市場レポート:ソフトのサブスクリプション 導入に関する評価

市場レポート:ソフトのサブスクリプション
導入に関する評価
Photoshopをはじめとするクリエイティブアプリケーション群と関連するサービスを、サブスクリプションでのみ提供
するAdobe Creative Cloudの公開から3年近くが経過しました。製品ライセンス、サポート契約、有償アップグレード
が必要となる従来型のCS6から、数多くのメリットがあるソフトのサブスクリプション導入を選択するユーザーが増え
ています。また、この移行がシステム管理部門の負担軽減にもつながっています。
 Derek E. Brink、CISSP、IT
セキュリティおよびIT GRC
担当バイスプレジデント兼
主任研究員
2015年2月
いつでも利用できる
クラウドベースのアプリ
ケーションは、ユーザー
1. なぜエンタープライズクラスのソフトウェアは「クラウド
ベースのサービス」へ向かうのか
AberdeenがMaking the Most of Your Resources with Cloud A
pplications(クラウドアプリケーションでリソースを最大限
に活用する)(2014年11月)で指摘したとおり、クラウドベー
スのアプリケーションとサービスのメリットは、従来よりはる
かに容易かつ効率的に必要な機能を利用でき、どのような規模
の組織であってもこのメリットを享受できることです。ユー
ザーにとってはどこからでもアクセスでき、コラボレーション
しやすく、組織内のシステム管理スタッフにとっては短時間で
デプロイでき、管理が容易になるというメリットが得られます。
Aberdeenの調査の結果は、以下のとおりです。
の生産性が向上するだけ
 大手企業の約5分の3(58%)が、クラウドベースのサー
ビスを使うことで場所にかかわらずユーザーサポートを
改善できたと回答
でなく、システム管理部
門の管理も容易になる
 SaaSアプリケーションをデプロイしているシステム管理
部門の約5分の3(57%)が、アプリケーション関連費用
を削減できたと回答
一挙両得スタイル
 大手企業の約3分の1(32%)が、クラウドベースのサー
ビスを導入することで経費を削減できたと回答
 全回答者の約3分の1(35%)が、クラウドに移行した理
由としてソフトウェアサブスクリプションモデルの価値
が相対的に高いためと回答
AberdeenはOptimize Both IT and Business with the Public
Cloud(パブリッククラウドでITとビジネスの両輪を最適化す
る)(2014年12月)において、単純でありながら重要な点を指
摘しています。「いつでも容易に利用できるクラウドベースの
アプリケーションは、ユーザーのさらなる生産性の向上に貢献
Aberdeen Groupは企業の業績向上に資する調査結果を公表しています。業界の実務家と協力して定量的な一次調査を実施し、ク
ラス最高の企業を特定しています。何十万ものビジネスプロフェッショナルが当社の調査に依拠して、より賢明な意思決定やよ
り優れた事業戦略のために役立てています。
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するだけでなく、システム管理部門の管理も容易になる、一挙
両得スタイルだ」
2. Adobe Creative Cloud - ソフトウェアサブスクリプションに移
行することで、どのようなメリットがあるか
2015年1月、アドビはCreative Cloudサービスの最新機能として、Crea
tive Cloud Librariesを発表しました。このライブラリはCreative Cl
oudのサブスクリプションがあれば誰とでも共有できるので、デスク
トップだけでなくモバイルアプリでも共同作業がしやすく、デザイン
の一貫性を維持するのに役立ちます。Creative Cloud Librariesは最
新機能の一例であり、アドビの従来型ソフトウェアライセンスモデル
(サポート契約と製品アップグレードが別料金の永続製品ライセンス)
からクラウドベースのサブスクリプションサービスに移行することで
得られるメリットはこのほかにも多数あります。
 最新機能への即時アクセス – Creative Cloudサブスクリプ
ションがあれば常に最新の機能を利用できるので、別途アップ
グレードの計画や予算は必要ありません。また、クリエイティ
ブチームのメンバー全員が同じバージョンで作業でき、効率性
が向上します。
 全アプリケーションスイートだけでなく、多様な価値あるサー
ビスが付随 – 一例を挙げると、Typekitフォント、Behance
ソーシャルメディア機能、チュートリアルなどの学習コンテン
ツ、複数言語のサポート、クラウドベースのユーザー別スト
レージ、クリエイティブスキルに関するユーザーへの助言(ア
ドビのエキスパートとの個別セッションなど)があります。
 モバイル、共有、コラボレーション機能の拡張 – Creative Cl
oud Libraries、従来のデスクトップアプリケーションの有用
性を拡張するモバイルアプリ、物理的な場所を問わず、クリエ
イティブユーザーがサポート対象デバイスでファイルやプロ
ジェクトを同期し共有できる機能などがあります(Creative C
loudアプリケーションはWebブラウザーではなくローカルデバ
イスで実行するアプリケーションのため、実行時にネットワー
ク接続は不要です)。
 基本的なクリエイティブインフラストラクチャにかかる費用の
見通しが立てやすい – 組織運営の観点から見ると、サブスク
リプションモデルは従来のライセンスのような高額な初期費用
が不要です。多くの組織は、年ごとの差が大きい不規則な投資
ではなく、見通しが立てやすい運営費での計上を望んでいます。
 システム管理が容易なため、柔軟なユーザーサポートが可能 –
Creative Cloudでは、管理者がユーザーへのライセンスの割り
当て(および再割り当て)を管理コンソールから一元的に管理
できるので、必然的に入れ替わりが生じるクリエイティブプロ
本文書はAberdeen Groupが実施した一次調査の結果です。Aberdeen Groupの調査方法は、客観的で事実に基
づいたものであり、発表時点で最良の分析を示しています。特に断りのない限り、本発表のすべての内容の
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著作権はAberdeen Group, Inc.に帰属し、同グループの事前の書面による同意なしに、いかなる形式や手段
によっても複製、配布、保存、送信することはできません。
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ジェクトやチームのサポートが容易にできます。 ユーザー、
