NEDOにおける地熱発電技術研究開発 の取り組み状況

JOGMEC 平成26年度 地熱部事業成果報告会 資料
「NEDOにおける地熱発電技術研究開発
の取り組み状況」
2015年7月10日
NEDO新エネルギー部 生田目 修志
1
地熱発電とは
地中のマグマを熱源とし、熱を電気に変換する地熱発電は、
気候や天候に左右されない安定的な発電であり、
エネルギ 自給率の低い我が国にあって輸入に頼らない純国産エネルギ 。
エネルギー自給率の低い我が国にあって輸入に頼らない純国産エネルギー。
地熱発電所総合利用率の推移(%)
総合利用率
出典:電気事業の現状2011(電気事業連合会)
2
日本の地熱発電の課題
課題
年
丈島地熱発電所 運転開始以降、新規 地 な 。
・1999年の八丈島地熱発電所の運転開始以降、新規立地がない。
・1997年をピークに総発電量が減少し続けている。
世界全体
日本
出典)「エネルギー白書2014」(2014,経済産業省)
3
日本の地熱賦存量と導入ポテンシャル
• 日本の地熱資源量はアメリカ、インドネシアに次いで世界第3位
• 賦存量は2347.6万kW、約80%が自然公園内に集中
• 導入ポテンシャルは636万kW
※ 賦存量
:設置可能面積等から理論的に算出されるエネルギー量
導入ポテンシャル 自然要因 法規制等の開発不可地を除いて算出
導入ポテンシャル:自然要因、法規制等の開発不可地を除いて算出
出典)「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」(平成24年、調達価格等算定委員会)
4
日本・NEDOの地熱技術開発動向
• 日本ではNEDOにおいて、昭和55年度~平成14年度まで地熱発
本 は
お
、昭和 年度 平成 年度ま 地熱発
電の技術開発を行ってきたが、それ以降、技術開発が行われていな
い。
• 地熱発電立地推進に向けた各省庁の取組み
「経産省」2009年、地熱発電に関する研究会(全4回)
「環境省」2011年、地熱発電事業に係る自然環境影響検討会(全5回)
国による地熱発電技術開発再開の必要性の提言
• 東日本大震災以降
東日本大震災以降、再生可能エネルギー導入拡大が望まれる中、
再生可能エネルギ 導入拡大が望まれる中
世界第3位となる地熱資源を有する我が国では、ベース電源として
活用可能な地熱発電が大きな注目を集めている。
5
東日本大震災以降の環境変化
・再生可能エネルギー導入拡大
→ FIT
・ベース電源となる地熱発電開発推進の期待 → 自然公園内の規制緩和
温泉を利用した発電(温泉バイナリ発電)の
賦存量は 約72万kW とされる
地熱
発電
地熱発電
出典:電気事業の現状2011(電気事業連合会)
出典 「パ ダ
出典:「パラダイム転換としての地熱開発推進」(2009.8,
転換と
地熱開発推進 (
Gate Day Japanシンポジウム
ポジウ
資料, 産業技術総合研究所)
6
地熱発電に関する規制緩和
環境省で新たな「国立・国定公園内における地熱開発の取り扱い」
が定められ、第2種特別地域及び第3種特別地域の地熱開発に係る
規制が緩和。 → 優良事例には開発の可能性が。。。
開発不可
開発可
既開発地域
2%
自然公園
特別保護地区
30%
自然公園
第一種特別地域
11%
自然公園
第二種特別地域
11%
2012年3月 環境省通知の内容
出典
国
国定公園 おける地熱発電 考 方(国 公園協会
)
出典:国立・国定公園における地熱発電の考え方(国立公園協会2012.8)
自然公園外
(未開発地域)
19%
自然公園
普通地域
5%
自然公園
第三種特別地域
22%
規制緩和
我が国の地熱資源量分布
出典:調達価格等算定委員会(経産省, 2012)を基にNEDO作成
7
地熱開発フロー
10~20年
地
表
調
査
坑
井
調
査
総
合
解
析
環
境
調
査
発
電
所
建
設
運
転
・
管
理
8
地熱開発促進調査 地点一覧
70
9
現在進む、地熱発電開発有望地域の調査
36地点
出典:JOGMECホームページ
21世紀第1号大規模地熱発電所は山葵沢地熱発電所!
