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トレカ ® プリプレグ用マトリックス樹脂(#2573、#2574)
東レは、2種以上の樹脂をナノオーダーで相分離させるナノアロイ ® 技術を適用した、新規マトリックス樹脂「#2573」、
「#2574」を開発しました。
本技術は、組み合わせる樹脂の種類や硬化剤、硬化条件を最適化することで、均一相溶混合物の状態から硬化を経て、
樹脂硬化物の相分離構造をナノオーダーレベルで制御するもので、従来トレードオフにある特性の両立を達成していま
す。これまで樹脂の弾性率と破壊靭性はトレードオフであり靭性を維持しながら弾性率を向上させることは困難でした
が、ナノアロイ ® 技術を適用することで相反する特性の両立を実現することができました(図1、図2)。
耐衝撃タイプ
#2573
ナノアロイ ®
技術適用
両相連続構造
混合
樹脂 B
ナノオーダーでの
ナノオーダーでの
相分離構造制御
相分離構造制御
耐熱タフ樹脂
#2592
汎用
#2500 系
重合 ( 硬化 )
均一相溶混合物
高曲げ強度タイプ
#2574
靭性
樹脂 A
海島構造
図 1.マトリックス樹脂におけるナノアロイ ® 技術
曲げ弾性率と
靭性のトレードオフ
曲げ弾性率
図 2.ナノアロイ ® 適用樹脂の物性
「#2573」樹脂:耐衝撃性タイプ
現行の耐熱タフ #2592 対比樹脂の弾性率を維持しつつ靭性を大幅に向上させることで、コンポジットのシャルピー衝撃
強度が 14%向上しました。荷重―ひずみ曲線を比較すると、最大荷重に達するまでは同じ挙動を示しつつ、「#2573」
樹脂使いコンポジットは最大荷重後の吸収エネルギーが大幅に増加しています(図 3、図 4)。
シャルピー衝撃強度
T800S/#2592 材を100としたときの相対値
140
120
+14%
100
80
60
T800S/#2592
T800S/#2573
図 3.耐衝撃ナノアロイ ®「#2573」の
シャルピー衝撃強度(平板の全吸収エネルギ−)
図 4.シャルピー衝撃強度チャートのイメージ
140
「#2574」樹脂:高曲げ強度タイプ
現行の耐熱タフ #2592 樹脂対比靭性を維持しつつ曲げ弾性率を大幅に向上させる
ことで、例えばゴルフシャフト用途で重要視される円筒成形コンポジットのねじり強
さを維持したまま、曲げ強度の大幅な向上が期待できます。
さらに、「#2574」樹脂を高強度・高弾性率炭素繊維トレカ ®「T1100G」と組み
合わせることで、従来材対比コンポジットの強度が 13%向上、弾性率が 10%向上し、
コンポジットにおいて高強度と高弾性率の両立を実現できました(図 5)。
T800S/#2592 材を 100 としたときの相対値
0 曲げ強度
0 曲げ強度率
120
+13%
+10%
100
80
60
T800S/#2592
T1100G/#2574
図 5.高曲げ強度ナノアロイ ®「#2574」
のコンポジット物性