第6章 強制対流熱伝達 伝熱工学の基礎: 伝熱の基本要素、フーリエの法則、ニュートンの冷却則 1次元定常熱伝導: 熱伝導率、熱通過率、熱伝導方程式 2次元定常熱伝導: ラプラスの方程式、数値解析の基礎 非定常熱伝導: 非定常熱伝導方程式、ラプラス変換、フーリエ数とビオ数 対流熱伝達の基礎: 熱伝達率、速度境界層と温度境界層、層流境界層と 乱流境界層、境界層厚さ、混合平均温度 強制対流熱伝達: 管内乱流熱伝達、円柱および球の熱伝達、管群熱伝達 自然対流熱伝達: 垂直平板自然対流熱伝達、密閉層内自然対流、共存対 流熱伝達 輻射伝熱: ステファン-ボルツマンの法則、黒体と灰色体、輻射率、形態係数 凝縮熱伝達: 鉛直平板膜状凝縮、凝縮数、水平円管膜状凝縮、滴状凝縮 沸騰熱伝達: 沸騰曲線、気泡力学、沸騰熱伝達率 対流熱伝達 温度 T∞ Tw 流れ 温度境界層 ニュートンの冷却則 (Newton’s law of cooling) 実験的な事実: (熱移動量)∝(温度差) Q A Tw T 比例定数を h とすると、 Q hTw T A ニュートンの冷却則 (Newton’s law of cooling) ここで、h [W/(m2·K)] は、熱伝達率 と呼ばれる。 h →大: 流体と物体間の熱移動能力→大 第6章 強制対流熱伝達 管内乱流熱伝達の実験式 混合平均温度を用いた伝熱量評価 q m l , c p Tb 1 Tb 2 Tb dx Tw x L q m c p (Tb 2 Tb1 ) 要素dxでの伝熱量評価 dq m c p dT h ( 2r dx )(Tw Tb ) 全伝熱量評価 q h A (Tw Tb ) 全伝熱量評価 熱伝達率の評価 運動量の混合と渦塊 乱流状態 ある流体塊の平均速 度が、平均値の周りで 不規則な時間変動 運動量の混合 流体が渦塊(eddies)とし て運動する形態に対応 平均速度分布の平坦化 円管内強制対流 完全乱流域内の平均速度(相似な対数速度分布となり, 壁法則(law of the wall)と呼ばれる): u w / 1/ 2 w / 1/ 2 y ln B 1 乱流混合と流動抵抗 乱流混合が進むと・・・ 低速の流体塊が高速の流体塊を捕える. 流動抵抗の飛躍的増加 乱流混合と熱伝達率 乱流混合が進むと・・・ 低温の流体塊と高温の流体塊の混合が促進 熱伝達率の飛躍的増加 表面の凹凸の効果 円柱や球: (圧力抵抗) >> (摩擦抵抗) 流れのはく離を後方に追いや り、はく離部分を極力抑える 物体が受ける抵抗を軽減 表面の凹凸 例) • ゴルフボール表面 • 飛行機の翼上面 (ボルテックス・ジェネレータ) 円管の摩擦係数に及ぼす管内面粗さの影響 管摩擦係数の関係式 Prandtl の式: 1 2.0 log10 Red f 0.80 f Blasius の式: f 0.3164 Red 1/ 4 (3 103 Red 105 ) White の式: f 1.02log10 Red 2.5 (3 103 Red 108 ) 層流熱伝達率の理論式 平板 : Nu 1 1 0.332 Re 2 Pr 3 48 円管 : Nu 4.364 11 u d 0 レイノルズ数: Re Nu C Re m Pr n hd 0 ヌッセルト数: Nu k プラントル数: Pr 管内乱流熱伝達の実験式 滑らかな円管内の乱流熱伝達 (Dittus-Boelterの式) Nu d 0.023 Re 0d.8 Pr n Nu d Pr 0.4 n = 0.4: 流体を加熱するとき n = 0.3: 流体を冷却するとき Re d 円管内熱伝達率の実験式 流体の物性値の変化を考慮した式(Sieder-Tateの式) : Nu d 0.027 Re 0d.8 Pr 3 1 0.14 流れが発達しつつある助走区間(Nusseltの式): d Nu d 0.036 Re 0d.8 Pr 3 L 1 0.055 10 < L/d < 400 壁温一定条件における発達した層流 : Nu d 3.66 0.0668 d L Re d Pr 1 0.04d L Re d Pr 2 3 管内層流熱伝達(Sieder-Tateの式) : 1 d Nu d 1.86 Re d Pr 3 L 1 3 0.14 流れのはく離 壁面の曲率変化に伴う圧力上昇 粘性境界層内の低運動量の 流体塊が物体壁からはがれる (流れのはく離:flow separation) 非粘性流れであれば、後方よどみ点で回復されるべき圧力が回復 されずに降下 大きな圧力抵抗の発生 円柱の抗力係数(ドラッグ・クライシス) Red ≈ 2×105 を境に、 境界層が層流から乱流に遷移 乱流境界層出現 抗力が激減する傾向 (ドラッグ・クライシス:drag crisis) 円柱及び球の熱伝達 水平加熱円柱周りの温度場の可視化画像 Nu 加熱円柱周りの局所熱伝達率 (前方よどみ点からはかった角度) 一様流中の円柱の平均熱伝達率の実験値 h D0 [ ] k Ref = (D0u∞/f) 円柱の平均熱伝達率 前方よどみ点近傍の層流境界層域の熱伝達 (Smith-Spalding の式) hx 0.385 2u x R x 0.570 Pr k 1/ 2 よどみ点近傍の層流から乱流を経てはく離に至る円周で 平均した平均熱伝達率(Zhukauskas の式) 1/ 4 hd 0.36 Pr Pr k Prw 0.51Red0.5 : 40 Red 103 0.26 