FUJI通信Vol.4 - NPO法人まちづくりサポーターFUJI

す。
ち・むら」を残すために 21 世紀型のまちづ
良い「ま
くり・む
しま
、より
らづくりをサポート
と
へ
代
次世
づくり
ーター
タ
VOL.
4
2015.03.16
FUJI 通信
re 4
!
とめ 告。
ま
総
施報
、
実
度
」
年
会
4
201 回講演
四
「第
tu
Lec
旧富士川町御製歌碑公園 (Design , Photo by M.Kawaguchi)
旧富
NPO 法人まちづくりサポーター FUJI は、 「21世紀型のまちづくり ・ むらづくりをサポート」 することを目的に様々な業種、
背景のメンバーが集まり、 2014 年 7 月 8 日 NPO 法人の認証を受け設立しました。
設立後初年度である今年度は、 まちづくりに関わる啓蒙 ・ 広報事業、 調査研究事業、 アドバイス事業を計画しております。
まちサポ FUJI 通信では、 まちづくりに関する情報発信を行っています。 本号では 2015 年 3 月 2 日に当 NPO が、 静岡市
で開催した第四回講演会の実施レポートと 2015 年の活動計画を中心にお届けします。
催
(月) 開
日
2
年3月
市)
平成 27
t (静岡
s
e
n
B
会場 :
:64 名
ご来場数
“景観” と “食” ~今、 そこにある富士山文化を伝える~
る富士山
山文化を伝える~
講演会レポート
第一部 景 観
「魅力ある景観の創造と継承
~富士山と共に暮らす~」
Profile
かわぐち・むねとし氏
1948 年静岡市生まれ。ハーバード大学大学院デザイン学部都
市デザイン学科修了。東海大学教授、及び静岡文化芸術大学大
学院教授を歴任。都市デザイン、都市計画、建築デザインを中
心に国際的に活躍。ユネスコ世界青年建築家国際設計コンクー
ル グランプリ受賞等デザイン賞多数。国土交通省中部地方整
備局景観アドバイザー、静岡県住まいの文化賞審査委員長等の
公職多数。2015 年 3 月現在、NPO 法人まちづくりサポーター
FUJI 理事長、静岡文化芸術大学名誉教授。著書に「川口の空間
美」
、
「待月楼と瓢月亭」等。
人の営みがつくる地域文化と景観。
日本の象徴、富士山と共に暮らす
私たちは、富士山文化を継承し、
創りだす当事者です。“景観”と
“食”、二つの視点から『富士山文
化』を次世代につなぎ、地域活性
化をはかる糸口を探りました。
NPO 法人まちづくりサポーター FUJI 理事長
静岡文化芸術大学名誉教授 川口宗敏氏
第二部 食
「今、 そこにある文化を伝える
“食” と “人の営み”」
社団法人ご当地グルメで
まちおこし団体連絡協議会 (愛 B リーグ) 代表理事
富士宮やきそば学会会長 渡邉英彦氏
第三部 対 談
「“景観” と “食” 今、 そこにある富士山文化」
渡邉英彦氏 × 川口宗敏氏
第一部 景 観
第一部では、「魅力ある景観の創造
と継承~富士山と共に暮らす~」と題
し、人の営みが作り出す景観の魅力と
その継承すべきあり方について当 NPO
法人理事長川口宗敏氏に講演いただき
ました。
地域資源~景観を形成する
主要な景観構成要素~
“地域資源”は、地域らしさを実現
する景観形成の主要な“景観構成要素”
図1) 景観構成要素
な絵画の構図を感じさせる。富士山は、
地域資源
景観力
~静岡県景観賞受賞地区
にみる主要な景観構成要素~
~景観形成の
ための力~
地域の誇りとなる風景にその姿を留め
1. 除く ている。
・富士山・山
・農業景観
(お茶・ミカンなど)
・里山・棚田・水田
・集落
・海・川・滝・池・湖
・鉄道・橋
・街路・まち並み・商店街
・歴史的な建物
・現代的な建物
・公園
・自然保護・環境保全活動
・イベントなどの
まちづくり活動 など
2. 活かす
3. 創る
写真 1) 日本平ホテル