11
開発推進~地元理解~自然環境・風致景観との調和の検討など。。
山葵沢地熱発電所の風致・景観への配慮の例
12
地熱発電所立地推進に向けた課題と克服方策
東日本大震災以降、少しでも多くの地熱発電所が期待されている。
その立地を推進するためには。。。
1.開発コストの低減
1.開発
ストの低減 井戸掘削コスト、発電所建設コスト
井戸掘削 スト、発電所建設 スト
連系送電線建設費、運転開始後の追加掘削
2.開発リスクの低減 調査・開発段階のコスト、リードタイムの短縮化
3.自然環境との調和
自
境
自然公園内での開発推進→環境に配慮した優良事例の実例作り
4 温泉バイナリー発電システムの導入拡大
4.温泉バイナリー発電システムの導入拡大
72万kWのポテンシャル→高効率・低価格機器開発、温泉事業者との連携
5.地熱発電と立地地域(地元自治体、温泉 観光業者他)との共生
5.地熱発電と立地地域(地元自治体、温泉・観光業者他)との共生
温泉源泉の湧出量、温度等の継続的なモニタリング、データの積極公開
6.関連技術人材の育成
新規開発無
新規開発無しに伴う技術者の減少→新規開発、技術開発の積極推進
伴う技術者 減少 新規開発 技術開発 積極推進
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研究開発目標
1.環境配慮型高機能地熱発電システムの機器開発
・ システムの事業性を確保しつつ
システムの事業性を確保しつつ、自然環境、風致景観の影響を最小現にする方法の
自然環境 風致景観の影響を最小現にする方法の一つと
つと
して、機器の小型化・高効率化のための研究開発を進める。
・ システム全体的な発電効率向上は地熱サイトが保有する地熱資源の徹底活用であると共
に 同じ発電容量(kW)ならばよりコンパクト(小型)な発電所となるためメリットが大きい
に、同じ発電容量(kW)ならばよりコンパクト(小型)な発電所となるためメリットが大きい。
2.低温域の地熱資源有効活用のための小型バイナリー発電システムの開発
・ 小型のバイナリー発電は、我が国の地熱資源有効活用方法の一つであり、 発電効率を改
善した廉価なシステムを開発すれば、事業性が増し普及拡大に繋がる。合わせて実施する
スケ ル対策技術は 発電効率の維持のみならず 運用コストの削減にもつながる
スケール対策技術は、発電効率の維持のみならず、運用コストの削減にもつながる。
3 発電所の環境保全対策技術開発
3.発電所の環境保全対策技術開発
・ 地熱発電所設置のための環境アセスメント(出力7,500kW~1万kW~)における、硫化水素
の影響評価は、その解析に風洞実験を含め6ヶ月程度要すが、これを拡散シミュレーション
の影響評価は、その解析に風洞実験を含め6ヶ月程度要すが、
れを拡散シミ レ ション
モデルの開発を通じて、有害ガス拡散予測評価期間の半減を目指すことにより、アセス全体
に要する検討期間の短縮を目指す。
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地熱発電技術研究開発(これまでの採択案件1/2)
研究開発テーマ名
委託・共同研究先
① 地熱複合サイクル発電システムの開発
(株)東芝
②
温泉の蒸気と温⽔を有効活⽤し、腐⾷・スケール対策を施したハイブリット型⼩
規模発電システムの開発
アドバンス理⼯(株)
(株)⾺渕⼯業所
炭酸カルシウムスケール付着を抑制する鋼の表⾯改質技術の開発
東京海洋⼤学、横浜国⽴⼤学
⻑崎⼤学 (株)エデ
⻑崎⼤学、(株)エディット
ト
無給油型スクロール膨張機を⽤いた⾼効率⼩型バイナリー発電システムの実⽤
化
アネスト岩⽥(株)
スケ ル対策を施した⾼効率温泉熱バイナリ 発電システムの研究開発
スケール対策を施した⾼効率温泉熱バイナリー発電システムの研究開発
京葉プラントエンジニアリング(株)
環境負荷と伝熱特性を考慮したバイナリー発電⽤⾼性能低沸点流体の開発
⽔を作動媒体とする⼩型バイナリ 発電の研究開発
⽔を作動媒体とする⼩型バイナリー発電の研究開発
硫化⽔素拡散予測シミュレーションモデルの研究開発
③
地熱発電所に係る環境アセスメントのための硫化⽔素拡散予測数値モデルの開
発
温泉と共⽣した地熱発電のための簡易遠隔温泉モニタリング装置の研究開発
エコロジカル・ランドスケープデザイン⼿法を活⽤した設計⽀援ツールの開発
東京⼤学
旭硝⼦(株)
(⼀財)エネルギー総合⼯学研究所
(株)ア カイブワ クス
(株)アーカイブワークス
東京⼤学
⽇揮(株)
明星⼤学
( 財)電⼒中央研究所
(⼀財)電⼒中央研究所
産業技術総合研究所
地熱エンジニアリング(株)
清⽔建設(株)
(株)⾵景デザイン研究所
法政⼤学
地熱発電技術研究開発(これまでの採択案件2/2)
研究開発テーマ名
委託・共同研究予定先
地熱発電プラントのリスク評価・対策⼿法の研究開発(スケール/腐
⾷等予測 対策管理)
⾷等予測・対策管理)
地熱技術開発(株)
産業技術総合研究所
エヌケーケーシームレス鋼管(株)
温泉熱利⽤発電のためのスケール対策物理処理技術の研究開発
東北⼤学
東北特殊鋼(株)
(株)テクノラボ
電気分解を応⽤した地熱発電⽤スケール除去装置の研究開発
イノベーティブ・デザイン&テクノロジー(株)
静岡⼤学
④
バイナリー式温泉発電所を対象としたメカニカルデスケーリング法
の研究開発
秋⽥⼤学
(株)管通
東北⼤学
東京海洋⼤学
地熱発電適⽤地域拡⼤のためのハイブリッド熱源⾼効率発電技術の
開発
(⼀財)電⼒中央研究所
富⼭⼤学
低温域の地熱資源有効活⽤のためのスケール除去技術の開発
低温域の地熱資源有効活⽤のためのスケ
ル除去技術の開発
(株)超電導機構
⼤阪⼤学
産業技術総合研究所