北村真和氏

TSP太陽㈱ 北村真和
「岸和田=だんじり」と良く言われますが、私はその岸和田
に住んでおります。私ももちろん祭りに参加している一人で
す。しかし、私の家族は、誰一人参加しておりません。私は、小
さい時から友人と見に行く事はありました。何度か友人に誘
われ、法被を着て参加はしておりましたが、本格的にハマっ
ていったのは高校生になり、青年団と言う組織に入ってから
です。きっかけは、友人の誘いの下、何となく入団してみたの
です。高校生活では、部活にも参加せずバイトと遊びに励ん
でおりましたので軽い気持ちで参加致しました。良かったの
か悪かったのかは、今振り返ってもわかりません。青年団と
言う組織は、祭りを行う団体の中で、一番若い団体の組織に
なります。高校1年生から28歳まで(町によって異なります。)
の年齢層で形成されております。入団してまず思ったことは、
今までにない確立された上下関係に驚かされました。若い時は、
嫌な事もしんどい事もたくさんありました。上は偉そうにモ
ノを言うだけで、何でも下の子が動いていたからです。色々
な不満ももちながらもちろん楽しい事もたくさんありました。一番やっていて良かったと感じたのは祭り4
日間(試験曳き:2日、宵宮:1日、本宮:1日)が終わり、だんじりを小屋に収める時でした。曳いている時は、とに
かく夢中でもあり、それ以上にしんどく周りをみる余裕すらありませんでした。根本的に、
「祭り=楽しい」と思っ
ていましたが全くの逆でした。楽しいと思った瞬間は、4日間で1~2回程度しかありません。とにかくしんどかっ
たからです。しかし、小屋に収めた瞬間、自分でもわかりませんでしたが、自然と涙が溢れました。振り返って
みると、しんどかった事、辛かった事が、一気に蘇ると共に、大勢の人数で1つの事をやりきった喜び、達成感、
無事に終えた安心感、そういった色々な想いが重なったのかもわかりません。その時初めて「祭りって良いも
のだな。」と思いました。
一年の祭りが終わると、年が1つ上になり年下の仲間が入ってきます。そうして自分達がやってきた事など
を伝えていきます。段々と、中堅・上層部・幹部となっていきます。そんな組織で、強く感じたのは、育った環境
も地区も異なる一人一人ですが、祭りにおいては想いが同じなのです。そうして皆が一つになり、初めてだん
じりが曳行できるのだと感じました。そしてそこでは、様々な事を学びました。上下関係の厳しさ・人間関係
の大切さ・1つの事を皆で行う大変さと達成感・喜びの大きさ等々。また、勘違いしている事にも気付かされま
した。若い時は、
「上層部は楽をして偉そうにしている」という考えでした。実際自分も上に立たせて頂く機会
を頂きましたが、楽しいと感じる事よりも考える事ばかりでした。
また、皆の見えない所で苦労し、その苦労・しんどさを皆に見せな
い強さなど、実際にしてみないとわからない事だらけでした。人
の上に立つ大変さ、難しさなど、本当に今までにないくらい考え
て何回も話し合っていた事を思い出します。振り返ってみても一
番楽しい時期でもあり、一番しんどかった時でもあります。色々
な経験をさせて頂いたり、多数の仲間ができたりと、祭りをして
いないと決して体験出来ない事を体験し、祭りを通じて今の自分
があるのだと強く感じております。また、私が参加するまでテレ
ビでしか見ていなかった母親も兄も実際に見に来るようになり
ました。普段とは違う自分になっていると思いますので、少し小っ
恥ずかしいですが、話す話題も増え、良かったかと思います。町が
1つになれるのも岸和田の独特な地域でもあり、すばらしい事だ
と思います。祭りに参加して、14年になりますが、自分の生活の一
部になっているのかもわかりません。今年は子供が産まれ家族が
1人増えますので、親子で同じ法被を纏いだんじりを曳いている
と思います。発見して頂きましたらお声かけ下さい。夜でしたら、
お酒お渡し致しますよ。
-5-