平成 27 年度事業計画 - 一般社団法人 日本サステナブル建築協会

平成 27 年度事業計画
一般社団法人
日本サステナブル建築協会
地球温暖化等環境問題は、人類にとって最も大きな課題となっており、サステ
ナブル社会の形成の必要性は益々高まっている。さらに東日本大震災に伴う電
力供給力の低下により、省エネルギー対策の一段の強化が課題となっている。こ
うした中、国においては建築物の規模・用途等に応じて段階的に省エネルギー基
準適合の義務化の方向等が示されたのをはじめとして、建築物の省エネルギー
化に向けた規制的措置や誘導的措置などの積極的推進が図られつつある。
当法人としては、これまで住宅・建築物の新たな省エネルギー基準の整備、新
しい省 CO2 技術の評価普及等に貢献してきているところであるが、27 年度に
おいてもこうした施策の展開に沿いつつ従前よりの蓄積を生かして環境負荷軽
減に関する技術の調査研究、開発及び普及啓発等を産官学の連携のもと的確に
推進することとし、下記の諸事業を実施する。
1.建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の開発整備
建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の CASBEE-戸建、CASBEE建築、CASBEE-不動産、CASBEE-街区等のいわゆる CASBEE ファミリーに
ついて、諸基準の改正の動向等を踏まえつつ所要の改訂作業に取り組む。
2.調査研究
(1)スマートウェルネス住宅に係る調査研究
① スマートウェルネス住宅の研究開発
スマート化による生活サービスの技術イノベーションとスリム化によ
る低炭素・高品質化に向けた住生活のパラダイムシフトについて、ICT の
活用による住生活ビジョンや高齢者向け安全安心な住まいの評価ツール
の検討、並びにこれらに関連する環境設備等の技術と住宅設計ガイドライ
ンの研究を行う。
②
住宅の省エネルギー化による居住者の健康状況の変化等に関する調査
住宅の省エネルギー化等による居住環境改善が疾病予防、介護予防等
にもたらす効果を明らかにするため、既存住宅の改修前後の温熱環境と
居住者の健康状態の変化等に関するデータ収集を全国規模で引き続き実
施する。
(2)スマートウェルネスオフィスの研究開発
大規模から中小規模にわたる幅広い既存オフィスビルの不動産価値の
向上と健康・安心等のテナント満足度の向上のため、スマート化による環
境負荷軽減や BCP/LCP の向上等を図るオフィスリノベーションの評価ツ
ール、改修ガイドライン等の開発を行う。
(3)エネルギー コベネフィット クリエイティブ タウン調査
持続可能な都市・地域づくりに資する地域特性を活かしたエネルギーシ
ステムの構築を目指して、今後のエネルギーシステムに求められる持続可
能性・強靭性・柔軟性等の具体的な計画評価手法をとりまとめるとともに、
スマートエネルギーシステムの構築と多様なコベネフィットをもたらす拠
点地区の整備推進方策を提案する。
(4)LCCM 住宅の開発
住宅のライフサイクルにわたる CO2 収支をマイナスにする LCCM 住
宅開発に資するため、デモンストレーション棟において燃料電池・太陽光
発電と蓄電池を組み合わせたエネルギー効率の測定・分析等を実施し、
LCCM 住宅の設計評価手法の充実を図る。
LCCM: Life-Cycle Carbon-Minus
3.非住宅建築物の環境関連データベース(DECC)の開発整備
既に公開している基礎データベースに加え、近年収集してきた東日本大震
災以降のエネルギー消費量データの公開に向けて整備を行うとともに、詳細
運転データについて機器仕様の補充調査等によりさらにエネルギー消費分析
を進め、政策立案のための基礎データ、建築物の運転管理の参照値等への
DECC の一層の活用を図る。
DECC:Data-base for Energy Consumption of Commercial building
4.住宅・建築物の省エネルギー性能の向上
(1)住宅の新省エネルギー基準に関連する検討
新しい住宅省エネルギー基準(25 年基準)の的確な普及に寄与するた
め、外皮性能及び一次エネルギー消費量計算において実用性の高い仕様に
よる評価法やより簡易な計算法の開発を行うとともに、計算プログラムの
使い勝手の向上のための充実改善を図る。
(2)建築物の新省エネルギー基準に関連する検討
新しい建築物省エネルギー基準(平成 25 年基準)の的確な普及に寄与
するため、一次エネルギー消費量計算法の詳細な実務的運用方法の検討を
行うとともに、新たに開発普及されつつある設備や未利用熱利用手法等に
対応した評価法の研究と計算プログラムの使い勝手を向上させるための
充実改善等を図る。
5.省エネルギー基準等の周知普及
省エネルギー基準や低炭素基準等に関する講習会を開催するとともに、設計
者等からの質問に対応するサポートセンターの運営を行う。
6.その他調査研究、普及等の推進
国及び民間企業等から依頼を受け、先導的な省 CO2 建築物、既存建築物の
省エネ改修等の普及に必要な評価検証等を行うとともに、サステナブル建築に
関連する国際会議への参画や調査研究等を行う。