4. 育てる
静岡県における富士山とは。
“景観形成” の目的は、
地域アイデンティティの構築。
静岡県において“富士山”の眺望は
景観形成の目的は、“地域アイデン
である。図 1 に示すよう静岡県景観賞
いたるところに存在し、地域性を特徴
ティティの構築”即ち地域らしさの
受賞地区に見られる景観構成要素は多
付けている。富士山山頂まで 120KM も
実現にある。そのキーは、“景観構成
岐に渡る。お茶やミカンの農業景観、
離れた浜松市佐鳴湖から、80KM 離れ
要素”と“景観力”にある。
棚田、集落、まち並み、建物、公園と
た富士山静岡空港から、50KM 離れた
“景観”とは、まち並み、建物、人
いったハードなものから、自然保護・
日本平から、県内広範囲にわたりカメ
の営み、自然などの景観構成要素が
環境保全活動、イベントなどのまちづ
ラ愛好家のみならず眺望を求めて訪れ
複合的に織り成す視覚対象である。
くり活動といったソフトなものまで
るスポットは事欠かない。写真 1 は、
様々である。これら景観構成要素の中
平成 25 年度県景観賞最優秀賞の世界
でも、富士山は、静岡県の景観を考え
景観力
~景観形成のための力~
遺産富士山を望む風景美術館「日本平
景観形成には、“景観力”が不可欠
る上で、格別の存在であり、最高の地
ホテル」であり、ロビー空間から一望
であり、それは表 2 に示す“除く”、
“活
域資源と言える。
できる富士山の眺めは、日本の伝統的
かす”、
“創る”、
“育てる”の 4 つのキー
② FUJI 通信 VOL.4
ワードから成る。
形成に関わる主体は、個人の“わたく
図 2) 富士山の景観構造
し”、特定複数の地区住民などの“わ
富士山景観構成要素
富士山を取り囲む “視点場”
富士山
+ ・世界遺産の構成資産
・鉄道駅、道路、公園、神社
・港、河川・湖沼、丘陵、田畑
れわれ”、不特定多数の観光客などの
“みんな”であることは言うまでもな
い。
景観力
~景観形成のための力~
写真 5) 旧蒲原町 竹久夢二歌碑モニュメント
1. 除く ・眺望阻害要素を排除する
日常から特別そして日常へ
富士山と景観形成活動。
・眺望阻害要素を少なくする
2. 活かす ・地域ならではの資源を活かす
・歴史的な資源を発掘する
・周辺の景観や環境を活かす
3. 創る
・新たに良好な景観を創る
・景観事業として新たな工夫をする
・既存の資源を再生する
4. 育てる ・地域資源を良好に保全する
・地域住民の景観意識を醸成する
・維持・管理に住民参画を推進する
・地域住民のまちづくり活動を支援
富士山という最高の景観資源の理想的な在り様
Stage 3.
(富士山が見えなくても、
美しい地域を創る)
写真 3) 三保街道
最高の地域資源である
富士山をどう活用したか。
自身が関わった田子の浦港の色彩計
景観形成の目的
地域アイデンティティの構築
(地域らしさの実現)
画では、富士山の眺望に配慮し、港周
富士山を意識する “景観力”
で眺望阻害要素を取り除く。
カラーをマンセル値で範囲指定し、建
現実のまち並みや市街地景観にあっ
ては、“景観力”の“除く”の眺望阻
害要素を排除する行為が重要である。
写真2の JR 清水駅コンコースでは、
辺の松並木の緑色に調和させたグリー
ン系中心のベースカラー、アクセント
物や倉庫群の色の統一が提案されてい
る。実施されてから6年間程経過し、
かなり色彩統一感が認識出来るように
なってきている。
ことさら意識しなくても、
そこに美しい富士山が在る
日常生活空間を美しく創る
例:
雨や曇りの日で、 富士
山が見えなくても日常
の美しい地域の景観
Stage 2.
(富士山を美しく見せる)
富士山をより美しく見せる
工夫をし、みんなの美しい
富士山にする
例:
美しく富士山が見える
ように工夫した地域の
景観
Stage 1.