管理者共に、総じてこの方式は従来型ライセンス用のアドビラ
イセンスWebサイトと比べて飛躍的な改善であると捉えていま
す。
3. Adobe Creative Cloud - アドビのメリットは?
アドビがCreative Cloudによって、膨大な数のクリエイティブ
ユーザーだけでなく、ユーザーをサポートするシステム管理部
門にも大きなメリットをもたらそうと目指していることは明ら
かです。 同時に、従来のライセンス方式からソフトウェアサ
ブスクリプションへの移行がアドビにとって戦略的利益になる
と考えていることも確かでしょう。経営陣と投資家は、サブス
クリプションベースのビジネスモデルによる収益源の予測可能
性だけでなく、アプリケーション提供プラットフォームの共通
化による新機能開発のスピードと効率の向上も高く評価してい
ます。
このような理由から、従来のライセンス方式を採用している膨
大なユーザー層にソフトウェアサブスクリプションへの移行を
勧めるのも当然であり、アドビはいわゆる飴(上述のメリット)
と共に鞭も用意しています。例えば、新機能はCreative Cloud
でのみ提供され、従来のCreative Suite 6
(CS6)では、2012年5月の最後の更新以降、新機能は提供され
ていません。
アドビのユーザーにとってあまり明確でない点があるとすれば、
このようなビジネスモデルの大幅な転換の背後で必要となる多
大な全社的取り組みでしょう。ソフトウェアの多種多様な開発
手法とそれぞれに異なるスケジュール、マーケティング、セー
ルス、財務、生産部門の基本的な事務管理システムの大幅な変
更、流通経路全体で考え方や取り組み方を抜本的に改革する必
要があることなど、様々な課題があります。アドビがこのよう
に大きな取り組みを実施し、それを3年間継続してきたことは、
ソフトウェアサブスクリプションへの移行をクリエイティブ
ユーザーだけでなく、企業のステークホルダーにも同様に価値
あるものにするという、戦略的意図を強く示しています。
このことは、数字に最もよく表れています。アドビの総収益に
占めるサブスクリプションの割合は、2012年度の15%から2014
年度には50%に拡大しています(出典:Adobe Form 10-K申
告)。サブスクリプション数については、以下のとおりです。
 Creative Cloudサブスクリプション数は200万件以上増
え、2014年度には345万4千件に到達
 第4四半期はCreative Cloudの新規サブスクリプション
数が正味64万4千件増加(出典:2014年12月アドビプレ
本文書はAberdeen Groupが実施した一次調査の結果です。Aberdeen Groupの調査方法は、客観的で事実に基
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づいたものであり、発表時点で最良の分析を示しています。特に断りのない限り、本発表のすべての内容の
著作権はAberdeen Group, Inc.に帰属し、同グループの事前の書面による同意なしに、いかなる形式や手段
によっても複製、配布、保存、送信することはできません。
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スリリース)、公開以来毎四半期新規サブスクリプショ
ン加入率が増大
4. 結論 – クリエイティブユーザーはCreative Cloudを選択
以上のことから、結論は明確です。アドビは既にソフトウェア
サブスクリプションベースのビジネスモデルに移行しており、
従来からアドビ製品を愛好する膨大な数のクリエイティブユー
ザーも同社の方針を支持することを期待しています。
 新規クリエイティブユーザー、既存のCreative Suite
ユーザーのいずれにも、Creative Cloudへの移行を肯定
する数多くの強力な動機付け
 システム管理部門と財務部門にとっても、Creative Clo
udへの移行を推進する理由が存在
 公開から3年近くが経過し、Adobe Creative Cloudを選
択するクリエイティブユーザーとチームが増え続けてい
る厳然とした事実
 時間が経過するほどCreative CloudとCS6の機能の差が
大きくなるため、従来のライセンス方式からソフトウェ
アサブスクリプションへの移行を希望するクリエイティ
ブユーザーが今後さらに増大
 Aberdeenのベンチマーク調査もサブスクリプションベー
スのSaaSライセンスモデルへの移行の本質的価値提案を
裏付け
 新規のクリエイティブユーザーにはAdobe Creative Clo
ud、具体的にはCreative Cloudグループ版(法人、また
は大規模組織内のチームやワークグループ向け)または
Creative Cloudエンタープライズ版(大規模法人向け)
が今後唯一の選択肢となり、従来のライセンス版を利用
中のクリエイティブユーザーには2015年末までにAdobe
Creative Cloudに移行する計画を推奨
本文書はAberdeen Groupが実施した一次調査の結果です。Aberdeen Groupの調査方法は、客観的で事実に基
づいたものであり、発表時点で最良の分析を示しています。特に断りのない限り、本発表のすべての内容の
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