「革新的触媒」(さきがけ)

「革新的触媒の科学と創製」
さきがけ「革新的触媒の科学と創製」研究領域
募集説明会
日時:平成27年7月1日(水) 13:00~14:30
場所:JST東京本部(サイエンスプラザ)B1F
北川 宏
国立研究開発法人科学技術振興機構 さきがけ研究総括
京都大学 大学院理学研究科 教授
「革新的触媒の科学と創製」
背景
・日本は加工貿易で立国するしかない。でも、原料
が高騰。プロセスのエネルギー効率を上げるしか
ない。革新的な触媒の登場に期待。
・日本は今後、炭化水素資源の多様化(原油、石炭
に加えて天然ガス、将来的にはバイオマス)にと
もなう、国内エネルギーフロー、マテリアルフロ
ーの最適化が求められる。
・大学には石油化学科は現在存在しない。石油プロ
セス化学や天然ガスプロセス化学の研究者も不在。
「革新的触媒の科学と創製」
背景
・国内石油コンビナートの施設インフラの将来活用。
原油化学からガス化学へ。
・原油価格は、OPEC(40%生産シェア)と米国シェ
ール生産、ロシア経済(旧ソ連邦の生産シェアは
OPECと拮抗)との競合に依存する。
・ロシア経済の先行きによっては、OPECのシェアが
増し、原油価格上昇する可能性がある。シェール
ガス・オイル再増産への可能性。
「革新的触媒の科学と創製」
背景
触媒は独・日が元々先導、石油化学産業の発展へ。
独は今なおリード、最近は米国が強く、新しい概念や
発想に基づく取り組みが多い。
日本では今なお分子触媒(鈴木カップリングなど)は
強いが、固体触媒分野は弱体化。企業の泥臭い研
究と大学の一見綺麗に見えるサイエンスが解離。オ
ーソドックスで泥臭い研究(石油プロセス化学)から、
華やかな分野(燃料電池やLIB)へ人材シフトが原因
か。人材育成が急務の課題。人材育成には産学協
働が重要。
「革新的触媒の科学と創製」
採択方針
・これまでの取組延長線上での提案や既存技術の
改良研究、他人の論文・特許のアイデアとの組
み合わせ研究、などの提案を排除する。0を1
にするような大胆な挑戦的提案に期待。
・さきがけ研究なので、研究者個人がアンダーグ
ラウンドであたためていたアイデア重視。
→所属研究室の研究コンセプトの範疇でない個
人アイデアを重視。
・エビデンス提示は重視せず、新概念提唱を重視。
「革新的触媒の科学と創製」
採択方針
・新物質開発の提案は歓迎、その一方で触媒評価の
道筋を提示すること。
・理論や計測との連携を重視。個人研究とはいえど
も、触媒開発は連携無しでは難しい。提案書で枠
組み提示して欲しい。
「革新的触媒の科学と創製」
採択方針
・光触媒の要素は含んでいても構わないが、人工光
合成(特にCO2固定や水の光分解など)を目指し
た光触媒の研究開発は、多くのプロジェクトが進
行中なので、大きく取り上げる予定はない。但し、
既存のアイデアや進行中の類似プロジェクトの内
容を遙かに超える提案の場合は採択する可能性は
ある。
・最終的なイノベーションにはプラント・エンジニ
アリングは重要だが、さきがけでは重視しない。
「革新的触媒の科学と創製」
運営方針
・領域アドバイザーには、比較的若い世代(40歳代
後半から50歳代前半)を中心に起用。その一方で
大御所も起用。企業研究者も数名登用。
・研究には厳しく、人には優しく(育てる)。
・Max-Planck Institute(Fritz-Haber
Institute)との合同シンポジウムの開催など
も視野に。国際的な人材育成を重視。
クロスカップリング反応の工業化
イノベーションには時間と忍耐が必用
技術軌道
1979
J. K. Stille
Sn/Pd
技術レベル
1979
鈴木章・宮浦憲夫
B/Pd
市場形成期間
1982
玉尾晧平・吉田潤一・熊田誠
Pd/RSiF52-
普及軌道
2000
東ソー
レジストモノマー
16年
1977
小杉正紀・右田俊彦
Sn/Pd
1996年
ノバルティス(スイス)
高血圧治療薬
1995
Merck(米国)
血圧降下薬 Losartan
1995
チッソ
液晶
1976〜77
根岸英一など
Al・Zn/Pd
1972 R. J. Corriu
Mg/Ni
1975
村橋俊一
Li/Pd
1970
1972 熊田誠・玉尾晧平
Mg/Ni
1988
北興化学工業
p-tert-ブトキシスチレン
12年
1975
1980
生産量
技術開発期間
ノーベル
賞
1985
1984
北興化学工業 p-クロロスチレン
1990
∬
2000
2010