(昔からある富士山を見る)
:
われわれの住む地域から 例
昔からの富士山が見ら
富士山という地域資源を見る れる地域の景観
図 3) 景観形成活動の発展 3 段階
景観資源である富士山の理想的な在
り様は、3 つの発展段階があると考え
る。第 1 ステージは、「昔からある富
士山を見る」。手が加えられていない
昔ながらの我々の住む地域から、そこ
にある富士山をそれ程意識することも
カーテンウォール前に看板が置かれ、
なく見ていること。第 2 ステージは、
富士山の眺望を妨げている。皮肉にも
「富士山を美しく見せる」。富士山をよ
その看板には、三保の松原の富士山の
り美しく見せる工夫をし、みんなの美
ポスターが貼られている。
しい富士山にすること。最後の第 3 ス
テージは、「富士山が見えなくても、
写真 2)JR 清水駅
美しい地域を創る」。そこに見える美
図 3) 田子の浦港の 色彩計画
写真 4 の富士川駅前公園では、富士
山への眺望を考慮した地場産 4 本の石
柱と誘導床照明によるデザイン。旧富
士川町御製歌碑
常生活空間を美しく創ること。雨や曇
りの日で、富士山が見えなくても日常
の美しい地域の景観が広がっている
様。この第 3 ステージは、イタリアの
また、富士山世界遺産の構成資産と
公園では、富士
なっている三保の松原(写真3)へ向
山を背景とした
かうバスが通る三保街道沿いは、美し
昭和天皇の歌碑
い富士山への眺望を阻害している電柱
と日時計による
や看板で埋め尽くされた観がある。 デザインをした。
同様のことは、身延線の富士宮駅前
しい富士山に劣らない、我々の住む日
小さな村サンタンカンジェロ・ディ・
ロマーニャとサンマリノ世界遺産に見
ることができる。
写真 4) 富士川駅前公園
のビルや、富士山信仰の総本山である
写真 5 の旧蒲原町 竹久夢二歌碑モ
浅間大社から富士山写真を撮る時に
ニュメントでは、富士山を背景とした
入ってしまう電柱、街灯、煙突でも言
夢二歌碑と虹をつくるガラス・プリズ
え、撮影者を失望させる。
ムによるデザインによって特徴付けら
ここで、“景観力”を働かせる景観
れている。
写真 6) イタリア : サンタルカンジェロ ・ ディ ・ ロマーニャ
とサンマリノ世界遺産 (1991 年)
VOL.4 FUJI 通信
③
Profile
わたなべ・ひでひこ氏
1959 年富士宮市生まれ。国際基督教大学教養学部語
学科卒、外資系損保 AFIA 勤務後帰郷。
‘97 社団法人
富士宮青年会議所理事長、静岡県未来づくり学士、
ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会(通称・
愛Bリーグ)代表理事、富士宮やきそば学会会長、
NPO 法人まちづくりトップランナーふじのみや本舗
理事、( 社 ) 富士宮市地域力再生総合研究機構代表
理事、富士宮市フードバレー構想推進協議会副会長、
経済産業省コンテンツ制作環境整備事業地域プロ
デューサー等の公職多数。著書に『ヤ・キ・ソ・バ
・イ・ブ・ル 面白くて役に立つまちづくり聖書』
等。
愛 B リーグ HP:http://www.ai-b.jp/
富士宮やきそば学会:
http://www.umya-yakisoba.com/
右写真)
B-1 グランプリ出場ご当地グルメ
第二部 食
第二部では、「今、そこにある文化
約 439 億円に及んだ。その為、2000
せない方法はただ一つ、「言葉を“こ
を伝える“食”と“人の営み”~地域
年を富士宮やきそば元年とし、2000
と”にする」、形にすることである。
の魅力の見せ方、伝え方」と題して、
年以前は、B.C.2000 年以降はA.D.
全国のご当地グルメによる地域おこし
と称している。
ダジャレを真面目に
駆使してイベントを開催。
活動の火付け役である愛 B リーグ代表
富士宮やきそばの知名度向上に向
理事、富士宮やきそば学会会長渡邉英
時代により原動力は異なる。
現在の原動力は 「魅力」。
彦氏に活動を紹介いただきました。
アメリカの評論家で未来学者である
べ比べイベントを開催した。単なる「食
世界遺産だけでは、
地域活性化に繋がらない。
Alvin Toffler の著書「パワーシフト」 べ比べイベント」では意味がない為、
け、富士宮、横手、太田のやきそば食
によると人類の歴史の中で、時代の波
そのイベント名を「三者麺談」とし、
「三
2013 年、富士山が世界文化遺産登録
は「農業革命」⇒「産業革命」⇒「情報革
国同麺」と銘打ち、市長が一同に会し
された。これに伴い行政や民間団体に
命」でおき、それに伴い、時代の原動
て、真面目に協定書を交わした。これ
よる富士山周辺での景観整備やゴミ&
力も「武力」⇒「財力」⇒「知力」と移り
がメディアで取り上げられ、食品メー
トイレ対策、更には白糸の滝整備、浅
変わってきた。そして、月尾嘉男氏(東
カーの目に留まり、「三国同麺シリー
間大社の整備と世界文化遺産センター
京大学名誉教授)によると現代の原動
ズのカップやきそば」として商品化さ
建設等が進み、地域来訪者増加、集客
力は「魅力」
(人を惹きつける力)になっ
れた。ダジャレ&オヤジギャグを駆使
の期待が高まっている。
たとされ、
「魅力」の本質とは「多様性」 し、素材にストーリー・話題性を持た
しかし、2013 年度約 31 万人いた富
であり、その源泉は「地域」にあると
せることで、地域の日常の食を自分た
士山登山者は、2014 年度約 28.5 万人
述べられている。つまり、地域からい
ちの経済的負担なしで全国区の商品へ
(-8.1%)と減少した。日本で世界文
かに魅力を発信するかが鍵となる時代
と昇華させた。
化遺産を有する地域 14 の内、観光客
と言える。
が明らかに増えているのは白川郷だけ
であり、多くは登録後 2,3 年しか集
初めに 「言葉」 ありき!
