1 - 医薬基盤研究所

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
創薬デザイン研究センター
薬用植物スクリーニングプロジェクト
プロジェクトリーダー 川原信夫
薬用植物スクリーニングプロジェクトについて
背景
HTSやコンビナトリアルケミストリーにおいては合成化合物
の骨格の限界が叫ばれている
植物種
国内
全世界に維管束植物は
約7,087種
約270,000種
生物多様
性条約
COP11
植物には奇異な骨格を有する
有機化合物が多く含有
構造多様性を持つ植物成分は
HTSへの適用が魅力である
・Combinatorial Chemistry に最適な化合物群となる
・High-through put screening への適用
・多成分系のエキスライブラリーから効率良い活性化合物の特定技術の開発
画期的な医薬品シーズの発見
国内種を中心とした植物抽出エキス8,000種類以上(2015.7現在)
のライブラリーをスクリーニング用に提供
薬用植物エキスライブラリーの優位性について
東京大学
創薬等支援
技術基盤プラッ
トフォーム
212,258化合物
(合成化合物中心)
(2013年3月時点)
理化学研究所
天然化合物
バンク
24,700化合物(内8000種類
が天然物関連)
その他菌培養抽出液8000種
(2009年1月時点)
産総研
次世代天然物
化学技術組合
12,906化合物
(内天然物2024)
その他微生物由来抽出物
219,127種
(2014年1月時点)
国内に存在する大規模天然物ライブラリー
化合物中心あるいは微生物由来抽出エキスが中心
国内に大規模植物エキスライブラリーが存在しない
 植物同定の専門性が必要
高知県立牧野植物園と外国産植物エキスライブラリーの相互貸借契約締結中
植物採取からエキス作成まで
植物採取
*時期的な成分変動、個体差を考慮する必要があるため
採種日時・GPS記録*
最重要
正確な同定
が必須
植物名確認(学名、科名等)
確認できたもの
乾燥(40度、4日間)
各部位に分離(Leaves, stem, fruits, flower, root,
rhizome etc.)**
不明なもの
さく葉標本作成
専門家への鑑定依頼
**部位により成分はかなり異なるため
粉砕
メタノール熱時抽出(2回抽出)***
***創薬スクリーニングセンターでの抽出は基本的にメタノール。生薬
データベース用エキス作成は熱水抽出
濾過、濃縮
DMSO溶解、滅菌フィルター
-20℃保管庫へ(二次元バーコード管理)
エキスライブラリーの保管庫から分注操作まで
分注システム
(Freedom EVO150)
保管庫からの搬送
エキス保管システム
(STX1000)
1.0ml tube
で最大
38,400本
収納可能
96plateでの
収納も
可能
保管庫
分注機
保管庫内カルーセル
デキャッピング
自動搬送
各チューブラックは
バーコード管理
アルゴンボックス
分注機はクリーンブース内
プレートへの分注
希望する研
究機関へ送
付しスク
リーニング
シリアルダイリューショ
ンにも対応
プレートシーラー
マトリクスチューブはデータマトリクス管理
現在自動分注システムが稼働し、96、384ウェルプレートへの分注が可能
エキスライブラリーの進捗状況(2015.8)
既存DB用生薬エキス:752種類
既存植物エキス:624種類
平成26年度追加新規生薬数:367種類
平成26年度採種収集植物:524種類
現在までのエキス作成数:6862種類
熱水抽出生薬エキス:752 種類
メタノール抽出植物エキス:7297種類
作成終了エキス 8238種類
(2015年8月3日現在)
高知県立牧野植物園との研究試料貸借について
薬用植物資源研究センター
1.国内種エキスライブラリー
2.主要生薬エキスライブラリー
(約8000種類)
牧野植物園
外国種エキスライブラリー
(約4000種類)
創薬を指向した総合的植物資源エキスライブラリーとして一本化することで合意
牧野植物園側よりMTAが提示され、現在契約書案を検討中
共同研究の進捗状況
1.国立A研究所
抗菌活性1
2次スクリーニングがほぼ終了 細胞毒性評価中
抗菌活性2
1次スクリーニング中
2.国立B研究所
抗ウイルス活性1 2次スクリーニング中 384プレートへの対応
抗ウイルス活性2 1次スクリーニング中 カクテルプレートへの対応
抗ウイルス活性3 カクテルプレートで試験的に検討中
3.C大学医学部
抗ウイルス活性
4.基盤研内研究プロジェクト
脳神経保護など 絞り込み中
5.D大学生命科学部
アポトーシス誘導剤 1次スクリーニング開始
共同研究模索中の案件
1.A大学研究センター 共同研究契約終了
ヒト疾患モデル昆虫を用いたスクリーニング
2.B大学大学院医歯学総合研究科
抗腫瘍活性スクリーニング 共同研究契約準備中
3.C大学大学院国際感染症分野
抗寄生虫活性 共同研究の模索中
4.D大学保健学研究科及びE製薬
生薬の抗HCV活性 共同研究契約締結中
期待される研究成果
HTSを用いた創薬における合成化合物の骨格的な限界を、構
造多様性を持つ植物由来天然有機化合物を利用することにより
カバーすることが可能
稀少植物や未利用植物の成分を含む植物エキスライブラリー
を構築し、各種スクリーニングに利用する→既存の化合物ライブ
ラリーにはない新規化合物としての活性化合物の発見の可能性
画期的な創薬シーズ化合物の発見