横風区間で対応できるように、チ
ームで前方にいる必要があった。
17h15 にレースがスタート。
最初の GPM まではモロッコが集団を引き、その後逃げができるもアメリカのコントロー
ルによって淡々と進み、後ろに沢田が常についていて脚を使わずに周回コースに入った。
ラスト周回はアメリカのアタックではどのチームも対応できず、自分には余裕があったが
スプリントのことで迷いが生まれ何もできなかった。そこまで日本チームは渡辺、自分、
沢田でまとまっていたが、ラスト 1km くらいでバラバラになってしまい、自分で位置取
りをしたが埋もれてしまい集団内でゴールした。
サポートがいると楽ではあったが、前に上がり位置取りをすることを考えると、自分で他
チームを利用して走ったほうが走りやすいとこのステージで思った。
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第 7 ステージ:119.4km(67.4+10×5.2km)
最終ステージとなりステージ優勝がラストチャンスとなった。アメリカを含む 5 人以上の
逃げは乗るようにして、まずは大町が反応することになった。
カナダに来て一番の暑さの中 14h45 にレースがスタート。
アメリカ、フランスを含む 3 名が抜け出す。追走には乗らなければならないので、大町に
前に上がるように伝えた。しかし勘違いしたようで自ら追走し宙ぶらりんとなってしまっ
た。その後 8 名の先頭集団ができ、日本チームは入れなかった。個人総合 2 位のアメリカ
の COSTA ADRIEN が入っているのは分かったが、その他の情報が分からず、このままで
はただ集団で走っているだけになるので、一旦チームカーまで下がり情報をもらった。集
団に戻り、まだ追わないようにみんなに伝えた。COSTA の 2 名の逃げが差をつけたまま
周回コースに入った。途中で集団が緩んだ時に 3 名が抜け出した。どのチームもチームで
追うことができなくなり、日本チームから大町が集団を引いたが、単独で引くことになっ
てしまい、先頭の COSTA、3 名の追走とタイム差が開いていった。ラスト周回に入りモ
ロッコが抜け出していたので、集団の 3 番手の 8 位でゴールした。
前半の横風区間では、チームで前にいることができず、もし強風が吹き攻撃がかかってい
たら日本チームはバラバラになっていたと思う。
アメリカは個人の力があるうえ、チームで戦うことができるので、最低でもチームでまと
まれないと、ただ走っているだけになってしまうと感じた。
JCF レポート
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今回の遠征ではチームの目標としていたステージ優勝をチャンスがあったもののチームで
連携がとることができず達成できなかった。次回のクロアチアでは今回できなかったチー
ム内での連携、他チームとのレース中のコミュニケーションを改善していきたい。
自分自身はレースに順応することができ、個人の目標としていたネイションポイントの獲
得を達成することができた。しかしレース全体をみたところ世界トップチームのアメリカ
との力の差を痛感した。今回の遠征でレースを読むための能力、TT 能力、スピードが乗
っている状態からのスプリント(トップスピード)の力が劣っていると感じたので、今後強
化していく必要がある。
大会期間中の海外選手たちとの出会いの中で、コミュニケーションを取ることができ仲良
くなれたことは、今後の選手活動のためにも自分の財産となった。
今回の遠征でサポート・応援してくださった方々ありがとうございました。
小野康太郎