ダジャレで効果的に見せる。
客効果はないという事実がある。
重要なことは素材をいかに魅力的に
“富士宮やきそば” 目的の
来訪者が急増!
見せるかであり、その見せ方には、言
葉が大切で、「初めに言葉ありき」で
小倉城築 400 年記念「天下分け麺の
2000 年つまり 21 世紀以前、“やきそ
ある。そして「自分たちにとって当た
戦い」と称し「小倉やきうどん」との
ば”を食べることを目的とした富士宮
り前のものが、実は特別なものである」 対決イベントも実施。結果は 202 対
への来訪者は、ほぼゼロ!であり、地
ことを伝えることである。
域経済波及効果ももちろん期待できな
この時、「面白い、楽しい、怪しい」 としては善戦した。ところが、週刊プ
かった。
が効果的であり、ダジャレ&オヤジ
レイボーイが独自に出口調査を行い、
しかし活動を開始した 2000 年以降
ギャグが大いに役に立つ。
その結果により「戦いに疑惑の判定!」
加速するオヤジギャグで、
経済負担のないブランド化。
197 でやきうどんの勝ち、アウェイ戦
は着実に増え、2006 年時点の来訪者は、 最も重要なことは、一度言葉にした
と全国紙で報じて大きな話題となり、
年間約 60 万人となり、この 6 年間の
ことは、「必ず事業化するか、商品化
それが「やきうどん弁当」やレトルト
経済波及効果は約 217 億円、9 年間で
する」ことだ。オヤジギャグをすべら
商品開発へと繋がった。勝ち負けでは
④ FUJI 通信 VOL.4
付ツアーも始まった。
なく情報発信が大事だ。
も 1 億円程度で出来るイベントだ。商
業イベントでないから可能であり、ほ
やきそばでトムクルーズに会
える!?業態を超えた広がり
“富士宮やきそば” を
知的財産に。
イベントだけでなく、日常業務でも
とんどがボランティア運営である。
よく誤解されがちだが、B-1 グラン
同様に取り組んだ。例えば、やきそば
通常、地域名が入った商標は認めら
プリは、美味しい B 級グルメを評価す
の出張サービスも「布教」=伝道と位
れていなかった。しかし、“富士宮や
るものではなく、「地域ブランドによ
置づけ、
「ミッション 麺 ポッシブル」 きそば”は、商標法3条2項により「地
り地域おこしを行う団体活動を評価」
として行っていたところ、TV番組「何
域名+一般名称」の例外的登録が認め
するものだ。
これ珍百景」に投稿された。そして、
られた。それまでのマスメディア戦略
開催地も出店する自治体・団体も目
それを知った映画制作会社が、トムク
とその大量の記録が、特許庁が「全国
的は、そこで物を売ることではない。
ルーズが来場する試写会への招待キャ
的周知性」と「需要者はやきそば学会
知られていなかったものを全国発信で
ンペーンを富士宮やきそばと絡めて実
を認識していること」を認める決め手
きることで、認知度が急激に上がる。
施した。「富士宮やきそば食べてトム
となった。
クルーズに会える!」と言うことで、
商標権は企業や業界団体ではなく
域の文化、背景を発信している」、こ
さらに話題を広げることができた。
NPO 法人が持っていることも特徴であ
こが大切なところである。ご当地グル
る。2006 年、富士宮やきそばが先例
メを通した団体活動で自分の“まち”
となり商標法が改正・施行され、地域
をいかに PR するか、伝えるかが目的
団体商標制度ができた。
「地域名」と「商
である。
品・サービス名」を組み合わせた商標
その為、商品はどれも「地域名 + 素
がより広く認められるようになった。
材名」である。富士宮やきそばが、や
行政予算ゼロのまちづくりを
実現。 地域ビジネスを展開。
きそばではない様に、八戸せんべい汁
定期観光バスツアーの開始。
「観光改革」
その後、収益事業部門を株式会社プ
くわも単なる豆腐ちくわではない。黒
ロシューマーとして分社化し、ロイヤ
石つゆ焼きそばは、冬の寒さですぐ冷
富士宮への観光誘客のための戦略会
