第4回耕読会レジュメ~CHAPTER3 仕事を効率化させるトヨタの「整理術」

平成27年6月26日
第4回耕読会レジュメ~CHAPTER3 仕事を効率化させるトヨタの「整理術」
1 モノの置き場は、
「人の動き」で決める(132 頁)
<ポイント>トヨタでは、お金を生まない作業は、できるだけゼロになるように徹底されている。
そのために考えなければいけないのがモノの置き場である。
(1)その作業は付加価値を高めているか?
・整頓の定義:
「必要なもの」を「必要なとき」に「必要なだけ」取り出せるようにすること。
・
「いるもの」を手元に置いていくために、
「付随作業がゼロになるように置き場を決める」
。
・ムダを見つける人の動き:①主作業…付加価値を高める作業、②付随作業…付加価値はないけれどやらなけ
ればいけない作業、③準備・後始末作業、④ムダ・例外作業
⇒「付随作業」をできるだけ少なくし、
「主作業」の割合を増やしていくようにする。
(2)
「動いている」ことで満足していないか
・人は動いていれば「仕事をしている」という感覚に囚われやすい。作業者の動きに注目し、それが付加価値
を生んでいるか考えて、付随作業がゼロになるよう整頓すること。
・付随作業の例)よく使うものが離れたところに置いてあるので、取ってくる時間がかかる。
一緒に使うものが別々のところに置いてあるので、手間がかかる。
(3)
「モノを探している時間」はお金を生まない
・付随作業を減らすこと以上に、
「ムダ・例外作業(=探す時間)
」を減らす。
2 ワキが空かないようにモノを置く(138 頁)
<ポイント>トヨタでは、効率的に作業をするために、必要なものを手の届く範囲に置く。
だから、モノをとるときにワキが空くことですら、ムダな動きととらえる。
(1)よく使うものは手の届く場所に置く
・トヨタ:
「動作経済」という生産性を高めるために、人の動きを研究したプログラムが存在。
・作業に必要な部品・工具は手の届く範囲に置く。さらによく使うものは、体のワキが空かずに手にとれるとこ
ろに置く。作業者の負担軽減のために、そこまで考えて整頓を実行すること。
(2)モノを取るときに、体に負担をかけていないか?
・日々の動きを見直し、体に負担をかける作業(=「カイゼンのネタがある動き」
)が無くなるよう、モノの置
き場所を変え、整頓する。⇒よく使う書類や文房具は、手の届く範囲に置いておく。
(3)人に合わせてオフィスのレイアウトも決める
・モノの置き場所を決める考え方を発展させ、人の動きに合わせてオフィスのレイアウトを決めていく。
3 「使う頻度」で置き場を決める(144 頁)
<ポイント>「必要なもの」を分類する基準のひとつが、それを使用する頻度。
よく使うものほど近くに置くのがトヨタの基本的な考え方である。
(1)毎日使うか、1 週間おきに使うかで、置き場所を変える
・必要なものがたくさんある場合、
「頻度」という基準にしたがって分類し配置する。
例)①よく使うものは、デスクの引き出しや近くの棚に置く(毎日・2~3 日おき)
。
②1 週間に 1 度、1 ヵ月に 1 度であれば、少し離れた棚に置く。
③半年に 1 度、1 年に 1 度であれば、別室の資料室や倉庫に置く。
(2)書類を年度別・月別に新しいものから並べる
・よく使うものは近くに置き、あまり使わないものは遠くに置く…固定した保管ルールを定める。
4 「使う頻度」が低いものはシェアする(152 頁)
<ポイント>週に 1 回、月に 1 回程度しか使わないものは、個人所有ではなく、
職場で共同管理したほうが、ムダなスペースをとらずに、コストも安く抑えられる。
(1)カッターナイフが 100 本以上!