Red0.6 : 103 Red 2 105 0.076 Re 0.7 : 2 105 Re 10 6 d d 一様流中の円柱の平均熱伝達率 n u d Pr 1/ 3 Nu f c f Re df 0.4-4 4-40 40-4000 4000-40000 40000-400000 c 0.989 0.911 0.683 0.193 0.0266 n 0.330 0.385 0.466 0.618 0.805 円柱の熱伝達率 液体の一様流れによって円柱が加熱される場合 (Frandの式) : Nu f 0.35 0.56 Re 0f .52 Pr f0.3 直交流中におかれた円管からの熱伝達 (Eckert-Drakeの式) : Nu 0.43 0.50 Re 0.5 Pr f Pr 0.38 Prw Pr f 0. 6 0.38 Nu 0.25 Re Pr Prw 0.25 1 Re 10 3 0.25 10 3 Re 2 10 5 球の抵抗係数 球の熱伝達率 一様流中に置かれた球の熱伝達に関する一般式 (Whitaker の式) 1/ 4 hx 1/ 2 2/3 0. 4 2 0.4 Red 0.06 Red Pr k w 0.71 Pr 380, 3.5 Red 7.6 10 4 液滴が自由落下する際の熱伝達(Ranz-Marshall の式) hx 2 0.6 Re1d/ 2 Pr 1/ 3 k 0.6 Pr 380, 1 Red 10 5 球の熱伝達率 気流中の球からの熱伝達(McAdams の式) : Nu f 0.37 Re 0f .6 17 <Red < 70000 液流中の球からの熱伝達(Kramers の式) : Nu Pr 0.3 0.97 0.68 Re 0.5 1 < Red < 2000 液体が水と油の場合の球の熱伝達率 (Vliet-Lappert の式): 0.3 Nu Pr 0.25 1.2 0.53 Red0.54 1 < Red < 200000 円管群の熱伝達率 碁盤配列における円管群の熱伝達 (Zhukauskas の式) 4 0.80 Red0.max hd : 10 Red max 10 2 0. 5 2 3 k 0 . 51 Re : 10 Re 10 d max d max 1/ 4 3 5 0.63 0 . 27 Re : 10 Re 2 10 ( ST S L 0.7) d d max 0.36 Pr Pr 0.021Re 0.84 : 2 105 Re 2 10 6 Pr d d max w 円管群の熱伝達率 千鳥配列における円管群の熱伝達 (Zhukauskas の式) hd k 1/ 4 0.36 Pr Pr Prw 4 0.90 Red0.max : 10 Red max 10 2 2 3 0.5 : 10 Re 10 0 . 51 Re d max d max 60 0.35ST S L 0.2 Red0.max : ST S L 2, 103 Red 2 105 0.40 Re 0.60 3 5 : S S 2 , 10 Re 2 10 T L d d max 84 0.022 Red0.max : 2 105 Red 2 10 6 問題6-1 圧力2(atm)、温度200℃の空気が、直径2.5(cm)の円管内を 10(m/s)で流れながら加熱されている。壁面熱流束は一定、壁 温は空気の温度より常に20(℃)高いとする。 (1) このときの単位長さ当たりの伝熱量を計算しなさい。 (2) 管の長さ3(m)当たりの混合平均温度の上昇を求めなさい。 ただし、200(℃)の空気の物性値を以下の値とする。 1.493( kg / m 3 ) 2.57 10 5 ( kg / m s ) k 0.0386 ( W / m K ) Pr 0.681 C p 1.025( kJ / kg K ) 問題6-2 高さが1.5 m、幅が50 cmで、表面温度が75℃に一定に保たれ た垂直壁がある。静止した周囲の空気の温度が15℃であると き、この垂直壁からの自然対流による放熱量を求めよ。ただし、 45℃における空気の動粘度を1.75×10-5 m2/s、体膨張率βを (15+273)-1 1/K、プラントル数をPr = 0.711とし、重力加速度を 9.807m/s2とする。なお、垂直平板におけるChurchill-Chuの式 0.387 Ra L Nu 0.825 9 16 Pr 1 0 . 492 16 8 27 または乱流自然対流の式 109 RaL 1012 Nu L 0.13Ra L を用いてよい。 13 2 問題6-3 内径 10 cm で長さ 6 m の円管の中を温風が質量流速 0.05 kg/s で流れている.外気温度 20 oC で,管の外壁と外気間の 熱伝達率は 10 W/(m2·K) とする.出口地点の,管外壁から外 気への熱流束が 350 W/m2 であるとき,出口の気体温度はいく らか.また,温度変化による物性値の変化も少ないものとする. 気体の物性値として以下を用いてよい: 2.0 10 5 [Pa s] k 0.0286 [ W /( m K )] Pr 0.7 定期試験 日時: 平成27年6月26日(金)5・6限 場所: 3B402 教科書・資料・ノート等: 持ち込み不可 電卓: 持込可 提出物: 回答用紙+授業アンケート用紙
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