10-3 関数の利用 10-3-1 関数 「関数」とは、あらかじめ定義された決まりに従って計算する式のことで す。 関数を使うと、 複雑な式も簡単な形式で入力できます。 関数を使って計算するために必要な情報を 「引数」 、計算した結果を 「戻り 値」 といいます。 関数のイメージを図で表すと、 次のようになります。 処理するために 必要な情報を入力すると あらかじめ 定義された計算を行って 引 数 関 数 結果を返す 戻 り 値 第 例 わり算した余りを求めたい場合 引数:5,3 1 関数:剰余 余りがわかる 表計算 余りを求める計算が 定義されているので 10 章 割られる数…5 割る数…3 を引数として入力すると 戻り値:2 関数の使い方 関数は、 基本的に次の形式で入力します。 関数名(引数1,引数2,…) 関数を入力するときの留意点は、 次のとおりです。 ・引数はカッコで囲む。 引数がない場合は、関数名( )とする。 ・引数が2つ以上あるときは、 「, (カンマ)」で区切る。 ・引 数が文字列のときは、’ ABC’のように「(シングルクォーテーショ ’ ン)」で囲む。 ・引数には、式やセル範囲、範囲名、論理式を指定する。 +や/などの算術演算子を使って合計や平均などを計算すると、 データの 数が増えた場合は、式がB3+B4+B5+B6+B7+B8+B9+B10…と非 常に長くなります。 合計や平均などの計算は関数を利用すると、 計算の対象をセル範囲で指定 できるため、 式を簡単に入力できます。 474 関数を利用して成績表の合計や平均を求めると、 次のようになります。 平均関数を利用すると、生徒数は必要ない 1 2 3 4 5 6 B C D E Aさん Bさん Cさん 平均 A 成績表 平均 (B3 ∼ D3) 90 70 65 平均 (B4 ∼ D4) 複写 60 85 92 平均 (B5 ∼ D5) 80 60 70 社会 (B3∼ B5) 合計(C3∼ C5)合計(D3∼ D5) 合計 合計 国語 算数 式を複写すると、 引数のセル参照も自動的に調整される 関数の種類 2 代表的な関数は、 次のとおりです。 名 称 使用例 合計 (A1∼A5) セルA1からセルA5までの数値の合計を返す。 平均 平均 (A1∼A5) セルA1からセルA5までの数値の平均を返す。 最大 最大 (A1∼A5) セルA1からセルA5までの数値の中から、最大 値を返す。 最小 最小 (A1∼A5) セルA1からセルA5までの数値の中から、最小 値を返す。 整数部 整数部 (A1) セルA1の数値を超えない最大の整数を返す。 たとえば、整数部 (2.9) =2、 整数部 (-2.9) =-3 剰余 剰余 (A1, B1) セルA1÷セルB1の余りを返す。 たとえば、剰余 (11, 2) =1 平方根 平方根 (A1) セルA1の値の非負の平方根を返す。引数1に 指定する値は、非負の数値でなければならな い。 標準偏差 標準偏差 (A1∼A19) セルA1からセルA19までの数値の標準偏差 を返す。 個数 個数 (A1∼A5) セルA1からセルA5のセル範囲の中から、空白 セル以外のセルの個数を返す。 条件付個数 (A1∼ 条件付個数 A5, >20) 引数1のセル範囲の中から、 引数2の条件を満 たすセルの個数を返す。 論理積 論理積 (論 理 式 1, 引数に指定された論理式がすべて真であれ 論理式2,…) ば、trueを返す。ひとつ以上の引数が偽であれ ば、falseを返す。 論理和 論理和 (論 理 式 1, 引数に指定された論理式がすべて偽であれ 論理式2,…) ば、falseを返す。ひとつ以上の引数が真であ れば、trueを返す。 否定 否定 (論理式) 参考 標本標準偏差と母標準偏差 「標本標準偏差」は、 ある大きな集団の 中の一部のデータから大きな集団の標 準偏差を予測する場合に使われ、 「母標 準偏差」は、 ある集団のすべてのデータ (母集団) を対象に標準偏差を求める場 合に使われる。 たとえば、全国の数十万人の児童を対 象に運動能力を測定する場合、全数調 査を行うことが難しいため、一部の標本 データで分析を行う標本標準偏差が使 われる。 一方、 クラス10人の身長、体重などの標 準偏差を求める場合、全員が対象となる ため母標準偏差が使われる。 475 説 明 合計 引数に指定された論理式が真であればfalse を、偽であればtrueを返す。 名 称 切上げ 切上げ (A1, 桁位置) セルA1の値を指定された桁位置で切上げた 値を返す。桁位置は小数第1位の桁を0とし、 右方向を正として数えたときの位置とする。 たとえば、 切上げ (-314.159,2) =-314.16、 切上げ (314.159,-2) =400、 切上げ (314.159,0) =315 切捨て 切捨て (A1, 桁位置) セルA1の値を指定された桁位置で切捨てた 値を返す。桁位置は小数第1位の桁を0とし、 右方向を正として数えたときの位置とする。 たとえば、 切捨て (-314.159,2) =-314.15、 切捨て (314.159,-2) =300、 切捨て (314.159,0) =314 結合 結合 (式1, 式2,…) 順位 順位 (A1, A1∼A5, 0) セルA1からセルA5のセル範囲の中でのセル A1の順位を返す。同じ値がある場合、 それらを 同順とし、次の順位は同順の個数だけ加算し た順位とする。 引数3の「順序の指定」には、昇順 (0) または 降順 (1) を指定する。 乱数 乱数 ( ) 表引き 表 引き (A3∼H11, セルA3からセルH11のセル範囲の中で、左 2, 5) 上端から行2と列5の位置のセルの値を返す。 (セルE4の値を返す) 行と列の位置は、左上端からそれぞれ1,2,… と数える。 式1、 式2、…の値を文字列として結合した値を 返す。 たとえば、 結合 (’ 北海道’ ,’ 九州’ ,123,456) = “北海道九州123456” 10 表計算 セルA1の値を指定された桁位置で四捨五入 した値を返す。桁位置は小数第1位の桁を0と し、右方向を正として数えたときの位置とする。 たとえば、 四捨五入 (-314.159,2) =-314.16、 四捨五入 (314.159,-2) =300、 四捨五入 (314.159,0) =314 章 説 明 四捨五入 (A1, 桁位 置) 第 使用例 四捨五入 0以上で1未満の値の範囲で、 同じ確率になる ように乱数 (実数値) を返す。 ※合計、 平均、 最大、 最小、 標準偏差、 順位の関数は、 引数で指定されたセル範囲のう ち、文字列や空白セルは計算の対象になりません。 10-3-2 IF 関数 「IF関数」とは、条件を指定し、 その条件を満たしている場合と満たしてい ない場合とで別々の処理をさせる関数のことです。状況に応じて、異なる 結果を表示したり、 異なる計算をしたりするときに使います。 476
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