<テレビ放送波の伝わり方>

No21
テレビ放送
Shu-chan の
放送ネットワーク
道しるべ
東海道(藤沢宿)
<テレビ放送波の伝わり方>
テレビ放送波は、極超短波(「UHF」ともいう。)という高い周波数を使
用します。波長が非常に短くなるので電離層で反射する上空波や地表波は
全く伝わりません。電波の性質は非常に”光”に近くなり、見通せる範囲のみ
直接波と大地反射波、いわゆる空
間波が届くことになります。(図1)
直接波
送信所
このため、遠方まで伝えるため
②
に送信アンテナはできるだけ高い
①
大地反射波
地球
場所に設置し、山や建物の陰にな
る地域を極力少なくします。
図1
テレビ電波の伝わり方
それでも、サービスエリアからも
れる地域が多く生ずるため、中継局が沢山設けられています。
直接波(自由空間電界強度値E0)の強さは、次式により求められます。
7 p
E0 =
d
p:送信電力(w)
(V/m)
d:送受信点間距離(m)
直接波の強さは、送信電力の平方根に比例し、距離に反比例します。
送信電力が 1kw、距離が 70kmのとき、直接波の強さは3mV/m
(70dB)になります。
実際は、送信アンテナと受信アンテナは、地上のいずれかの場所に設置
されますので、大地反射波も同時に加わり受信アンテナで合成されます。
その様子を 図2 に示します。直接波と反射波のそれぞれの強さは、ほと
1
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んど同じくらいです。しかし双方の通路長の差があるため、その長さに応
じて位相差(電波の波の増減のタイミング)が生じ、両者の合成された受信電
界強度は、その通路長差によって
送信アンテナ
直接波
強くなったり弱くなったりします。
送信アンテナの高さや受信アンテ
ナの高さに比べて送受信点間の距
受信アンテナ
h1
大地反射波
離が非常に大きい場合は、地上反
射波の振動方向は直接波の振動方
d
向を打ち消すような振動になるため
図2
滑らかな大地上の伝ぱん図
電界強度は弱められます。打ち消
されて弱くなった分を「位相損失」といいます。
[もっと詳しく知りたい方のために]の滑らかな大地上の伝ぱんを参照
滑らかな大地上の伝ぱんの電界強度Eの式は次になります。
E = 2E 0 sin
2πh1h2
λd (V/m)
h1:送信アンテナ高(m)
h2:受信アンテナ高(m)
d :送受信点間距離(m)
λ ::波長(m)
2
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h2
また、送信アンテナならびに受信アンテナ高を一定とし、送信所からの
距離をパラメーターとした電界強度の変化の状況の例を 図3 に示します。
また、ある受信地点にてアンテナの高さを変えた場合の電界強度の変化の
状況を「ハイトパターン」と呼び、その例を 図4 に示します。電界強度
の山の部分と谷の部分の高さの差を「ハイトパターンのピッチ」と呼びま
すが、チャンネルが多い地区でのテレビ電波はそれぞれのチャンネルがこ
まかく変化します。谷に当たるチャンネルがないようにアンテナの高さを
微細に調整する必要があります。
電
界
強
度
距
離
図3 送信所からの距離と電界強度
3
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図4 ハイトパターン
[もっと詳しく知りたい方のために]
E = 2E0 sin
滑らかな大地上の伝ぱん
送信アンテナならびに受信アンテナ
の高さに比べ送受信点間距離が非常に
大きい場合は、反射波の波の振動方向
2πh1h2
λd
(V/m)
h1:送信アンテナ高(m)
h2:受信アンテナ高(m)
d :送受信点間距離(m)
λ ::波長(m)
(位相)は大地反射のとき反転します。
したがって、受信アンテナに届く直接
波の振動方向(位相)に対してそれを相殺するような関係になります。相殺す
る程度は、直接波の通路長と反射波の通路長の差により変わり、少ないほど相
殺の程度が大きくなります。その様子を 図5 にベクトル表示してみます。
直接波
電界強度極
電界強度やや大
電界強度小
合成波
大地反射波
通路長差が殆どない場合
通路長差が少ない場合
通路長差がかなりある場合
図5 直接波と大地反射波の合成
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