第五章 分数は難しい

第五章 分数は難しい
鈴木 6月8日 (月)
∼分数の意味∼
【復習】自然数には意味というか二つの意味がありました。それはなんでしょう。 ☆序数の機能、基数の機能 このように自然数に機能があったように分数にもいくつかの意味づけがあり、それを理解している
子供が少ないことから筆者は分数は難しいといっています。 (ちなみに分数という概念は小学4年生で習います。) (1)あるものを5等分したときの3つ分を表す
(例)1mを3等分した1個分の長さ
1
3
3
5
は分割分数という。
m 1m
0
(2)商としての分数を商分数という。 (例)2 ℓ の牛乳を3人で等分すると1人分は何 ℓ になるでしょうか。
2
ℓ
3
1
MILK
(3)割合を表す分数を割合分数という。
(例)あきらさんたち兄弟が走り幅跳びをしました。あきらさんは3m、兄さんは4mとびま
した。あきらさんの飛んだ距離をもとにすると兄の距離は何倍に当たりますか。
4×3=
4
3
倍 あきらさん
0
3m
4m
兄
(4)割合を表す分数を操作分数という。
2
3 は何 ℓ ですか。
2
=8
ℓ 3
9
(例) 43 ℓ の
4
3
×
4
L
3
2
問題
である・
・
・
(1)
2 つのケーキを10人に均等に分けるとき1人分は 1
5
平均して5日に1日の割合で雨が降るという過去の記録に基づく降水確率は
2つの 1
の意味をそれぞれこたえてください。
5
(1)の
1
5
は分割分数、(2)の
1
5
1
5
である・
・
・
(2)
は割合分数。
∼分数の割り算∼
分数の割り算には2つの意味があります。
・例えば15個のりんごを3人に等しく分けるとき1人分は5個になります。
式に書くと15÷3=5
これは1つのグループ(15個のりんご)を同じ個数の要素からなる小グループ(等しく3人)
に分割しています。
このように1つの小グループに含まれる個数を求めるのが『等分除』といいます。
(求めるものは同じ個数)
・15個のりんごを1人に5こずつ分けると3人に分けることができます。
式に書くと15÷5=3
これは1つのグループ(15個のりんご)を小グループに含まれる要素の個数(1人5個)がわ
かっていていくつかのグループに分割しています。
(もとめるものはいくつかのグループ)このようにいくつかの小グループに分割されるか、その
個数を求めるのが『包含除』といいます。
∼分数と分数の意味づけ(1)離散量 1 を用いて∼
・12個のりんごのうち
1
6
はある(りんごの)集合の
1 『個数』で数えられること。
3
2
3
にあたります。
この集合に含まれるりんごは12個のうちどれだけにあたりますか。
↑6個に分けて2個とわかったので等分除の観点から見ている。
・1÷
1
2
これは包含除の観点から見ている。
つまり
かたまりの丸の数を考えるのが等分除
かたまり自体の数を考えるのが包含除
・5
÷2=
6
5
12
↓
↓
4
これは等分除の観点
÷1=
・1
2
1
2
↓
これは包含除の観点。
∼分数と分数の意味づけ(2)連続量 2 を用いて∼
・2
m2 の壁をぬるのにペンキを
5
3
4
d ℓ 使います。
2
ペンキは1d ℓ では何 m ぬれるでしょう。
壁
ペンキ1dl
1m
1m
3
_
dl
4
2
_
15
3
4
dℓ
3
4
dℓで
1d ℓ では
1
4
2
5
m2 ぬれるので
1
4
d ℓ では
1 2
2 5
×
1
3
=
2
15
ぬることができる。
d ℓ で塗れる面積の4倍の面積を塗ることができる。
したがって、割り算は割る数の逆数をかければ良いことに気づける!
単位量当たりの大きさに基づく割り算の意味づけではここで取り上げた例のように割られる分数
は壁の面積のような実態があるものを表す。
このような場合、割り算の計算規則は筋道を立てて説明できる。
2
5
しかし
÷
3
4
2
5
m2 ÷
3
4
dℓ=
m2 の壁を塗るのにペンキ
3
4
2
5×3
×4=
2×4
5×3
=
2
5
×
4
(m2 )
3
d ℓ 使うとき、ペンキ1d ℓ で塗ることのできる面積が
で与えられることを子供たちに納得させることができるか?
2 『個数』で数えられないこと。(水、牛乳など)
5
2
5
ちなみに教科書では2d ℓ、3d ℓ の立場を考えてから、きっと
3
4
d ℓ のときも同じになると違
いないと深い溝を越えているそうです。
・ピザ6枚を1人に
1
4
枚ずつあげると何人に分けられますか。という問題を見ていきます。
4×6=24
つまり24人に分けられる。
÷
1
4
は×4と同じになっている。
・ピザ6枚を1人に
3
4
枚ずつあげると何人に分けられますか。
まず1枚を4つに分ける。次に3つずつまとめる。
8人に分けられる。
6÷
3
=(6×4)
4
÷3
壁をペンキで塗る説明が単位量当たりの大きさを求める観点からの意味づけであるのに対し、
ピザを用いた説明は包含除の観点からの意味づけである。
↓
ピザ方式の方がわかりやすいのになぜ教科書はピザ方式を使わないのか。
↑
商が整数になる場合設定を強いられるので一般的な場合を取り扱えない。
6
分数の割り算についてのまとめ
・意味づけについて包含除は受け入れやすい。
しかし、商が整数になる場面設定を強いられる。
・一般的場面設定の意味づけを行おうとすると単位当たりの方式を採用することになる。
しかし、この方式では割る数が1より小さい場面を乗り越えるのが課題になる。
・計算規則について単位量当たりの大きさに基づく方式のほうが受け入れやすい。
包含除方式の説明は割合の考えに基づくもので子供たちが理解するのは大変。
7