・
「毎日使うものは個人管理」
「3 日に 1 度しか使わないものはシェアする」など、職場ごとに基準を決め、もの
を「視える化」することで、余分なものを買うムダ、紛失のムダを防ぐ。
(2)共有の置き場は 1 ヵ所にまとめる
・職場でシェアする文房具や備品などは、1 ヵ所にまとめるのが原則。
・共有の備品がたくさん存在…返却の意識が薄くなり、元の場所に戻らない、紛失などが発生する。
5 線を1本、引きなさい(156 頁)
<ポイント>トヨタでは、モノの定位置を決めるために、区画線を引く。
オフィスでも区画線を引けば、モノが散乱するのを防げる。
(1)まずは仮でいいので「定位置」を決めておく
・区画線を引くことで、モノが区画線からはみ出していると気になり、戻そうという気持ちになる。
(2)まずは仮の基準をつくり、そこから標準をつくっていく
・まずは線を1本引き、仮の基準を作ることでそれを元にして正常・異常がわかる状態になる。
・現実の動きを見ながら修正をかけることで、職場の標準が徐々に決まっていく。
(3)
「どうすれば人は動くか」を考える
・バックヤードを整理・整頓するという姿勢は、自ずから患者さまへの接遇にも反映される。
・
「何かをやろう」と呼びかけてもうまくいかない時は、どうすれば人は動いてくれるのか、人は動きやすくな
るのかを考えることが大事。その方法の 1 つが区画線などの「視える化」
。
(4)オフィスやデスクにも線を引く
・ゴミ箱の位置やデスクの上に区画線を引いてしまうのもアイデアのひとつ。
・モノを置かない場所を決めて作業スペースを確保することで、整理・整頓の意識が身につきやすくなる。
6 他人が 30 秒で探せるように“定位置”を決めなさい(164 頁)
<ポイント>ものづくりの現場にかぎらず、オフィスでもまわりの人との連携が大切。
そのためにも、誰もが「必要なもの」を探し出せるしくみが求められる。
(1)不特定多数の人が使うものは、定位置を決める
・不特定多数の人が使うものについては、定位置を決め、必ずそこに戻すということが必要不可欠。
⇒業務の引継ぎや集団作業の中での連携…「後工程に迷惑をかけないはカイゼンの基本!」
(2)誰もがすばやく取り出せる仕組みをつくる
・整頓は、誰もが探してもわかるようになっているのが原則。職場では、
「知らない人が 30 秒で探し出せるよ
うにする」という基準をもうけると、誰にとってもわかりやすい整頓ができるようになる。
(3)オフィスでも、まわりとの連携プレーが必要
・使用者本人が不在のときに書類が必要になったら、何もアクションが取れないという事態が起きる。
(4)組織の動きを止めない整頓
・
「未決箱」
「既決箱」に入れて、本人がいなくてもすぐに取り出せる仕組みをつくる。
・整頓するということは「自分がいなくても、ほかの人が必要なものをすぐに探せるようにする」という周囲へ
の配慮や、チームワークが大切。
7 「見よう」としなくても「見える」が大事(172 頁)
<ポイント>トヨタでは、整頓をするときに、モノの定位置を明示するのが基本。
「どこに何があるか」を明示すれば、ひと目でモノがどこにあるか「見える」
。
(1)モノの定位置がひと目でわかるようにする
・モノの定位置を決め「明示する」
。
「明示する」方法は、基本的には「掲示」であるべき。
・
「見よう」としなくても「見える」ようにすることが大事。
例)①紙に書いて貼り出す
②棚にシールを貼って、中に何が入っているかを書く
③ロッカーや棚に使用者の名前を書いた札をつける
(2)
「マップ図」を掲示する。
・保管すべきモノがたくさんある場合も「掲示する」ことが大切。置き場所の保管ルールがひと目で分かるよう
にマップ図を作る。マップ図は「現場に掲示する」
(見える場所に掲示する)が大原則。
(3)写真を掲示すれば「見える」
・整理・整頓し、きちんと片づいてきれいになったら、その状態を写真に撮って、デスク上のどこかに掲示して
おく。
「見える」ことで、その状態をキープするための行動を起こしやすい。
8 モノの「住所」を決めなさい(180 頁)
<ポイント>トヨタでは、
「モノをどこに収納するか」を定めて管理を徹底している。
モノの「住所」が決まっていれば、誰でもカンタンに探し出すことができる。
(1)オフィスを「街」に見たてて「住所」を決める…「所番地を決める」
・オフィスを碁盤の目のように区切り、
「○○は○丁目○番地」というように、モノの所在地が明確になるよう
に定める。それをオフィス内に掲示し全員が分かるようにする。
(2)文房具やパソコンも「住所」で管理する
・小さなオフィスや個人のデスクまわりでも、
「モノの住所を決める」という考え方は整頓を進める上で大切。
・パソコンのファイルはフォルダを活用し整理する。
(例:大分類・中分類・小分類、デスクトップ上には 3 列
をこえるフォルダを置かないようにするといった基準をもうけるなど)
(3)人の動きからモノを置く場所を決める
・オフィス内の「住所」という座標軸が定まることにより、モノをどこに置くと最適なのかについて、気づきが
生まれやすくなる。所番地を決め、現状をとらえた上で人の動き(動線)を見ていく。
・理想は「一筆書き」の動線。その反対が「戻り作業」の動線。
(4)棚の管理の基本原則は「三定」…所番地と合わせてモノの管理を進める手法
①定位置(モノの位置:モノをどこに置くか)
②定 品(モノの種類:どんなモノを置くか)
③定 量(モノの量:どのくらいモノを置くか)
9 どこに戻せばよいか一目瞭然の「姿置き」
(190 頁)
<ポイント>トヨタの現場では、整頓が乱れないための工夫がなされている。
そのひとつが、置き場にモノの形を表示する「姿置き」である。
(1)整頓が乱れる 2 つの理由…①新しいものが増えた・②置き場や置き方が悪い
・①新しいものを購入する前に対策が必要。まず、今までに使ってきたものを処分するかを考える。
(2)
「置き場所」は、はっきり明示
・②置き場や置き方が悪い場合の例:戻す場所や戻し方がひと目で分かりにくいこと。
(3)共有スペースや引き出しの中は「姿置き」…置き場所に戻されるべきモノの形を表示する方法
・モノの形状を表示したり、テープなどに品名を貼っておく、共有のモノを借りるとき自分の名前が入った札を
使用中は代わりに置いておく など…。