北太平洋溯河性魚類委員会第 23 回年次会議が開催されました 神戸

北太平洋溯河性魚類委員会第 23 回年次会議が開催されました
神戸(日本)
、2015 年 5 月 15 日
北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)の第 23 回年次会議が 2015 年 5 月 11 日から 15 日
まで日本の神戸で開催されました。
NPAFC は、北太平洋及びその隣接水域における太平洋さけ・ます及びスチールヘッドの保
全を推進する国際機関です。取締活動及び科学調査の協力・調整の場として機能していま
す。北太平洋における膨大なさけ・ます漁獲は、NPAFC 締約国(カナダ、日本、韓国、ロ
シア及び米国)由来の資源です。
委員会の年次会議では、北太平洋公海の NPAFC 条約水域におけるさけ・ます及びスチー
ルヘッドに関する問題を議論するため、全体会合及び 3 つの常設小委員会(取締小委員会、
科学調査統計小委員会及び財政運営小委員会)が開催されました。
委員会は、今村弘二氏(社団法人日本栽培漁業協会元会長、社団法人全国底曳網漁業連合
会元会長)に 2015 年度 NPAFC 賞を授与しました。本賞は、さけ・ます資源の管理と国際
関係における今村氏の長年に亘るリーダーシップを評価して授与されました。今村氏の卓
越した交渉力及びコンセンサスの形成能力は、北太平洋における太平洋さけ・ます及びス
チールヘッドの保存や知見を大きく促進しました。
委員会の取締分野の会議では、NPAFC 締約国の取締当局間で多国間共同取締と定期的情報
交換について検討されました。2014 年は、多国間による同時取り組みは、取締活動にいく
つかの重要な成果をもたらしました。
カナダの航空取締中に発見された違法流し網漁船の疑いのある Yin Yuan の情報は、米国沿
岸警備隊の艦船へ伝えられました。同艦船に乗船していた中国国境警備隊当局者の許可を
得て乗船検査を実施することができました。Yin Yuan の船長は、網口開口ビーム、開口板
及び 3.3km の流し網を夜間に漁船の甲板から投棄したことを認めました。網で傷がついた
さけ 0.5 トンが漁船の冷凍庫から発見されました。米国沿岸警備隊は、更なる取り調べ及び
起訴を行うために中国国境警備隊艦船と落ち合うべく、Yin Yuan を連行しました。残って
いる漁具は押収され、船長には、中国当局から最高額の罰金が課せられました。漁船の所
有者に対しても取り調べが続けられています。
違法な転載行為のための装備を備えていると思われる 2 隻の船舶が米国沿岸警備隊の偵察
航空機によって発見されました。このうち 1 隻の動きに対して国際刑事機構(インターポ
ール)のパープル・ノティス※が、各国の取締当局に出されていました。その結果、韓国
の取締官が寄港中の船舶の臨検を行い、その船舶の合法性が疑われました。また、後日、
もう1隻の船舶がロシア水域の操業中、有効な許可証を所持していなかったことにより、
ロシア当局に拘留されました。
このような絶え間ない警戒が、IUU(違法、無規制、無報告)漁業の継続的な抑制や持続
的な漁業管理、及び北太平洋におけるさけ・ますの保存に不可欠です。
NPAFC の科学調査分野の会議では、締約国の指導的さけ・ます研究者が公海とその隣接水
域における太平洋さけ・ます及びスチールヘッドに関する新しい諸研究について議論しま
した。漁獲統計が締約国から提供された情報から取りまとめられました。
2014 年の暫定的北太平洋全域のさけ・ます漁獲量は、86 万トン(3.92 億尾)でした。シ
ロザケが全商業漁獲の最も大きな割合(重量で 38%)を占め、次いでカラフトマス(36%)
、
ベニザケ(21%)と続きました。ギンザケは商業漁獲の 5%、マスノスケは 1%、サクラマ
ス及びスチールヘッドはそれぞれ 1%未満でした。
2015 年には、アラスカ湾、ベーリング海、北西太平洋及びオホーツク海で実施するさけ・
ますの研究調査が計画されています。研究者らは、種類の豊度、回遊、分布、海における
さけ・ますの成長などの条件を調べる予定です。
NPAFC は、神戸における年次会議の直後に、3 日間の国際シンポジウム「太平洋さけ・ま
す及びスチールヘッドの気候変動下における生産性:過去、現在、未来」を計画しました。
シンポジウムは、気候変動が太平洋さけ・ますの海洋生態系にどのような影響を与えるか
を太平洋地域の専門家が理解するための情報共有の場となります。生産性の年次変動を説
明・予測するために、さけ・ます資源の海洋生態系に関する最良の入手可能な情報をどの
ように活用するかに議論の焦点が当てられます。
委員会は、韓国が釜山(韓国)における 2016 年年次会議に締約国を招待して、閉会しまし
た。
- 了 -
※国際刑事機構のパープル・ノティスとは、各国の取締機関に対して犯罪情報の提供と提
出を求める通知のことです。
連絡先:ウラジミール・ラドチェンコ NPAFC 事務局長
電 話:+1-604-775-5550
Email:[email protected]
ウェブサイト:www.npafc.org
NPAFC について
NPAFC は北太平洋とその隣接水域におけるさけ・ます(シロザケ、ギンザケ、カラフトマ
ス、ベニザケ、マスノスケ及びサクラマス)とスチールヘッドトラウトの保存を推進する
国際組織であり、科学研究と取締活動の協力・調整の場として機能しています。 NPAFC
の条約水域は北太平洋、ベーリング海やオホーツク海の北緯 33°以北の公海です。NPAFC
の締約国は、カナダ、日本、韓国、ロシア連邦及び米国です。