ルティー・ビジネスを展開している。
めるから温かいスープをかけたといっ
これは、地域ビジネスとして約 25 名
出席した際、「ヤ・キ・ソ・バ・ス・ツ・ の雇用も創出し、行政予算ゼロのまち
アー」を提案した。この時も食事券は
づくりを実現している。
た地域性・ストーリーを内包している
議で、大手旅行社の商品企画担当者が
「地域の名前がついた地域の食で、地
もせんべい汁ではないし、鳥取豆腐ち
のである。
続いて「B-1 グランプリ」を商標
レによる話題性を織り込んだ。東京か
ご当地グルメのブランド化。
消費者に支持されること。
登録し、現在私が代表理事を務める愛
地元では当たり前のもの(素材)を
ら近い地理的特徴とやきそばという安
交 流 会 Bリーグ(通称)で管理・運営を行っ
B-1 グランプリ等を通して、付加価値
価な地域食により、格安日帰りバスツ
ている。日本弁理士会と提携し「地域
をつけ、素材の見せ方を工夫し、より
アーが誕生した。
そして浅間大社があっても実現しな
ブランド監理監視機構」も立ち上げた。 多くの消費者に伝えた結果がご当地グ
ルメのブランド化に繋がる。ブランド
かった地域初の東京の「はとバス」の
化とは、そのご当地グルメがあること
「麺財符」、登録店は「麺税店」とダジャ
定期乗り入れも決まった。これは、富
地域ブランドで地域おこしを
行う団体活動を評価する
B-1 グランプリ。
で、①人が来る、②お金が落ちる、③地
革
士宮にとって「宗教改革」ならぬ「観
B-1 グランプリ 2 日間の来場者数は
域に好循環(波及効果、相乗効果)が
光改革」である。現在、JTBの「地
第 8 回では 58 万人、経済効果は 35 億
生まれる、④その状態が持続すること
恵の旅」(研修型観光)で、私の講演
円と推定されるが開催地の自治体負担
だ。そして、何より、「消費者に支持
は、5000 万円程度、寄付等を含めて
されること」が第一である。
会
交 流 囲んで
の食を
と清水産
富士宮
意外と
意外と知らない地元の食。
地域ブランド
づくりは、 まず自らが知ることから始まる。
づくりは
前回より、
前回より、講演会終了後、参加者同志や講師
参加者同志や講師との意見交換の場として、食を交えた「交
流会」を開催しています。
今回は、講師のお二方の地元である富士宮
今回は、講師のお二方の地元である富士宮市と静岡市(清水)の食を囲んでの会と
しました。富士宮市からは地元野菜をワサビと酒粕で漬けた“曾我漬”
、静岡市(清水)
からは地元産果物のジャムを用意。そして、今回のテーマにちなみ富士山麓朝ぎり高
原ファーム産の厚切卵焼きと静岡茶を味わっていただきました。
VOL.4 FUJI 通信
⑤
◆世界遺産だけでは、 継続的集客にはつながらない。
◆“食” と “景観” は、 観光の魅力の2大要素。
左から、 渡邉英彦氏、 川口宗敏氏。
右上写真) 渡邉氏が新たに手掛けられている 「万年筆愛好会=筆楽宴 (ひつらくえん)」 富士山万年筆 図3) 対談論点 (当 NPO 作成配布資料より)
第三部 対談 渡邉英彦氏 × × 川口宗敏氏
「“景観” と “食” 今、 そこにある富士山文化」 から創られる地方の魅力
【対談主旨】
“地域の魅力”は「地域独自の文化・
多(多様)景観とドイツの統一感ある
景観の差はどう考えるか。
る試みはあまりない、可能性はあるか。
日本では景観の価値を意識
(川口氏)日本では景観の価値を意識
物語性」にある。そこでは、富士山の (川口氏)公共性のルールに差がある
物語性」にある。
公共性のルールに差がある。 し始めたのはごく最近
し始めたのはごく最近だ。柔軟な国民
様にシンボル的な存在もあれば、富士
ドイツでは条例だけでなく、住民自ら
住民自ら
性もあり、電柱等景観上のマイナス要
宮やきそばの様に身近な食や生活もあ
が看板の排除、外観色の統一等、地域・
素も許容してきた。西洋では、
西洋では、眺望で
り、“暮らし文化”を形成している。
公共に対する配慮をする。日本では看
公共に対する配慮をする。日本では
ホテルの部屋の価格に 3 倍差がつく等
その“暮らし文化”に、住む人の愛
“暮らし文化”に、住む人の愛
板等の規制も弱く、住民自身も公共性
住民自身も公共性
伝統的に景観の価値を意識している。
着と誇り、訪れる人の憧れを結びつけ、 への意識は慣習的に低い。
今まで日常の暮らしで意識してこな
新しくも当たり前の関係性を創りだ
この背景には伝統の影響
背景には伝統の影響がある。西
かった、当たり前の富士山を意識し、
当たり前の富士山を意識し、
す。それが“地域のアイデンティティ” 洋は、ローマの時代から建築等でも規
いかに価値を評価をし、生活風景と対
の確立と定着を促し継続的地域活性
範、オーダーという秩序立てる考え方、 の存在として付加価値を持たせた景観
化・地方創生に繋がるのではないだろ
教えがあった。一方、日本は限られた
うか。
材料、地域の中で“交流”も少ない為、 めに富士山をどう活かすかが課題であ
を形成させるか。暮らしを良くするた
を形成させるか。
そのような教えを必要としなかった。
る。景観の難しさは、魅力づくりが自
難しさは、魅力づくりが自
― 16 年前、地域人材育成事業「静岡・
― 景観は食と異なり一般的に難しい
分一人ではできないことだ。
未来・人づくり塾」で出会い、親交を
ものと捉えられる。身近な取組へのヒ (渡邉氏)景観整備というと規制、経
深めて来られた渡邉氏と川口氏に 景
ントが食の活動から得られないか。
観 と 食 を切り口に対談いただいた。 (渡邉氏)景観と食を切り離して考え
済面からもすぐには進まない。今ある
今ある
ものをありのままいかにうまく見せる
たことはないが、景観と食を一緒に楽
景観と食を一緒に楽
かが鍵となる。
際、渡邉氏の提案でノイシュバンシュ
しめる場が身近にないとは感じる。最
しめる場が身近にない
やきそばも、やきそば単独ではない。
タインを訪れた。総数 300 人以上を輩
近、富士宮に開店したコンビニのイー
街中にやきそばを食べに訪れた人が浅
出した人づくり塾で、渡邉氏は傑出し
トインから富士山が一望できる。単な
間大社や街中の清流を訪れるようにな
た人材である。多才で、個性的かつ凝
るまちのコンビニから「イートインか
る。そこで富士山の恵みや富士山文化
り性な面が、富士宮やきそば活動の成
ら富士山を一望できるコンビニ」とな
に触れ、その魅力を発見する。そこか
功に繋がっていると感じる。
ることで、住民だけでなく観光客に
ら地元の人も当たり前が持つ価値を再
とって価値のある特別なものになる。
発見、意識する。そのステップがあっ
シュバンシュタイン等ドイツの景観は
しかし、その付加価値を地元では評
付加価値を地元では評
て初めて日常景観の利用価値を見出
素晴らしい。清水港の景観とは雲泥の
価、情報発信していない。例えば「富
価、情報発信していない。
し、整備も自発的に考えるようになる。
差である。一方、食べ物はまずい。で
士山絶景コンビニ、レストラン」とい
一見ばかばかしくても入口のハード
もビールとソーセージは美味しい。他
う出し方をすれば即、景観も食や生活
景観も食や生活
ルを下げ、今あるものに物語性を付与
がまずいからそれが美味しく感じる。
と結びつくが、そこを意識していない。 し、分かりやすく情報発信し、外部評
と結びつく
その限られた素材に焦
注目すべきは、その限られた素材に焦
― 観光ホテルで富士山景観を意識し
価を得ることで地元の意識も徐々に変
点を絞り、ビールとソーセージの国と
点を絞り、
の国と
たものはあるが、日常の生活の中に富
わる。莫大な予算を使わなくても地域
して確立している点だ。まず日本の雑
して確立している点
士山を散りばめ、小さな気づきをつく
の魅力づくりは自ずとできる。
(川口氏)人づくり塾のドイツ研修の
(渡邉氏)ロマンティック街道やノイ
⑥ FUJI 通信 VOL.4
講演会会場
講演会を終えて
トより
!
アンケー とうございました
ご参加者の皆様から、 今回の講演会の内容、 今後の講演会運営に対するご
要望 ・ ご意見をいただきました。 今後の当 NPO の活動に役立ててまいります。
りが
ご協力あ
第一部 景観
・地域特有の景観についての理想的なあり方は、日常生活空間を美しく見せること。
そのために取り組むことが、地域ブランドの「景観」につながる。
・改めて景観のことを見渡して考えるきっかけになった。富士山を活かすことばかり考えがちだが、それがみえなくても良い景
観というのを考えなければならない。
・景観は今後の都市計画を考える中でも重要なテーマとなるので、自分の市でももっと力を入れなければならないと感じた。
・富士宮やきそばが地域に与える影響に驚いた。これがメディアを活用して築かれたものであることも
第二部 食
よくわかった。ソフト戦略・地域再発見の効果が素晴らしいと思った。
・お金を使わず知恵を使う、勉強になった。
・日常の当たり前のものを特別なものにすることが地域ブランド化につながる。
・地域づくりへの熱意と真剣さが成功に導いたと痛感した。発想の転換の重要性と、自己の感性を他者にも好感を持たせるとの
強い意識が実行力に結びついているように思う。
・おやじギャクを活かして、他を巻き込んで話題をつくってもらうというのはとても面白かった。
・景観に価値があるということを1人1人が認識して、日常の景観をいかに良くするか、それを食に
第三部 対談
価値があると思うように自然に取り組めたら良い。それは、地域の魅力を再発見して高めていくことになると感じた。
・「景観」であっても「食」であっても、地域自体がもつ特性をいかに活かして他にないもの、すなわち独自の文化を創出するこ
とで効果的にアピールし、地域のブランドが生まれ、地域の魅力につながっていくことである。これこそが本当の地方創生の
原点であると思われる。
・「富士山」を特別としてみるのではなく、あたりまえに。しかし、もう少し愛着のある景観づくりが大切であると知った。
◆運営 :このような気軽に参加できる会を数多くやってほしい。
その他ご意見 ・ ご要望
◆今後のテーマ :交通。静岡県の大部分を占める山間部と海の活用。静岡市のような平野の少ない街。
記
編集後 らの一言。
NPO か
当
「地方創生」、 日に何度も耳にするようになった言葉。 その漠とした言葉のもと、
誰が、 何を求め、 何を実行するのか。 地方のアイデンティティとは何か。
富士宮市 マイロード本町 新春まつり 2015
日本人の心象風景である富士山と共にある私達の文化を考えることで見えてきたもの。(Photo by M.Kawaguchi)
過去三回開催したまちづくり講演会では、
「これからの官民連携」
、
「都市インフラの維持管理」
、
「都市と農村」と日本
の市町村共通の課題を取り上げてきました。今回の「
“景観”と“食”~今、そこにある富士山文化を伝える~」では、
富士山という大きなシンボルと共に暮らす私たちの日常における、一見無関係な二つの視点・活動からまちづくりを考え
る初の試みでした。
地方の当たり前の日常“食”を売りに、
“活動”を外部発信、外部連携し地域ブランド食としての評価を先に確立し、地域
地域
地方の当たり前の日常“食”を売りに、
を巻き込んだ活動へと進化させるアプローチ。わたし(個人)
を巻き込んだ活動へと進化させるアプローチ。
、われわれ(地域住民等)
、みんな(観光客等外部)も活動主体
富士山が見えなくても美しい
と考え、昔からの地域資源“富士山”を見る景観から、積極的に美しく見せる景観へ、そして富士山が見えなくても美しい
地域景観、すなわち当たり前の日常“景観”を創造するアプローチ。ここに共通で見えてきたものは、
地域景観、すなわち当たり前の日常“景観”を創造するアプローチ。
①当たり前と特別、日常と
当たり前と特別、日常と
非日常を表裏一体と捉えた視点と“活動”、
②地域外部者を地域づくりの担い手へ変換・シフトし、地域の魅力づくりとブランド化を
地域外部者を地域づくりの担い手へ変換・シフトし、地域の魅力づくりとブランド化を
図る手法、③モノ売りでなく、地域の今そこにある生活と歴史・文化をストーリーとして提供すること
モノ売りでなく、地域の今そこにある生活と歴史・文化をストーリーとして提供することであるように思います。
ご講演者様、ご来場いただいた皆様ありがとうございました。多種他業種の方々とまちづくりに関する意見交換の場と
なればと願い、2015 年度も 3 回の講演会を予定しております、多くの皆様のご来場お待ちしております。
VOL.4 FUJI 通信
⑦
ご 参 加 者 募 集
●定期講演会
まちづくり・むらづくりに関連した講演会を開催しております。各回とも国内外で広く活動されている多業種多分野
の著名な方々をお招きし、それぞれの立場・視点からまちづくり・むらづくりの課題、将来像を語っていただきます。
〇開催予定
日時
2015 年
5 月 30 日
2015 年
9、10 月予定
2016 年
1,2 月予定
テーマ・内容
場所
第五回
地元にイきる イノベーションの仕掛け
浜松市
科学館
第六回 (仮題)
防災・減災 ~現場力を活かす~
三島市
第七回 (仮題)
健康と都市の魅力
静岡市
○各回参加費 :500 円/人(税込、資料代として)、当日会場受付にてお支払ください(会員の方は無料
会員の方は無料)。
○お申込み方法:ご希望の方は下記お問合せ窓口までご連絡ください。募集案内・申込み受付の最新情報
は、当 NPO 法人のホームページでご確認いただけます。会終了後、交流会も行います。
●まち造り研究会 巻一
★講演会アンケートのご要望にお応えして開催!! 都市の造りは、暮らしの器です。まちづくり、地域づくりのたしなみとして、都市計画について一緒に学んでみませ
んか。ちょっと硬派な話題を、お茶や(時にはお酒)を楽しみながら和やかな雰囲気で楽しく議論する場です。女性の
方でしたらどなたでもご参加いただけます。連続参加だけでなく、単発の参加も可能です、お気軽にご参加ください。
定
女性限
なる
女もす 市計画
都
Menu ~ Ladies only
暮らしの器「都市の造り」、都市計画って何?
地図を持って街に出よう! GIS って何?
都市っていつ誰が造ったの?どうつくるの?
子育てしやすい町って何だろう?
人口が減るとどうなるの?
・・・・・
〇開催日・場所:平成 27 年1月から月一回、
当 NPO 浜松事務所、静岡事務所それぞれで開催。
【静岡事務所】平成 27 年 毎月第二水曜日 午後 6 時 30 分から
【浜松事務所】平成 27 年 毎月第四水曜日 午後 6 時 30 分から
〇参加費 :資料費 + お茶(時にはお酒)代として千円より二千円程度を予定。
各回資料・飲食の内容により異なります。
〇募集人数:各会場で 10 名程度まで。毎回好評につき、お早目にお申込みください。
〇お問合せ・お申込み:下記お問合せ窓口までお気軽にご連絡ください。 ※最新情報 は、当 NPO 法人のホームページでご確認いただけます。
入 会 の ご 案 内
当 NPO の趣旨にご賛同いただき、会員になってくださる方を募集しております。まちづくり・むらづくりに関心の
ある、支援・参加したいという方々のご入会をお待ちしております。講演会レポートや会報「FUJI
講演会レポートや会報「FUJI 通信」の送付、当
NPO 主催の講演会や勉強会の参加費用の割引または無料等の特典がございます。
○会 費 : 入会金)正会員 3,000 円 賛助会員 1,000 円
年会費)正会員 6,000 円/一口 賛助会員 1,000 円/一口
○振込先 : 静岡銀行清水中央支店(店番 144)普通 0950668
特定非営利活動法人まちづくりサポーターFUJI 理事 川口宗敏
トクヒ)マチヅクリサポーターフジ
○連絡先 : 上記、振込先にお振込みいただきましたら、下記お問合せ窓口・連絡先まで、FAX または、
Email にて、お名前、ご連絡先の住所・電話番号・E-mail、ご所属、お振込み口数をご連
ご所属、お振込み口数をご連
絡ください。ご連絡先は、お勤め先でもご自宅でも結構です。 。 お 問 合 せ 窓 口
特定非営利活動法人 まちづくりサポーター FUJI
(浜松事務所) 〒430-0923 静岡県浜松市中区北寺島町 211 番地の 19
電話 : 053-525-8511 FAX : 053-533-3203
Email : [email protected]
(静岡事務所) 〒424-0037 静岡県静岡市清水区袖師町 1074 番地 電話 : 054-340-2005
⑧ FUJI 通信 VOL.4
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